第20話
「じゃあ東雲さんと3人で話そうか」
そう言われたので、仕事部屋をノックして東雲さんを呼ぶ。
「話したー?」
このノリ、本当に仕事しに行くんだよね?
「私は一人でもいいって言ってるんだけど、井上くんごめんね」
本当に申し訳なさそうに言ってきた。
何がどうなってるんだ?
「井上くんが混乱しちゃうから、はい!東雲さん、出張の予定を詳しく話してくれる?」
「うーん、……分かりました」
それから事務的に説明をされた。
要するに来週の月曜と火曜に福岡で予定があるらしい。
往復新幹線かつ1泊で、事情を知ってる先方が同行者1名分まで諸々のお金を出してくれるとのこと。
1日目はクライアントとの初回打ち合わせで、2日目は別件で表彰式……
頭がついていかない。
月曜の朝、この時間の新幹線に乗ったらクライアントとの打ち合わせの時間に間に合うから、この時間に最寄り駅で待ち合わせ。他はクライアントや久世さんが教えてくれた通りに動くから、と。
そこは人任せなのか!
「大丈夫そう?」
久世さんが心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
「あ、はい……」
「どうにかなるっしょ」
東雲さんは思った通りの感じだ。
「じゃあ今日はこの辺で、俺と井上くんはお暇しようかな」
久世さんが予想外のことを言ったので、とりあえず驚いた顔で久世さんの方を向いたら、ニコッとして顎でクイっとした。
これ、ツラ貸せやってやつ?
爽やかお兄さんのそれはまたちょっと違った怖さを感じた。




