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世説新鬼 —神のゴミを拾う男—  作者: 仔猫(コネコ)
第一巻:秦淮夜雨・長生期尽く
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第50話 秘策



【巻ノ一・残頁伍拾:『大魏(たいぎ)朝野僉載・妖妄』】


「兵家の大忌は、半場にて香檳シャンパンを開くことに如かず。大凶の兆しは、多く撫掌大笑の時に起こる。古には奸雄が諸葛の無謀を笑い、後には方士が匹夫の少智を笑い、皆業火に身を焼かれるを逃れ難し」――『司天監(してんかん)・妖部档案』



大魏(たいぎ)皇宮、太極殿前の広場。


激しい夜の雨が、まだ温かい無数の死体を洗い流している。皇太子と寝返った反乱軍は、とうに音もなく暗闇へ消え去っていた。高熱が吹き荒れる祭壇に国師を一人残し、あの天下に名轟く紫袍の方士が最後の一滴の血を流し尽くすのを待っているのだ。


李泌(リー・ビー)は、太い青銅の蟠龍柱に釘付けにされていた。


長さ五尺の破罡弩の矢が、彼の右の肩甲骨を荒々しく貫通している。鋼の鏃には南疆の「化骨水」が塗られていた。暗紫色の粘りつく毒液が、砕けた骨と筋肉の筋理に沿って狂ったように周囲を侵蝕している。


傷口から鼻を突く白煙が吹き上がり、ジューッという腐食音が響く。紫の道着の生地が毒液で溶け、粘りつく黒い膠の塊となって皮肉にへばりつく。暗赤色の毒血が正体不明の物質と混ざり、青銅柱の龍鱗の紋様に沿って蛇行して流れ落ちた。


百年を経た青銅の分厚い緑青が、化骨水に触れた瞬間、激しく沸騰する。毒血が緑青を剥がし、下から刺すような真鍮の地金を覗かせた。滴り落ちた毒血が祭壇の白大理石の床板に落ち、硬い石板に黒焦げの泡立つ深い穴を穿つ。空気に鼻を突く悪臭が満ちた。


彼の腹腔は切り裂かれ、臓器は消失している。両脚のアキレス腱は生身のまま引きちぎられ、力なく垂れ下がっていた。


普通の人間なら、このような凌遅の如き重傷を負えばとうに死んでいる。


だが李泌(リー・ビー)は死んでいない。微かな苦痛の呻きすら漏らさない。


血汚れにまみれた老いた顔の筋肉が、極めて異様な周波数で引き攣っていた。ゆっくりと顔を上げる。血走った眼球が、百歩前方の虚空を凝視した。そこには、皇太子の配下に首を掻き切られ、まだ微弱な呼吸を残す数十名の親伝弟子と、外周で監視のために残された数百名の金吾衛が横たわっている。


「本当に……本座に……ゲホッ。平康坊の陽気を吸う道しか残されていないとでも?」


李泌(リー・ビー)の喉の奥から、破れたふいごのような混濁した嘶きが漏れた。


次の瞬間、ゆっくりと口を開く。


バキッ!


下顎の骨が脱臼する澄んだ音が響く。体内の力に強引に押し開かれ、活人には不可能な角度まで口が裂けた。口角の肉が裂け、鮮血が湧く。続いて、暗赤色で黄色の粘液にまみれた肉の塊が、喉の奥から蠢き、押し出されてきた。


舌ではない。もし謝必安(シャ・ビアン)たちがここにいれば、即座に忘憂閣(ぼうゆうかく)の地下と同源の「太歳肉芝」だと見抜いただろう。


暗赤色の太歳の肉塊は、冷たい雨水に触れた瞬間、猛然と分裂した。子供の腕ほどの太さの、逆棘の生えた猩紅の肉糸が数十本。血の匂いを嗅ぎつけた貪欲なヒルのごとく、古い墓の土の強烈な臭いを放ちながら李泌(リー・ビー)の口から狂噴する。空中に数十の暗赤色の残像を描いた。


ドスッ! ドスッ! ドスッ!


