第24話 起きてはいけない爆発
【巻ノ一・残頁廿肆:『大魏工部・下水道疏通勘誤』残本】
「凡そ淤泥腫脹し、悪臭鼻を突く死水の坑に遇わば、切に明火を持して探るを忌むべし。其の内に沈殿せし腐気は、火に触れれば即ち燃え、威力は青石をも砕き裂くべし。」
――『建康府衙・庫房雑記』
【司天監内部メモ】
「工安意外」――現代において、下水道への引火によって引き起こされる事故は工安意外と呼ばれ、少なくとも保険金は下りる。だがこの見鬼な大魏の地下陣脈において、玉心毒気をたっぷり吸い込んだ怪物どもに火をつける行為は、霊力の暴走を強引に引き起こすと呼ばれる。骨の灰まで撒き散らされたところで、無念を訴える場所すらない。
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一筋の凄冷たる刀光が瘴気を引き裂く決絶を伴い、最前方にいるあの盲目の怪物の臃腫した首筋に向かって容赦なく斬り下ろされた。
沈無のこの一刀は、この鏡妖司の千戸に残存するすべての腕力を凝集していた。玄色の武官服の下の筋肉が極度の緊繃によって「パキッ」という細微な摩擦音を発する。刀の鋒が地下の鍾乳洞の粘稠な空気を切り開き、凌厲たる勁風を巻き起こして、怪物のあの黒水に浸かって白くふやけた腐肉へと精準無比に命中した。
しかしながら、頭が飛び、黒血が狂ったように噴き出すという予想された光景は出現しなかった。
金と鉄が交錯する「ガキィン」という巨音が鼓膜を痺れさせ、沈無は両手が痺れるほど震わされ、長刀をもう少しで取り落としそうになった。体内の気血が激しく反転し、殷紅の鮮血が崩け裂けた傷口を伝って狂ったように噴き出した。
無数の妖人を斬り殺してきたあの環首直刀は、怪物の表層の一寸の腐肉を切り開いた後、あろうことか皮肉の下に隠された灰白色の粗陶に死に物狂いで食い止められてしまったのだ。
この、陣法の中で玉心毒気によって強制的に異化された半製品の群れは、その骨格と内臓がとうに膨大な煞気の圧縮の下で、質地が緻密な粗雑な陶磁器へと変異していたのである。奴らのあの腫れ上がった皮袋は、内部の畸形な構造を誤魔化すための偽装の層に過ぎなかった。
痛覚を持たない盲目の廃品回収者が非人なる低い咆哮を発した。
奴は首に食い込んだ鋼刀など全く意に介さなかった。強引に極限まで引き伸ばされた、鋭利な砕磁器の破片の歯がびっしりと生えた血の盆のような大口が猛然と大きく開き、「カチッ、カチッ」という頭皮を痺れさせるような狂った咀嚼音を伴って、直接沈無の顔面に向かって容赦なく噛み付いてきた。
人を燻り暈すほど濃烈な腐った林檎の甘い生臭さが、下水道の腐臭と混合し、瞬時に顔に吹き付けた。それは高純度の玉心毒気であった。
沈無の眼差しが引き締まる。彼はいささかの躊躇もなく左足を上げ、雷霆万鈞の勢いを伴って、怪物の臃腫した腹部を容赦なく蹴り飛ばした。
「ドスッ」という鈍い音の後、怪物の膨大な身躯が後ろへ半歩よろめいた。沈無はこの反作用力を借りて、陶磁器の骨格に食い込んでいた刀を強引に引き抜いた。刀の鋒が引き抜かれた瞬間、粘稠で悪臭を放つ黒い泥漿状の汚血が大きな塊となって引きずり出された。
「斬れん」沈無は大口で喘ぎ、身形を急速に後退させ謝必安の身の傍らまで退いた。「奴らの骨は城壁の青磚よりも硬い。罩門がなく、刀剣は全く通用せん」
この短い交鋒の間に、他の四匹の盲目の怪物が、謝必安の右腕から放たれる微弱な熱気を頼りに、重い粗陶の下半身を引きずり、淤泥の中で「グチャッ、グチャッ」という引きずる音を発しながら、緩慢だが無比の堅定さで包囲網を狭めてきていた。
『オヤジ! あの殺神の刀まで刃こぼれしやがった! この泥の化け物どもが俺たちを食いに来るぞ!』
