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冬のごちそー①

「…寒いっすね~」


「…そうだね?…もう冬真っ盛りって感じかな?」


「私っ、寒いのは苦手でっ…こたつ様に感謝っ」


とある日の放課後、俺はいつものように部室で暇な時間をつぶしていた。今日は用事があってこれない人間が多く阿見津先輩と暦先輩、それに俺という布陣になっている。…地味にこの組み合わせは珍しく、今まで会話ひとつなかったのだ。…なんか、会話かみ合ってないような気もするが


「…この時期になったら、食べ物がすごくおいしくなる気がするよね?」


「え?それは秋の間違いじゃないっすか?実りの秋って言うくらいだし…」


「でもっ、鍋とかみかんとかおせちとかっ…この時期じゃないと食べないものもあるでしょっ?」


暦先輩があわてながらも補足を入れてくる。確かにそういわれればそんな気もするな…


「…鍋したいね?」


「鍋っすか…」


鍋と言われれば実際に俺たちは去年鍋をやっている。…闇鍋ではあるが。その時は確かかなりカオスになった記憶しかないんだよなぁ


「…3人なら、カオスにはならないと思うよ?」


そこで阿見津先輩は俺たちだけで鍋をやらないかという提案を持ちかけてきた。…確かに魅力的だが…いいのか?


「でも部室のロッカーの中にコンロあったよっ?」


気づくと暦先輩はガスコンロと鍋を出していた。…用意が早い!?


「具材に関しては横山に用意させるからっ、食べないっ?」


「別にやるのはいいっすけど…ほかのメンツはどうするんすか?」


俺のその問いに二人は顔を見合わせ、そして笑顔で


「「今回だけ、ねっ?」」


「…」


食欲が勝ったんですね、はい。こうなると拒否権はなさそうだな…



「…」


「横山っ?あとどれくらいっ?」


「もう少し待っててくださいお嬢!まだ具材が柔らかくなってないっす!」


「頑張ってねっ、横山っ!」


「はいっ!お嬢っ!!全身全霊をかけて最高の鍋を作りやす!」


横山が鍋の用意を着々と進行しているため、俺と阿見津先輩は完全に手持無沙汰だ。阿見津先輩は何回か手伝おうとしたのだが、横山に


「お嬢のご学友のお手を煩わすわけにはいかないんでさぁ!」


と言われ、現在に至っている。…暇だな


「阿見津先輩、今回はどんな鍋なんすか?」


「…うーん、ちょっと具材だけじゃあ何とも…。おいしそうなんだけどねぇ?」


阿見津先輩も首をかしげている。鍋のなかには卵や白滝とか普通の具材のほかにとりの足や玉ねぎやらがんもやら…って、なんでがんも?おでんじゃあるまいし…


「鍋ってよっぽどの事が無かったらごった煮でもOKっ!」


なんか暦先輩が胸を張ってる。…もしかして、材料は適当か?


「まぁ、あっしに精密な料理をしろってのが無理でさぁ!」


そしてなんか横山も威張ってる。…うん、大して威張るとこじゃないよな


そして数十分後、鍋が完成し蓋が開かれる。確かにごった煮ではあるが、匂いはとてもうまそうだ


「…闇鍋の時を思えば、格段の進歩だよね?」


「闇鍋とそれを比べること自体が間違いかとおもうんすけど…」


「?」


俺と阿見津先輩の会話を鍋をつつきながら暦先輩が聞いている。そういや闇鍋の回は去年だから、暦先輩は居なかったか…

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