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ポナの季節  作者: 大橋むつお
36/92

36『ヘブンリーアーティスト!?』     


ポナの季節・36

『ヘブンリーアーティスト!?』     

  


ポナ:みそっかすの英訳 (Person Of No Account )の頭文字をとって新子が自分で付けたあだ名



「ヘブンリーアーティストになってくれない!?」


 いきなり幽霊の安祐美が身を乗り出して言った。

「え、ヘブンリーアーティスト!?」


 英語が苦手なあたしでも意味が分かる。


 ヘブンとは天国の事だ。だからヘブンリーというのは『屁を分離する』という意味でなければ『天国の』という意味で、そこにアーティストが付くと『天国のアーティスト』という意味でになり『さっさと死んであの世で芸術家になろう!』ということだ(;゜Д゜)!


 やっぱり幽霊を友だちになんかするもんじゃない~~(;'∀')


「あれ……なんで青い顔してんの?」


「え、あ、いや、だって……」

「えと、お台場とか日比谷公園とかで、大道芸とか歌うたってる人たちがいるでしょう?」

 ポナは、ももクロが、そんなことを言っていたような気がした。

「あれをヘブンリーアーティストってゆって、都の生活文化局のライセンスが必要なの。六月三十日〆切、当日消印有効!」

 さらに安祐美は身を乗り出した。

「え? あ、そか……でも、急に、そんなこと言われても……」

「とにかく人前で歌うことから始めたいの。ウンと言ってよ。こうして姿が見えて話ができる相手なんてめったにいないんだから……」

 安祐美は、もう鼻息が感じられるほどの近さになった。


 幽霊の鼻息でも暖かいよ……ちょっと感動。


 そして、安祐美の目から一筋の涙が流れる……もっと感動。


「……と言うわけなのよ」

「で、引き受けちゃったの?」

「引き受けたわけじゃないんだけどね……見つめあってるうちに、ありがとうって安祐美ちゃんが言って消えちゃった」

「どういうことよ、それって?」

「なんてのか……圧倒されちゃって。安祐美ちゃんは、世田女に入って歌をやりたかったのがヒシヒシと伝わってきちゃって、応援したい気持ちになったの」

「あーあ……」


 由紀と奈菜が、そろってため息をついた。


――あとは、あたしがお話しするわ――



「え、だれ……?」

 由紀と奈菜が講堂の裏手一帯を見渡した。これが暗闇ならば悲鳴の一つもあげただろうが、真昼間の梅雨の晴れ間。だれかが声をかけたと思ったのも無理はない。

「安祐美ちゃん……」

 

 ポナには見える。


 二人は及び腰で、ポナの視線の先を探るが、なにも見えない。



――音楽的なスキルは、あなたたちが寝ている間に少しずつ頭と体にインストールする。オーディションまでには人並み以上にできるようにしてあげるわ。時間がたって、この奇跡が信じられるようになったら、あたしのことも見えるようになる。そして、次には、あたしも生きてる人間みたいに動くことができるようになる。がんばろうね、由紀ちゃん、奈菜ちゃん!――


 あまりに明るい声に、由紀と奈菜は呆然だったが、ポナには花壇の前ではしゃいでいる安祐美が健気にもおかしく見えた。そして消える刹那、足許のポチが「ワン!」とご挨拶したが、由紀と奈菜がキョトンとするだけで、もう安祐美の姿は見えなくなっていた……。



ポナの周辺の人たち


父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師

母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん

長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉

次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員だったが、乃木坂の講師になる。

長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官

次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ

三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )

ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。


高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)

支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子

橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長

浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊


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