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ノーヒットでサヨナラ、どっかでみたような既視感が

あったような気がしたせみころーんさんです(とてとてとてどて)。昨日の続きです。


反アメリカに紐付けられた前衛が終わり、反天皇に紐付けられたアングラが終わり、反日本に紐付けられたヲタが終わって、次は何が来るのでしょうってことです。


これは情報の寡占化の終焉を示すものでした。


かつて音楽を学ぶには外書が必要でした。その外書だって、もう絶版かもしれません。となると、その本を手に入れるにはどうしたらよいのでしょうか。


答えは、なんと、「富裕層にコピーしてきてもらう」だったのです。たっかいたっかい金を払って留学してやることがまずこれ。馬鹿みたいな話かと思われますが、これが日本の現実だったのです。


もっとひどい例もあります。韓国は楽譜も買う金がなかったらしい。そこで、まず一部だけ買ってもらって、それを筆写していたという話を聞きました。これが本当の話なのか検証は済んでいませんが、日本より情報弱者に置かれたというのは間違いのないところでしょう。いまだに韓国のピアノメーカーはメジャー国際コンクールの採用歴がありません。


この「富裕層のコピーだけが頼り」が常態化するとどうなるでしょうか?答えは簡単で、理論を記した書籍の流通を自由にコントロールできるという事なのです。現在はインタ―ネットのおかげで日本の音楽の理論書がいかにいい加減な出来栄えかを証拠を示して図示できる社会になりましたが、ネットがなければこれすらできません。


前衛の時代は、このような情報の寡占化の極致の中から生まれました。ダルムシュタットやロワイヨーモンに通えた日本人はわずかに数人。その数人の知識こそが絶対で、海外に行ったこともなければ見たこともない多数の弱者は置いてけぼりにされたのです。


「この曲は分析不可能だ!(えっへんっ!)」というなろう系の王様のような態度を示したピエール・ブーレーズも、こんなことをやりたくてやっていたのではありません。こうしなければ情報強者として君臨できないからです。君臨することをやめたら次の追っ手に席を取られてしまいます。


このような情報強者の椅子取りゲームが1945年から25年続きました。この椅子に座れたルネ・レボヴィッツさん(せみころーんさんはこの人の指揮が好きです)も、わずか3年でダルムシュタットから追い出されました。エルンスト・クレーネクさんも7年ほどで、多数のダルムシュタットの講習生のボイコットによって追放されました。あっという間です。


1970年になると、このような情報強者の椅子取りゲームに腹を立てた団塊世代が吠えて怒るようになりました。前衛の時代ではなく、アングラの時代が始まりました。前衛世代の優等生でもあったマウリシオ・カーヘルさんに「二人の人間のためのオーケストラ」があります。


これは、アングラ文化を皮肉った典型例でした。前衛世代ほど、団塊世代が推進するアングラ文化を笑うことは面白かったようで、リゲティ・ジェルジュさんの「大いなる死者」も随所にこれらの文化を笑う描写があります。


「前衛世代に勝てない戦後世代」といって亡くなったのは山田泉さんですが、なぜ彼は勝てないといったのでしょうか。答えは「アングラ文化は前衛文化の否定はできても、前衛文化の言語を超えることができなかった」からです。アングラ文化世代が1995年まで続きました。


団塊世代の直前のブライアン・ファーニホウさんは「音楽は、既存の音楽を凌駕する『超言語』がなければ新しくなったと認識できない」ことをレクチャーで語っておりましたが、この『超言語』がアングラ文化になかったのです。


アルノルト・シェーンベルクさんも弾けなければカールハインツ・シュトックハウゼンさんも弾けない団塊世代が退場すると「ヲタ文化」世代がやってきました。ヲタ文化世代にとっては、戦前世代だろうが戦後世代だろうが、初見演奏で一発で弾きのけてしまう。読めない譜面のない世代、が初めて日本にも到来しました。


かつてのダルムシュタット講習会の演奏部門の挑戦者は、そのほぼすべてが2-3日で完璧に弾けることを要求されました。「きついでしょう?」


いいえ、ところがそんなことはありませんでした。見れば弾けてしまうって人だけで50人そろうのですから。「一人でトランペット二つ咥えて、唇の不正振動やってくれんか(実話)」っていう曲は、さすがに2-3日では無理だったようですが、こんなめっちゃめちゃな要求のない曲なら弾けてしまいます。


ヲタ文化世代は、まるで株取引をするように国際作曲コンクールや国際演奏コンクールに楽々挑戦していました。出れば必ず一位、出れば必ずファイナリスト、などという人種まで出現しました。


このタイトルのインフレ状態に腹を立てたのでしょうか、音楽評論家は1970年代生まれの粗を見つけてはすぐ叩くようになりました。そりゃそーでしょーねー(はなほじーレヴェル1)、叩いてる評論家世代は各種国際コンクールで滅多切りにあって帰国して教鞭をとってるのが同級生ですから、腹も立つでしょう。


このヲタ文化世代は前衛世代の晩年に接することが多かったため、世界前衛昔ばなしをたっぷり聴かされて育った人も少なくありません。東浩紀さんは2016年に「をたくの時代が終わった」と語りましたが、ヲタ文化世代の次に何の世代になるかは、彼はまだ語っていません。


情報強者による寡占がすべて終わり、ヲタ文化世代が完全に退場すると、何が始まるのでしょうか?

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