第57話 沈無《シェン・ウー》
【巻ノ一・残頁伍拾柒:『大魏風物誌・陰河』】
「建康城の地下、別に乾坤あり。日の目を見ず、ただ秦淮の陰河に傍う。生人が入らんと欲せば、沈水烏木を踏むべし。死魂が生を求めんとせば、必ず心頭の熱血を質に入れるべし。市中に日月なく、ただ提灯を持つ引路人を見るのみ」――『工部・暗渠档案』
【司天監内部メモ】
本源の精血を一滴抉り取られ、この皮袋の油が尽き灯が消えようとしている時。決して、命を繋ぐ湯薬を数杯余分に飲めば起死回生できるなどと期待してはならない。
唯一の活路。それは手持ちの買命銭をすべて絞り出し、人を食って骨も吐き出さない紙張りの楼閣へ這い進み、質入れしたその血肉を、元金に利子をつけて銀で買い戻すことだけだ。
†
太極殿内は死寂に包まれている。
謝必安が冷たい床に重く叩きつけられ、鈍い皮肉の衝突音を立てた。木の簪で束ねられていた黒髪が、生気を失った瞬間にすべての光沢を失い、枯れ草のように、太歳の粘液が混ざる水たまりに散乱する。
「謝拾遺!」
前殿で療養していた沈無が異音を聞いて立ち上がり、階段の下に転がる謝必安を見た。
顔色を変え、手にした大刀を猛然と傍らへ放り投げる。重い刀身が石板に叩きつけられ、微かな火花を散らしたが、すぐに水たまりに消えた。
屈強な男が血汚れの中に片膝をつき、謝必安の頸動脈へ指を当てる。心が激しく震え、タコだらけの粗い大手がすぐにその胸を強く押さえ込んだ。
掌から伝わる感触に、沈無の心臓が重く沈む。
温もりはない。起伏もない。
今の謝必安の胸腔は、氷室から取り出したばかりの氷の塊だ。硬直し、氷冷で、重い死の気配を透かせている。力強く鼓動しているはずの心臓は、今や錆びついた歯車の最期の悲鳴のように微弱で、一回の震えすら極めて重苦しい。
沈無の顔が強張る。謝必安の頬を叩いた。「謝拾遺! 起きろ!」
猛然と振り返り、凄まじい声で叫んだ。「袁監正! 早く! 謝拾遺の息が止まるぞ!」
「ニャオォ!」
「親父! 死ぬなよ!」
凄惨な猫の鳴き声の中。遠くから二つの小さな影が、驚き慌ててこちらへ突進してくる。
阿奴が空中から迅速に跳躍し、謝必安の胸の上に軽やかに降り立った。この瞬間、銀色の女王のダイヤモンドのような瞳にも、珍しく狼狽の色が閃いた。
頭を下げ、ピンクの鼻先で、青灰色になった謝必安の唇を嗅ぐ。すぐに口を開き、自らの体内の最も純粋な霊気を彼の体内に流し込み、離散しようとする三魂七魄を強引に守ろうとした。
だが、霊気が体に入った途端、泥牛が海に入るように、何の反応も示さない。
『親父! 早く起きろよ……もう無駄遣いしないし、大食いもしないって約束する! 食い物は全部阿奴に分けてやるから! 阿奴、お前が一番すげえんだろ、早く親父を助ける方法を考えてくれよ!』
銜蝉が謝必安の傍で焦ってぐるぐる回る。自分では何の力も出せず、舌を出して氷のように冷たい手を必死で舐めたり、小さな頭で顔をこすって目覚めさせようとしたりするしかない。
体内の本源を維持する心頭血を強引に剥離されてから。謝必安のこの皮袋は形骸化し、急速に衰亡に向かう空殻に過ぎなくなっていた。
「無駄じゃよ、小畜生。骨折り損じゃ」
袁老いぼれが青白い紙提灯を提げ、粘りつく血水を踏みしめながら、二人の傍へゆっくりと歩み寄ってきた。提灯の中で揺らめく不気味な緑色の蝋燭の火が、謝必安の青白い顔を照らし出す。唇の黒血はすでに凝固し始め、薄い血の瘡蓋を形成していた。
「心頭血の担保期限が、切れたんじゃよ」
袁監正の顔の老人斑が、同時に数十の目へと裏返った。それらの眼球が幽々と動き、生死を見透かした麻痺と冷酷さを帯び、反応のない謝必安を死に物狂いで見つめている。
