第18話 びっくり箱
【巻ノ一・残頁拾捌:司天監・雑項科経費精算規則・廃案】
「公務により斬妖除魔に消費せし符籙、法器は、妖物の内丹または完全な死体を以て戸部にて核消すべし。
備考:若し名状すべからず、触れれば化け、或いは体積が過大にて運搬不能な穢物に遇わば……各自で工夫せよ。朝廷の国庫は『見えないゴミ』の代金は払わぬ。若し拾遺大人が本当に金に困っておるなら、街角で大道芸でもするか、飼っているその二匹の太った猫を西域の商人に売り払うことを推奨する」――『戸部尚書より雑項科への却下手諭・丙字号』
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謝必安は感じていた。自分の頭が、発情期を迎え、足の裏に錆びた釘をびっしりと打ち込まれた野猪に、丸三日三晩、容赦なく反復して踏みにじられていると。
脳の奥底。いつも時間通りに『エリーゼのために』を流すあの黄色いゴミ収集車が、今日は屑鉄と砕けたガラスの破片で組み上げたサスペンションに交換しているようだ。
大脳皮質の上を往復し、ガシャァン、ガシャァンと耳を劈く巨響を上げる。一呼吸するたびに、胃酸が逆流する酸腐な匂いが容赦なく湧き上がってきた。
極致の二日酔いだ。
これこそが、錯金琉璃の反噬を強引に抑え込むために支払わねばならない、最高純度の西域の烈酒という高価な代償である。
血走った両目を苦労してこじ開ける。眼底に乾いた刺痛が走った。
視界に、忘憂閣の骨までとろけるような赤い紗の暖灯はない。蘇小小の曼珠沙華が刺繍されたシルクの寝巻きもない。
目に映るのは、大きく剥がれ落ちた灰白色の壁の皮と。頭上にある、黒緑色のカビの斑点がびっしりと生え、今にも折れて落ちてきそうな腐った木の梁だけだ。
ここは司天監の最も奥深く、最も日の目を見ない片隅。雑項科専用の地下の留置所だ。
空気には一年中、古い書類が腐って発酵した酸腐な匂いが充満している。それに鼻を突く墨汁の酸えた匂いと、古い尿の臭いが正確に混合されている。
例えるなら、緑色のカビが生えた死んだネズミを、何年も洗っていない残飯の樽に強引にねじ込み、とろ火で三日三晩煮詰めたような匂いだ。
謝必安は、硬く、少しチクチクする古い竹の寝台に横たわっている。
蘇小小の金繕いで辛うじて保たれた右腕は、粗末な麻布の帯で首に死に物狂いで吊るされていた。腕全体から半透明の結晶状のものは退いたが、依然として千年の氷室から運び出したばかりの生鉄の棒のように硬直している。それに引きずられ、右半身全体に払いのけられない骨を刺す陰寒が透けていた。
『親父……やっと息をしたな。死ぬほどびっくりしたぜ……。お前が死んだら、これから誰が俺様に特別メニューを作って、誰が寝床を温めてくれるんだよ……』
甲高く、ひどい鼻声で、とてつもない委屈を受けた子供のような声が、謝必安の脳の奥底でネチャネチャと響いた。
謝必安は割れそうな頭痛を堪え、無事な左手で竹の寝台の縁を死に物狂いで掴む。竹がギシッと苦痛の呻きを上げる音とともに、上半身を無理やり起こした。
その時、竹の寝台の縁からパタッ、パタッと重い肉球の踏む音がした。毛が極度に膨らみ、全身が金色に輝く長毛の太った猫が、苦労して寝台に這い上がってくる。おしゃべりなチンチラのオス猫、銜蝉だ。
銜蝉は昨夜、城北で過剰な玉心の毒気を狂ったように吸い込んだ。今も丸々とした腹がパンパンに膨れ上がり、いつでも爆発しそうな金色のゴムまりのようだ。
フンフンと鼻を鳴らして竹の寝台に登るなり、遠慮なくその毛むくじゃらの大きな頭を、謝必安の無事な左手の掌に強引にねじ込んできた。狂ったように頭をこすりつけながら、ゴロゴロと巨大な振動音を響かせる。
