勝負!④…仲間の為に!!
「…!!」
「終わりだな、坊主」
…放課後の教室に、生徒がヤクザに銃口を額に突きつけられているこの状況…。あまりにも普通じゃ無さすぎる。…そんな事ぼやいても現状は打破できないんだがな。弾はまだ入ってるはず、だとすると…万策尽きた。さすがにこの距離じゃ逃げても撃たれ、突っ込んでも撃たれる、どうしようもない
「…」
「…撃つのか、一般の学生を」
「坊主はもう後戻り出来ない行為をしている。その時点で撃たずしてどうする」
「…ここで撃ったところで、暦先輩の気持ちは変わらない、絶対にな」
俺が撃たれたとなれば、多分間違いなく横山は殺される。…ブラック暦の時はまるで人じゃないようなオーラを放ってるからな
だが、そんな脅しを吐く余裕もない。一歩間違えば脳天を撃ち抜かれ即死。…死を感じるだけで、こんなにも動けなくなるもんかよ…
「坊主の勇気は誉めるに値するが…相手を違えたな」
「そうかも知れねぇな。だけど時間は稼げたし…何より、お前を負かせるには、お前を倒す必要はないからなっ!」
「!?」
俺はそのまま銃に頭突きを食らわす。横山はまさかの行動だったのか、銃口がそれる。…よしっ
「…逃げるっ!」
「!!ちぃっ!」
…俺が横山に背を向け走る。額から血が流れてるが知ったこっちゃない。出口はすぐだ。構えが間に合うわけが…
「行かせんっ!!」
「!!っが…っ!!」
銃が、火を吹いた
横山の体勢を建て直す方が早かった
俺は、直撃は免れたものの肩口をかすめ、身体がそのままドアに叩きつけられる
「…いってぇ…」
「…喜べ坊主、弾切れだ」
横山は銃を懐にしまい、俺に近寄ってくる。…この状況、喜べないっての…
「残念だな坊主、皆の生還が勝利条件だとか言っていたが、それは無理そうだな」
「…勝手に…決めんなっつの…」
虚勢を張るが、正直自分自身きついのは分かってる。…肩口、血が滲んでやがる…立ち上がれねぇっ…
「ふんっ!!」
横山はそんな俺の腹に蹴りをかましてくる
「っげはっ!?」
「これが、暴力団だ。やるときは最後までな」
「…んだとっ…がっ!!?」
さらに一撃、二撃と俺に蹴りが見舞われる。俺はなすすべもなく蹴られ、意識が朦朧としてくる。…やっべ…
「…っぐ…」
「早く楽になれ、それがお前の為だ」
「…この部に来てから、楽出来た事なんかねぇ…だから、今回も簡単に楽になるかよ…」
なんだろこれ、俺、主人公みたいだな。だけど次もらったらさすがに意識が飛ぶ、間違いない
だが、そんなのを考慮してくれるわけもなく、横山はまた構える。…もっとのんびりな感じだったよな、最近は…ちくしょう…
「じゃあな坊主っ!!」
「っ!?
最後の一撃が俺に来る。俺は覚悟を決めた、その時
「だぁぁぁらっしゃぁぁあっ!!」
「っ!?ぬぁぁああっ!?」
「…!!?」
唸る女子の声、すさまじい音、苦しむ横山の声…
俺が目を開けると、そこには倒れた横山と…
「…何で行かないんすか、先輩…」
「…仲間、守るのは当たり前だ」
…暦先輩が居た。暦先輩が横山を一発KOしたのだ。…恐るべし、暦居都留、いや、巽御劔…か
「…皆も来てる」
「…は?」
なんとか身体を入り口側に向けると、そこにはさっき暦先輩と一緒に逃がした皆も居た。…こいつら…
「あっつん、一人だけ格好つけようったってダメだからねっ!!ショー部は仲間を大事にするんだから、皆で解決するの!!これも勝負なんだからね!!」
風が声をかけてくる。…確かにその通りかもな…
「…玲羅さん、愛羅さん。保健室行って救護箱を」
「了解であります、部長!!」
「…はい」
「…すんませんっす、本当に迷惑かけました」
「…皆無事なら万事OKだよ?」
「それを言うなら私だな。私は、皆に謝らなきゃならない」
暦先輩がもう1つの顔…巽御劔として、皆に頭を下げた。自分が暴力団の組長であること、そしてそれが今回の事件の現況であること…だが、そんな暦先輩とは裏腹に、皆は笑顔だった。…こんな出来事、普通じゃ体験できないからだろう
「…皆、気にしてないよ?貴女は私たちの中では暦居都留って言う女の子。それ以上でもそれ以下でもないよ?」
阿見津先輩の言葉に頷く一同。それを見た暦先輩は目から一杯涙を流していた。ただそれは悔し涙では泣く、喜びの涙だった…
…俺、殴られ損か?




