第46話
そして何も予定がない翌日、久しぶりに大学時代に使っていたノートパソコンを引っ張り出した。
もはや頭に”ハンバーグ”の文字はない。
書店に行ってワードやエクセルの本、パソコン自体の本を買って帰って、さっそくいじってみたり、社会人のマナーって本を手に取ってみたり。
そして夕方、
「あ!」
ようやくハンバーグのことを思い出した。
「”しののめさん”の迷惑でなければ、私が作るから差し入れとして持って行きなさい」
「学校や会社で教わるようなことを教えてもらうんでしょう?お金よりそっちの方が喜ぶかなって思って」
母さんナイスアドバイス!
お言葉には甘えることにした。
* * *
水曜日の15時前、
「ピンポーン」
ドドドと走ってくる音がして
「こんにちは」
太陽のような笑顔で東雲さんが迎えてくれた。
「久世さんも来てるよ」
ん?
「東雲さんから話は聞いたよ。オンライン秘書さんの役割を担いたいんだってね」
「はい……できればですけど……」
「東雲さんは忙しい人だし、気難しいときもあるよ?大丈夫そ?」
「はい……できるだけ頑張りたいです……」
何これ、反対されてる?
こんな不思議な空気を変えたのは、もちろん東雲さんだった。
「久世さーん、だーかーらー大丈夫だって!」
「私がいろいろ教えてあげて、一人前の社会人にするんだー!」
「だからそれを心配してるんだよ」
なんで?
「張り切り過ぎると反動が来ちゃうだろう?いつもそうじゃないか」
「う……」
「だからね、僕から井上くんと東雲さんに提案があるんだ」
「井上くんが週5で家政夫をするのはどうかな?」
え?
まさかの提案に俺も東雲さんも驚きで止まってしまった。
なぜ?
「そうすれば時間外に教えなきゃ!教わらなきゃ!がなくなると思うんだ」
「井上くんの大元の会社は家事代行だけじゃなくて家政夫もしているみたいだし、いっそのこと東雲さんが家政夫を雇うってのもありだよね」
「そして時間の範囲内で勉強していって、バックオフィス的な業務や秘書的な業務もできるようになる」
「どうかな?」
なるほど。