『親父、このボロ役所は一体いつから火を入れてねえんだ? この地下の風は、俺様の尊いお尻に氷のつららができるほど冷たいぜ。早く抱いてくれよ……』
銜蝉の脳内での声は甘ったるく脂っこく、甘えるような泣き声すら混じっている。
『腹の中で百匹のヒキガエルが太鼓を叩いてるみたいだ。痛くて死にそうだぜ。早く揉んでくれよ……』
『黙れ。昨夜、窯の温度を下げるための紫河車の花彫酒を半杯も盗み飲みしたくせに。今更痛がってどうする』
謝必安は無表情だ。脳内では冷たく言い返したが、左手は極めて正直にそのツヤツヤの金毛に沿って、適度な力加減でそのパンパンの腹を二度揉んでやった。
主人の慰撫を感じ、銜蝉は気持ちよさそうに身体を伸ばし、喉から甘ったるいニャオという声を漏らす。直後、強烈な腐ったリンゴの匂いがするゲップを一つした。
『親父、お前一体何を企んでるんだよ。忘憂閣で寝転がって、あの綺麗な女に世話してもらえばよかったじゃないか。どうしてもこの半死半生の身体を引きずって、このボロ穴に戻ってこなきゃならねえのか?』
銜蝉は顎を謝必安の太ももに乗せ、ブツブツと文句を続ける。
『でもマジな話、昨夜俺様が神兵天降のごとく助けてやらなかったら、お前今頃肉ミンチになってたんだぜ。後で西域の小魚の干物を十匹買って弁償しろよ……』
謝必安は、つけ上がるだけのこの粘着質な太猫の相手をするのはやめた。
硬直した首を回す。頸椎の骨がすぐにパキッ、パキッと澄んだ摩擦音を立てる。
薄暗い留置所内を見回し、最も高く、最も清潔な書類棚の最上段に、もう一匹の猫の姿をついに見つけた。
銀猫の阿奴が、古いがまだ清潔な青い蒲団の上に優雅に陣取っている。一本の雑毛もない銀色の毛皮が、薄暗い光の下でシルクのような高貴な光沢を流転させていた。
謝必安の懐で甘えて転げ回る銜蝉を見て、阿奴のオッドアイの瞳に微塵も隠さない極度の軽蔑が閃いた。嫌悪感たっぷりに、毛むくじゃらの尻尾を空中でピシャリと振る。
彼女は絶対に、自らの矜貴な肉球を、長年の汚れが染み付いた雑項科の青レンガの床に無造作に触れさせたりはしない。彼女にとって、ここで呼吸する空気の一口一口が、自らの高貴な血統と極端な潔癖症に対する無情な冒涜なのだ。
謝必安は阿奴と一秒だけ視線を合わせ、極めて空気を読んで、いつでもキレるこの女王を刺激しないことにした。
深呼吸をし、右半身から伝わる引き裂かれるような痛みを強引に堪え、両足を床につける。
立ち上がった途端、猛烈な眩暈が瞬時に襲ってきた。よろけて二歩下がり、左手で傍らの塗装の剥げた紅木の太師椅子を鷲掴みにする。椅子の脚が青レンガの床と擦れ、ギィィという耳障りな悲鳴を上げた。
よろめきながら机の横へ歩き、左手で机の上の縁の欠けた粗悪な磁器の茶碗を掴み上げる。
茶碗には昨夜の冷めた茶が残っている。水面にはすでに混濁した茶渋の層が浮いていた。彼は少しも気にせず首を仰け反らせ、その冷茶を一気に飲み干す。
氷のように冷たく苦い液体が喉を滑り落ち、二日酔いで波打つ胃の邪火を辛うじていくらか鎮めた。
茶碗を下ろし、コトンという微かな音を立てた時。彼の視線が机のど真ん中で猛然と停滞した。
そこに、開かれた重厚な公文が唐突に置かれていた。
公文の最上部には、鮮紅で目を刺す、海碗ほどもある巨大な公式の印章が押されている。
その印泥の色は極めて不自然なほど赤い。どこかの死刑囚の大動脈から絞り出したばかりの、まだ温かい血生臭さを帯びた新鮮な血液のようだ。