密集した肉体を貫く音が、雨の夜に連続して炸裂する。


百歩先。首を斬られ、水たまりで苦痛に痙攣していた方士の弟子が突然目を見開いた。一本の太歳の肉糸が正確に彼の胸を突き破り、微弱に鼓動する心臓へ生きたまま突き刺さったのだ。逆棘が瞬時に反り返り、心室の筋肉を死に物狂いで引っ掛ける。


一方。刀を構えて警戒していた数名の金吾衛が危険を察知し、本能的に横刀を振り下ろした。


だが、猩紅の肉糸の表面は滑りつく粘液で覆われている。鋭い横刀の刃は横に滑り、浅い白い痕を残しただけだ。刀を引く間もなく、肉糸は荒々しく生鉄の面甲の隙間を貫通した。背筋の凍る骨の砕ける音とともに、脳髄と頸動脈へ突き刺さる。


「アァァ……ウゥ……」


肉糸に繋がれた活人と瀕死の者たちが、不明瞭で凄惨な悲鳴を上げる。


猩紅の太歳肉糸が瞬時に張り詰め、表面が激しく蠢き、膨張し始める。肉糸の内部からゴボゴボという嚥下音が響く。熱い鮮血と消散しきれていない生命の元気が、抗い難い巨力によって狂ったように李泌(リー・ビー)の体内へと逆流していくのだ。


目に見える速度で、心臓を刺された方士の弟子は、ふっくらとしていた肌から数呼吸で光沢を失った。皮肉が空気の抜けた豚の膀胱のように急速に干からび、陥没し、骨にぴったりと張り付く。眼球が落ち窪み、髪が枯れ落ちる。


重鎧をまとった金吾衛の死に様はさらに凄惨だった。体内の血肉が吸い尽くされ、重い鎧を支えていた肉体が瞬時に萎縮する。ガシャンガシャンと、血肉の支えを失った鎧の札が互いにぶつかり、崩れ落ち、最後には中の干からびた骨組みとともに重く泥水の中に叩きつけられた。


わずか十数呼吸。数十の鮮やかな生命が最後の一滴の脂まで徹底的に搾り取られ、薄皮一枚を被った枯れ骨へと化した。秋の雨が打ちつけると、枯れ黄ばんだ皮肉が砕け、灰となって散乱する。


そして祭壇の李泌(リー・ビー)は、静かに血肉の再構築を迎えていた。


膨大で新鮮な血の気が流れ込む。百年の老鬼に引き裂かれた腹腔内で、吐き気を催す肉芽の交織音が響く。無数の細い赤い肉糸が傷口の縁で狂ったように成長し、絡み合い、断裂と欠損の臓器を強引に縫い合わせる。半透明の肉膜の下で、血液が急速に奔流する。


引きちぎられたアキレス腱の箇所。青白い筋腱が血気の滋養を受けて猛然と張り詰め、ドスッと鈍い音を立てて繋ぎ合わさり、弛緩していたふくらはぎの筋肉を再び引き締める。


最も驚くべきは、八牛弩に射抜かれた右肩だった。


化骨水の毒液がすでに肩甲骨を黒水に腐食させていた。だが今、狂い湧く太歳の血肉が強引に毒液を包み込み、圧迫する。激しく皮肉がめくれ返る音とともに、悪臭を放つ黒い毒血の塊が肩の血の穴から強引に噴射され、すべて青銅柱に浴びせかけられ、激しいジューッという音を立てた。


新生の骨と筋肉が、恐怖の貫通傷を急速に埋め尽くす。


李泌(リー・ビー)はゆっくりと口を閉じた。下顎の骨がカシャッと復位の音を立て、まだ吸い尽くしていない太歳肉芝を再び腹に飲み込む。顔色は依然として青白いが、あの瀕死の衰退の気配は一掃されている。代わりに、腹一杯飲み食いした後の妖異な紅潮が浮かんでいた。


彼は構築が完了したばかりの腕を上げる。


五指を開き、右肩と青銅柱の間にまだ刺さっている太い鋼の弩の矢を握りしめる。矢柄は氷のように冷たく、雨水と彼自身の粘りつく黒血が残っている。


メキッ……メキッ……


李泌(リー・ビー)の左腕の筋肉が猛然と膨張し、ゆったりとした紫袍を弾けさせそうになる。老いた顔に苦痛はない。極致の暴戻だけだ。両足で下方の滑りやすい青銅鼎の縁を踏みしめ、腰と背中の捻りの力を使って、数十斤の重さがある破罡の弩矢を、自らの血肉と青銅の蟠龍柱から少しずつ引き抜いていく。


生鉄の矢柄が青銅柱の内壁と摩擦し、鋭い金属の擦過音を立てる。雨の夜に目も眩む火花が飛び散った。


カシャァァン!


