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ポナの季節  作者: 大橋むつお
37/92

37『決断のシースパロー』


ポナの季節・37

『決断のシースパロー』         



ポナ:みそっかすの英訳 (Person Of No Account )の頭文字をとって新子が自分で付けたあだ名



 護衛艦ひとなみではカレーの味が話題になっていた。


 横須賀を出港するときに烹炊長の移動があった。その新しい烹炊長が、昨日着任以来最初の金曜日を迎え、初めてのカレーを作ったのだ。

 海自では、曜日感覚を保つために毎週金曜日はカレーライスと決まっていて、その味付けは烹炊長の腕にかかっている。

 大ニイの達幸は味の違いは分からなかったが、艦内では昨日からこの話題でもちきりだった。

 海上勤務は単調なので、こんなことでも乗組員には重大事のようになる。


 しかし、今回の哨戒任務がカレーライスどころではなくなることを誰も予想は出来なかった。


「当直任務を交代します」

「当直任務交代。18:00(ヒトハチマルマル)」

「いよいよ尖閣だ。哨戒厳重に」

「了解」



 達幸は、いつものように船務長と当直を交代した。尖閣に差し迫った事態は起こっていなかったが、尖閣の哨戒にあたるときは、これが合言葉のようになっていた。



「砲雷長、カレーはどっちがうまかったかね?」

 同じく当直に入った艦長が聞いてきた。ブリッジの空気を和やかにしようという心配りであることは分かっている。それほど、この任務は神経を使う。

「はあ、自分は味オンチなので、違いが分かりませんでした」

「ハハ、砲雷長らしい答えだ」

「二時の方向に中国機の反応。距離50海里。高度300、上昇中!」

 若いレーダー手が、一気にブリッジを緊張させた。

「低空で隠れて、一気に姿を見せる……威嚇だな」

「……高度1000で水平、速度350ノット。5分で領空に侵入します」

「やれやれ、警戒態勢レベル2。CICに行くぞ。当直交代」


 当直がとけたばかりの船務長を筆頭に、交代要員がブリッジに上がってきた。


 CICに着くと、さらに詳しい情報が分かってきた。

「目標はドローンと思われます。高度500まで落とし、さらに接近中」

「JDAスクランブル確認」

「艦長、空自さん間に合いませんね……」

「衛星周回の隙を狙った発進ですね」


 達幸は、自衛隊では行儀が悪いとされているズボンのゆすり上げをやって、艦長に苦笑いされた。


「過去のデータには無い新型のようです。画像出します」

 CICのモニターは、正面からのドローンの映像を写し、デジタルで拡大していった。

「艦長、こいつミサイルを搭載しています!」

「レーダーコーンの見間違いじゃないのか?」

「……HY2の改良型に見えます」

「域内の巡視船に連絡、対空防御。総員戦闘配置!」

「目標ドローンミサイルを発射。弾着まで50秒!」

「艦長、撃ち落します」

「よし、スパローでやれ」

「右舷スパロー、オート!」


 三秒後スパロー2発が発射され、15秒後にミサイルが、20秒後にはドローンそのものが撃ち落された。


 どこから見ても正当防衛であったが、事態は意外な方向に、そして寺沢家に影響を及ぼすのであった。



ポナの周辺の人たち


父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師

母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん

長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉

次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員だったが、乃木坂の講師になる。

長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官

次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ

三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )

ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。


高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)

支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子

橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長

浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊


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