謝必安は眉を微かにひそめ、左手を伸ばし、片手でその粗悪な黄麻紙の公文を取り上げた。紙の縁は湿気を吸って少し柔らかくなっており、手に持つと陰冷な湿気が透けてくる。
それは数日前、城南のあの「食屍古井」の処理を終えた後、彼自らが書き、戸部へ提出した「公務経費精算書」だ。
そこには蠅頭の小楷で、あの井戸を封印するために消費した極上の朱砂三両、百年の黄紙半束、そして地脈の煞気を強引に抑え込むための高粱の焼酎三壺が、詳細に列挙されている。
しかし、この詳細なリストの末尾の余白に。戸部の精算官が極めて乱雑で、筆鋒が鋭く、明らかな腹いせの意図を帯びた狂草で、目を刺す赤い文字の批註を容赦なく書き殴っていた。
『実物確認不能、頭尾なし! 本官が城南へ調べにやらせたところ、ただの泥と砕けた石の山があるのみ。どこに妖邪がいるというのか? 妖邪の説は全くの事実無根である。この二十両紋銀にも上る高額な出費を、国庫は一切核消せず! 雑項科が再び神鬼の名を騙り、汚職の実態を行って国庫を欺こうとするなら、大魏の律法に則り厳罰に処し、決して容赦はしない!』
「……」
バサッという粗暴な紙を丸める音が響いた。
謝必安の左手が猛然と握り込まれ、鮮紅の大印が押された公文を、無情にもシワだらけのゴミくずへと変えた。
一瞥もせず、無造作に放り投げる。紙の塊は空中で正確な放物線を描き、コンという微かな音とともに、隅にある粗砂の敷かれた猫砂用の鉢へ一寸の狂いもなく着弾した。
『親父! なんで俺様の便所にゴミを捨てるんだよ!』
銜蝉が謝必安の懐から猛然と頭を上げ、委屈そうに脳内で抗議する。
『あの紙は酸腐な文官の臭いが充満してて、燻されてクソをする気も失せたぜ。新しい砂に換えてくれないなら、今夜は少し我慢して、お前の官帽にションベンするしかねえな……。あれなら少なくともお前の匂いがするしな』
『もしションベンしてみろ、去勢してやる。そしてこの公文を書いた太監の遊び相手として宮中へ送り込んでやる』
謝必安は容赦なく脳内で最後通牒を下した。ついでにその運命の後頭部の皮をつまみ上げ、銜蝉を再び委屈そうに黙らせることに成功した。
銜蝉はすぐに縮み上がり、ゴマをするような鳴き声を数回上げ、大人しく頭を彼の腕の中へ戻し、二度と逆らわなかった。
一人と一匹の猫が脳内で無意味な傷つけ合いをしていると。その声が、この重苦しい死寂を打ち破った。
極めて微弱で、躊躇に満ち、隠しきれない恐怖すら帯びたトントンという扉を叩く音がした。
地下の留置所の、今にも倒れそうで虫食いだらけの古い木扉の外からだ。
謝必安の目が微かに凝縮し、気怠げに椅子の背にもたれていた身体が瞬時に張り詰めた。
「入れ」低く言う。声が空曠で陰冷な地下室に響き渡る。
ギィィ――という極めて長く、歯の根が浮くような木軸の摩擦音。重い木扉がゆっくりと、辛うじて一人が横向きに通れるほどの隙間だけ押し開けられた。
灰色の粗布の役人服を着た、寒さで頬を青くし、唇まで微かに震わせている若い使い走りの小間使いが、恐る恐る頭を半分覗かせた。
驚恐に見開かれた両目が、薄暗い留置所内を一周する。書類棚の上で暗闇の中で幽光を放つオッドアイの猫の瞳を見た瞬間、恐怖で全身を激しく震わせ、危うく尻餅をつきそうになった。
彼は、六部九卿から「大魏第一の疫病神の殿堂」と見なされているこの部屋に、完全に足を踏み入れる勇気すらなかった。
ただ敷居の外で死に物狂いで立ち止まり、凍えて真っ赤になり、霜焼けだらけの両手で、人間の頭ほどの大きさの、黒い粗布で厳重に包まれた四角い木箱を死に物狂いで捧げ持っていた。
