第19話 浜辺からダンジョン海底へ
139階層まで、一気に駆け上がり。
現在、浜辺エリア最後の140階層
フロアボス「海辺の番人オール」と戦っている最中なんだけど………
【ゲヒヒヒ!! 良い女! 良い女!】
「目線が気持ち悪いですわ」
〖海パン一丁の変態だから、見た目もきついピヨップ!〗
この敵、宵宮さんのことばかり見て下卑た笑みを浮かべている。
その光景を見ていると、ものすごく腹が立つんだよね。
「………〈稲妻爆撃〉」
【オギャアアアアアア!!!】
俺が今放てる雷属性で一番強い魔法を敵へと放って、再起不能にした。
モンスターだから、そのうちダンジョン内で復活するだろうし。容赦なく倒したよ。
「………す、すごい攻撃ですわ。流石、天照さん」
〖………一撃で黒焦げピヨップ。陽光の表情が怖いピヨ〗
宵宮さんとスザク若干引いている。
だって、あのモンスターは宵宮さんをよこしまな目で見てるんだもの。仕方ないじゃないか。
その後、俺たちは安全地帯で、これまで手に入れたドロップアイテムや隠し財宝を売って、《《海底移動用の魔道潜水艦を購入した》》。
【沢山お宝を売ってくれて感謝感激なのね〜! お礼に「アリスドールの胴体」と大量に在庫に抱えていた「魔力玉」をプレゼントしちゃうのね〜! 毎度ありなのね〜!】
アリスシリーズの身体のパーツもだいぶ揃ってきてる。もう少しで完成しそうだね。
「…………海底用の装備品が可愛くありませんわ。これでは天照さんに水着をお見せできませんわ。ですが、これは天照さんからの贈り物。「温もり」、そして「愛情」のプレゼントですわ。大切に致しますの」
〖ピヨピヨピヨピヨ!!! 大爆笑ピヨッ! まるで雪国の雨傘ピヨップ! 小娘の海底防具姿、素敵過ぎるピヨヨ!! グエップ!?〗
「お黙りなさい! 貴方も大概でしょう。全身黒色で覆われているのですから」
〖止めるピヨッ! 我の中の身が出ちゃうピヨ!〗
ちなみに俺もダンジョン海底では、海底防具を着用する。
見た目はすごく地味で可愛くもかっこいいわけでもないので、宵宮さんが着るのを躊躇うのも分かる。
それでも海底防具を着ていないと、海底エリアでの身動きも制限されるし、まともに戦えない。
それにこれから繰り広げられる海底戦での戦いを優位に進めるために、地道にお金を貯めて買った魔道潜水艦がもしも壊れたりしたら、泳いで海底エリアを移動することになるしね。
海底防具は、俺たちが海の中で生きるための必須装備なんだ。
その日は安全地帯で一晩泊まり、今後の作戦を皆で話し合った。
◇◇◇
翌日、141階層の浜辺に到着。
海底エリアへと足を踏み入れるため、「巾着袋」に収納していた"魔道潜水艦"を取り出し、海底へと通じるダンジョンの海へと浮かせた。
魔道潜水艦の見た目は、全長30メートル位の中型艦。これまでコツコツと隠し財宝を集めてきたかいがあって、140階層安全地帯で一番高い物を買えた。
ちなみに「探索者免許」を所持していればダンジョン外、つまり外の世界でも普通に海で乗ることができる。
動力源は不思議存在から大量に押し付けられた「魔力玉」。
彼らは危険なダンジョン内へと決して外出しない謎存在なので、「魔力玉」を持っていても使い道がないため、大量に貰えてラッキーだったね。
本当は、ダンジョンの海底エリアで自力で探さないといけないんだけど、相場が高い魔道潜水艦を購入することで、不思議存在から「魔力玉」を貰えるのを、渋谷ダンジョン450階にある「新緑の大図書館」で知ったため、ダンジョン攻略最序盤から金策には細心の注意を払っていたんだ。
「天照さん、準備完了ですの?」
ムニっと宵宮さんが背中に押し付けながら抱き付いてくる。
いきなり何してるの? この人。
「……宵宮さん。当たってるんだけど。それと海底防具脱いじゃ駄目だよ。これから海底に潜るんだからさ」
「当ててるんですの。そして、水着を天照さんに見てほしかったんですわ」
何を言ってるんだ。この人。
「そうなんだ。それじゃあ、海底の旅に出発しようね。それと海底防具ちゃんと着ようね。良い子だからさ」
