仲間をもとめて
ゴブサタシテマース
オレはベニグノと別れ、魔獣マンティコアの背に飛び乗った。
女性型とはいえ、触腕を伸ばせば二メートルを超え三メートルに達しようかという<蛇姫>だ。乙女だから、などと恥じらうつもりは毛頭ないが、その体重は五十や六十キロではきかないほどはあるはずだ。
これで飛び上がれるのか?と素朴な疑問を口にしたオレに銀糸を風に嬲らせてヴェラは笑い飛ばした。
「あんたが乗ろうが乗るまいが関係ない、この翼はあたしを持ち上げることはできないのさ。だからこうするんだよ――翼よ、風をはらんで強く羽撃け! 」
頭上に左右のドラゴンの翼を高々と掲げたかと思うと、次の瞬間、彼女は大地を穿つ勢いで振り下ろした。同時にたわんでいた後ろ肢が溜めていた力を上方向へと一気に開放した。
がしっと小石を跳ねて蹴り上がると、ただ一度の羽ばたきで目に見えない階段を駆け上がるように一息に宙へと舞い上がっていた。
翼開帳はどう見ても三メートル程しかないマンティコアは、その翼だけで揚力を得られることができない。さらに言えば鳥類とは比較にならないほどにしっかりとした骨格で、筋繊維の束も太く端的にいえば重量がありすぎる。
当たり前の話なのだが、凡そ飛ぶには向いていない構造をしているのだ。獅子の身体にサソリの尾はどう見ても陸棲のものなのだから、当然といえば当然だ。
そこで登場するのが、ヴェラが実践してみせた<風>属性の魔術というわけだ。マンティコアも勿論だが、ドラゴンをはじめ想像上の動物の中で翼を持ち、宙に舞い上がれるものどもの多くがこれに類する方法をとっているだろうと予測できた。
彼女の飛行方法は魔術を使用してもなお飛ぶというのではなく、大きな跳躍を繰り返すという特殊なものだった。
十メートルを超える梢の頂を重力を感じさせないほど軽やかに、飛び石を渡るようにぽんぽんと連続でジャンプを繰り返していく。目を疑うことなのだが、数百キロの巨躯がわずかの枝葉に支えられ、それを足場にして次の小枝へと蹴り飛んでいるのである。
よくよく観察すると着地の直前に進行方向斜め下へと向けて翼を数度小刻みにはばたかせ、次の跳躍の瞬間に今度はそれとは逆方向に一度大きく風を叩いている。飛んだあとの着地までの間は翼はほぼ水平を保ち滑空しているような状態だ。
着地の衝撃の緩和と跳躍始めのエネルギーに風を巧みに操っているこの飛び方は、恐らくは魔力の損耗をできるだけ抑えた飛行方法なのだろう。それを本人に尋ねてみた所、帰ってきた返答は一言で、「ご明察」とにたりと笑っただけである。
最初のひと飛びでベニグノはゴマ粒の大きさになり、二歩目を駆ける頃には木立の向こうに隠れて全く見えなくなるほどの速度だ。手を振り合って別れを惜しむ余裕などあったものじゃない。
頬に叩きつけられる風を避けるために、オレは頭頂部を差し出すように身を屈めてヴェラの背にしがみついた。オレは生まれ変わって初めて下半身が触腕であった事をありがたく思った。人間の手足でへばりついていたら、間違いなく二、三歩目の跳躍で振り落とされている。
蝕腕をできるだけ伸ばして、ヴェラの逞しい胴へとまとわりつかせた。絵面としては手づかみされたタコが人間の腕に張り付くという、あれそのものなのだがこの際格好悪いだのなんだのと言っていられるほどの余裕はオレにはない。
一歩、二歩、三歩とヴェラが大きく樹上を跳ぶたびに風を受けて青々とした葉が乱舞する中を駆ける魔獣の様は、まさにオレが憧れていたファンタジーそのものといった光景であった。