小間使いの目には、真昼間に首なしの悪鬼に遭遇したような極致の恐怖が透けている。彼の手の木箱までが、連動してカタカタと微かな震動音を立てているほどだ。
「謝、謝拾遺大人……」
小間使いの声は吃り、明らかな泣き声と震え声が混じっている。次の瞬間にも崩壊して大泣きしそうだ。「お、お清修の邪魔をして……申し訳ありません……。こ、これは城門衛の兄弟が、今朝引き継いだばかりの品で……」
謝必安は言葉を発しない。ただ二日酔いで格別に陰沈に見える目で、その黒布の木箱を冷ややかに見据えた。
小間使いはその視線に肝を冷やし、力を込めて唾を飲み込み、さらに吃りながら報告を続ける。
「け、今朝まだ暗いうちに……朱雀門の外を守っていた巡防営の兄弟が、堀の暗渠を掃除している時に、こ、これを引き上げました。京兆尹衙門の検死官と大人が見に行って、その場で二人吐きました……。京兆尹大人が言うには、こ、この品は邪気を透かせていて、絶対に陽間の律法が管轄するものではないと……。お、俺たちに封印の札すら貼らせず、直接、直接この雑項科へ届けて処置してもらえと……」
「朱雀門」の三文字を聞き、謝必安の乱れた前髪に隠された瞳孔が驟然と収縮した。
朱雀門。それは建康城の正南の大門であり、大魏皇宮の大内から直線距離で最も近い関所だ。
そして、建康城全体の生死を決する瑠璃の大典は、わずか三日足らず後に迫っている。このタイミングで、皇城の足元から引き上げられた「陽間が管轄しない」モノ。それがただのありふれた水死体であるはずがない。
「机の上に置け。そして失せろ。扉を閉めるのを忘れるな」謝必安の口調に起伏はない。習慣となった、見慣れたことに対する冷漠さすら透けている。
小間使いは恩赦を得たかのように安堵した。下唇を強く噛み、猛然と深呼吸をし、三歩を二歩で駆け込むように留置所へ飛び込んだ。木箱をそっと置く勇気すらなく、机の縁へ直接放り投げた。
ドンという鈍い音。木箱が机の表面に重く叩きつけられた。
直後、小間使いは振り返り、背後に一万匹の牙を剥いた悪鬼が追ってきているかのように、転がるようにしてこの陰冷な地下の留置所から逃げ出した。
バタン――。重い木扉が外から死に物狂いで閉められ、ドア枠の埃がパラパラと落ちた。
地下の留置所は再び死のような静寂に沈んだ。
今回は、ずっと脳内でブツブツ言っていた銜蝉でさえ大人しく口を閉ざし、太った身体を公文の山の奥深くへとさらに縮ませた。
謝必安はゆっくりと立ち上がる。硬直した右半身を引きずりながら、一歩一歩机の前へ歩み寄った。
うつむき、黒布で包まれた木箱を死に物狂いでロックする。
分厚い布地越しでも。極めて微弱だが、純粋の極致に達した氷寒の気が、木箱の隙間から一筋一筋と浸透してくるのを、彼ははっきりと感じ取れた。
この冷たさは、冬の風雪の寒さではない。強烈な腐食性を伴う、活人の魂を瞬時に凍結させるかのような陰寒だ。
そしてこの寒気とともに蔓延してきたのは。極度に濃厚な、錆びた鉄釘を古い血水に浸したような鉄サビの匂い。さらにこの鉄サビの匂いの底辺には、あるかないかの……非常に甘ったるく、熟れすぎた腐ったリンゴの香りが混ざっていた。
謝必安の左手が微かに震えた。
玉心の毒気の匂いだ。
だが、昨夜城北で嗅いだものより、さらに濃縮され、さらに十倍も純粋だ。
深呼吸をし、左手を伸ばし、木箱を包む黒い粗布の角を鷲掴みにした。
ビリッという音とともに、粗末な布地が猛然と剥ぎ取られる。
中から、表面に暗赤色の血筋が混ざった薄い氷霜の層が張った、暗漆の木箱が露わになった。
大典へのカウントダウンが。この鼻を突く鉄サビの匂いを伴い、死を促す弔鐘として正式に鳴り響いたのだ。




