第10話
どうしようか悩んでいると、母さんが凄まじい提案をしてきた。
「一緒に買いに行けば、悩まなくていいんじゃない?」
!!??
「お金を出すのは、その『しののめさん』なんでしょ?嫌じゃなかったら、それが一番早いと思うわ」
俺は嫌じゃないよ。俺は、ね。
でも出不精な東雲さんが外出してくれるのだろうか。
「でも、一人暮らししてて鍋を持ってないなんて……他にもないものとかあるんじゃない?そういうのもまとめて買いに行ったら、仕事が円滑に進むんじゃない?」
そうか、そうだよね。
うん、誘ってみよう。
「考え事か?」
兄貴が肩にポンっと手を置いてきた。
「だからなんで兄貴がいるんだよ」
「だってー……」
「分かった、分かった」
軽くあしらう。
「そういうことだったら、一人暮らし本の調理道具一覧を参考にしてみな」
「あー、ありがと」
「彼女とケンカしてさみしいらしいよ」
母さんがこそっと教えてくれたけど、聞かなかったことにしよう。
* * *
次の仕事の日、事前に買っておいた一人暮らし本の『揃えておいた方がいい調理道具』っていうページと見比べながらキッチンを整理していると、何が東雲さんちに足りてないのか分かった。というか、包丁とまな板、フライパン以外はほとんどない。
菜箸は普通の箸で、ボウルはお茶碗で代用してたけど、この際だから買いませんか?って提案してもいいかもしれない。
仕事部屋をノックし、東雲さんを呼び出す。
「どしたの?」




