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忘却騎士と黙示録の炎 [過去の歴史が芽吹くとき全ての歴史は廻りだす]  作者: 霜月←シモツキともソウゲツとも読めるんだよ
6/7

6話 少年たちは少女と出会い、敵の本拠地へと乗り込んでいく

6話です!まだまだ読みづらいかもしれませんが読んでくれると嬉しいです!

よければ感想と評価をお願いしますm(__)m

 皆が帰った後の教室で、誰からも話しかけられず一人で、帰る気力も湧かずに教室でダラダラとしていると一番早くに帰ったはずのフォックスが入ってきた。

 レゾックの存在に気づいたフォックスはレゾックに近づいた。


「なにしているんだ、レゾック」

「えっ、あぁいや…別に」

「なんだよ。はっきり言えよ気になるだろ」

「ん、あーあのさ俺ってさ、嫌われてる?」


 予想外の発言にフォックスは思わず吹き出した。


「なんだよ。笑うことないだろ」

「すまない、まさかそんな悩みを持っているなんて思わなくてな」


 フォックスは顎に手を当て考えた。


「まぁ昨日の出来事を考えればレゾックのことを好きだという生徒は少ないだろうな。だが店での一件を知れば皆の考えは変わる可能性はあるな」

「そうか…まぁそんなことはどうでもいいんだけどさ。それよりフォックスはこんな時間に何してるんだよ」


 そっちこそ何してるんだと言いたくなったがフォックスは質問に答えた。


「校長に昨日の騒動について説明をしていた。放課後に来るように朝から言われていたからな。で、終わって忘れ物に気づいたから取りにきたんだ」

「へーそうか」

「レゾック、だらけてないで早く帰れよ。じゃあな」

「へーい」


 フォックスは教科書を鞄にいれると教室を出ようと、扉に手を触れようとしたとき、扉が勝手に開いた。

 開けたのは反対側にいた少女だった。

 少女は息を切らし、胸を押さえて目の前にいるフォックスに助けを乞うた。


「お願い…助けて…!」


 *****


 走りながらレゾックたちは状況の説明を聞いていた。


「レイラとミツキが?なんで!?」

「わかんないよ!?手を貸してほしいって言われたから着いていったら突然襲われたんです!その後ボロボロになったミツキさんが連れてこられて…、レイラちゃんが逃がしてくれたけど…私どうしたらいいのかわからなくて…」


 少女は今にも泣き出しそうだった。何も出来ない自分を責め続けていた。

 レゾックは少女の肩を優しく叩いた。


「安心しろ。俺たちが必ず助けるから」


 レゾックは自分たちの手で助け出す意思を示した。

 だがフォックスはその意見に賛成はしなかった。


「待て、先ずは教師に助けを求めるべきだ。下手にオレたちが関わればレイラたちに更なる危険が伴うかもしれない」


 フォックスは二人から離れると職員室へと向かう道を走っていった。

 しかしその行く手を一人の子どもが阻んだ。


「ダメダメ、先生は助けてくれないよー。ゾレッドはキミたちが倒さないとねー」


 その子どもはレゾックが朝、校門で出会った金髪の少女だった。

 まるでこちらの事情を知っているかの振る舞いにフォックスたちは警戒した。

 だがレゾックだけは違った。フォックスの肩を引っ張り前に出ると少女に向かって剣を突きつけた。


「お前はなにを知っている。朝お前は気をつけろと言っていた。それはこのことか。お前は何者だ!答えろ!」


 レゾックに迷いはなかった。もしも少女が敵であるならば切る覚悟は出来ていた。

 レゾックは更に剣を少女に近づけた。


「早く答えろ!」


 首筋に刃が触れた。

 鬼気迫る表情のレゾックを見ていた少女は何が可笑しいのか突然笑い始めた。


「キャハハハハ、焦りすぎー。もっと落ち着きなよー」

「ふざけていないでさっさと答えろ!」


 刃が首に食い込んだ。血が滲み出すと首筋をゆっくりと垂れていった。

 それでも尚少女は笑っていた。

 恐怖でおかしくなった訳ではない。それは強者としての余裕だった。


「しょーがないなーもー。教えてあげる、女の子たちが襲われたのはキミたち、特に後ろにいるキミのせいだよ」


 少女はフォックスを指差した。

 指を指されたフォックスは『まさか』と昨日の出来事を思い出していた。

 それはレゾックも同じだった。

 唯一同じクラスの少女だけは理解できていないようだった。


「仕返しのつもりなのか」

「そうだろうね。あの子たちゾレッドの配下だったみたいだからねー。でもバカだよねー、ゾレッドについたってなーんにもいいことないのにねー。一年だからわかんなかったのかなー。キャハハ」

