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第26話 250階層・フロアボス雷幻馬(キリン)


 我はスザク。

 陽光の忠実なる守護獣ピヨップ。


 現在、我は1匹だけで旧友もとへとやって来たんだピヨ。



【お久しぶりですぅ。スザク様、お元気そうでなによりですぅ】


〖うむピヨ。キリンも無事に再生してて良かったピヨップ〗


【それでぇ、今回はどうされたんです? わざわざ最終階層のスザク様が、わっちの所に来るなんて珍しいですねぇ】


〖……それについて相談するためにやって来たんだピヨップ〗


【相談~? なにかあったんですかぁ?】


 我は今現在の我の立場と目的を、包み隠さずキリンに説明したピヨ。


〖ピヨピヨ……どうだピヨ? キリンよ、我と一緒に渋谷ダンジョンから出て外の世界を見てみないかピヨップ!〗


【キュウウゥ……外の世界ですかぁ。魅力的なお話だとは思いますけどぉ、それってダンジョンが怒ったりしませんかぁ? それに誰かの守護獣にならないと、モンスターであるわっちは外の世界では行動できませんよねぇ? その超優良物件のよって人はスザク様がキープしてるんでしょう?】


〖ピヨ、そこら辺は心配ないピヨップ。陽光のストーカーである小娘に付けばいいピヨップ。あいつの実家は太いとか、毎フロアごとに我に自慢してくる自称金持ちピヨップからな〗


【……そんなストーカーを可愛い元部下にあてがおうとしないで下さいよぉ。スザク様】


〖でも、悪い話ではないピヨップ。まだまだ幼女のキリンも外の世界を知って、大きく成長できるピヨよ〗


【幼女って、スザク様もまだまだクソガキじゃないですかぁ!】


〖ピヨ~? 誰がクソガキピヨップか! 我は貴様よりは長生きしている年上ピヨ〜!〗


【ほら、挑発したらすぐに怒るぅ〜! そういうところが子供のままだって言ってるんですよぉ】


〖なんだとピヨップ〜!〗


 こいつ〜! 昔から生意気だったピヨが、再生してもっと生意気になってるピヨップ!


