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忘却騎士と黙示録の炎 [過去の歴史が芽吹くとき全ての歴史は廻りだす]  作者: 霜月←シモツキともソウゲツとも読めるんだよ
5/7

5話 事件の後には事件が続くものであり、少年たちは荒波に飲み込まれることとなる

いよいよ物語が動き始めます!

ここから話を広げていきますので、読んでいってくれると嬉しいです!!

感想・評価お待ちしております。

 学校の一角には、教師も生徒もあまり出入りしない、棟がある。

 そこにある教室で場に似合わない大きく豪勢な椅子に配下を従え座っている男がいた。

 男は苛立っていた。目の前にいる顔を腫らしている子分どもに対して。


「おい、もう一度聞くぞ。お前ら今日何してた」


 頬杖をつきながら質問する男の姿はさながら王のようであり、子分たちは玉のような汗を流し怯えていた。


「み、店で…め、飯を食べて…ました」

「俺が聞いてんのはそこじゃねぇだろ!」


 男が地面を力強く踏むと、子分たちの身体が更に強張った。


「か、刈り上げとは、白髪にやられました。あっいえ、白髪は一緒にいただけでなにもしてないです。最初に絡んできたのは白髪のほうですが実際にやりあったのは刈り上げだけです。あの時は調子が悪かったんです。次こそは次こそはあんなやつ倒してみせます!」


 懸命に弁明をする子分のリーダーの様子に男はため息をついた。


「もういいわ。お前ら消えろ」


 男の背後に球体が現れると子分たち目掛けて飛んでいった。


「お、お許しを――――――――ッ」


 球体は子分たちの目の前まで行くと、子分たちを巻き込んで爆発を起こした。

 爆発に巻き込まれた子分たちは生きてはいるものの、全身の皮は爛れ見るも無惨な状態となっていた。


「行くぞ」

「ハッ、この者たちはどういたしましょう」

「知るか捨てとけ」

「了解いたしました」


 男は床に転がっている子分をろていの路傍の石を蹴るかのように蹴り飛ばすと、教室を後にした。


 ******


 店での騒動から翌日、新入生レゾックは全力で走っていた。


『ヤバいヤバいヤバい、初っぱなから遅刻するのはヤバい!間に合ってくれー!』


 寮から学校までの距離はさほど離れてはいないためなんとかホームルーム開始までには間に合いそうだった。だが――――――

 校門が見えたとき校門の前で寝転がっている制服を着た子どもが見えた。


『なにしてんだよ、アイツ!?』


 レゾックは止まるべきか考えた。しかし止まれば間に合わないかもしれない。

 その葛藤の結果レゾックは止まることに決めた。

 スピードを落とし子どもの元へ行くと抱き抱えた。

 金髪のツインテールが可愛らしい子ども。

 いや、子どもの様に見えていたがちゃんと見てみると体つきはしっかりとしており、子どもの身体とは違った。


「おい、アンタ大丈夫か?」

「う、う~ん…」


 少女は目を開けるとレゾックの手から離れ立ち上がり、制服を払った。


「キャハハ、寝ちゃったかー!起こしてくれてアリガトね!」


 元気な様子の少女にレゾックは胸を撫で下ろした。そして、直ぐ様その場を立ち去ろうとした。


「なにもなくて良かった。もうこんな所で寝るなよ!じゃあな」

「あ、ちょっと待ってよレゾック」


 走っていこうとするレゾックを少女は呼び止めた。それも教えていないはずの名前で。

 レゾックは足を止めると少女の方を向いた。


「アンタなんで俺の名前を?」

「キャハハ、キミ有名だからねー。自覚あるでしょ。まぁそんなことはどうでもいいんだよね。キミ気をつけなよ。あーいや、キ(・)ミ(・)た(・)ち(・)かな。じゃーねー」


