第25話 チート級・超大型特殊魔道車
現在、渋谷ダンジョン225階と226階層間の安全地帯。
【おっやまぁ〜! 旦那さんたち。その娘、アリスドールなのね? 完成させたのね? すごいじゃないのね〜!】
【あんらまぁ、本当なのね。完成したアリスドールなのね。初めて見たの〜ね! すごいの~ね!】
【素晴らしいのね〜! 旦那さん。沢山沢山頑張ったのね。偉いのね〜!】
不思議存在のお褒めの言葉がすごい。
【アリスドールを見事に完成させた旦那たちには、ダンジョンから素敵なプレゼントを贈呈するのね】
【四輪駆動の魔道車「SHIBUYA」をプレゼントするのね。大切に乗ってなのね】
【水陸両用、地底もスイスイ、あらゆる魔法、スキル、環境耐性モリモリの特級魔道車なのよね〜!】
「……これは、すごい世界最高水準の魔法、機械、科学の技術が使われてる。まるで現代のノアの方舟みたいだ。チートアイテム過ぎる」
……アリスドールを完成させると、こんなイベントが起きるなんて知らなかった。
【【【アリスドールを完成させてくれて、ありがとうなのね〜!】】】
こうして、俺たちはお金を掛けることなく、世界最高水準の魔道車を手に入れた。
「………大きい魔道車ですわね。実家の魔道車でも、ここまで大きいのは見たことがありませんわ」
「昔から渋谷ダンジョンのことは調べ尽くしたと思ってたんだけどね。まさか、アリスドールを《《完璧》》に直すことで、魔道車が貰えるなんて、ダンジョン探索者としては興奮が収まらないよ」
大きさはだいたい、全長100メートル位の特殊な超重量トレーラーみたいな形と構造をしているかな。
「クスクス、マスターはなんで興奮しているのかしらね? スザクちゃん。サブマスターと、今夜お盛んなのかしら? クスクス」
〖……とんでもない発言するんじゃないピヨップ、アリア。陽光はともかく…………あの小娘ならやりかねないピヨップ。淫乱小娘は、いつも陽光のことしか考えてないからピヨな〗
「へ〜! あの二人ってそういう仲なのね。……いいわね。人間の純愛、素敵よ」
〖………小娘の一方的な狂った恋心を純愛とは言わないピヨ……〗
◇
次の日。
「異空生活」の中に格納庫に収納していた魔道車「SHIBUYA」をダンジョン内に出して、車内へと入ってみた。
「操作はだいたい魔道潜水艦と変わらないね。動力源も「魔力玉」1つで一ヶ月は保てるって、不思議存在がくれたマニュアルに書いてある。すごいエコだね」
「あの方たちの一周目のダンジョン攻略とは、全然対応が違いますわね。不思議存在さんたちと仲良くするだけで、ダンジョンの攻略難易度がすごく下がりますもの」
「まぁ、普通の探索者は不思議存在を軽視するからね。悪質な探索者だと、不思議存在を道具のようにしか思っていない人たちもいるし。……だから人類が七大ダンジョン踏破は遅れるばかりなんだよね」
そう、探索者のダンジョン踏破は遅い。世界七大ダンジョンの1つ「渋谷ダンジョン」をようやくクリアできただけなんだ。
「……? 天照さん」
「あ、ごめん。少し考え事してた。……発進させてみようか」
ハンドルを握っていざ発進。
超大型魔道車が動き出した。
ドゴオオオオンン!!