「むぅっ! 天照さんに、私の水着姿を褒めてほしいんです。褒めて下さい! 天照さん」
「あ、うん。ダンジョン攻略が終わって、地上に出れたらね〜! それじゃあ、魔道潜水艦に乗り込もうね。宵宮さん」
俺は「巾着袋」から取り出した予備の海底防具を宵宮さんに無理やり着せると、おんぶして魔道潜水艦へと乗り込んだ。
……それにしても、最近の宵宮さんは俺に甘えたがる傾向がある。
いや、仲良くしてくれるのは良いんだけどコミュニケーションに身体の密着が増えたような気がするんだよ。嬉しいけどさ。
「天照さん。もっと私を見て下さいまし〜!」
「はいはい。いつも、宵宮さんの安全のことしか考えてないから安心してね。相棒さん」
「そうではありませんわ。女として、私をもっと見て下さいまし〜!」
〖…………陽光。流石に、その返しは小娘が可哀想ピヨ。…………ふぅ〜! やれやれピヨップ。見てられないピヨな。小娘ともダンジョン内で、もう一ヶ月も一緒に過ごした中ピヨ。恋のアシストをしてやるしかないピヨピヨ〜!〗
スザクが何か言ってる。気になるな……宵宮さんと俺のことかな? 彼女への接し方が冷たく見えたりしたのかもしれない。
でも、今はダンジョン攻略中なんだ。
油断してられない。常に緊張感を持って行動しないと。……とか思ってっるけど。俺、80階で大量の鼻血を出して意識失ってたんだね。
あれはちょっと宵宮さんが魅力的過ぎて油断してたな────
「ごめん、宵宮さん。渋谷ダンジョンのことが終わったら、俺ができる範囲で言うことを聞いてあげるからさ。……今はさ色々と我慢してね」
「天照さん! そんな! 私と渋谷ダンジョンを出たら結婚したいだなんて。はい! ぜひ、結婚式はイギリスの「湖畔のヴィラ」で行いましょう。嬉しいわ!」
「……あ、あれ? 俺、結婚式なんて一言も言ってないんだけどな。俺の聞き違いかな? ハハハ」
宵宮さんが誰かに甘えたがるのは分かる。
長期間ダンジョン内に居ると気が狂ってくる。
だから、これからは慎重に行動して宵宮さんを無事に渋谷ダンジョンから脱出させてあげなければならないんだ。
とくにこの渋谷ダンジョンの階層は長く険しい。
慎重に、だけど早く上って行こう。
◇
141階層からは、海の海底探索になる。
魔道潜水艦で転移門を探し当てて、どんどん階層を上って行くんだ。
「ダンジョンを上っているのに、俺たちは海底を沈んでいる。なんでやねん」
「?……どうされました? 天照さん」
……自分でもなにを言ってるんだとツッコミを入れてしまった。
「いや、ダンジョンって、すごく不思議構造だと今さら思ってね。……〈雷撃疾走〉」
ポチッ!……ドガアアアアアアアアンン!!!
【【【ギャアアアアアアア!!!】】】
ちなみに魔道潜水艦の外、海底から俺たちを襲ってくるモンスターの攻撃は、魔道潜水艦に搭載されている魔法属性置換のボタンを押して、放ちたい属性魔法をボタンに流し込めば艦内にある魔法撃砲で攻撃して倒せる。
俺が購入した魔道潜水艦は、一番グレードが高い物だから、モンスターの殲滅機能がかなり高いから、モンスターを倒すのが楽で良いね。
〖………………ここ一帯のモンスターがどんどん死んでいくピヨ。陽光の魔法、どんな威力してるピヨヨ〗
〖〖〖ピコンッ! タラタタッタタッタラ〜!〗〗〗
「流石、一番高い魔道潜水艦だね。すごい速度でレベルアップしていくよ」
「急いでダンジョンを上った甲斐がありましたわ。どんどん進みましょう!」
「お〜!」
俺たちは海底探索を楽しみながら、珍しいドロップアイテムを見つけたり。各フロアのモンスターを全滅させたりして、難なく150階層まで辿り着いたんだ。
◇
天照陽光
レベル555
エクストラスキル 陽ノ神楽 天照剣術 鳴神自在
スキル 模倣 巾着袋 心眼 業物 瞬動 調伏(初級)
火魔法(特級)雷魔法(上級)
土魔法(初級)
宵宮カノン
レベル554
エクストラスキル 豊穣ノ知 良妻 最愛慈愛
スキル 福音 補助 天幕 結界
水魔法(特級)風魔法(上級)
回復魔法(上級)
スザク(不死鳥の雛鳥)
レベル8
スキル 隠密 物真似 治癒 変身
◇




