「門限ってあった?」
町の端の方にある、のんびりとした雰囲気の染布工房。
俺はそこで、町で友達になったマイトとヘレナと共にバイトをしている。
工房のおばさんの家は、代々染物で生活してきたらしい。
フーリスト家、と言ったら誰もが一度は聞いたことあるような、無いような…。
「あ、私聞いたことある気がする!」
頭の良いヘレナ。
「俺、最近越してきたばっかであんまり知らないなー。」
知らないのは本当です。
「食べ物で有名な!?あれっ、違うか…。」
基本バカなマイト。
それぞれの反応を見て、おばさんは笑って言った。
「結構廃れてきてるからね。いくら有名でも、そのうち消えてしまうものよ。」
そうは言っているけど、俺的には消えていってほしくないと思ってる。
染めた布とか結構綺麗なんだよなぁ。
元々おばさんが織ってあった布を、俺たち三人で染めていく。
集中すると早く終わる。
作業すること、あっという間に三時間。
「こっちは終わったよー。」
藍色に染まった、柔らかな布を竿に干し終わったヘレナが言った。
「あ、俺の方も終わった。」
続いて俺も。
「ちょっ、お前ら早くね?!手伝ってくれー!」
いつも不器用なマイトである。
俺とヘレナは、そんなマイトを笑いながら手伝う…という日課(?)になっている。
いじめの笑いじゃない。
楽しさの笑いだ。
たぶん。
そこへ、バイト代の入った袋を持っておばさん登場。全てマイトの家計の物になるけど。
「あらー、今日も綺麗に染めてくれたねぇ。時間も時間だし、今日はここまで!みんなご苦労様!」
「「「お疲れさまでした~。」」」
終わった頃には、町を綺麗な夕日がオレンジ色に染めていた。
俺たちの指先は藍色に染まっていた。
──────────────
「んじゃあまたな~。」
ホクホク顔のマイトが俺とヘレナに手を降り、家へ帰っていった。お前、それはお前の金にはならないんだぞ?
マイトの姿が見えなくなると、俺はヘレナと別れようとした。
が。
「そう言えば、ラグって何処に住んでるの?」
ビクッ。
「な、何で?」
「いつもお菓子をくれるから、ラグの親にお礼とか言いたいなーと思って。」
「うち、散らかってるからまた今度ね!」
よくある言い訳である。
「あっ、ラグ───!」
何か言いかけたヘレナに振り返らず、俺は全力で走る(逃げる)。これ以上話が進展すると不味いことになりそうだし!
城に無事着いたのはいいけど、鬼のような顔のランソワおばさんが門で仁王立ちして待ってるのには無事とはいかなかった。
…目が覚めると、朝になってた。
アレ!?
帰ってきてからの記憶が…。




