第21話 埋まらない呪い
【巻ノ一・残頁弐拾壱:司天監・雑項科庫房管理条例・残巻】
「収容せし無主の孤魂、怨厲の気は、皆すべからく圧縮して特製の粗陶の壺内に封存し、朱砂の黄符を以て陣の目を鎮圧すべし。
決して明火を見るべからず。極陽の烈酒に遇わすべからず。違者は、軽ければ庫房崩壊、重ければ百鬼夜行にして玉石倶焚となる。
(傍らに墨も乾かぬ批註がある。『どうせ死ぬなら、派手な音でも聞こうじゃないか』)」
†
死寂の通路の奥から。一糸乱れぬ、極度に重い金属の衝突音が響いてきた。
ガシャン。ガシャン。
完全武装の重装歩兵が陣形を組んで推進してくる。氷のように冷たい鉄靴が青苔の生えた石板の道を容赦なく踏みつけ、ガリッ、ガリッと軋む音を立てる。
血の池のような大口を開け、地底の腸管に沿ってゆっくりと這い進む巨大な鋼鉄の獣のようだ。その息の詰まるような殺意を、一寸一寸、この狭い雑項科へと押し縮めてくる。
空気の温度が驟然と氷点にまで下がった。
本来流れ込んでいた冷風は、鼻を突く汗の匂いと、鉄器が摩擦する鉄サビの匂いに完全に取って代わられた。
「国師府の鉄浮屠禁軍だ」
沈無は残破したドア枠にもたれている。血走った両目が、通路の突き当たりで次第に明るくなる薄暗い火の光を死に物狂いで見据えた。
手の中の環首直刀をゆっくりと持ち上げる。刃が薄暗い蝋燭の火の下で、空気を切り裂くような凄冷な寒芒を屈折させた。
この鏡妖司の千戸の胸は激しく上下している。呼吸のたびに、全身の骨が見えるほど深い無数の刀傷が引き攣る。だが刀を握る手は、青銅で鋳造された鉄の像のように微動だにしない。
「重甲、連弩、封魔陣」沈無は振り返らない。声に微塵の活人の温度もない。「謝拾遺、どうやらあの老ペテン師は、お前を大典の日まで生かしておく忍耐すらなくしたらしい。今夜、地下の陣脈を見抜ける唯一の変数であるお前を、このボロ役所ごと建康城から徹底的に抹消するつもりだ」
「ニャオオ!」
書類棚の最も奥底に隠れていた銜蝉が、極度に調子の外れた凄惨な悲鳴を上げた。
この金色の肉塊は暗闇の中で狂ったように震え上がり、古い木棚全体が連動してガタガタと共鳴音を立てる。
『親父! 鉄浮屠だ! あの瞬き一つせずに人を殺す鉄の缶詰どもだ! 奴らの手にある破甲弩で、俺様は穴だらけのザルにされちまう!』
銜蝉は謝必安の脳内で大声で叫ぶ。粘りつく声には極致の絶望が満ちていた。『俺様はまだ死にたくねえ! 昨日百味斎で盗んできた鳥の丸焼きの半分が、まだ裏庭の金木犀の木の下に埋まったまま食えてねえんだ!』
『黙れ。逃げる体力を温存しておけ』
謝必安は脳内で冷たく一喝した。無事な左手で塗装の剥げた机を死に物狂いで支え、極めて困難に太師椅子から立ち上がる。
極度の二日酔いで視野が一時的に二重になる。高濃度の西域の葡萄酒で強引に抑え込んでいた胃の中の酸水が、再び食道を逆流してきた。
だが、その酸水を強引に飲み込む。青白い顔に、ゆっくりと、狂気と荒唐無稽さに満ちた悪党の笑みを浮かべた。
「沈大人、刀をしまえ」謝必安はよろめきながら机を回り込み、部屋の最も奥の隅へ歩く。「お前のその屑鉄で、重甲が何枚斬り砕ける?」
沈無は振り返らず、冷たく応じた。「一枚斬り砕けば元が取れる。二枚斬り砕けば儲けものだ。ここに座ってハリネズミにされるのを待つよりマシだ」
「俺たちは知恵のある文明人だ。筋肉でしか考えられない野蛮人じゃない」
謝必安は埃と蜘蛛の巣だらけの隅へ歩み寄る。
そこには、数十個の粗悪な灰白色の陶器の壺がびっしりと積み上げられていた。
壺の表面には劣悪な朱砂で描かれた煞気を鎮める黄符がびっしりと貼られ、口はすべて重い黒泥で死に物狂いで封じられている。壺の奥底からトントンという衝突音が響いている。
これこそが、彼が拾遺に就任して以来、建康城のあちこちで「不浄な穢物」を処理した際、自らの手で圧縮し、封入した怨厲の気と孤魂野鬼だ。
司天監の役人どもは彼をただの廃品回収屋だと思っているが。謝必安の目には、これらの陶器の壺は極限まで圧縮された、外部の圧力弁をわずかに破壊するだけで瞬時に引火する「生化地雷」なのだ。
「鉄浮屠の重甲は確かに刀槍不入だ」謝必安は左手で、まだ少し残っている西域の葡萄酒の壺を提げ上げる。目に極度な危険を孕んだ狂気の微光が閃いた。「だが、この鉄の缶詰どもの密封性は極めて悪い。奴らは刀剣の穿刺は防げても。無孔不入の極限の高温と震盪衝撃は絶対に防げない」
