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第17話 天照家の麒麟児の神業


 渋谷ダンジョンをスザクから乗っ取った?……なるほど。だから、自身が担当しているダンジョン内の構造を好き勝手できているのか。


「それなら、その権利はスザクに返してもらえるかな。そうしないと、君たち「五大厄災」が"地球"に対して、《《なにか悪い行い》》をしそうだからね。それは《《元》》『七星歴・太陽ソル』としては見過ごせないんだ」

 

エクストラスキル発動────神楽かぐら


【しゃしゃしゃしゃ!!! なにをわけの分からんことを抜かすかぁ。ウチはただ、貴様に復讐したいだけじゃ。あぁ、もういい!! 雑魚モンスター共を使っての消耗戦などやってられるか!! ウチ、みずからが決めるんじゃ。紅蓮の炎に焼かれて焦げろ!!】


エクストラスキル発動────「火島ノ神」



 エクストラスキルは、発動すれば全ステータス向上及び、探索者ならば自身の身体への「属性付与」


「神の剣技で神を越えよう。…………いざ、「陽ノ神楽」舞おうか」


 モンスターが発動したのなら、自身をの身体を形態変化させ、理想の自分へと昇華させることができる。


 それが疑似的な神の姿でも。


【しゃしゃしゃしゃ!!! 天上天下唯我独尊!!! ウチは火をつかさどる五大厄災……「火島ひじまかみ・カグチ」。天照陽光!!! 貴様をほふる火神の化身なり!! ぶっ殺す!! しゃしゃしゃしゃ!!!】


 紅蓮の炎で全身を燃やし、髪さえも炎で燃やしながら俺を見て笑い続けるカグチ。


 以前倒した時よりも、禍々《まがまが》しい姿をしていたかな?


「まぁ、いいや。それよりもカグチの激しい攻撃で、この95階の火の島も崩壊しそうだしね。……いや、カグチを倒して101階層まで行かないとダンジョン崩壊で俺たちも危ないか」


【しゃしゃしゃしゃ!! なにを余裕ぶっこいている? 貴様のレベルがいくら上がろうと、初期化したのだろう? ならば貴様がウチに勝てる道理は無しじゃああ!! 〈炎武王脚えんぶおうきゃく〉】


「…………〈不知火しらぬい影絵かげえ〉」


 変身して、さっきまで宙を浮いていたと思えば、カグチは俺のすぐ近くまで迫っていた。


 そして、いきなり大技を放って来た。

 それを俺は必要最低限の動作で完璧にかわしていく。


ドガアアアアアンンンッ!!!


 カグチの脚に炎を纏わせての蹴り。

 それが地面へと叩きつけられた瞬間。火の島の地面が真っ二つに割れた。


「なんて破壊力だ。当たったら一撃で死ぬ威力……〈日輪にちりん夜光やこう〉」


【しゃしゃしゃしゃ!! その言葉を聞きたかった!! ならば、ウチの一撃で頭蓋ずがいを割って死ぬがいい!! ウチの宿敵、天照陽光!! 〈逆鱗げきりん紅蓮ぐれん〉】



 余裕でかわせる。

 カグチの攻撃は一見派手だけど隙が大き過ぎる。


 そのため、大技を放った後にカウンターで、大傷を与える。


「………斬る! 〈炎武・一輪〉」


【がぁああ!? ウチの右腕があああ!! 切られだぁぁ!!】



 俺との戦闘で冷静な判断ができなくなっているのか、カグチは大技しか放ってこない。


 そんなことで、小技で対処されて終わりだろうに。


…………バキンッ!


 そんなことを考えていたら、相棒とのお別れが突然やってきた。武器の寿命だ。


「!……そんな40階からずっと使い続けてた「ミノタウロスの大剣」が壊れて崩れていく!?」



 あまりにも突然のお別れだった。

 道具というのは寿命があるのは分かってる。でもこんなタイミングで壊れるなんて……いや、カグチの肉体の耐久性を考えたら、いつ壊れても可笑しくないか。


【……なんだ? 愛用している武器が粉々に壊れたのか? しゃしゃしゃしゃ!! ざまあ見ろ!! 天照陽光!!】


 ……右腕をおさえながらすごく喜んでいる。こっちは相棒だったマイ武器を失ったばかりだというのに。

 

 なんか腹立つな。


「なにか仕返しを……ん? 右腕?…………」


 カグチの右腕が俺のすぐ近くに落ちていた。

 そして、よく見るとカグチの腰には二本の刀の鞘がある。


 たしか、カグチの持っている刀は名刀。

 Aランク相当のレアドロップ品だったはず。


スキル発動────「模倣」「巾着袋」「心眼」「瞬動」


【しゃしゃしゃしゃ!! ひ~! 大笑いしたわい。さて、そろそろ斬られた右腕をくっ付けて回復……を?…ウチの右腕が無い。それに刀も? どこに行った!?】


「うん。馴染む、すごく馴染むよ。「ミノタウロスの右腕」と君の「カグチの右腕」は良く馴染む」


【……は? ウチの右腕を……奪ったのか!?】


「それと武器もね。ありがとう」


 カグチの右腕は、「模倣」の謎の能力によって「ミノタウロスの右腕」と融合して、なんか凄い右腕に変化した。


 なんだか、すごくハイな気持ちだ。新たな力を見てワクワクしている。

 

 そして、カグチから奪った刀も合体して一振の刀になった。


「カグチの刀だから、刀の名前は「カグチの炎刀」にするよ。ありがとう。これからの階層で粉々に壊れるまで使いふるすよ」


【ざけんじゃねええ!! ウチの右腕……返せぇぇ!! バカ野郎!! 燃やす!! 貴様を紅蓮の炎で燃やし尽くしてやる!! 〈火島ノ神・極炎島墜〉】


 嘘だろう?