謝必安の足の甲に隠れていた銜蝉が、委屈に満ちた惨叫を発した。このずぶ濡れの金色の肥肉の塊は謝必安の黒靴に死に物狂いでしがみつき、全身を寒風の中の落葉のように震わせた。彼は死を恐れているのではない。純粋に、黒水を滴らせているこれらの怪物が不潔で悪心く、匂いだけでも吐き気を催し、あまつさえ自分の尊貴な毛皮に付けば洗うのが面倒な上に、恐らく阿奴から白眼視されるだろうと感じていたからである。
一方、遠くのいささか小高い青石の上では、銀猫の阿奴が依然として優雅に端座していた。彼女はこの美感の欠片もない泥濘の殺し合いを冷ややかに注視し、喉の奥深くから「グルル」という低く沈んだ警告音を発し、まるで人類の弱小と無能を嘲笑しているかのようであり、同時にさらに遠くの暗闇の中にいる「何か」に対して軽挙妄動を慎むよう警告しているかのようでもあった。
謝必安は足元で聒噪しく喚くデブ猫を無視した。
彼の血走った双眼は、あの数匹の怪物の臃腫した腹部を死の如く見据えていた。今彼の大脳は飛ぶように運転している。烈酒がなければ、まるで再び腕を一本失ったも同然だ。そして右腕は深度冷却期にあり、錯金琉璃を強引に使用すればその場で自爆するだけ。さらに厄介なことに、物理的な斬撃すら無効である。
この絶境下において、謝必安は空気中の最も致命的な一絲の糸口を鋭敏に捉えていた。
ここは、建康城地下の極陰の匯聚地である。これらの怪物は長年水底の腐敗した淤泥と屍骸を呑み込んできた。彼が推測するに、奴らのあの十月十日身籠ったかのように腫れ上がった腹の中に入っているのは、到底内臓などではない。
それは長年累月の発酵によって生み出された極致の屍気と、無比に濃烈な玉心毒気なのだ。
謝必安の目に一絲の狠戻が閃いた。この時代の方士の錬丹術において、沼の泥が混ざり陰毒の煞気をたっぷりと含んだこのような代物は、明火に遇えば即座に制御不能な霊力の暴走を引き起こし、その効果は単純な化学反応よりもさらに鋭敏である。この怪物の群れ自身が、今まさに移動している巨型の煞気爆薬包なのである。
「沈無! 奴らの首を斬るな!」
謝必安は猛然と頭を上げた。蒼白な顔に突如として絶境に追い詰められた冷酷さが浮かび上がった。彼は沈無をガシッと掴み、最前方の怪物の腹を指差した。
「奴らの腹の中は高度に圧縮された屍気と玉心毒でいっぱいだ! あんたの刀で、奴の腹の皮を突き破れ! 引き抜くじゃないぞ!」
沈無の特務としての絶対的な実行力は、この一刻において淋漓尽致に発揮された。彼はいささかの躊躇もなく、両手で黒血まみれの刀を固く握り、怪物のあの砕磁器の破片がびっしりと生えた血の盆のような大口に向かって、退くどころか前へと進み出た。
だが今回は劈斬ではなく、捨て身の突刺である。鋭利な刀の鋒は、怪物の腹部のあの白くふやけた極度に腫脹した腐肉の層を軽々と刺し貫いた。
「プシュゥゥゥ」という、まるで巨大な牛革の筏が突き破られたような沈悶なガス漏れの音と共に、一筋の肉眼で見える灰緑色の濃稠な煞気が、刀の鋒の隙間に沿って狂ったように湧き出した。その気体の悪臭の程度は瞬時に周囲の空気中の腐爛した林檎の匂いを数倍に引き上げ、沈無をその場で呼吸困難に陥らせるほどに燻り上げた。
「早く下がれ!」謝必安が怒号した。
沈無は果断に刀の柄から手を離し、身体全体で後ろへ回転し、砕けた陶片まみれの淤泥の坑の中に狼狽して倒れ込んだ。
沈無が退いたのと全く同じ瞬間、謝必安が動いた。
彼の左手は極めて速い速度で、先ほど沈無が自身の傷口の物理的消毒に用い、無造作に地面に投げ捨てていたあの縁の鋭利な燧石(火打ち石)を拾い上げた。
彼は深く息を吸い込み、あの噴き出す高濃度の灰緑色の煞気に向かって、怪物の身の前へと突進した。盲目の怪物は熱源の接近を感じ取り、砕磁器の破片がびっしりと生えた口を大きく開き、謝必安の頭蓋に向かって容赦なく噛み下ろした。
謝必安の眼差しは氷のように冷たかった。彼は躱すことなく、左手の燧石を、怪物の腹に死に物狂いで突き刺さったままの環首直刀の黄銅の護手に向け、容赦なく叩きつけた。