弩の矢が青銅柱から完全に離れ、暗赤色の血の雨と砕けた肉の破片を盛大に撒き散らした。


李泌(リー・ビー)は無造作に腕を振り、城門をも射抜く巨大な凶器を、ボロ木を捨てるように祭壇の下の積水へ叩きつけた。半尺もの高さの泥水を跳ね上げる。


首を回すと、新生の筋骨がパキパキと爆音を鳴らす。首をわずかに傾け、陰湿な視線を皇太子が撤退した暗闇へ向けた。口角に極度の軽蔑と残忍な冷笑が浮かぶ。


「儲君だと? 本座が家畜小屋で飼っている肥えた羊に過ぎぬわ。飼い主を噛み殺そうなどと身の程知らずな」


遠くで隠れていた金吾衛大将軍は、国師のこの所業を見て呆然としていた。だがすぐにこれは不味いと思い直し、機転を利かせて小走りで進み出て、国師の前に跪いて叩頭した。


李泌(リー・ビー)の声が空曠な祭壇に響き渡る。地獄からの判決のようだ。虚空に向かい、最も血生臭い粛清令を下した。


「太極地宮の五百の『血屍衛』を目覚めさせ、東宮へ向かわせよ。皇太子の皮を生きたまま剥ぎ、承天門に吊るせ。反逆に関与した者は族滅し、血肉はすべて陣の目に充填して埋め立てよ」


国師の言葉を聞き、金吾衛大将軍は恐怖で全身を震わせ、ひたすら叩頭して命乞いをするばかりで、言葉も出なかった。


凡人どもの政治劇を片付けると、李泌(リー・ビー)はうつむき、青銅鼎の縁にある、まだ雨水に洗い流されていない暗黒色の水溜りに視線を落とした。さきほど老鬼たちが残した死体の水だ。


青白い指を伸ばして死体の水に触れ、鼻先で嗅ぐ。


「前朝の孤魂野鬼が、本座の七十二の辟邪純陽符を無視できるとは……」李泌(リー・ビー)の瞳孔がわずかに収縮し、脳裏に見落としかけていた細部が閃いた。「至陰の血による階級の制圧か。半時辰前、平康坊で恐ろしい陰(さつ)の気が一瞬だけ閃いた。速すぎて錯覚かと思ったが」


猛然と拳を握る。指の関節が澄んだ音を鳴らした。


「なるほど。『人柱』の至陰の血で、強引に群鬼を使役したか。本座が大陣を牽引している隙の動けない死角を正確に計算し、鬼物に本座の筋骨を噛み切らせ、さらに皇太子に冷や矢でとどめを刺させた……」


国師はこれを、天衣無縫の連続絞殺の計であると判断した。


暗闇に潜む皇太子の残党など相手にしない。凡夫の権謀術数など、絶対的な力の前では児戯に過ぎない。太歳肉芝があり、平康坊の聚陽大陣が絶え間なく生機を送り続けている限り、彼は不死身なのだ。


李泌(リー・ビー)は振り返る。陰湿な眼差しが雨幕を突き抜け、数里先の平康坊の方向を死に物狂いで捉えた。


しかし。目の前の光景に、算無遺策を誇る大魏(たいぎ)国師の目尻が激しく引き攣った。


天地を貫くあの猩紅の光柱が。今、光柱の色が病的な異変を起こしている。


純粋な血紅色の中に、不安を煽る死の灰色が混ざり始めていたのだ。光柱の縁が激しく歪み、明滅する。陣法が回転する轟音が、まるで腹を切り裂かれている野獣のように凄惨な響きに変わった。


遠くの死角に隠れ、奇跡的に生き延びた道童が這い出してきた。遠くの異変を起こした光柱を見て震え上がり、泥水に跪いて震える声で叩頭した。「大天師……陣の目が破られました……忘憂閣(ぼうゆうかく)の陽気が断たれました! いかがいたしましょう?」


道童の予想に反し、李泌(リー・ビー)は崩壊しつつある死の灰色の光柱を見て、激怒するどころか、首を仰け反らせて天を衝く雨の中で耳を劈く狂笑を上げた。


「ハハハハハハハ――!」


笑い声の中に太歳の血肉が粘りつく摩擦音が混ざり、空曠な太極殿広場に響き渡る。


腹心の道童は驚愕し、肝を据えて尋ねた。「大天師、何故大笑いを?」


李泌(リー・ビー)はうつむき、口角に極度の軽蔑の弧を描いた。破れた紫袍を整え、天下の人間を掌の上で弄ぶ傲慢さを漂わせる。


「あの皇太子の無謀と、雑役の少智を笑っておるのだ! 忘憂閣(ぼうゆうかく)を一つ壊しただけで、本座の香火を断てると思ったか? 奴らがあの腐肉の山で心力を使い果たした後、全員花の肥料にしてやるわ!」