「こいつなら、鉄の缶詰を着た鳥人どもを七孔から血を噴かせ、中身をドロドロの泥の塊にしてやれる! どれほど厚い鎧を着ていようが、この高温を浴びれば、全員『鉄板焼き』だ!」
振り返り。依然として腐れ木の梁の最も高い場所に陣取り、顔いっぱいに嫌悪を浮かべる銀猫の阿奴を見る。
「阿奴、降りてこい。便乗の準備だ」
主人の呼びかけを聞き、阿奴の美しいオッドアイの瞳が微かに細められた。
極めて不本意そうに泥だらけの青レンガの床を一瞥する。そして視線を、棚の下から頭を半分出し、逃げる機会を窺っていた太猫の銜蝉へ正確にロックした。
阿奴は重さのない銀色の羽毛のように、高い木の梁から一躍して飛び降りた。空中で無比に優雅な放物線を描く。虚空の結節点を正確に踏みしめ、四つの細い爪が、極めて正確に、かつ極めて重い力で。銜蝉の広く太った金色の背中に叩きつけられた。
ドスッという鈍い音が鳴る。
『ニャオォォ――! 親父! この狂ったアマ、また俺様を座布団にしやがった! 重い! 絶対に昨日盗み食いしただろ!』
銜蝉は天から降ってきた重撃に四肢の力を失い、危うく地面に這いつくばりそうになる。即座に謝必安の脳内で胸を裂くような抗議を爆発させた。
だが阿奴は足元の金色の肉塊の哀鳴など全く意に介さない。
優雅に銜蝉の背中に端座し、毛むくじゃらの銀色の尻尾を高く上げる。尻尾の先を微塵の埃にも触れさせまいとする。領地を巡視する傲慢な女王が、愚鈍で安っぽい黄金の騎獣を駆り立てているかのようだ。
「しっかり乗せろ。もし振り落としたら、お前のその金毛を全部剃り落としてやる」謝必安は容赦なく銜蝉の抗議を遮断し。視線を猛然と入り口の沈無へ向けた。
通路の火の光はすでに十歩以内に迫っている。
重い鉄靴の音が唐突に止む。続いて、カチャ、カチャという頭皮が痺れるような重弩の弦を引く音が響いた。
「狙え! 放て!」
通路の奥から、微塵の感情もない氷のように冷たい軍令が響く。
ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ。空気を切り裂く鋭鳴。
子供の腕ほどの太さがあり、不気味な青い毒の光を放つ破甲の重弩が。血に飢えた毒蜂の群れのごとく、瞬時に残破した木扉を貫通し、摧枯拉朽の力で雑項科内へ射ち込まれた。
「下がれ!」
沈無が怒号し、身体の前に隙間のない凄冷な刀の華を舞わせる。
キィィン、カァァン。耳を劈く金属の爆鳴音が連続する。胸へ向かってきた三本の重弩を強引に弾き飛ばし、火花が四散した。だが巨大な衝撃力で虎口が裂け、身体は後方へ数歩激しく弾き飛ばされ、書類棚に重く激突した。
この千鈞一髪の瞬間。謝必安が動いた。
躱さない。首を仰け反らせ、西域の葡萄酒の壺に残った最後の極上の烈酒を、喉へ激しく流し込んだ。
だが飲み込まない。極度に辛く、アルコール純度の極めて高い酒液を口に含んだまま。
左手で猛然と、隅にある最も体積が大きく、黄符がびっしりと貼られた「主陣の目」の陶器の壺を掴み上げる。全身の力を振り絞り、それを留置所の中央の青レンガの床へ向かって重く叩きつけた。
粗悪なセラミックが巨大な衝撃力で瞬時に四分五裂し、ガシャンという耳障りな破裂音を上げた。
封印が破られた瞬間。墨のように黒く、極致の陰寒と怨毒を放つ厲鬼の黒気が、自由を奪われた悪獣のように、砕けた陶器の破片から咆哮を上げて噴出した。
黒気は空中でねじれ、膨張し、瞬時に五官を持たず苦痛の哀鳴だけを上げる数十の獰猛な鬼の顔と化し、入り口から押し寄せる鉄浮屠禁軍に向かって狂ったように飛びかかった。
「小賢しい真似を! 封魔陣を組め!」門外の禁軍統領が軽蔑の冷笑を放つ。
だが謝必安が待っていたのはこの瞬間だ。
極陰の厲鬼の黒気が禁軍の鉄甲に触れようとした、まさにその瞬間。
謝必安は猛然と空中に向かって、口に含んでいた酒を噴き出した。
猩紅の酒の霧が空中で散乱し、まるでミニチュアの血の雨のようだ。
極陽の烈酒が、極限まで圧縮された極陰の鬼気に正確に衝突する。
謝必安の完全には制御しきれない、高温の溢出の縁にある「錯金琉璃」の残留気息の触媒作用の下。陰陽二つの極端な力は瞬時に、最も惨烈な物理と化学の殉爆を発生させた。
ドゴォォォォン――!
