第19話
「出張、ですか」
あまりにも予想外すぎて続ける言葉が出てこない。
そんな俺の様子を見ながら、久世さんは少しずつ話し始めた。
「福岡でね……ちょっと距離があるだろう?」
「東雲さん、調子良くないのに『仕事だから』って行こうとしているんだ」
「お金は同行者1人までは払うって相手さんに言ってもらえてるようなんだけど、井上くんの都合が良ければ同行して様子見ててもらえないかな」
「何で俺なんですか?」
久世さんが行けばいいじゃん。
「家事代行で信頼しているようだし」
「都合がつけやすい状況だって聞いてね」
そうだけどさ。
「無理にとは言わない。ただ東雲さん一人で行かせるのはかなり心配なんだ」
ふと思い出した。
東雲さんは疲れやすい。
体力的なものではないんだろうなって思ってた。
まさか看護師さんが心配するような状況なんだとは思ってなくて……
「俺の都合的なのは大丈夫なんですが……東雲さんのことについてあまり知らないんです。それでもついて行っていいものなんですか?余計に疲れてしまいませんか?」
久世さんが驚いた顔でこちらを見た。
当然の心配をしただけだ。仲良くない人と旅行したくないじゃん、普通はさ。
でも久世さんは優しく微笑んだ。
「井上くんは思っていた以上に優しいんだね」
なぜそうなる!?
「大丈夫だよ」
今度は諭すような話し方だ。
「今回、井上くんにお願いするミッションは、東雲さんが『頑張りすぎないように見張ること』だから。それに……」
それに?
「あ、まぁ、そういうお仕事だと思ってついて行ってくれるだけでいいんだ」
さっき何か言いかけたよね?
「出張の詳しい話し、聞く?」
乗りかかった船だ!
「行きます。詳しい話しを聞かせてください」




