いつのまにやら毎日更新になってるけど、こんなペースで連載するつもりは
当初はなかったせみころーんさんです。ここも暑くなってまいりました。
今の高校生は何を聴いてるんだろうと思って調べてみたところ、ネットの普及の効果もあるのか、ポスト前衛までの作曲家は入ってくるみたいです。
ショット、ペータース、ゼルボーニ、リコルディとか、大手から出版されてますからね。検索すりゃ、覚えるレヴェル。ゲンロンスクール新・批評家育成サイトでもでもヨハネス・クライドラーさんまでですからね。そりゃクライドラーさんはいいですよ。本人が率先して体を張って宣伝するんだから。でも、率先して宣伝しない人はどうなるんよ。
ポスト前衛以降は全く入ってない。これは高校生の責任じゃなくて、日本の社会の責任なんだよね。日本のオーケストラって誰も何も知りませんからね。指揮者から教えられてやっとこさやるわけでしょう。
今日は誰の話をしようかな、あんまりド変態の話ばっかやるのもしんどいので、一回は日本に入ってきたけど全国区で知られているとはいいがたいFabian Svenssonさんの話をしてみよっかな。
babelscoresにいっぱいあるよ。1秒で楽譜の売っているところが出てくる今の高校生は幸せ者だと言わざるを得ない、、、、
初めて聞いたのは、ガウデアムス作曲賞の2度目の入賞(この人4度も入賞したんだよなあ)の時に話題になった、Melodica Madness。大体北欧ってのはもうボタン・アコーディオンのプロが日本とは比べ物にならないくらいほどにいて、ピアノとアコーディオンでアストル・ピアソラさんの曲をやろうものなら世界一うまいのが出てくる。
それが当たり前の世界なんだよね。だから私メロディカは嫌いなんですよ。いつまでそんなもんやらせるんだと。
で、Fabianさんは8つを並べて座らせて、ハイハットシンバルとバス(エレキでなくても良いが、せみころーんさんが聞いたのはエレキベース)が馬鹿正直に入る。スティーブ・ライクさんの様式模倣と言われてもおかしくない作品。今オランダの放送局の全曲のテイクの入ったネトラジコピー探してました。ありました(商業録音はありません、ごめんなさい)。
この紛れもない「ジェネリック創作」のどこがいいのか?ヨーロッパで作曲の勉強を真剣にやってる連中ほど顔が曲がったと思います。なんだよこれ、と。こんなレヴェルで創作かよ、と。こんなの俺でも作れる、と。
最近作Nothing Happens(2017)に至っては、さらに過激な解決。Nothing Happensってタイトルからして挑発してるんだけど、この曲に至っては冒頭のセクションは「音が三つしか出てこない」。その三つを拾って伸ばして。それだけ。「なんにもおきません、って説明してるんだから何にも起きないよ。ほんとかよ?」これが楽曲解説。ここまでくると、意図的に狙ってやってるとしか思えない。
コンサート、というもともとの第一義の語義は「合意に持ち込む」だったそうです。現代音楽特有の「俺がなんか絶対にえらいことをやってやるんだ!」ってストレスは一切ない。お客さんがいて、そのお客さんと演奏家が合意に至るだけのことをやればそんで良し。それ以外は何もない。
ジェネリック創作ってのは、パクリ、とかオマージュ、とかそんな誹謗中傷で語られるべくものではない。それこそが創作の本来あるべく姿だった。なろう系はきょうも大量にテンプレ作品が投稿されるけれども、それが本来の姿であると。
でもFabianさんはTillvaratagna effekter (2006)で、そこら辺のジェネリック創作とは一線を画した姿を出すのです。なんと自作だけではなく他者の音楽まで全部笑いに変えてしまう。「春の祭典」も不協和音を全部捨て、ヘ長調の主和音で伴奏。
クリストフ・デルツさんもこの手の様式模倣をやってたけれども、Fabianほど挑発的ではなかった。で、フィナーレは24の全調性が規則的に転回(このネタも元はと言えばアンリ・プッスールさんが先駆)されてFFで大団円。
今思い出しても、Fabianさんの創作はなろう系の連中の態度に極めて近い解決を提示していたと考えています。楽しいだけ、面白いだけ、ツボにはまれば笑っちゃおう。
それ以外何もない。
Fabianさんがおもちゃや教育楽器を頻繁に用いるのも、「楽器は安くていい」「金がかかるのは嫌」という意識を先取りしている。現代音楽の未来を信じている人にとっては、しょーもな、という感想しかないでしょうよ。
でも私はそうは思わなかった。創作者が上から目線になることのない世界を提示するのは、すごい労力ではなかったか?Tillvaratagna effekterが彼の20代の時に作曲されているのは、偶然ではないものだと考えています。
文壇って99%上から目線でしょう。「南京大虐殺が30万」とかどうどうとやって炎上させてるんだから。
Fabianさんの音楽は、なろう系を好んで執筆する未成年に、受けが良いのではないかと思ってます。彼の音楽がもっと日本で紹介されるといいですね。
行間を開けてくれという指摘がありましたので、もうちょっと開けてみることにしました。