「この若造は忘憂閣の陣の目に潜り込むため、心頭血を提灯の老いぼれに抵当に入れた。さきほど国師のような怪物と死闘を繰り広げ、さらに皇帝に瑠璃の秘術を催動させ、体内にわずかに残っていた気血もとうに涸れ果てた。国師は逃亡し、血を請け出す内丹もない。紙の楼閣の血の契りが発動すれば……この勘定は、命で平らげるしかないのじゃ」
袁老いぼれは提灯を少し下げた。王朝の交代や、人命が草芥のように扱われるのを見慣れた市井の商人の口調だ。
「心頭血は人の生機の根源。源が断たれれば、この皮袋は風の漏れる破れ鍋じゃ。いくら薪をくべても無駄骨というもの。屍斑が出ないうちに穴を掘って埋めてやれ。殿内の太歳の怨気に当てられて、詐屍して人を噛みに行かれては厄介じゃからな」
口では涼しいことを言いながら、老人の枯れ枝のような右手は、年齢にそぐわない機敏さで、謝必安の脇にある膨らんだ漆皮の革袋へと真っ直ぐ伸びた。
「惜しい、実に惜しいのう……人が冷たくなった以上、この荷物の中の雑項科が押収した法器や庫銀、さらにはあの……遺詔。老夫は監正として主となり、司天監にすべて回収して帳簿に入れるとしよう」
ガァァン!
鹿の革靴を履いた大足が、地面の百辟刀を猛然と蹴り上げた。
重い刀柄が鋭い風圧を伴って跳ね上がり、袁老いぼれの干からびた手首のわずか一寸前に正確に命中した。生鉄と空気が摩擦して鈍い鳴りを上げ、監正の死体を探ろうとした手を強引に退かせる。
沈無はゆっくりと身を起こし、五指を曲げて、積水に突き刺さった刀柄を掴んだ。鉄で鋳造されたような顔は黒い血汚れにまみれ、眼差しは餌を守る孤狼のごとく、絶対に退かない狠戾を透かせている。
「監正、貴方様は高貴な身ゆえ忘れっぽいようだ。雑項科はまだ死に絶えていない。私という客卿が職に就いている以上、奴に一口でも息がある限り、奴の物に触れる者は、誰であろうと死ぬ」
阿奴と銜蝉も事態の異変を察知した。一筋の銀色の魅影が毛を逆立てて空へ舞い上がり、高みから見下ろして前足の鋭い爪を微かに覗かせる。もう一つの金色の身体は革袋の傍を死守し、背中を弓なりに曲げ、喉からシューッという威嚇の音を漏らした。二対の獣の目が同時に袁老いぼれの急所をロックし、いつでも噛みつく準備を整えている。
袁老いぼれは手を止め、目を細めた。数十の瞳のない眼球が、この空気を読まない武夫と二匹の猫をそれぞれ注視する。しばらくして、破れ銅鑼のような耳障りな冷笑を漏らし、ゆっくりと手を引っ込め、両手を再び広い袖の中へ隠した。
「老夫も人から頼まれて、この泥沼で奴の無事を守っておったのじゃ。だが商売は商売。死人に、価値はない。その手にある鈍刀が十分硬いと思うなら、自分で奴を担いで秦淮の陰河へ行ってみるがいい。死人の勘定を取り立てられるか試すがよいわ」
「奴はまだ死んでいない。この商売は……まだ終わっていない」沈無は刀の刃をわずかに傾け、冷え切った口調で言った。「下官はこれにて。監正のご厚意に感謝する」
沈無は奥歯を強く噛み締め、両手に猛然と力を込めた。胸の骨が見えるほど深く、まだ血が滲んでいる鞭の傷も構わず、謝必安を肩に担ぎ上げた。重い米袋を担ぐようだ。
謝必安の寸々に断裂した右腕が力なく垂れ下がっている。指先から滴る粘りつく黒血が、積水の中で不気味な血の花を咲かせた。
「監正」沈無が振り返る。鞘から抜かれた二振りの鋼刀のような視線が、袁老いぼれを直視した。「あの時、奴の心頭血を奪った者はどこにいる? どうすれば見つかる?」
袁老いぼれは雑項科の客卿を冷ややかに見つめた。大雨が丸天井の大穴から狂い降り、瞬時に二人の間に白い水幕を下ろす。
「建康城の南に、破れた城隍廟がある。廟の傍らに百年打ち捨てられた枯れ井戸がある」袁老いぼれはついに口を開いた。二枚の古い樹皮がこすれ合うような嗄れ声だ。「下へ降りて不係渡へ行けば、自然と誰かがお前たちをあの老怪物の所へ送ってくれるじゃろう。提灯の老いぼれは活人の陽寿と心頭血を専門に回収し、陰陽両界の転売で生計を立てておる。じゃが、老夫は忠告しておくぞ。無駄な労力は使うな。紙の楼閣の質札に入って、生きて請け出せた者は一人もおらん」
