会社
もう会社には行きたくないんだぴょん。
ぴょんぴょん。
おじさんはうさぎさんだぴょん。
そう言いながら部長はうさぎ跳びで階段を下りていった。
下の階まであとちょっとというところで膝を痛めた。
☆
僕たちのボスは名前をガントウという。
とてもいかめしい名前だ。
でも実際はやさしいおじいさんだ。
仕事をひとつ片付けるごとにあめちゃんをくれる。
「新発売のあめちゃんだよ。おいしいよ」
メロンソーダ味のあめちゃんをもらって僕はうれしくなった。
同僚の玉木くんはコーラ味のやつだった。
「いいなあ君は、メロンソーダで」
「僕はコーラもいいけどな。交換する?」
「するする!」
僕と玉木くんはあめちゃんを交換した。
ふたりともうれしくなった。
☆
「はーい今日もやっていきましょー! ミラクルみくるのミラクルショータイムゥーッ!」
ラジオから流れてくるみくるちゃんのかわいいヴォイス。
部長はそれを聞きながらにやにやした。
何を隠そう部長はみくるちゃんの大ファンなのだ。
膝を痛めて休んだのは不幸中の幸いだった。
みくるちゃんのラジオをリアルタイムで聴ける!
こんなことはめったにない。
だからリビングをきれいに掃除して、とっておきのコーヒー豆でコーヒーをいれた。
椅子の上に正座して十四時ちょうどを待った。
そして始まったみくるちゃんのラジオ番組。
ああーん素敵。
みくるちゃんだあいすき。
部長は悶えながらラジオを聴いた。
☆
夕方になって部長の家にボスがお見舞いに来た。
「大変だねえ。治るまで無理しちゃだめだよ」
そう言ってボスは部長にあめちゃんをくれた。
部長はとてもうれしくなった。




