第46話 vsイタリア代表
本日、最後の対戦相手はイタリア代表の選手だった。
彼の名はフェモラーリ。スタイルが良く、おしゃれな長髪の男性だ。
ここまで負け越しているシンと全勝しているフェモラーリとでは表情に雲泥の差があった。
「「侵略!」」
シエルデヴァイス起動のコマンド入力すらも声の張りに圧倒的な差がある。
限りなくチート能力だと思っていた【魅惑の魔物】の効果を生かし切れていないシンは世界の広さを思い知らされていた。
「シン選手はお疲れのご様子。俺は【月の小神】を召喚」
シンは【魅惑の小悪魔】を進化させ、一撃喰らわせて様子見とした。
フェモラーリの情報は頭に入っているが、彼の契約モンスターは攻撃力、防御力、効果共に優秀であり、その姿も美しかった。
「ランクアップ・ファイティング・エヴォリューション!」
フェモラーリは【月の御子神】の上に【銀弓の女神】のカードを重ね、本来の姿を世界中に知らしめた。
銀の弓を手に持つ女性型のモンスターはシンと兎を見下ろし、微笑を浮かべている。
「さっきのバトルの終盤を見ていたが、途中からやる気を無くしてただろ?」
「まぁ、勝てないバトルだったんで」
「分かってねーなぁー。それでも本気でぶつかるんだよ。お前はランク急のカードを持ってないのか、持ってても進化させられないのか知らないけど、ゲームで本気になれない奴が他の事に本気になれるとは思えないぜ」
むっとしたシンは拳を握ったがすぐに解いた。
これが挑発だったならば乗ってやる必要はない。【銀弓の女神】が強力なカードであり、フェモラーリがそれを完璧に使いこなしている事は事実だが、それ以上に不利な状況を作りたくはない。
幸いな事に【魅惑の魔物】と【銀弓の女神】は相性は良い。
まだ勝てる見込みはあると信じ、シンは命令を下す。
「【魅惑の魔物】で【銀弓の女神】を攻撃!」
「シンプルな方が分かりやすくて良い。俺も攻撃だ」
「【魅惑の魔物】の効果により、あんたのモンスターの攻撃は俺達に届かない」
「おっと、そうだった」
【魅惑の魔物】の攻撃と毒ダメージにより、16ターン後に漸く【銀弓の女神】の体力が無くなった。
他のブロックは既にバトルを終えていたが、シンとフェモラーリのバトルはここからが本番だった。
「【銀弓の女神】の効果発動」
仕留めた筈の女性型モンスターはまだ現実世界に居座り、状態異常も体力も完全回復した無傷のままで佇んでいる。
【銀弓の女神】はバトル中に一度だけ復活する効果を持ち、シンとの相性は良いが他のプレイヤーはここで絶望するのだ。
「いい加減、降伏して下さいよ。また16ターンも続けるつもりですか?」
「さっき言っただろ。負けると分かっていても本気でやるってな。俺は防御だ」
「これ以上、防御力を上げたら倍のターンがかかるじゃないですか!?」
「大歓迎! シン選手は早く終わらせないと明日のバトルに響くのかな?」
観客達のほとんどはつまらなさそうにしている。フェモラーリの熱心なファンと大会関係者だけが彼らのバトルを見守っていた。
このまま続けても時間の無駄だが、フェモラーリが続けると言っている以上、運営側は口出ししないようだった。
結局、倍のターン数をかけて【銀弓の女神】の体力を0にしたシンが勝者となった。
「Bravo!」
「……俺はあんたが嫌いだ」
「そう言うなって。Forza!」
カメラへ向ってのファンサービスを忘れないイタリア人と反対側に歩き出したシンは日本のメディア関係者からのインタビューに答え、夕食も食べずにベッドに飛び込んだ。
彼は二勝二敗で本戦一日目の全行程を終えた。
【月の小神】→【月の御子神】→【銀弓の女神】
ランク:序→破→急
カテゴリー:god
モチーフ: 貞節と月の女神 ディアーナ
効果:体力が0になっても完全回復した状態で復活する。この効果はバトル中に一度しか発動できない。
契約者:イタリア人 フェモラーリ選手




