第12話
決して今まで彼女がいなかったわけではない。人並みにデートしたことだってあるし、相手の家族に挨拶だってしたことある。大学卒業前まで付き合ってた彼女もいた。就職と同時に別れたけど。
「就職できない彼との交際は認められない」だって。
いいよ、別に。俺は俺だし、って強がったけど、なんかいろいろと疲れたってのはある。しばらく色恋関係はいらんって思ってたのに……
何でこんなに緊張してるんだよ。
平日、午前中は予定があるとのことだったので、14時に車で来るということだった。
5分前には自宅の前にいた。
服、変じゃないよな?いつも通りだよな?
って、仕事の延長だし。
デートなんかじゃないし。
って、おい!
頭の中が賑やかだ。あはは……
そうこうしているうちに、ベージュと白の、ツートンカラーの軽自動車がやってきた。
あれ?あんなマンションに住んでるのに意外だけど、カラーがなんか東雲さんっぽい。スライドドアだ。最近の車じゃないか。
「お待たせー」
いや待て、いつものくたびれた感じが全くない、普通の女性が手を振ってきた。
むしろ化粧までしてる!マジか!
「せっかく外出するなら、化粧したりしてみたら?って久世さんが」
アドバイスがあったのね。
「さて、帰宅ラッシュになる前に買い物、終わらせちゃおうか」
助手席から見る東雲さんは、年上の女性だ。間違いなく。