 少女は奇妙なことを言い残すと、校外へとスキップをしながら行ってしまった。


「気をつけろ…か。って、時間ヤベェ!」


 レゾックは追いかけようと考えたが、時間もギリギリだったので急いで教室目指して走っていった。


 ******


 チャイムが鳴り終わるのを待ってフィア先生は出席をとりはじめた。


「え~と~、レゾックさん以外は全員出席かな―――――」


 フィア先生が言い終わる直前、扉が凄まじい勢いで開いきレゾックが滑り込んできた。


「セーフ!!」

「アウト~。遅刻は厳禁、放課後補習ね~」

「アァーー!マジかよーーーーー!」


 レゾックは項垂れながら自分の席に座った。

 席に座ると、隣の席に座っていたレイラが顔を体を寄せてきた。


「おはようレゾックくん。初日から遅刻なんて大胆なことするねー」

「まさか俺もあんなにギリギリに起きるとは思っていなかった…」

「明日からは寝坊しちゃ駄目だよー」


 レイラはニヒヒと笑った。

 ホームルームが終わりレゾックが授業の準備をしているとミツキがすごい剣幕で寄ってくると、バンッと机を叩いた。


「貴方昨日、あの後に騒ぎを起こしたらしいわね」

「昨日?」


 昨日騒ぎを起こした覚えがない。どちらかというと騒ぎを止めようとしていた。

 どこで解釈にズレが起きたのか、レゾックはため息をついた。


「訂正だ。それは俺じゃない、俺は騒ぎを止めた側の人間だ」

「そんなこと信じるわけないでしょ。貴方のような人が――――――」


 聞く耳を持たないミツキに『めんどくせぇな』と思っていると、隣で友達と喋っていたレイラが割り込んできた。


「ミツキちゃん、本当だよ!レゾックくんは悪いことしてた人たちを止めようとしたんだよ!」

「ちゃ、ちゃん…」


 突然のちゃん呼びにたじろいだが、ミツキは咳払いをして直ぐ様冷静になった。


「そんなのあり得ない。こんな人が人助けなんて」

「ホントだよ、信じてよ!」

「信じられません」


 断固として認めようとしないミツキの強情さにほとほと困っていると、今度はフォックスが入ってきた。


「そんなに疑うんだったら確かめに行けばいい。店の名前は『白羽の宿』だ。店員にでも聞けば真相がわかるさ」

「ウッ…」


 二人の証言も加わったことで、ミツキもようやく折れたのかそれ以上なにかを言うことはなく、その場から去っていった。


「レゾックは随分と嫌われたな。まぁわからなくはないが」

「酷いなお前。ってかフォックス、なんで朝起こしてくれなかったんだよ。隣だろ?」

「騎士たる者、自分のことは自分ですべき。自己責任だ」


 フォックスはそう言うと自分の席へと戻っていった。


「ちぇー薄情な奴ー」

「楽しそうだね、レゾックくん」

「楽しそう?」

「うんとっても楽しそう」


 レイラは感じていた。レゾックがミツキと話している時もフォックスと話している時も表情には出さないが楽しそうにしていると。

 特別な意味はなかった。ただ楽しそうだった。それだけだ。


「まぁ楽しいっちゃ楽しい…かな」


 新しい環境での出会いや出来事、レゾック自身も心が踊っているという自覚は少しあった。

 そしてふとその心の高ぶりをかつての自分は感じていたのだろうかと疑問にも思った。


 *****


「あ~終わった~。勉強とかすんげー久しぶりにしたわ」


 一日の授業が全て終わりレゾックは力尽きたかのように机に突っ伏していた。

 最低でも二年は勉強なんてしてこなかった者には初日の授業で、優しい内容だったとはいえ頭の中がパニックになりそうだった。

 帰る気力も湧かずこのまま溶けてしまえば良いのにと思っていると、前方になにやら嫌な気配を感じた。


「なんだよ。今忙しいんだけど」


 立っていたのはミツキだった。

 既に荷物をまとめていたのか鞄を肩にかけていた。

 暫しの沈黙、また言いがかりをつけにきたのかと思っていたが、ミツキの口から発せられたのは別の言葉だった。


「貴方どうせ暇でしょ少し付き合いなさい」

「ハァ?」


『何で俺?』という疑問が最初に頭に浮かんだ。そしてその次に『面倒』という思考が巡った。


「嫌だ」


 はっきりと断った。今日はそんな気分じゃなかった。帰って頭を休めたかった。

 だが、ミツキは引かなかった。


「貴方に拒否権なんてないの。良いから来なさい」

「なんで俺なんだよ他の奴ら誘えばいいだろ」


 教室にはまだまだたくさんの生徒がいる。わざわざ嫌っている相手に自分から近づいてくる意味がわからなかった。

 しかし、少し考えてみるとその理由がレゾックの頭に浮かんだ。


「あぁアンタ友達いないんだろ。しゃーねーな、だったら付き合ってやるよ」


 レゾックが体を起こし立ち上がろうとすると、突如顔面に拳が飛んで来てそのまま後ろに倒れていった。


「イッッッテーーーーー、なぁにすんだアンタ、頭おかしいんじゃねぇの!?」


 怪我をする威力でもなかったが、レゾックは鼻を押さえ痛がるふりをした。


「せっかく…せっかくアタシが…」


 見るとミツキは怒っているようだが目は潤んでいた。

 そして言葉の続きを言わず帰っていった。

 ただ殴られその場に取り残されたレゾックは、結局何も理解出来ず他生徒からの視線を浴びていた。


 ******


 ミツキは小走りで廊下を進んでいた。

 レゾックへの怒りを抱えて。


『なんなのアイツ!?せっかく人が謝ろうと思ってたのに、普通あんなこと言う!?』


 わかっている。自分に友と呼べる存在がいないことなんて。それを否定するつもりもない。

 だけど、あのタイミングであの男に言われたことが無性に腹立たしかった。

 怒りに身を任せ歩き続け、校門の前まで来るとある生徒が友人と思われる生徒と共に見たことのない生徒の後ろを急いで着いていっている姿が見えた。


『レイラさんたちどうしたのかしら?』


 緊急性のあることの可能性もあるので、無粋な真似だとわかっていたがミツキは後をつけていった。

 後をつけていくとレイラたちは人気のない場所に建っている棟の中へと入っていった。

 その様子を木に隠れ見ていると不意に背後から声がかかった。


「俺の城に何の用だ。お前」

「―――――――ッ」


 全く気配を感じなかった。いつから居たのかはわからない。だがそんなことよりも重要なのはその男から敵意を感じたこと。

 ミツキは振り向きながら腰にかけていた剣に手をかけた。筈だった。

 何が起きたのか、ミツキの視界は歪み地に伏すとそのまま意識を失ってしまった。

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