夢幻的な外面とは裏腹に、やってみてわかった事だが思っていた以上に乗り心地は悪い……というか密閉され気圧が保たれて空調のきいた飛行機とは違ってまともに風を受けるのだ、最悪でも言い過ぎではないだろう。そもそも危険なんてもんじゃない。しがみつくのに必死な上、うっかり十数メートルを真っ逆さまが誇張でもなんでもないのだ。
ペガサスに跨った無敗の勇者の最後は遥か天空から落馬したことによる転落死、そんな話もあったなとオレは思い出して身をすくめる思いだった。
「も……もうちょっとゆっくり!……ほら、あぶ!あぶないって! 」
「情けない事いうんじゃないよ。この程度で音を上げてたらグリフィンにだって、ワイバーンにだって乗れやしないよ! 」
「――そ、そんな色々乗るつもりなんて全然ないし!?ここで十分だって!だからもう少しゆっくり…… 」
「あたしの背中はベニグノ専用だ。今回は特別なんだよ、残念だったねえ。――ほら、もうすぐ森を抜ける。でっかく飛ぶからしっかりくっついてな! 」
うなる風きり音にも負けない大きな声で叫ぶや否や、ヴェラは最後の一歩を踏み込むと今までよりも一際高く舞い上がった。ざあっ、という葉音を置き去りにして樹々の海原からヴェラは四足を目一杯伸ばして宙に弧を描いた。
視界の下半分が今までは濃い緑の海に覆われていたのが、本物の海原へと一転した。手前から左手方向へと海岸線が切り上がる以外は、全て見渡す限りの海また海である。内海との知識を得てはいるがスモッグとは無縁の空気の澄んだこの世界ですら、視界が通る範囲にはおよそ対岸らしきものが見受けられない。
はるかを透かし見ても空との境界が曖昧になって溶けて見え、いくつも連なって砕ける波頭でかろうじてそこに水平線を描けるほどであった。
前世で一地方都市の、それも山がちな地域に生まれ育ったオレとしては海を見たことがないとまではいわないが、内海と聞けば――全く違うのだが、せいぜいが琵琶湖や東京湾程度のものしか思い浮かべることができない。
正直、瀬戸内海すら見たことがないオレにとっては、目の前に広がるまさに茫洋としたと形容するしか他にないこれが、内海であろうと太平洋であろうとそうだと言われれば頷くことしかできないのだ。
先ほどからオレはさぞかしだらしない顔、というか惚けているに違いない。言葉が絶えるほど、筆舌に尽くし難いから絶景というのだ――そんな言葉をどこかで聞いた事があるが、目の前の光景はそう呼ぶに相応しいものだったからだ。
起源の大陸アフリカのサバンナで沈む夕日を眺めると知らずに涙を流すという。どんな作用が心の中で起こっているのかをはっきり言う事はオレにはできないが、それは今のオレと似たような心象世界であるのだろう。
生前に見ていた夕日とは比べ物にならないほどのスケールで迫り、無限に連なる波濤と水煙に煙る島の群々が一瞬にして心にやきついて、オレは視線をひっぺがすのに大層苦労することになった。
むぅ、いかんいかん。何やらえらく感傷的だ。こんなじゃなかったのにな。ベニグノと別れたばかりだからか、それとも魔獣とはいえ女性型が影響してるのか。女性だから感傷的って発想もえらくあれだけどなー。
その時、ぱしゃりぱしゃりと立て続けに水音が聞こえたので、ヴェラの肩口から垂直下を覗き込んだ。滑空するオレ達の十数メートル下、島と島の間の天然の水路を泳ぎ回る群れが見える。
バタフライ泳法のように水面から頭、そして上半身が浮かび上がり、それに続いて極彩色に彩られた虹色の魚鱗とまるで羽衣のような背びれ尾びれが黒い海中に浮かんでは消えている。プラチナブロンド、蜂蜜色の頭髪が多く見受けられる二十匹といえばいいのか、二十人といえばいいのか、グループを形成している半人半魚はおとぎ噺でも有名な人魚――マーメイドたちだ。
