4話 少年の想う人物、それは彼の地にて暮らす少女
今回は短い内容ですが、読んでくれると嬉しいです!
感想・評価お待ちしております。
少女は部屋の窓を開け空をながめていた。
蒼い髪は日の光に当てられ美しく輝いていた。
「ハァ…」
部屋に戻ってから何度ため息をついただろうか。
あんなに息巻いておきながら手も足も出なかった自分が情けない。
少女は空を見上げながらある人物を思い出した。
「レゾック・グリーパー………ッ!」
自分は人一倍努力してきたつもりだった。二種魔法使いだからと傲ることもなかった。
毎日毎日毎日毎日、立派な騎士になることを目標に努力してきた。なのに…負けた。信念も志も感じられない奴に。
「次は、次こそは…必ず」
勝ってみせる。
少女は固く決意すると、窓を閉めた。
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「フォックスくん強かったねーワタシビックリしちゃった」
「オレなんてまだまださ。オレの目標にしてる人は俺なんて足元にも及ばないくらい強いんだ」
あの騒動の後レゾックたちはフォックスの後を追い、一緒に行動することになった。
話をした限りではフォックスは騎士に対しての憧れが強く、騎士道なるものを持っているとのことだった。
「それよりもレイラさんたちが中にいることに驚いたね。まさか先客がいるとは」
『えへへー』とレイラは恥ずかしそうに頭を掻いた。
「なぁ…そういえばなんでお前ら互いの名前知ってるんだ?」
ふとレゾックは疑問に感じていたことを質問してみた。
質問された二人はキョトンとした反応を見せた後納得したかの様にその質問に答えた。
「そっかレゾックくんいなかったんだよね」
「レゾック、君が来る前にクラスで自己紹介をしたんだ。だから全員名前は知っている」
答えを聞いたレゾックの第一声は「は?」だった。
『……は?なんで?俺もクラスの一員じゃん?なんで?』
疑問符が頭に乱立する勢いだった。何故自分だけ仲間外れにされているのか。
『まぁ確かに?第一印象はよくはなかっただろうけれども』
悩みに悩んでいるレゾックの姿を見たフォックスがレゾックの肩を叩いた。
「なんかその、ドンマイ」
「慰めるなよ!余計悲しくなるわ!」
二人のやり取りを見ていたレイラは「フフフ」と笑っていた。
そして二人の手を取ると元気よく走り出した。
「さぁまだまだお店はいっぱいあるんだから、クヨクヨしてる暇なんかないよ。閉まる前に回りきろう!」
「ちょっ…またかよ!」
レゾックとフォックスは顔を見合わせるとやれやれといった表情で苦笑いをしていた。
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「もう無理、死ぬ…」
「同意、もう食べられない」
二人の少年はベンチに座り項垂れていた。
その姿にレイラは心配そうに二人の前にしゃがみ下から顔を覗かせていた。
「あの~、大丈夫?」
「大丈夫かどうかと言われると大丈夫ではない。少し休ませてくれないか」
フォックスは苦しそうに答えた。
何故このようなことになっているのか、それはレイラの無限とも思える胃袋が原因である。
レゾックたちは騒動の後、レイラに連れ回されて食べ物屋を巡り続けた。
そして店に入る度にレイラが大量の料理を注文していた。レイラは富豪なのか大量のお金を持っており、自分の分だけでなくレゾックやフォックスの分まで料理の注文をしていた。
最初はまだ余裕だったのだが、四軒目、五軒目と行くにつれて二人の胃袋は限界へと向かっていた。
だがレイラの食欲は衰えることなくそれどころか勢いを増していき、最終的には十軒目まで食べ続けたのだ。
その間、レゾックも奢られた手前残すことなど出来ず無理矢理腹に流し込んでいた。
その結果がこの有り様である。
「ゴメンね、いつもご飯は一人で食べてたから皆がどれくらい食べるか知らなかったの。本当にゴメンね」
レイラには心配そうに二人を見ていることしかできなかった。
時が経ち解決してくれるのを待つだけ、レゾックたちは項垂れながら消化される時を待ち続けた。
その待ち時間にまた事件が起きた。
「お水貰ってこようか?」
「頼んでもいいか?」
「オレの分もお願い」
「任せて!行ってくる」
そう言って水を貰いに行ったはずのレイラがなかなか戻ってこなかった。
最初は途中で友達にでも会って話しているのだろうと二人で話していたが、あまりにも遅いので重い腰を上げてレイラを探すことになった。
「あ~気持ちわりぃ」
「…」
特に会話もないまま暫く歩いていると、前方にレイラらしき人物が数人の男に囲まれているのが見えた。
「ワタシ急いでるんです。どいてください!」
「いいじゃねぇか俺らと遊ぼうぜ」
男はレイラに触れようとした。
「待てよ。その子は俺たちの連れだ」
「んぁ?――――――ッ!!!」
レゾックたちの姿を見た男たちは怯えた様子をみせるとそのまま走り去ってしまった。
「何なんだよ一体…」
「さぁ?」
二人して首をかしげていると、レイラが小走りで近寄ってきた。
「ありがとー助かったよー。はいお水をどうぞ」
「ありがとう」
「助かる」
レゾックたちは水の入った器を受けとると一気に飲み干した。
「あーちょっと楽になったな。うん大丈夫だ」
「ふー今日は疲れたな。出来事が多すぎた。早く帰って休みたい」
「そうだねーもう夕方だしねー」
三人は談笑しながら寮へと歩いていった。
寮の近くまで来ると繁華街にいたときよりも制服を来ている人が多くなっていた。
「それじゃあ女子寮はこっちだからまたね。今日は楽しかったよ、ありがとう」
「あぁまたな」
「こちらこそ楽しませてもらった」
レイラは大きく手を振り、帰っていった。
ユルクシア騎士学校では女子と男子は寮がわかれている。距離はさほど遠くはないが、安全性を配慮してのことらしい。
レイラと別れた二人も男子寮へと続く道を歩いた。
「アイツらどうなるんだろうな」
「アイツら?」
「あれだよ。店で暴れてた奴ら。フォックスがブッ飛ばしただろ?」
「さぁな、どうなるかなんて興味ないな。それよりも自分の心配をした方がいいんじゃないか?」
「なんで」
「あのチンピラを殴ったのはオレだが多分レゾックたちも関わりがあったと思われてるだろう。明日か今日呼び出される可能性が高い」
フォックスの言葉にレゾックは苦虫を噛み潰したような表情をした。
そんな話をしているうちにレゾックの部屋の前についた。
「それじゃ俺ここだから」
「え?マジ?」
フォックスは驚きながら隣の部屋を指差した。
「オレの部屋の隣だ」
「マジかよ…」
それはレゾックにとって喜ばしいことであった。
入学式でしくじって友達ゼロだったレゾックに出来た初めての男友達だったから。
「なにかあったらなんでも相談してくれ」
「わかった。そっちこそ遠慮せず相談しにこいよな」
「フッ頼りにしている」
別れを済ませ二人は自室へ入っていった。
自室に入ったレゾックは靴を脱ぎ部屋に入ると中には一通りの生活用品が置かれていた。
「これが俺の部屋…」
レゾックは部屋の番号を知らされていただけで部屋に入ったことはなかった。なので、目に写るもの全てが輝いて見えた。
新天地の居住、レゾックは心が踊っていた。
「メル…待ってろよ。必ず騎士になってみせるからな」
レゾックはペンダントを握り、自分を見つけ共に暮らすことを許してくれた少女のことを思い浮かべていた。
読んでくださりありがとうございました。
次話から物語がしっかりと動き出しますので、引き続きご愛読下さい!!