雑項科全体を根底から吹き飛ばさんばかりの恐怖の巨響が、狭い留置所内で轟然と爆発した。
炎はない。ただ極度に目を刺す、半透明の琥珀色を呈した「瑠璃の衝撃波」があるだけだ。
高温と怨気が揉み合わされたその恐怖の気流は、密室で爆発した燃料気化爆弾のようだ。骨血を瞬時に結晶化させるほどの高温を伴い、通路に沿って狂ったように外へ逆流していく。
先頭を突進していた七、八人の鉄浮屠禁軍は、惨叫を上げる暇すら与えられなかった。
彼らの刀槍不入の重甲は、この琥珀色の衝撃波に触れた瞬間、強引に焼きごてのような暗赤色に焼き焦がされた。兜の隙間から、瞬時に大量の灰白色の粗陶の粉末が噴射する。
彼らは肉体すらもこの極端な高温と毒気によって瞬時に瑠璃化され、そして高圧の下で徹底的に崩壊したのだ。
「行け!!」
謝必安は引火の瞬間、すでに猛然と振り返っていた。
背後の塗装の剥げた太師椅子を片手で跳ね除ける。青レンガの下に隠された、錆だらけの重い鉄板が露わになった。
それは雑項科が設立された当初、地下の積水と廃棄された法器の残骸を排出するために作られた、古の暗渠の入り口だ。
沈無の反応は極めて速かった。五臓六腑が波打つ劇痛を強引に堪え、一足飛びで突進する。血まみれの右手で鉄の輪を猛然と掴み、ガガガという摩擦音とともに、百斤の重さがある鉄板を強引に持ち上げて隙間を作った。
極度に湿り、腐った水草と長年のヘドロが混ざった陰冷で生臭い風が、瞬時に暗渠から吹き上げてきた。
「死に損ないのデブ、跳べ!」謝必安は足元へ向かって怒号する。
『親父! 暗すぎる! 俺様は暗いのが怖いんだ――ニャオオッ!』
銜蝉の抗議が終わらぬうちに。背中に乗った阿奴が遠慮なく前爪を伸ばし、その太った尻に容赦なく突き刺した。
銜蝉は痛みに調子を外した惨叫を上げる。四本の短い脚を狂ったように動かし、金色のボウリングの球のように、背中に泰山のごとく安定した銀色の女王を乗せたまま、底なしの漆黒の暗渠へ真っ逆さまに飛び込んだ。
「先に行け!」沈無は鉄板を死に物狂いで支え、謝必安へ低く吼える。
背後の通路。殉爆の衝撃波は消え始めているが、さらに密集した鉄靴の音が、同伴の骨灰を踏みしめて狂ったように押し寄せてきている。
謝必安は辞退しなかった。硬直した右腕を引きずり、身体を前傾させ、暗渠の滑りやすい縁に沿って果てしない暗黒の中へ滑り落ちた。
謝必安の身体が完全に暗渠に没した瞬間。沈無は猛然と鉄板から手を離し、自らも続いて飛び込んだ。
重い鉄板がガシャンと地面に再び落下し、すべての火の光、殺戮、狂気の怒号を、地上に徹底的に隔絶した。
完全に暗黒に陥った瞬間。謝必安は滑りやすい管壁に沿って急速に落下していく。耳元には風と水の呼嘯する音と、脳内の銜蝉の喉が裂けんばかりの崩壊した悲鳴だけが残った。
この古の汚水排泄用の暗渠は、ひたすら下へと傾斜している。
そしてその終点こそが。建康城の地下で最大の水脈であり、数十万人を消耗品にしようとしている陣法の最終枢紐。
秦淮河の底の鬼市だ。




