トリック
「…むぐむぐ…」
「おつかれーっす」
「むぐっ!?…ん~っ!?」
「な、何してんだよ蜜柑」
とある日の放課後。俺はいつもと変わらず部室に来ると蜜柑が皿の上の…梨を食べていた。俺が来たのに驚いて喉につまらせている
「…ほら」
「…ぷはっ。ありがとー」
「…何で切った梨があるんだ?」
とりあえずの疑問はそこだ。…確かに今、部室の真ん中にはこたつが居座ってるんだが、普通はミカンじゃね?何で梨が…
「ん~…来たときにはあったよ?しっかり冷えてるから多分いまさっき誰かがきって置いたんだと思うけど…」
「…ん?誰だか分からないのか?部室は開いてたんだろ?」
「分からないよ。来たときから蜜柑しか居ないし…」
…鍵を持ってるのは阿見津先輩と、職員室に合鍵があった筈だ。…阿見津先輩は梨好物だったか…?ん~…
「あれ?淳先輩と蜜柑ちゃん?」
「あ、まひるん~♪」
「お疲れ~」
そこに現れたのは真昼。…手荷物を持ってないとこを見ると、最初に来たのは真昼か?
「真昼、部室に最初に来たのはお前か?」
「あ、はい。多分そうですけど…」
「じゃあ、この梨はお前が?」
俺は梨を指す。ただ、真昼は首を振って否定した
「いえ~、私じゃないですよ~?第一私は梨は別に好物じゃないですし~♪」
「…まじか」
どういう事だ?梨は冷えてたはずだろ?なら持ってきたのは…
「…お疲れさま?」
「あ、弓先輩~!お疲れさまでっす!」
そこにもう1つの鍵を持つ人物、阿見津先輩がやって来た。…こうなると、可能性は1つだな
「阿見津先輩、もしかしてこの梨、阿見津先輩が持ってきたんすか?」
「…え?」
阿見津先輩は俺が指した梨を見て、そして
「…私、梨は持ってきてないよ?…だって、今来たんだし…」
と、否定された。…
「…お兄ちゃん、なんかミステリーな感じ?」
「…さぁな」
…だが、こうなると無駄に気になる。…可能性として、他に鍵を持ってる人物がいると考えるのが妥当だろうが…そんな人、居たか?
「…まぁ、いいんじゃない?こうしてあって、蜜柑ちゃんが食べて問題ないみたいだし…」
思案顔の俺を心配したのか、阿見津先輩が声をかけてきた。…確かにそうだ。気にしたところで何も起こらないなら意味無いしな
「じゃぁ、俺たちもいただきますか?」
「…そうだね?みた感じ、まだいっぱいあるみたいだし」
そんなこんなで四人で梨を頬張る。…みずみずしくてうまいな
「ちなみに切ってあったんだよな、蜜柑」
「んん?ふぉうふぁけふぉ?」
「頬張りすぎだよ~!!」
そして大体四人で食べきった。多分二つ分くらいあったか。そして皆で駄弁ってると…
「はぁ~ぃ♪斑目先生の登場だよぉ~♪」
「…斑目先生?」
しばらく振りに顧問登場。…ん?顧問…?
「あぁっ!!!」
「??どぉしたのかなぁ~、河内君?」
「そういや、先生なら鍵持ってるんすよね、部室の…」
「当たり前ですよぉ~、ほらぁ~」
そして先生は胸ポケットから部室の鍵らしきものを取り出す。…まぁ、鍵なんだが。そうなれば…
「じ、じゃあここになった梨は…?」
「梨ぃ~?」
俺がそう聞くと、先生は間の抜けた声で聞き返した後…
「私ぃ、果物はあまり食べないよぉ?だから学校には果物は持ってこないよぉ?」
…じゃあ誰が持ってきたんだぁぁぁぁ!!!
※この後、梨は結局先生が鍵を開けて立ち去った後、憐香が持ってきたそうな。…なんてはた迷惑な…