【ピギャ?……ギ、ギャアアア!!】
〖ピコンッ! タラタタッタタッタラ〜!〗
す、すごい。
どんなに斜面が酷い溪谷でもスムーズに進めるし、魔道車に轢かれて押し潰されたモンスターは倒した扱いで経験値になっていく。
「なんて楽なレベルアップなんだろう。このまま、転移門に進みながらレアアイテムを回収していこう」
「了解ですわ。暇なのでお茶を淹れてきますわ」
「うん、ありがとう。宵宮さん」
この魔道車内には、とても広い居住スペースが完備されているんだ。台所や運動場なんかもあるスーパーカーなんだ。
「……ねえ? アリアのレベルが勝手に上がっていくのよ。スザクちゃん。マスターたちって、いつもこんなズルをしてダンジョン攻略してるの?」
〖こ、今回はたまたまピヨ。普段はもっと大変ピヨップ。た、多分、フロアボスを倒す時は苦戦するピヨヨ〜!〗
こうして俺たちは順調に階層を進んで行く。
◇
「モンスターを引き寄せる「誘いの指輪」をつけながら、魔道車に近づいてくれるのは本当に助かるね。自動運転もできるし、魔道車は本当にすごいや」
「その空いた時間にスキルの鍛練もできますし。ちゃんとした設備で長旅の疲れもすっかり取れましたわ」
「フロアボスも轢いたら一撃で倒せるからね。おかげで300階層以降からのダンジョン攻略についての作戦も立てられた。不思議存在サマサマだ。……とか言って油断はしちゃだね」
最近はずっと暇している。
なにせ魔道車内が快適過ぎるんだ。……いや、油断はしてないけどね。ちゃんと厳しい鍛練はしている。
「……そうですわね。250階層のフロアボスは、流石に魔道車で戦うのは不利ですわね。あのすばしっこい雷幻馬に対しては、皆で囲まないと倒せませんもの」
「雷幻馬か。……たしか1度目の攻略の時、アキラたちと組んで戦っても、倒すのに5日もかかったんだよね」
「はい。とにかく雷幻馬の機動力は翻弄されたのを覚えておりますわ。今の私たちは以前よりも相当弱いですので、捕らえて戦いに持ち込めるか少し不安ですわ」
「すばしっこいか。…………! それなら、この魔道車内に誘い込むっていうのはどうかな?」
「誘い込むですか? なにかいいお考えでもありますの?」
「……うん。それはさ」
俺は思いついた対雷幻馬ようの作戦を宵宮さんに話した。
「まぁ、そんなことがっ!」
「……うん。これなら上手くいくと思うんだよね」
「えぇ、必ずそれでいけますわ。流石、天照さんですわ〜!」
数日後、俺たちは渋谷ダンジョンのちょうど半分250階層へと辿り着いたんだ。
◇
【キュウ……ルオオオオオ!!!】
フロアボス雷幻馬。
全身が銀色の毛並みに覆われて、身体には常に雷を帯びている。
渋谷ダンジョン内のフロアボスの中でも、スピードにおいては一番のモンスターと言われている。
〖キュウ……ピヨピヨピヨピヨ〜! ピヨップ!〗
【!……キュウウゥ!!】
そんな最速の脚を持つ雷幻馬の前に、同じ姿をした仲間(スザクの物真似)が突然現れた。
〖ピ、ピヨ?……ピーピヨピヨ!!〗
【キュウウゥオオ?……ルオオオオオ!!】
〖ピピピ?……ピヨピヨ〗
スザクと雷幻馬がなにか会話をしている?
一応、スザクには魔道車にあった小型通信機(魔力で動く)を付けておいたから、映像は見えるんだけど。
いったい何を話しているんだろう?
モニタ越しに見ているだけだと細かい所まで分からないや。
「普段、扇子でセンスの無い踊りを踊っているだけの穀潰しですの。今日という今日は私たちの役に立つのですよ。雛鳥」
「………サブマスター、スザクちゃんが居ないのをいいことに、本音をぶちかましちゃ駄目よ。クスクス」
「スザクの「物真似」スキルを使っての魔道車への誘導。試しにやってみたけど、なんか上手くいきそうだね」
俺はスザクを信じて、雷幻馬が魔道車内に入って来るのを見守った。
◇
天照陽光
レベル775
エクストラスキル 陽ノ神楽 天照剣術(免許皆伝) 鳴神自在 異空生活
スキル 模倣 心眼 業物 瞬動 調伏(初級)
火魔法(特級)雷魔法(上級)
土魔法(初級)
宵宮カノン
レベル771
エクストラスキル 豊穣ノ知 良妻賢母 最愛慈愛
スキル 福音 補助 天幕 結界
水魔法(特級)風魔法(上級)
光魔法(初級)
回復魔法(特級)
人魚のアリア(アリスドール)
レベル61
スキル 加護
魔法 天照と宵宮の魔法の上級者魔法まで使用可能
スザク(不死鳥の雛鳥)
レベル8
スキル 隠密 物真似 治癒 変身
◇