燧石と黄銅の護手は衝突の下で、清脆な鋭鳴を爆発させた。一叢の微弱でありながら極めて致命的な橘紅色の火星が、摩擦の瞬間に驟然と迸発した。
この凡俗の火星は、精準無比に、あの狂ったように噴出している玉心毒気と屍煞の中へと落ち込んだ。極陽の火星は瞬時に極陰の煞気を点火し、怪物の体内の脆弱な霊力バランスを打ち破ったのである。
「伏せろ!」
同時に謝必安が怒号し、左手で足元の銜蝉を猛然と引き寄せ、身体全体で横向きに倒れ込み、あの氷のように冷たく悪臭を放つ黒い淤泥の坑の中へと激しく身を投げた。
次の一息。
「轟ドォォン」という鼓膜を震い砕くほどの、まさに九天の怒雷が地下の鍾乳洞の中で炸裂したかのような恐怖の巨音が轟然と爆発した。
極点に至るまで熾烈な幽緑色の煞火の塊が、あの腹の皮を突き破られた怪物を中心として瞬時に膨張した。極端な霊力の嵐と恐怖の衝撃波が、摧枯拉朽の勢いで、その半肉半陶の怪物を内部から徹底的に引き裂いた。
無数の幽緑の火焔を燃え立たせる砕肉、極めて高い温度を帯びた灰白色の粗陶の破片が、一場の致命的な散弾の雨と化し、四方八方へと狂ったように掃射された。周囲の、まだ近づく暇もなかった数匹の盲目の怪物は、この恐怖の霊力暴走の下で、紙細工の玩具のように四分五裂に吹き飛ばされた。
狂暴な気浪が地上の黒い淤泥を数丈の高さにまで跳ね飛ばした。あの平静な黒い死水でさえも、衝撃波によって強引に半尺の高さの水壁へと押し上げられた。
ずっと遠くに端座していた阿奴も、あの煞火が輝いた瞬間に、妖異な瞳孔の奥に一抹の戒備を閃かせた。彼女のいる位置は高かったが気浪の煽りをまともに受けたため、この高貴な女王は身を低く沈め、四本の爪で青石の隙間を死に物狂いで扣み、「ミャオ」という抗議の声を上げて、辛うじて水中に吹き落とされるのを免れた。
どれほどの時が過ぎたか。
耳を聾する轟鳴音がついに地下の鍾乳洞の中で徐々に平息した。ただ砕肉と陶片が水面に叩きつけられる「ピチャッ、ピチャッ」という音と、幽緑の火焔が腐敗物資を灼き焦がす「ジジッ」という焦音が残るのみとなった。
謝必安は分厚い淤泥の坑の中から極めて艱難に頭を上げた。
彼の左半分の頬は飛散した砕陶片によって一本の血の口を切り裂かれていた。鮮血が黒泥と混ざり合い、彼全体を地獄から這い出してきた悪鬼の如く見せていた。だが彼のあの双眼には、劫後余生(死地を脱した)の冷酷な光芒が映耀していた。
前方には、あの数匹の元は不可一世であった盲目の廃品回収者たちがすでに徹底的に消失していた。ただ床一面に黒焦げに吹き飛ばされた砕陶片と、空気中に蔓延する鼻を刺す焦げた臭いだけが残されていた。
沈無が泥沼から這い上がってきた。この鏡妖司の千戸は、眼前のこの黒焦げの修羅場を見つめ、そしてたった一塊の石を使って霊力爆発を引き起こした謝必安を一瞥し、眼底の奥深くに正体不明の敬畏に近い神色を湧き上がらせた。
「行くぞ」
謝必安は血の混じった泥水を立て続けに一口ずつ吐き出し、手で膝を支え、揺れながら身体を真っ直ぐに立ち上がらせた。
傍らの銜蝉は狂乱の如く全身を激しく身震いさせていたが、べっとりと纏わりついた重く湿った黒泥をどうしても振り落とすことができなかった。彼はあの真ん丸な双眼を大きく見開き、泣くに泣けない悲痛な様相で謝必安を死の如く見据え、ついに堪えきれずに崩壊の怨嗟を漏らした。
『オヤジ、マジで勘弁してくれよ!』
謝必安は銜蝉の怨嗟を無視し、目光をあの燃え盛る廃墟を越え、鍾乳洞のさらに奥深くへと死の如くロックオンした。そこには、巨大な鍾乳石に沿って修築された、真っ直ぐ上方へと通じる古き石段が、微弱な紅紗の提灯の光芒の下で隠約と見え隠れしていた。
それは鬼市の核心へと通じる、忘憂閣の底層へと通じる唯一の道であった。