李泌(リー・ビー)の言葉が落ちた直後。さらに算無遺策の壮大な演説を続けようとした時。


陣法の通路を逆流してきた(さつ)気が、彼の経脈に沿って、音もなく指先まで這い上がってきた。それは太歳肉芝の本源が腐敗する気配だ。


ゴボッ……


彼の腹腔の奥底で、突然、沼気の池が沸騰して爆発しそうな不気味な鈍い音が響いた。


陣法の脈絡に沿って謝必安(シャ・ビアン)が「宅配」した死の灰色のエネルギーが、国師の五臓六腑へ正確に逆流してきたのだ。


もしこれが純粋な(さつ)毒であれば、李泌(リー・ビー)の体内の太歳肉芝は包み込んで排出できただろう。だが謝必安(シャ・ビアン)が押し込んだのは、生焼けの「半端な(さつ)料」の箱詰めだ。中には火精、龍脈の廃カス、鮫人の涙だけでなく、最も致命的なことに、高僧の骸骨から掘り出した中指の舎利が混ざっていた。


あの中指の骨は、狂僧普渡(プードゥ)が死の間際に抱いた国師への最も暴戻な怨念が凝縮している。剛猛な仏門の業火を含みながら、乱葬岡の陰(さつ)の死体水にも浸かっている。


純粋でもなく、神聖でもない。それは李泌(リー・ビー)の経脈の歯車に挟まった錆びた鉄の塊であり、曲がることを知らないチンピラの気質を帯びて、国師の体内で轟然と起爆した。


「グゥッ――!!」


李泌(リー・ビー)の笑い声が唐突に止まった。両目が瞬時に突出し、眼球の表面に蜘蛛の巣のような金色と黒色が交錯する血走りが走る。


仏門の業火と(さつ)毒が、体内の太歳の血肉と凄惨な拒絶反応を起こした。国師の体内の太歳肉芝が水から上がった魚のようにもがき苦しむ。


ブチャッ! ブチャッ!


李泌(リー・ビー)の腹部、右腕、さらには左頬の皮肉が猛然と外へ膨張し、裂けた。刺すような暗金色の仏光が、吐き気を催す黒い膿水とともに、傷口から高圧洗浄機のように狂噴する。


「馬鹿な……あり得ん! これは一体なんだ――グワァッ!!」


算無遺策を自負していた大魏(たいぎ)の国師が、苦痛に喘いで青銅鼎の上に崩れ落ちた。両手で狂ったように溶解していく腹部を押さえ、金色の骨のカスと太歳の腐肉が混ざった穢物を大量に嘔吐する。



同時刻。


建康(けんこう)城外、乱葬岡。


狂風が枯れ木の森を乱れ飛び、ウゥゥと不気味な鳴き声を上げる。


ドォン!


「勝てば仏、負ければ鬼」と書かれた腐った木の板が刺さった土饅頭が、突然内側から爆発した。泥が舞い上がり、ボロボロの袈裟を着た骸骨の普渡(プードゥ)が、モグラのように這い出してきた。


彼の眼窩にある二つの不気味な緑色の鬼火が激しく跳ねている。燃え上がりそうなほどの速さだ。


感じたのだ。


自らの手でへし折った、生涯の怨念が込められた右の中指が、今まさにあの老いぼれの亀野郎の五臓六腑をしっかりと突き刺し、天をひっくり返すほど掻き回しているのを。


「ハハハハハ! 痛快だ! 痛快!!」


狂僧は首を仰け反らせ、皇城の方向へ天地を揺るがすような狂笑を爆発させた。笑いすぎて下顎の骨がパキッと再び落ちる。気にも留めずに嵌め直し、大腿骨を狂ったように叩き続ける。


あの年の無念の悪気が、乱葬岡でこれほど長年くすぶり続け、今夜ついに、元金に利子をつけて李泌(リー・ビー)の顔面に叩きつけられたのだ。


いい気分だ。


この爽快感と悪意が頂点に達した瞬間。


普渡(プードゥ)の眼窩の不気味な緑色の鬼火が、前触れもなく刺すような金赤色に変わった。慈悲など欠片もなく、純粋な暴戻と狂喜だけの業火が、彼の丹田から轟然と燃え上がった。


この炎は顔に残っていた干し肉と臭いボロ袈裟を瞬時に飲み込んだ。だが彼は灰にはならない。金赤色の業火の鍛錬の下で、青灰色だった枯れ骨は急速に死気を退け、水晶のように透き通り、黄金で鋳造されたような瑠璃の質感へと転化した。


