第13話 バズってるでござる
翌日
ギルド前は、
朝から異様な熱気に包まれていた
「シロ様だぁぁぁ!!」
「今日もモフらせてくれぇ!!」
「毛並み神!!」
完全に人だかりだった
シロは、
嬉しそうに尻尾を振っている
モフッ
「ぐはぁっ……癒される……」
冒険者が崩れ落ちた
「もう依頼とかどうでもいい……」
「働きたくねぇ……」
「終わってるでござるなぁ」
モブ彦が感心する
リリアは頭を抱えた
「原因の片割れが他人事みたいに言わないでください」
その時だった
屋台の店主が叫ぶ
「神獣饅頭売れてるぞー!!」
「シロクッキー完売しましたー!!」
「経済回ってるでござるなぁ」
「嫌な方向にですけどね!!」
完全に祭り状態だった
モブ彦は、
その光景を見回しながら頷く
「これは完全にバズってるでござるなぁ」
ピシッ
リリアが止まった
ゆっくり振り返る
「モブ彦さん」
「なんでござる?」
「いい加減にしてください」
ゴォォォォォォッ!!!!
紫色の魔力が、
街中へ広がっていく
「禁呪ですよ!!」
「またでござるか?」
「いつもいつも!!
簡単に禁呪化しすぎなんです!!」
その瞬間だった
「白い神獣見たって誰かに言いてぇ!!」
「隣町にも知らせろ!!」
「今すぐ広めろぉ!!」
街中の人間が、
一斉に騒ぎ始める
門兵達まで、
慌てて走り出した
「伝令飛ばせ!!」
「神獣出現情報だ!!」
「だからダメなんですよぉ!!」
リリアが絶叫する
「《バズる》は拡散系禁呪です!!」
「周囲へ共有衝動を感染させ、
情報や存在を異常速度で拡散させる危険禁術なんですよ!!」
「SNSでござるなぁ」
「だからその概念を持ち込まないでください!!」
その頃にはもう、
街の外へまで人が走っていた
「白い神獣が現れたぞー!!」
「モフモフだぞー!!」
なんか途中からズレていた
リリアは、
遠い目をする
「終わりました……」
「何がでござる?」
「情報統制です」
シロは、
そんな騒動など気にもせず
モフッ……
子供達へ頭を擦り付けていた
「かわいい〜!!」
「シロ様〜!!」
完全にアイドルだった
その時
リリアの腰の通信魔導具が光る
ピピピピッ!!
「……っ」
リリアの顔色が変わった
「どうしたでござる?」
通信を聞いた瞬間、
リリアが固まる
「……隣町に、
もう噂が届いてます」
「早いでござるなぁ」
「あなたのせいです!!」
さらに通信は続く
「え……?
王都まで……?」
リリアが青ざめた
その頃
遠く離れた聖教国家ニム
巨大な神殿の中
一人の少女が、
報告書を見つめていた
銀髪
蒼い瞳
聖女だった
「白銀の神獣……?」
静かな声が響く
神官が頭を下げる
「はい
現在確認されている個体とは別に、
新たな神獣反応が……」
聖女の表情が曇る
「あり得ません」
ページをめくる
そこに刻まれていたのは、
赤黒い封印印
《世界崩壊認定危険存在》
その下に記されていた名
《漆黒の堕天使✝︎ルシファー✝︎》
聖女の顔色が変わる
「……なぜ」
「なぜ、
伝承級禁呪存在が現世に……?」




