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第23話
「はい、先にどうぞ」
東雲さんに促されたのは2人席の窓側の席だった。
「え、いや、いいですよ、俺が通路側で」
と遠慮してみたけれど、押しに負けて窓側へ。
久しぶりの新幹線だ。
もちろん俺だって新幹線に乗って博多に行ったことはある。
就活だったけど、あのときは何となく就活してたら何となく就職決まって、何となく社会人になるんだろうなって将来がぼやっとしてたな。結局、就職は決まらずに派遣社員か。言い表せない劣等感の波が押し寄せてきた。
と、感傷に浸っていると隣からスヤスヤと聞こえてきた。
寝てる!早い!
新幹線が出発してたった数分しか経ってないのに、なぜ寝れるんだ!
あ、いや、もしかしたらたったあれだけのこと……自分ちじゃない場所でいろんな人がいて、いつもと違う行動をしたってだけで疲れてしまったのかな。
そう思いながら、新幹線で席に座ったときに「一応、持っててー」って渡された予定表を見た。普段の東雲さんとは思えないような、修学旅行のしおりとは違った、ちゃんとしたスケジュール、これが大人の仕事なのかな。
「はぁ」
別に疲れたというため息じゃない。だけど、俺も博多から始まるであろう付き人役をまっとうできるように、少しだけ瞼を閉じることにした。
博多が終点の新幹線で本当によかった。




