いざぁ、こんぺいカレー!/この二人は…
「…ではではぁ、やってまいりましたぁ♪二人で水入らずのカレー作りぃ、始めるよぉ~?」
「…カオルさん、誰に言ってるんすか。第1、カレー作りにそんなに気合いを入れなくても…」
俺たちは市場から帰ってきて、別荘の台所に材料を並べてカオルさんが号令をかけだした。…まぁ、はい。嘆息しますよ、そりゃ。…カレーに気合いを入れて作ることはあんましないし、第一やっぱり金平糖は…入れるのは躊躇うわ
「じゃあとりあえずぅ、下ごしらえを済ませなくちゃねぇ?」
「あ、はい、そうっすね」
カオルさんは取り合えずこのよく分からない意気込みを終え、早速調理に取りかかる。俺もそれを手伝いに入るが…
「…」
「…」
「……」
「……」
…無言、ただ無言。さすが基本スペックが高いだけの事はあり、カオルさんは手際良く料理が進む、まるで俺の手伝いは必要ないほどに。…だが、いつものんびりなカオルさんとはなんか違う…
「カオルさん、もしかして今日の為に料理を練習した…なんて事は無いっすよね~?」
冗談半分で聞いてみる。まぁさすがにそんな事はない…
「ぎくぅっ!?」
え!?なんかカオルさん、図星らしく身体が今びくんってしましたよ!?つかぎくうって言葉で言うなよ!?というより動揺しすぎて汗がだらだら流れてますけど!!作業が止まってますけど!!カレーのルウを入れずに野菜が必要以上に煮込まれちゃってますけど!!!
「や、やだなぁ~、そんな訳、な、ないじゃないかぁ?」
カオルさんは冷静に対応しているつもりなのだろう、いつも通り超笑顔なんだが、完全に作業が止まってるし、肩に力が入っている。…滑稽だな
「…カオルさん、ルウを入れてください。このままだと煮込み野菜スープを食すハメになるっすよ?」
「い、言われなくてもそうするよぅ!!」
カオルさんは我に返ったのか、焦りながらもルウを鍋に入れていく。…でもま、まさか練習をしていたとは…この人、意外と料理が出来ないのか?
そして数十分、とうとうカレーが出来上がるが、そういやまだ1つ忘れ物があった
「ではではぁ、あっちゅんお待たせしましたぁ♪ここで隠し味の登場でぇす♪」
そこでカオルさんはダークマター…もとい、金平糖の袋を開けた。…チョコレートと同じ原理で一粒二粒入れるパターンだろう。ほう、だとすると悪くはないか…?そしてカオルさんはその金平糖の袋を…
「だぁー♪」
「わーーっ!?何やってるんすかカオルさんっ!?」
あろうことか、そのまま袋を逆さにして金平糖と言う金平糖を全投入しやがりましたよ!?頭おかしいだろう!?全部はないだろ!!カレーの表面になんかよく分からない物体が浮いてるじゃん!!まぁ金平糖なんだけども!!そしてカオルさんは満面の笑み!!これが普通なのか!?カオルさん、恐ろしい子っ!!
「じゃあ、これで二人特製、こんぺいカレーの完成でぇす♪」
「…」
ま、楽しかったからいいか?
「…止められませんでしたね」
その頃、蜜柑とコハルは別荘を外にある茂みから監視していた。窓があいていたのでそこから中の様子が監視出来たのだ。…そう、金平糖をカレーの中に流し込む姿も。蜜柑の顔はひきつっていた
「…いや~…まさかあんなに入れるなんて思わなかったよ~…」
「やはり私のお姉さまです。容赦と言うものを知りませんわね…」
コハルは完全にやってしまった的なオーラを出している。…多分、家族だし振る舞われた事があるのだろう
「で、でも味が良ければすべてよ…」
「私は先程、おいしいなんて一言か口走りましたか?」
「…言ってないね…」
二人の顔から色が消える。まるで昨日までピンピンしてたのに今日ちょっと風邪気味で病院に行くと死亡宣告された患者みたいな感じに。…そして二人は、一度顔を見合わせ…
「「…はぁ…」」
ため息をついたのだった…