「――――ッ」


 フォックスは言葉を呑むと踵を返した。


「西口の近くの棟だったな。これはオレの責任だ。オレがかたをつける」


 二人はここにいろとそう言わんばかりの言い方でフォックスは走っていった。


「やー行っちゃたねー。元気なこった。感心感心。で、キミたちは行かないの?」


 レゾックは剣を消すと少女に背を向けた。


「俺も行く。お前と関わっていても時間の無駄だからな」

「わ、私も―――――」


「行く」と言いかけた少女の肩をレゾックは叩いた。

 そしてキツイ一言を浴びせた。


「来るな、アンタが来ても邪魔になるだけだ。もう場所もわかった。アンタは帰ってろ」

「で、でも―――――――」

「来るな。お前が来ても邪魔にしかならないって言ってんだ。わかったな」


 レゾックは低い声で言った。そこには有無を言わせない雰囲気が漂っていた。

 少女は地面に膝をつくと泣き出してしまった。

 本当なら寄り添ってあげるべきだ。だけどそれよりも、レゾックにはやらなければならないことがある。

 レゾックはそれ以上少女に声をかけることなく走っていった。

 その時背後から声が聞こえた。


「キミの質問に答えてあげる。シロン。それがアチシの名前。そして今(・)は(・)まだキミの味方さ。それじゃー頑張ってねー、キャハハハハ」


『今は』その言葉が意味することは何か、問いただすべき内容だったがレゾックは足を止めることなくレイラたちの元へと急いでいった。


 ******


 レイラたちの囚われている棟の近くまでくるとフォックスが立っている姿が見えた。


「やはり来たか」

「待たせて悪かったな」


 レゾックは着いてきたことを悪びれる様子もなかった。

 フォックスも来るとわかっていたのだろう、追い返すことはなかった。


「さぁレイラたちを助けにいくぞ。足引っ張るなよ」

「騎士たる者、他人の足を引っ張るような真似などしない」


 二人は扉を開けて中に入ると、そこはまるで廃墟のようだった。

 埃の被った棚や割れた窓、そこは人の住むような場所とはいえなかった。

 しかし足元を見てみるといくつもの真新しい足跡がついており人の出入りがあることを示していた。

 警戒しながら階段を登っていると上の階から喋り声が聞こえた。


「ッとによー来るのか?」

「さぁな。でもよあの女逃がしたんだ。助けてーってターゲット連れてくんだろ」

「あーあ早くおわんねーかなぁ。終わったら女どもを自由にしていいらしいからなぁ」

「「ハハハハハハハハ」」


 レゾックはフォックスに目線で合図をすると、近づいてくる男二人に気づかれないように素早く背後から首を締め気を失わせた。


「騒ぎになって時間を割くことになるのは避けたい。急ごう五階だったな」


 四階まで来るとそこから今までとは雰囲気が変わっていた。

 道に汚れは一切なく破損物も存在しない白い壁が光を反射し輝いている。新品のような場所。

 そこに一人の生徒が剣を床に突き立て、門番のように立っていた。


「出てきなさい。そこにいるのはわかっている」


 階段に隠れているレゾックたちは隠れることをやめると青年と対面した。

 青年の服はまるで下ろし立ての新品のようで、髪もきっちりと整えてある。優等生という言葉が一番似合うであろう姿だった。


「お前がゾレッドか」


 シロンの言葉を信じるならレイラたちを襲ったのはゾレッドという人物。特徴は聞いていないが目の前にいる少年からは尋常な圧を感じていた。もしもこの少年がゾレッドだと言っても信じられる程だ。

