どうでもいいおじさん
美少女が言った。
「おじさんってほんとにどうでもいいよね。とてもどうでもいい人間だ」
おじさんはへこんだ。
美少女はとても美しい。
なにしろ透き通るような美少女だ。
まあほんとに透けてはいないけどね。
ハッハッハ。
おじさんが笑っていると、一匹の猫が店先を通りがかった。
美少女はしゃがんで猫をなでた。
猫はにゃあと鳴いた。
おじさんは微笑ましい光景を見てにこにこした。
この光景におじさんはなんのプラスの効果も与えなかった。
おじさんはほんとにどうでもいい存在だ。
そのことに気づいたとき、おじさんは傷ついた。
「君の言うとおりだった」
と、おじさんは反省した。
そして教えてくれた美少女に感謝した。
感謝のしるしとしておいしいコーヒーをいれてあげた。
「苦いの飲めない」
と美少女は言った。
おじさんはへこんだ。
☆
おじさんはうきうきしていた。
今日はピクニックの日だ。
ピクニックっていいよね。
言葉の響きが。
うきうきした言葉だ。
おじさんはうきうきしてタコさんウインナーをたくさんつくった。
大きな弁当箱にたくさん詰めた。
さあ出発だ。
楽しいなあ。
おじさんは店を出た。
☆
おじさんがいないので美少女は店番をした。
猫もいっしょにいた。
お客の少ない店なので、お客はたまにしか来なかった。
「コーヒー」
と、お客は言った。
「はい」
と言って、美少女はコーヒーをいれた。
自分では飲めないコーヒー。
どんな味なのかよくわからなかった。
美少女はお客がコーヒーを飲むのを見ていた。
お客はうなずいてカップを置き、新聞を読んだ。
新聞の天気欄は晴れのち雨だった。
☆
おじさんがずぶぬれで帰ってきた。