細腕に似合わない力強さで大きく水をかき、宙空へとおどり上がると飛沫が夕日に彩られてルビーをいくつも放り投げたようにきらめいた。完璧と評しても差し支えない半裸に磁器のように白い肌で、自身がそれぞれに着飾ったかのような色とりどりの魚の姿をした下半身である。
ヴェラの背中にいることを忘れて、思わずオレはひとり盛り上がった。人魚だ人魚だキレイキレイと口にしながらぺちぺちと彼女の厚い毛皮を叩く。すると小うるさげに背中をゆすると「知ってるよ」とヴェラはぶっきらぼうに返してきた。
「いい機会だ。ひとつ、あんたの幻想を払っておこうとするかね。下に見える人魚どもだが、あんたの思い描いているようなメルヘン溢れるイキモノとはかけ離れた存在でね」
そう切り出したヴェラの説明によると人魚――マーメイドは外見は成人女性となんら変わらない上半身に魚の尾がついているわけだが、吹流しの尾びれ背びれをいれると体長は二メートルを超える。
十から多ければ二十程度の数で群れを構築し、祖母というべき古参の一人をリーダーに据えてその指揮のもとで集団で狩りをする。狩りというからに彼女らの食性は肉食で、獲物は大型の魚類から水棲哺乳類、果てはうっかりお腹を空かせた一行に遭遇した不幸な漁師などが含まれる。過去には百近い数の群れで大型の商船を襲った事例もあるそうでなんとも物騒な話である。
ライオンなどもそうだが、常に獲物を狩って飢えを満たしているかというとそうではなく、スカベンジャー、いわゆる死骸を漁って掃除する役も担っているという。
マーメイドはカラスのように血縁による一族、家族で群れを作るが、面白いことにこの群れには雄の成人した個体は見受けられない。
では雄であるマーマンは何処かというと繁殖期以外は牝の群れに近寄らないのだそうだ。生殖機能としてのみ雄が存在し、完全に牝のコミュニティからは排除されているのだ。それでも不用意に近づくものがいるとすれば、間違いなくディナーに早変わりするのだという。
マーマンが食べ物の不足しがちな外洋部や浅深海に身を潜めるのに対して、マーメイドは活発に陸地にほど近い沿岸部や大陸棚で移動狩猟を営んでいるというのだからその性差別は徹底したものだ。
魔力から生まれた、半不老、生殖能力の欠落、種ではなく完全なる個としての存在、など魔獣の条件に該当しない彼女らは現在は一応亜人に属されている種だ。一応、というからには理由がある。この世界ではヒト、亜人含め全種族で唯一魔獣と会話が成立させることができる――つまり彼女らのコミュニケーションツールは<精霊語>であるがためだ。
始りの素である魔力から最初に分かたれた亜人だからだの、諸説あるが詳しいことはわかっていない。彼女たち自身文字や固有の文化を持たないし、それよりなにより自分たち以外の動くもの全てがゴチソウである、と認識するような輩を相手にどこのどいつが詳しく調査しようなどと考えるのか。
「調べようがない――というか、本気で調べようなんて考える酔狂がいないってだけなんだけどね」
科学が発達して惑星上での一人勝ちが確定した前世界じゃない。この世界のヒトはその日その日を生き延びることに必死で、一文の得にもならない迂遠な学問など二の次なのだ。自らにとっての脅威でしかないイキモノの存在など無価値である。かつて生活圏から締め出すに足らずその最後の一頭まで借り尽くされたオオカミのように。
熱心にどうやれば危険な人魚を狩れるか、殺せるか。はたまたその死体に利用価値はあるか。その類の興味なら持ち合わせているだろうが、なぜ彼女らが<精霊語>を介すかなどどうでもいいのだ。