 しかし、レゾックの問い青年から失笑が漏れた。


「私がゾレッド様だと?笑わせるな。貴様らの目は節穴か?」


 落ち着いた口調。だがその中には燃え盛る炎のような怒りが隠されていた。


「だったら退いてもらおう。オレたちはゾレッドとやらに用がある」

「退くわけがないだろう。ゾレッド様は我々の王だ。易々と会えると思うな」


 青年は構えていた剣を抜いた。

 レゾックの剣とは違い人の手によって生み出された白。

 一切の無駄を削ぎ落としたかのような細身の剣は日の光に照らされ美しい光沢を放っていた。


「ここは俺が―――――」


 剣士が相手ならこちらも剣士で、とレゾックが前に出ようとするとフォックスが手を出し道をふさいだ。


「いや、オレが行く」

「なんでだ!?フォックスとアイツとじゃ相性が悪いだろ」


 そう、相手は長物をもっているがフォックスは一切の武器を持っていなかった。

『白羽の宿』の一件を見ていたレゾックからすれば、まだまだ力を出しきってはいないことはわかっていた。だが――――


「安心しろ。オレの体は全てを防ぐ」

「自分でケリをつけるんじゃないのかよ。こんなところで体力使ってる場合じゃないだろ!」


 まだ本命の相手とは出会っていない。

 もしコイツを倒したとしても次の敵が出てくるかもしれない。

 素性もわからない相手の居城に乗り込んだんだ。不利な戦いは極力避けるべきだ。


「騎士とは何か。考えたことはあるか?」


 フォックスは唐突に質問をレゾックに投げ掛けた。


「騎士っていったら王国を護る人たちのことだろ」


 誰もが知っている騎士の役目だ。子どもから大人まで全員が知っていること。

 しかしフォックスの回答は違った。


「確かにそれもある。だが騎士とは国を護るだけでは駄目だ。騎士とは民を護るために最善の手を尽くすことのできる者のことだ」


 フォックスの行動はかつて命を助けられた騎士の言葉で行われていた。

 騎士道を突き進むフォックスにとって個の考えで動くことなどあってはならないことだった。

『個は全のために全は善のために』それがフォックスの憧れる騎士の言葉であり、騎士道の根底にあるものだった。


「相手の力は未知数。だったらオレが行くよりもより強いレゾックが行く方が最善だろう」

「いいのか?」

「あぁ、絶対に助けるんだ。いいな」

「勿論」


 二人は互いの拳を軽くぶつけた。


「話し合いは終わりましたか。それでは始めましょうか」

「待たせて悪かった」


 その様子を静観していた黒髪の青年は静かに呟くと剣を構え直した。

 先に動いたのはフォックスだった。

 走り出し、懐に潜り込んでからのアッパー。

 相手が本領を発揮する前に一気にかたをつけにいった。

 初手から渾身の一撃。身体強化をしていない者がくらえば骨が砕け肉が飛散する程の威力。

 それを青年は一歩後ろに下がり容易くかわした。

 そして下がると同時に剣を振るいフォックスの全身を斬り裂いた。

 その光景にフォックスと同時に走り出していたレゾックは足を止めた。

 その姿が見えたフォックスは叫んだ。

「止まるな!行け!」


 しかしそれも一瞬、フォックスの叫びを聞いたレゾックは再び進んだ。友を信じて。


「ヘェあなた丈夫ですね」


 フォックスの姿を見て青年は呟いた。

 見ると斬り裂けたのはフォックスの制服だけで肝心のフォックスの身体は無傷だった。


「感心している暇はないぞ」


 フォックスは怯むことなく連撃を繰り出した。

 一撃一撃がくらえばただではすまない威力。

 だが一撃たりとも青年に当たることはなかった。

 それどころか青年は攻撃を避けフォックスに斬撃を浴びせていた。


「どうしました?こんなものですか!?」


 青年はフォックスの右ストレートをかわすとフォックスの胸部を剣で突いた。

 青年の突きをまともに受けたフォックスは凄まじい勢いで廊下の端まで飛ばされ壁にぶつかった。

 瓦礫に埋もれ動かなくなったフォックスの姿を見た青年は剣をしまった。

 そして無謀な行動をした少年に哀れみを抱いた。


「無駄な正義感を持たなければ無難に過ごせたものを」


 青年が踵を返すと背後で瓦礫の崩れる音が聞こえた。


「無駄…だと?」


 青年は驚きをみせ声のした方を向いた。

 刺突は完璧に決まったはずだった。なのに何故立てる。

 青年は直ぐ様剣を抜くと攻撃体制をとった。


「ならば力に傲り他人を邪険にする奴らを見逃しておけと?」

「後先考えずに行動することを止めろと言っているのですよ。現に貴方の行動のせいで傷ついた人がいる。それは否定出来ないはずです」

「そうだな。確かに貴様の言うとおりオレのせいで傷ついた者がいる。だがな――――」


 フォックスは力強く拳を握った。すると腕が銀色の光沢のある状態になった。


「――――目の前で苦しんでいる人を放っておけるほど出来た人間じゃないんだよ!」


 フォックスは走り出した。この一撃で決める。

 フォックスは叫び右手を更に強く握りしめた。

 青年もまた次の一撃で決める覚悟でいた。

 刺突の構え。突っ込んでくるであろうフォックスを真正面から受け止める気でいた。

 射程範囲まで数メートル、数センチ。

 射程範囲に入ったその瞬間、青年は先ほどとは比べ物にならないほどの速さで刺突を放った。

 空気が斬り裂かれ真空となるほどの速さ。

 その速さで剣が拳と衝突した。

 互いの最大威力の攻撃。

 決着は一瞬だった。

 衝突の刹那『カキンッ』という乾いた音が響いた。

 なにが起きたのか、青年は光景がスローに見えた。

 自分の放った刺突は確かに拳と衝突した。普通ならば拳が砕け剣は腕と胴体を貫いているはずだった。

 だが目の前で起きていることは全くの逆。

 フォックスの拳が剣を砕き自分の眼前に迫っている。

『負ける―――私が負ける―――そんことあってはならない。私はゾレッド様の右腕―――――』

 フォックスの拳が青年の顔面を打ち抜いた。

 青年は地面に叩きつけられ、轟音と共に床に亀裂が走る。

 そしてそのまま青年は下の階へと落ちていった。


「オレの勝ちだ」


 フォックスは息を吐き下の階で気を失っている青年を見下ろした。

 この学校で強者に位置するであろう者を倒した。

 その実感が手に残った感覚と共に身体を巡る。

 そして同時に哀しさもフォックスの身体に巡っていた。


次の話でレゾックとゾレッドが対峙します。お楽しみに!

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