「奴らの刀が、十分重くなかっただけだ」
沈無は無駄口を叩かず、腰を曲げて片手で地面の百辟喪門刀を掴み上げた。
「行くぞ。どっちか道が分かるか? 案内しろ」沈無は首を傾げて双猫を見た。
「ニャオォ!」
銜蝉はその言葉を聞いて即座に精神を奮い立たせた。貪欲で死を恐れる猫だが、この長期の食券がなくなったら、今後どこで煞気たっぷりの内丹を食べればいいのか?
遠吠えとともに、銜蝉は金色の残像と化し、太極殿の側門から真っ先に飛び出した。沈無は瀕死の謝必安を担ぎ、積水と砕けた瑠璃瓦を踏み砕きながら、一度も振り返ることなく皇宮の影の中へ遁走した。阿奴は銀色の狐の毛皮のように、静かに謝必安の背中に丸まっていた。
宮門を踏み出した瞬間。沈無は鋭く察知した。暗闇の中、眼球が青白い烏が宮壁の獣吻に留まり、彼の背中を死に物狂いで見つめているのを。鏡妖司の鎮撫使専用の「追影鴉」だ。
阿奴はそれをわずかに横目で睨み、すぐに見下したように顔を背け、姿勢を変えて再びうつ伏せになった。
沈無の足が微かに止まった。今夜自分が直属の上司の強制召喚令に背いたこと、この瀆職の罪名が役所の档案に完全に打ち込まれたことは百も承知だ。だが彼の手は、百辟刀の鉄の鎖を手首にさらにきつく巻きつけただけだった。振り返ることなく、毅然として満天の暴雨の中へ歩み入った。
†
半時辰後。
建康城南。とうに百年見捨てられた枯れ井戸の傍。
狂風と暴雨は地表に隔絶されている。枯れ井戸の奥底は、地底の暗渠へ続く薄暗い階段だ。
呉の大帝孫権が建康城を造営した際、長江の水害を防ぐため、数十万の人夫を使役して城の地下に迷宮のような地下水網を築いた。百年が過ぎ、これらの暗渠は泥と無数の名もなき屍骨で埋まり、妖祟が繁殖する温床となっている。
沈無は謝必安を担ぎ、黒緑色の粘りつく青苔が生えた石段を踏み下りる。
一歩踏み出すごとに、鹿の革靴は滑りやすい青苔と危険な摩擦を起こす。下半身を極度に引き締め、重心を調整しなければ、二人の重すぎる重量を支えきれない。空気には強烈な悪臭が充満し、吐き気を催すほど燻される。
壁から染み出す地下水が、冷たい毒蛇のように石の隙間を這い這う。ここが秦淮の陰河へ通じる入り口だ。
地底へ深く進むにつれ、骨髄が痛むほど気温が下がる。暗闇から時折、あるかないかの凄惨な鬼の泣き声や、正体不明の生物が泥の中を這うバシャッという音が聞こえてくる。
沈無の肩の謝必安は、体温が氷点にまで下がっていた。呼吸は完全に停止し、ただ胸元に、阿奴が霊気で強引に塞いだ最後の一筋の心脈だけが、あるかないかの熱を保っている。
「着いた」
階段の突き当たり。黒い河水が流れる地下の暗河だ。河の水は溶けたアスファルトのように粘りつき、表面には無数の青白い水死体と破れた冥紙が浮かんでいる。
河岸に、沈水烏木で作られたボロボロの渡し船が停泊している。傍らの倒れかけた欠けた石碑に、「不係渡」の三つのまだらな刻み文字が微かに見えた。
五感がなく、ボロボロの蓑衣で全身を覆った渡し守が、人間の脚の骨を繋ぎ合わせた長い竿を持ち、船首に静かに立っている。
沈無は躊躇せず、謝必安を担いだまま大股で渡し船に乗り込んだ。重い身体が圧しかかり、烏木船がギシッという悲鳴を上げ、水面に濁った波紋が広がる。銜蝉もそれに続いて甲板に飛び乗ったが、阿奴は依然として動かず謝必安の背中にへばりついている。
渡し守は銅銭を要求しなかった。白骨の長い竿を黒い水の中で軽く突く。渡し船は粘りつく水流を押し退け、音もなく、五指が見えない陰河の深淵へと滑り出していった。
