第38話
「東雲さんの周りって、久世さんみたいな人がたくさんついてるんですか?」
「そうだね、それぞれ専門の人たちが対応してくれてるよ」
なんか……泣きそうになった。
対応ってなんだよ。
もうそれ以上は聞く気になれなかった。
「ありがとうございました。ある程度は分かったと思います」
「また何かあったら聞いてほしい、名刺に書いてあるところに電話してくれたらいいから」
「何かあったとしても一人で抱え込んだりしないように」
久世さんの話は大人の話だった。
けど、どうしても、なんだろう、なんか……うん、言葉に出来ない。
トボトボと歩いて帰った。
* * *
「おかえり!ってどうしたの?今までになく元気がないじゃない」
「うん……ちょっと横になる。ご飯は後で食べに来るから」
そう言って、早々に自分の部屋に行き、ベッドに横になる。
頭の中がパニックだ。
「コンコン、入るぞ」
と兄貴がまたノック直後に部屋に入ってきた。
「……何?」
「どうしたんだよ、母さんすごく心配してたぞ」
「兄貴は何でうちにいるんだよ、彼女さんとまだ仲直りしてないのかよ」
そっけなく言う。
とりあえず、放っておいてほしい。
「何か”らしく”もなく、すっごい悩んでる蒼真が珍しくって」
「……うるせ」
「ほっとけないんだよ」
話そうか本気で迷った。
東雲さんや久世さんには申し訳ないけど、俺一人じゃ受け止めきれそうにない。
だからと言って母さんに相談なんてしたら
『他にも仕事はあるんだから、今の仕事をし続ける必要ない』って言われそう。
たった5年だけど、人生経験してる兄貴はどう思うのかな。
「あのさ、……」
結局、相談することにしてしまった。