そして、亜人たちにとってはさらにどうでもいいことだった。彼らはヒト以上に魔神の眷属としての自覚に溢れ、職務に忠実である。彼らの興味は南下して憎むべきヒトどもを殺し尽くし、あらゆるものを掠め取るその一点に尽きるのだから。
「……え、えらく獰猛な人魚姫さまたちなんだね…… 」
「某鼠アニメの影響かね。転生した者のほとんどが人魚に甘ったるい幻想を描いているんだよ。」
「でも、言葉が通じるなら魔獣は襲われないと思ってよし? 」
「ケガをした状態で血を流したまま、ざぶんと首までつかればそっから下が骨になる程度の信用度だけどね――ま、<蛇姫>のあんたなら親戚みたいなもんだし、比較的安全なんじゃないかねえ」
「なにその薄っぺらい信用。そしてなにその根拠レスな安全性」
くくく、と忍び笑いが老女の口から漏れる。彼女の銀糸は傾いた日をうけて赤々ともえあがっていた。
夜気を含んできたか、やや肌寒い海の風に嬲られたままの黒髪を襟元で手でおさえながら、オレは猛魚の群れから視線をあげた。白から赤に大きく傾いた陽の光は熟れた柿そのものの様な姿で水平線の少し上に佇んでおり、迫る暮色によって世界はまさに赤と黒の二色で刻一刻と完成されつつあった。空の赤とは対照的な海の黒がまさに夕闇が間近である証明でもあった。
夕日とは反対方向、背後から迫りつつある薄闇から逃れるように急ぎヴェラは飛ぶ。音もなく落日の中を滑るようになおも進むと眼下に大小様々な群島が広がっていた。漫画に登場するようなヤシの木一本の無人島から、海岸線長十キロ程度はあろう小さいながらも港湾らしきものを備えた島まで様々だ。
ヴェラには当然のことながら目的の島の位置が正確に把握できているのであろう、よどみなくまっすぐに飛ぶ。途中、滑空で距離を稼ぎきったか高度を下げると、島の中でも比較的標高の高い小山や丘に着陸すると再び魔力で舞い上がり飛行を継続させた。
4度目の跳躍の後、この魔獣のグライダーは目当ての小島へとたどり着いた。上空から目測の限りでは周辺数キロ程度だろうか。南西方向から北上してきたとして、島の中央やや北よりに恐らくは百メートル前後の標高の山をひとつ備えており、周囲には黒い森がある。北側内海中央部に面した地形は崖で、反対に南西を中心にオレンジにきらめく砂浜が見えた。
オレを乗せたヴェラはゆっくりと旋回しつつ高度を下げてその砂浜へと降り立った。着地の衝撃はまるでない。数百キロの体重が、ふわりと木の葉が舞い降りたかのような軽やかさだ。
オレはヴェラの胴に巻き付かせていた触腕の戒めを解いて、よっと掛け声ひとつ飛び降りた。十本の触腕を蠢かすたびに足元でしゃりしゃりと砂を噛む軽い音がする。前世のゴミで汚れた砂浜からは考えられないほど綺麗なのだろう。――あ、貝殻みっけ。
すでに陽はそのほとんどが水平線の彼方に没しており、赤黒かった世界は急速に赤紫から深い深い群青へと変貌を遂げつつある。快晴らしい。空には星が無数に瞬いていた。
前にも述べたが、オレもヴェラも不完全ながら暗視もちである。持ちではあるが過信できるほどのものではない。より闇が深くなれば星あかりだけでは補いきれない。
それに何より現代人としての経験が長かったオレは原始的な恐怖――真の暗闇に耐えられそうもない。オレの不安を正確に読み取ったのか、それともよほど怯えていたのか、ヴェラが足元に転がる手頃な流木を拾うように命じてきた。言われるままに女の子であるこの小さな手でも片手で持てる程度の切れ端を拾い上げる。
「篝火よ照らせ、冴え冴えと月明かりの冷たさで」