暗闇の中をどれほど漂流したか。巨大な鍾乳石が逆さにぶら下がる石林を抜ける。前方の粘りつく黒い水の中に、不気味な緑の燐火を放つ巨大な構造物がゆっくりと浮かび上がってきた。
半分黒い泥沼に沈んだ巨大な楼閣だ。
楼閣はすべて、無数の青白い人間の脚の骨と黄ばんだ冥紙で組まれている。風もないのに、骨組みに貼られた粗末な冥紙がカサカサと不気味な摩擦音を立てる。楼閣の八本の主柱には、数百体の干からびた屍骸が錆びた鉄釘でびっしりと打ち付けられていた。
「人柱」にされたこれらの屍骸は、両手で柱を死に物狂いで抱きかかえている。空洞の眼窩には微弱な不気味な緑色の燐火が明滅し、地下の朝堂全体を九幽地獄のように照らし出していた。
沈無は謝必安を担ぎ、腐朽した棺の木で繋ぎ合わされた階段を踏みしめ、大股で楼閣の大広間へ踏み込んだ。
大広間に足を踏み入れると、強烈な朱砂の匂い、カビの生えた冥紙の匂い、そして微かな死体油の気配が顔を打つ。
大広間の中央。無数の人間の大腿骨を交差させて継ぎ合わせた青白い太師椅子に、ボロボロの蓑衣を着た提灯の老いぼれが座っている。
老人は骨と皮ばかりに痩せ細り、眼窩には何もない。ただ二つの不気味な緑色の燐火がゆっくりと跳ねている。右手には、あの四角い人皮の提灯を提げていた。提灯の内部で、血の宝石のように殷紅の心頭血が一滴、狂ったように鼓動し、謝必安に残された最後の一筋の生命の気配を放っている。
太師椅子の左右。彩色の冥紙の衣を着た四体の紙張りの童男童女が、沈無の入場に合わせて、硬直した動きで振り返った。
顔には青白い鉛の粉が塗られ、両頬の処女の血でつけられた大紅の頬紅が強烈な血の匂いを透かせている。木炭で描かれた死んだ魚のような目が沈無を死に物狂いで見つめる。竹の指の縁が陰冷な青い光を放っている。関節が動くたび、カサカサという摩擦音がした。
沈無は謝必安を粘りつく木の床にそっと下ろした。すぐに片手で百辟喪門刀の柄を握る。張り詰めた筋肉が黒服を真っ直ぐに引き伸ばす。紙張りの邪物が半歩でも動けば、この重い鈍刀が容赦なく奴らを粉砕するだろう。
「人は、連れてきた」
沈無の声は低く嗄れ、疑う余地のない殺伐の気を透かせている。刀の切っ先が木の床に押し当てられ、浅い溝を引いた。
「この血。請け出させてもらう。値をつけろ」
提灯の老いぼれはゆっくりとうつむいた。眼球のない眼窩が床の謝必安を見つめ、干からびた胸腔から破れふいごのような低い笑い声を搾り出した。
「ヘヘッ……老朽の骨の秤は、昔から誤魔化しなしじゃ」
提灯の老いぼれは枯れ枝のような左手で、人間の腕の骨を磨いて作った十六星の骨の秤を取り出した。太師椅子の手すりを軽く叩く。前の赤い泥の小さな火鉢で、黒ずんだ赤ん坊の骨がパチパチと音を立てて燃え、火の光が老人のクルミの殻のように皺だらけの老顔を照らし出す。
「この若造はあの時約束した。大典の後、国師の極上の内丹でこの猿の頭の分銅を押さえ、心頭血と交換するとな」老人は骨の秤を半寸前に差し出した。声は鉄のように冷たく、活人の温度は微塵もない。「今、陰兵は出、大典は散ったが、国師の行方は知れん。ならば……その内丹は、今どこにある?」
沈無の刀を握る手の甲に青筋が暴起する。答えられない。国師は姿を消し、この商売は実質的に彼らの違約だからだ。
「空手形で老朽を騙したか。この皮袋、今夜はここに残し、老朽のこの楼閣の九本目の人柱になってもらうぞ」
提灯の老いぼれの言葉が終わるや否や。四体の紙張りの童男童女の口角の硬直した笑みが突然大きく裂けた。竹の指が澄んだ爆音を鳴らし、四匹の青白い巨大な蜘蛛のように床板に張り付き、床の謝必安へ向かって急速に飛びかかってきた。
「ふざけるな!」
沈無が暴喝し、百辟刀が山をひっくり返すような風圧を伴って横なぎに払われた。同時に、力を蓄えていた銜蝉も刀の刃に続いて跳ね上がる準備を整える!