【はぁ〜! 久しぶりのスザク様との会話楽しいですねぇ。懐かしいですぅ】


〖……それなら、我と一緒に渋谷ダンジョンを踏破するピヨ。外の世界はきっと楽しいピヨップヨ!〗


【それはすごくすごく魅力的な話なんですけどぉ。スザク様は現実が見えてませんねぇ】


〖現実ピヨ?〗


【はい。……100階層、200階層は上手くクリアしたみたいですけど、五大厄災の残りのお三方をどうやってクリアする気なんですかぁ?】







「会話は弾んでいるようですわね」


「ピヨピヨとキュウキュウしか聞こえないから、なにを言っているのか分からないのが可愛らしいわね。クスクス」


 宵宮さんとアリアは、モニター越しにスザクたちのやり取りを眺めている。


「……雷幻馬キリン。か。今の弱い状態で戦いたくはないかな」


 雷幻馬キリンはとくに強いというより、本当にすばしっこい。


 走るだけなら、渋谷ダンジョンのモンスターの中でもトップクラスのモンスター。


 戦闘が始まって、追いかけっこが始まってしまったら、倒すのにとんでもない時間がかかる。


「……魔道車の中まで誘い込めれば閉じ込められるから、後は倒すだけなんだけどね」


「あの雛鳥は、絶対にやらかしますわ。日頃のだらしない姿を見ていれば確信が持てますの」


「いや〜! あれでスザクちゃんは、やる時はやる時不死鳥フェニックスだから分からないわよ。案外、キリンちゃんを仲間にするかもしれないわ。クスクス」


「仲間ですの?……いえ、モンスターを「調伏」できればそれはできますけど。雷幻馬キリンは雛鳥のお友達なのですよね? 騒がしい方がまた増えますの?」


「ん〜!……キリンちゃんは大人しい娘よ。やんちゃなところはあるけどね」


 宵宮さんたちのトークは続いている。


 ……改めて思うけど。アリアが、このパーティーに加入してくれて良かったと思っている。


 俺は男だしスザクは性別不明なので、女の子のアリアが加入してくれたおかげで、宵宮さんが女子トークできる娘ができたことで、彼女のストレスが少しでも軽減されるからだ。


「仲間か……今、3人と1匹。できれば前衛にタンク役も欲しいけど、渋谷ダンジョンで仲間にできる方法はアリスドール以外ないんだよな」


 渋谷ダンジョン攻略もいよいよ折り返し地点。戦力が後1人足りない。


「雛鳥が戻って来ましたわ!」


「……隣に雷幻馬キリンを引き連れているわね。誘い込めたのかしら? クスクス」


 モニターには、雷幻馬キリンの姿に「物真似」したスザクと……


『ピヨ〜! 連れてきたピヨップ〜! この扉を開けてほしいピヨ〜! 陽光〜!』

【………………キュウウゥ】


 どうやら、連れて来ることには成功したみたいだ。


「……どうしますか? 天照さん」


「……キリンちゃんのあの目。なんだか怪しいわよ。マスター」


「うん。分かってる……宵宮さんは俺と一緒に来て、アリアは雷幻馬キリンに見つからないよう隠れて、もしも俺たちになにかあったら、援護してくれるかな」


「了解ですわ!」

「………了解よ。気をつけて会いなさい。フロアボスは階層支配者と違って理知的ではないからね。クスクス……油断大敵ね」


 魔道車の扉を見つめる雷幻馬キリンが居た。


 作戦は成功しそうだけど、なにか様子がおかしい。





【………………キュウ】


「相変わらず、可愛らしく美しいですわね。まるで私の天照さんのようですわ」


 魔道車の中に入って来た雷幻馬キリンは、宵宮さんの娘とを、ジーッと観察している。


「え? 勧誘したの?」


〖ピヨ。そうなんだピヨップ。キリンとは昔から知り合いだったから、仲間にならないか誘ってみたんだピヨ〗


 これはまた斜め上な展開になったもので、たしかに今後のことを考えると《《今はとにかく仲間は欲しい》》。


「でもやっぱり、ただで仲間になってくれるわけじゃないんでしょう?」


〖ピヨ……そいうことピヨな。キリンと戦って、キリンの角を折ることができれば、小娘に従うって言ってたピヨップ〗 


「宵宮さんに?……あぁ、守護獣化するってことね」


〖そうなんだピヨップ!〗


 話の流れはなんとなく分かった。

 雷幻馬キリンは機動力が高いし、使える魔法も雷魔法で、水属性魔法が得意な宵宮さんと組めば強い。


 なにより雷幻馬キリンは、まだまだ幼子で今後強くなっていくとスザクは言っていた。


「いいね。それじゃあ、やり合おうか」


【!………キュウウゥ!!……〈雷疾走〉】


「はい!? 私にですの? 〈風壁ウィンドウォール〉」



 判断が早い。

 俺が戦うと言った途端に、広範囲な雷撃を開始した。


「しかも……〈土盾アース・ディフェンス〉」


【ルオオオオオ!!! 〈雷加速〉】


バキンッ!!


「次の攻撃もちゃんと考えて動いている」

〖ピギャアアア!! 雷撃が我の身体にクリティカルヒットしたピヨ〜! 全身痺れピヨピヨ〜!〗


 しまった、スザクを守るのを忘れていた。


 ちなみに今居る魔道車の部屋は、戦闘訓練用の練習場で、魔法やスキル耐性がある特殊な部屋だったりする。


【………………〈雷暴風〉】 


〖やれピヨ! キリン! 小娘に電撃マッサージを喰らわせてやるんだピヨップ!〗

「お黙りなさい。雛鳥! また私ですの? 〈光弾ライトボール〉」


【キュウ!?……キュァ……】


「上手い、目眩めくらましに光魔法を使った」

【逃げるピヨップ! キリン! 小娘が近づいて来てるピヨ。殺す気だピヨ〜!】


 ……スザクはどっちの味方なんだろう。



【キュウキュウ!!】


「このっ! バキッと折って差し上げますわ! 〈風拳ウィンドナックル〉」


バキンッ!!!!


 練習場にキリンの角が折れる音が響き渡った。


「や、やりましたわっ!」


【…………キュウ。簡単に折られるとは思わなかったぁ。これからよろしくね。ご主人様。………キュウウウ!!】


 キリンの身体が雷光に包まれて、宵宮さんに向かっていく。


「へぁ!? 私の中に入って来ますのおぉ!?……と思ったら、キリンさんがいませ……装飾品エンブレムですの?」


【キュウ!】


「おめでとう、宵宮さん。キリンが宵宮さんを主と認めてくれたみたいだね」


「天照さん! こ、この装飾品エンブレムがキリンなんですの?」


「う、うん。モンスターが守護獣化して、顕現していると莫大な魔力を主人から与えられないと姿を維持できないからね。多分だけど、キリンは普段は装飾品エンブレムとして過ごすんじゃないかな?」


「な、なるほどですわ!……あら? それでは何故、あの雛鳥は常時顕現してるのでしょう?」


「……さぁ? それはスザクだからかな?」


 宵宮さんと俺はスザクを見つめた。


〖ピヨピヨピヨピヨピヨピヨ〜! やったピヨ〜! これで戦力が増えて、我も楽になるピヨ〜! ピヨピヨピヨピヨピヨピヨ〜!〗


「クスクス……やだ〜! スザクちゃん。相変わらず変な踊りね〜! クスクス」


天照あまてらす陽光ようこう

レベル797

エクストラスキル 陽ノ神楽 天照剣術(免許皆伝) 鳴神自在 異空生活

スキル 模倣 心眼 業物 瞬動 調伏(初級)

火魔法(特級)雷魔法(上級)

土魔法(初級)


宵宮よいみやカノン

レベル791

エクストラスキル 豊穣ノ知 良妻賢母 最愛慈愛

スキル 福音 補助 天幕 結界 

水魔法(特級)風魔法(上級)

光魔法(初級)

回復魔法(特級)

守護獣・雷幻馬キリン


人魚のアリア(アリスドール)

レベル71


スキル 加護

魔法 天照と宵宮の魔法の上級者魔法まで使用可能


スザク(不死鳥フェニックスの雛鳥)

レベル8

スキル 隠密 物真似ものまね 治癒 変身


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