 カグチの住み家が………全てが業火に焼かれた火の島がダンジョンの空から降ってくる。


【………ウチの火の島を落とす。これで燃え死ね。。しゃしゃしゃしゃ!!!】


「……………自分も死ぬかもしれないのにいいのかい?」


【貴様を殺れれば関係ない。死ね死ね……共に死のうぞ。天照陽光……うぐぅ!?】


ドスッ!


「〈ほむら〉…………最後まで油断し過ぎだよ、カグチ。これでまた俺の勝ちだ」


 高笑いするカグチの心臓目掛けて、「カグチの炎刀」を静かに刺した。


【ゴフッ!…………しゃしゃ…………違うな。引き分けじゃ。空から飛来するウチの火島《住み家》に押し潰されて貴様も死ぬんじゃ。天照。これでウチの復讐は成就じょうじゅする】


「そう。なら、俺はそれを回避する」


【…………な……に?】


 不思議そうな表情のカグチ。

 緊急事態だ。リスクはあるけど彼女も連れていこう。


 

「旦那《天照さん》様~! お迎えに上がりましたわ〜!」

「…………………」

〖陽光~!! 100階までのレアドロップ品と隠し財宝は回収できたピヨ〜! それと助けてピヨ! 小娘が我の脚を放なしてくれないんだピヨップ〜!〗

「んまぁ〜! なんなんですの! その言い草は、私の戦闘を手伝いもせずにアイテム回収に行っていたなんて、許せませんわ」

〖お黙るピヨップ。これは陽光に頼まれてたことなんだピヨップ!!〗


 遠くの方からスザクが飛んでくる。そして、スザクの片足に宵宮さんが掴まってる。

 スザクって人を浮かせながら飛べたんだね。


 そして、宵宮さんの冗談が聞こえた気がしたけど、今はそんな冗談に反応できない。余裕がないよ。


「旦那《天照さん》様と言うと反応してくれませんわ」

〖当たり前だピヨップ! 今は陽光を連れてさっさと95階層を脱出する時だピヨ!〗

「仕方ありませんわね…………………天照さん〜! お迎えにあがりましたわ〜!」


「宵宮さん! スザク! ナイスタイミングだよ。迎えに来てくれてありがとう」


「反応してくれましたわ。やりましたわ!」

〖……小娘。お前、悲しいピヨな〗


 良かった。宵宮さんもスザクも無事だった。

 それに宵宮さんの背中には「ファイアリー姉妹」の片割れアリィーがおんぶされている。


【………ゴホッ………天照陽光……貴様………なにをする気だ?……ゴホッ……】


「俺たちが倒した君と「ファイアリー姉妹」を調伏して、仲間に加える」


【はぁ!?………貴様!! それがモンスターにとってどれだけの屈辱だと思っている!! おふざけ……ゴホッゴホッ!!】


「もう時間もないし。拒否権も君にはもうないよ。俺たちを追い込んだのは君なんだから、責任を取ってもらう」


スキル発動────「調伏(初級)」「巾着袋」


【止めろ……止めろ……止めて……止めて下さい………心が……洗われる……本当の心に気づかされる……ああああああぁぁ!! 分解されて………本来の心にいぃぃい!!】

「…………………ひぃあああああ!!!」



「「調伏」完了。……後はここから逃げないと」


 ダンジョン内で心が汚染されているモンスターは、「調伏」完了後に一度洗浄する。


 今は時間もないので、「巾着袋」の物置小屋にでも、放置しとこう。


 肉体が再構築したら、そのうち勝手に出てくるだろうしね。今は放置する。


「天照さん〜! アリィーさんが消えましたの。それとお空から巨大な火島が飛んできますわ」

〖陽光〜! もうどこにも逃げ場がないんだピヨップ〜!〗


「うん。だから、逃げ場は俺が作るよ」


エキストラスキル発動────「天照剣術」


「今、ここに天照家の一子相伝いっしそうでんの一振を放つ。…………陽光にせ〈天照あまてらす〉」


 「カグチの炎刀」を静かに振り下ろす。


 その瞬間。

 まばゆい光とともに95階層は黄金色に染まり。渋谷ダンジョン内の時が数秒間止まった。


〖ピヨピヨピヨピヨ〜! 転移門ゲートに逃げ込むピヨップ〜! ピヨピヨピヨピヨ〜!〗


 俺と宵宮さんはスザクの両足の片方ずつに捕まりながら、100階の転移門ゲートへと飛び込み。


 95階層の崩壊からなんを逃れることができたんだ。


 そして、これで俺たちは渋谷ダンジョンの100階層をクリア。


 渋谷ダンジョンの五分の一の踏破に成功した。


天照あまてらす陽光ようこう

レベル499

エクストラスキル 陽ノ神楽 天照剣術

スキル 模倣 巾着袋 心眼 業物 瞬動 調伏(初級)

火魔法(特級)雷魔法(上級)


宵宮よいみやカノン

レベル498

エクストラスキル 豊穣ノ知 良妻

スキル 福音 補助 天幕 結界 

水魔法(特級)風魔法(上級)

回復魔法(上級)


スザク(不死鳥フェニックスの雛鳥)

レベル8

スキル 隠密 物真似ものまね 治癒 変身

 

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