剣抜弩張、今にも血戦が爆発しようとする死局の只中。
泥濘の木の板の上に死体のように横たわっていた謝必安の。黒血にまみれた人差し指が。突然、極めて微弱に引き攣った。
干からびた唇が微かに開閉し、蚊の羽音よりも微弱な声が漏れた。
「沈客卿……刀を収めろ……阿奴……降りろ」
沈無は刀の勢いを強引に止めた。重い刃の先が先頭の紙張りの童女の首までわずか半寸のところで停止する。鋭い刀風が、紙人形の顔の青白い鉛の粉を大きく削り落とした。
阿奴はそれを聞いて、幽霊のように身を翻して空中に戻った。猫の瞳を冷たい細い線に細め、提灯の老いぼれの咽喉を死に物狂いでロックする。
謝必安は目を開ける力すら残っていない。魂はすでに片足を忘川河に踏み入れているかのようだ。だが左手だけは、あの漆皮の革袋を死に物狂いで守っていた。
この間、阿奴が絶え間なく霊気を送り込み、謝必安を鬼門関の前から強引に引き戻して一筋の清明さを保たせたのだ。彼が意識を取り戻した瞬間、心の中は火を見るよりも明らかだった。血の契りが破棄されておらず、手にまだチップがある限り。この命を賭けた交渉は、彼自身の手で決着をつけなければならないと。
「ゲホッ……ご老人……商売ってのは……等価交換が基本だろ……」
謝必安は黒血を咳き込みながら、震える指で、苦労して革袋の留め具を弾き開けた。
国師は逃げた。内丹は出せない。だが絶対に、自分が柱に打ち付けられて人柱にされるつもりはない。
指が荷物の中を探る。重い遺詔を避け、雨水に濡れ、金糸で縁取られた紙の束を取り出した。あの謝太公が承天門の外で、彼を除名するために渡した買命銭だ。
「国師の内丹は……不良債権になった……」
謝必安の指はその紙の束を死に物狂いで握りしめている。自分の命の根を握るように、手の甲の青筋が一本一本浮き上がった。
「だが持って来たぜ……大魏六道……江南の塩鉄引……。どれだけの価値があるかは……俺よりあんたの方がよく知ってるはずだ……」
提灯の老いぼれの眼窩の不気味な緑色の燐火が、猛然と暴漲した。
建康城を出れば、活人の散銀には価値がない。だが大魏朝廷が発行した塩鉄引は、各地の膨大な生鉄と物資を動かせる硬貨だ。この金は、彼が陰河の両側で無数の関所を通すのに十分なだけでなく、鉄、糧、船以上のもの、すなわち千金では買えない無価の人情と交換できる。
謝必安は全身の最後の力を振り絞り、その価値連城の塩鉄引を、木の床に重く叩きつけた。
息も絶え絶えだが、言葉は金石が交わるように響く。この生で最も決絶とした取引の指令を下した。
「違約の死の契り……俺が平らげた。俺の心頭血を……さっさと戻せ!」