昔の仏祖は「拈花微笑」したが、今の乱葬岡の博徒は「立地成仏」した。


「老いぼれ亀野郎!」


普渡(プードゥ)和尚は口いっぱいの泥を吐き出しながら狂笑した。


「痛め殺せなくても、悪心で殺してやる! ハハハハハ――」


黄金の髑髏羅漢と化した普渡(プードゥ)は、泥濘と砕けた骨の中に立つ。中指の欠けた右手の骨格を掲げ、建康(けんこう)城の太極殿の方向へ向かって、力強く中指を立ててみせた。そして地面に残っていた粗悪な焼酎の壺を抱え、空っぽの肋骨へ酒を流し込む。爽快なゴクゴクという音が響いた。



太極殿広場。


李泌(リー・ビー)は祭壇の積水の中で苦痛にのたうち回っていた。心を鬼にして、舎利子の仏光に汚染された腸の半分を自らの手で引きちぎり、腐った麻縄のように傍らへ投げ捨てる。それでようやく、爆死しそうなほどの衝突を辛うじて押さえ込んだ。


大口で荒い息を吐く。半身はすでに仏光に照らされて白い骨を露わにし、仙風道骨の面影は微塵もなく、泥沼から這い出した悪鬼のようだ。


「生焼けの半端物が……こんな下劣な手段で本座を暗殺しようとは……」


李泌(リー・ビー)はここにきてようやく夢から覚めた。


国師は歯を食いしばり、血の泡混じりの言葉を歯の隙間から絞り出す。半分破壊された顔には、常軌を逸した底辺の社畜に激怒させられた暴虐が満ちていた。


群鬼の噛みつきも、皇太子の冷や矢も、すべては彼の歩みを遅らせるための目くらましだったのだ! 真の致命の一撃は、皇宮には全くなかった!


あの忘憂閣(ぼうゆうかく)の核心の陣の目。そこが強引に連絡を絶たれ、さらには……太歳肉芝を不可逆的に壊死させるほどの(さつ)毒を詰め込まれたのだ。


「しがない司天監(してんかん)の雑魚が……」


李泌(リー・ビー)の声は九幽の底の氷のように冷たかった。ボロボロになった紫の道着を引きちぎる。下からは、暗赤色の奇妙な陣紋がびっしりと覆う、鋼鉄で鋳造されたような恐怖の躯体が露わになった。


「本座の香火を断ち、本座の鼎炉を壊すとは」


猛然と一歩踏み出す。足元の白大理石の石板が瞬時に蜘蛛の巣状に亀裂し、砕けた石が飛ぶ。


傍で小便を漏らして怯えている道童を掴み上げ、空中に吊し上げた。夜梟のように凄惨な声。


「行け! 本座の法旨を伝えよ! 司天監(してんかん)へ行き! その謝必安(シャ・ビアン)という雑魚を、本座の太極殿へ呼びつけろ! 本座自らの手で奴の骨を、一寸一寸灰になるまで鑢で削ってくれるわ! 忌々しい(シャ)家の人間め!」


大魏(たいぎ)最高権力の中枢にいる怪物が、ついに仙風道骨の偽装を徹底的に引き裂いた。満腔の暴怒と粘りつく血気をまとい、自ら手を下す準備を整える。


その時、遠く離れた平康坊で傷だらけになっていた謝必安(シャ・ビアン)が、前触れもなく寒気を覚えた。


「数里先で誰かが俺の悪口を言っているようだな」謝必安(シャ・ビアン)は鼻をすすった。「しかもものすごく下品な言葉で」


遠くを見つめ、雨水が頬に落ちるに任せる。どうしようもなく首を振り、低く呟いた。


「後手がなければ、こんな世の中で生き残れるわけがないだろう」






【作者より】


第五十話までお読みいただき、誠にありがとうございます。


皆様、普段は学校や仕事でお忙しい中、貴重な時間を割いて謝必安(シャ・ビアン)の奔走にここまでお付き合いくださり、本当に感謝に堪えません。


もしこれらの怪談、琉璃、猫たち、腐肉の仏像、そしてあの得体の知れない汚いものたちが、皆様の食事のひととき、一杯のコーヒーのお供、あるいは眠れない夜の慰めとなったのなら、この本はしっかりと役目を果たせたと言えるでしょう。


もしこの物語をまだ読むに値すると思っていただけたなら、ぜひブックマークや評価、または他の読者様への推薦をお願いいたします。


これからも、謝必安(シャ・ビアン)と二匹の猫の旅路にどうか最後までお付き合いください。


阿奴(アヌ)銜蝉(シェンチャン)が皆様をお守りしますように。


ここまでの道のりを共に歩んでくださり、心より感謝申し上げます。


―― 仔猫

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