コマンドワードと同時にしゅぽっと木片の先に青白い蛍光灯のような色合いの炎が灯った。恐る恐る手を伸ばしかざしてみて熱を感じないのを確認すると、思い切って青い炎の中へ指をいれてみたが何ともない。木の爆ぜる音も熱もない人工的な青い炎だ。
高難易度と言われる魔力の物質化と性質変化を同時にやってのけたわけだ。それも事も無げに。さすがは<魔道の担い手>といったところであろうか。
感嘆もするが、だがそれ以上にオレは彼女の身体を案じてしまう。そのどちらも高難易度で、且つ魔力の消費が激しいと彼女が言っていたからだ。
冒険者たちを摂取したことで一定の回復はしたことは知っている。しかし、回復した以上に消耗しているのではないのだろうか。今日一日、オレを乗せて飛行した距離を考えると疲弊しているのでないかと思えてくる。
「心配しなさんな。昨日今日生まれたばかりのあんたと元々の許容量が違うんだ。それよりも―― 」
誇るでもなくオレの心配を一蹴すると、首を最大限伸ばして闇の向こう、島の内陸に形成されている黒々とした森の一角へと向けて大きな声を放った。
「安心しな、あたしだよ。出迎えはどうしたんだい! 」
オレはヴェラの視線の先、十メートルほど先になる砂浜と森の境界線である茂みを少しでも照らそうと、手にした灯りを差し伸べた。青白い光がやや前方向を照らし、太い木の幹や葉が複雑な陰影を浮かび上がらせる。
やがて寄せる波音に最初は小さく、それから少しづつ大きく葉擦れが混じりだした。
――音は一直線にこちらへと向かってきている!?なんの音!?
口ひげの男の怪談話を思い出して、思わずオレは灯りを引っ込めてヴェラの前肢に擦り寄った。「大丈夫」と彼女の声が降ってくるとほぼ同時に、一際大きく茂みを揺らせて葉擦れの音の主が姿を現した。
下から上まで一メートルほど。微妙な表現だが身長といえばいいのか、体長なのか表現に苦しむ姿だ。恐らく本体は下にある三十センチで、その上にくっついてる残り七十センチの青々とした菜っ葉部分は恐らく飾りである。初めてこいつを見るがなぜかそうだと断言できる。
その全身を形容するなら直立歩行する生姜みたいな大根、いずれにしても歩く根菜類である。
そいつが茂みを掻き分け姿を現し、どの部位がそうかと言われても困るが傲然と胸を反らせていた。これだけでも驚愕に値するというのに、次の瞬間、オレはさらに目をむくことになった。なんとこの大根が口を利いたのである。
「ヴェラ、おせーよ。すぐ戻るんじゃなかったのかよ」
「ああ、そのつもりだったんだが、少しトラブルに巻き込まれてね。でも、仲間を連れてくることは上手くいったよ」
「……仲間?――うを!?すげー<蛇姫>じゃん!まじレアじゃねーか!かーっ、オレのメインキャラ出せればウマーできるのに!」
……
…………あれ?
なんか、どっかで聞いたことあるような小生意気な口ぶりに空気の読めなさっつーか、なんつーか……
たらーりと嫌な汗を背中にかいていると、そいつはずかずかとオレの方に歩み寄ってきた。、くどいようだが目が見当たらないのにも関わらず、下から値踏みするようにオレを見上げ、おもむろに
「うわー、CGと違ってエロいなー。ねー、あんた、そのおっぱいほんもの?下もマネキンみたいじゃなくてちゃんとついてんの?すげー」
……えーと、この初対面かもしれないのに非常識きわまりない物言いは……
「……もしかしなくても……お前、ワタル……? 」
「えっ!?なんで俺の名前しってんの?あんただれ? 」
「ああ……うん、やっぱり…… 」
ギリギリギリと首だけをヴェラに捻じ曲げると一言だけ告げた。
――「チェンジで」と。




