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描かれる物語①朝野風との出会い

「…君、転校生だよね!」


「…そうだけど」


「私、朝野風って言うの!!良かったら、私と友達になろ?」


「…は?」


…俺と風の出会いは、小学校一年の時、俺がこの希望町に引っ越しをすることにより生まれた。彼女はこのクラスの委員長をやっていて、義務のように俺に話しかけてきた。…当時の俺からすると、かなり煩わしかったんだが…


「ねーねー、まえの町はどんなとこ?おっきい?」


「…」


「河内くんは何をするのが好きなの?」


「…」


「ねーねー」


「うるさいな…話しかけるなよ!」


「!?」


今考えると、こん時の俺はあまりにも神経質過ぎた。まえの学校で女子とあまりにもうまく行かず、転校した俺にとって女子に話しかけられるのがとても怖かったのだ


「…き、今日はごきげんナナメなのかな?で、でも明日は話そうね?」


「…?」


ただ、俺が怒鳴り散らしても風は俺から距離を取ろうとしなかった。次の日も、またその次の日も、風は俺に散々に言われながらも話しかけてきた


そして、俺が転校してきてから1ヶ月が経ったある日…


「ねーねー河内くん、今日は一緒に帰ろう?」


「…本当にしつこいな、お前は。いくら家が隣でも、俺は…」


「ちょっと、河内くん!」


「…なんだよ」


いつも通り、風が俺に話しかけている時だった。複数の女子が俺を囲み、風を俺から引き剥がす。…凄く険悪な雰囲気だった


「み、皆!?なにをするの!?」


風が叫ぶ中、女子の一人が…手に持っていた黒板消しを俺の顔に投げつけた


「っつ!!」


「あのさぁ、ナマイキだよ、君。何?自分はエライの?チョーシのるな!」


「やめて!河内くんをいじめないで!」


「やめないよ!チョーシ乗ってるやつはこうしないとダメなの!」


「…!!」


さらに攻撃を加える女子たち。俺はその時に手を出そうと思えば出せた。俺は別に困らない。だけど…


「やめてよっ!!河内くんは悪くないよっ!!」


…風だけは、俺をかばってくれた。女子たちに押さえられながらも、ずっと叫んでいる、俺は悪くない、と…


「…まぁ、風ちゃんがそんだけいうからやめてあげる。だけど、これにこりてもうチョーシにのらないでよっ!!」


やるだけやった女子はそのまま教室を出ていく。その場に残ったのはチョークの粉まみれになった俺と、それを払おうとする風だけになった。…風の目には、涙で溢れていた


「河内くんっ!だいじょう…」


「さわるな」


その手を俺は押さえる。…触れて欲しくなかった。こうなったのは自分のせいなのに、これ以上悲しませたくない。そんな気がした


「…河内、くん…」


「…ごめん、俺が悪いんだ。俺が、君につらい思いをさせたから」


「で、でも!!皆ひどいよ!!こんなにいじめるなんて…」


「…皆、悪くないよ。朝野さんが大事だから…」


「私、分からない!!河内くんをいじめるの!!」


風は目から涙を流しながら、俺に掴みかかり、無理矢理でも払おうとする


「…やめろって!こんなとこ、見られたらまた俺は…」


「だったら私も苛められる!!」


…風のこの言葉で俺の思考が止まった。…今思えば、こう言われたから、今風とこうして幼馴染みみたいなことをやってるのかもな


「…意味わかんねぇ」


「私も分からないよ!でも、河内くんがいじめられるなら私も!」


「なんでそうなるんだよ。いじめられるって痛いんだぞ!」


「痛くてもいい!だって河内くんは…」


「言いわけない…」


そして風は、涙を溢れさせながら俺の言葉を遮り、言った


「河内くんは、私の友だちだから!!」


「…とも、だち?」


「友だち!だから一緒にいじめられるの!二人ならがんばれると思うから!」


「…」


これが、俺と風の…出会いだ。そして今に至る経緯だ。これを真っ白の本に記すと…本が輝きだした


「!!?」


そして、その本の輝きが失せると…、手元から本は消えていた


「…本は?」


辺りを探すが、どこにも見当たらない。カーテンを少し開けると知らぬ間に夜になっていて…


「…おにーちゃん!!起きた!?」


と、俺の部屋を蜜柑がノックしてきた。…いつの間に帰ってきた?それにいつの間に夜に…


「あぁ、起きたよ」


俺はドアを開け、蜜柑に顔を見せる。蜜柑は随分ご立腹なようで、俺の脛を地味に蹴ってくる


「早くご飯作ってよ!!」


「あぁ、分かった分かった。今日はカレーにするか?」


「ほんと!?チーズ乗せてくれる!?」


「確かあったからいい。今日は少し贅沢して唐揚げも揚げて入れるか?」


「やたーっ♪」


そしてご機嫌なまま台所に向かう蜜柑。…ま、いいか


そして俺はとりあえずその疑問を頭の中にしまい、俺もカレーを作りに台所に行くのであった…


その頃、風も自分の部屋で同じような事を思い出していた。…誰かを羨むように…


「…あっつん、覚えてるよね?私があの時に言った言葉…。私、ずっとあっつんの友達で幼馴染みだよ…」

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