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同じ単語を連呼したらなろう系なんだろうか?

少年漫画では「無駄」が連呼され、自費出版では「豪華」が連呼され、なろうでは「キン」が連呼されることから適当にネタを絞り出すせみころーんさんですどーもーこんにちわ。


このような同一の単語の連呼に対して「語彙の貧弱な文学!」と文芸評論家はこぞって批判します。


果たしてそうでしょうか?同一の単語の連呼なんてスチーブ・ライクさんだってはるか50年前にやっている。


で、そんなメジャーな作曲家から引っ張り出してもたいしてなろうの読者には効かないなと思いましたので、ちょっと一ひねり入れてロバート・アシュリーさんの「パーフェクトライブズ」を取り上げてみようと思いまーす。


youtubeに適当に断片サンプルがアップロードされておりますが、Lovely Musicから公式に販売されたCDがおすすめです。中古で手に入るはずです。日本では「インプルーブメント」が上演されたことがありましたが、それ以前のアシュリーさんの活動のほうが過激で面白いです。


アシュリーさんは年を重ねるにつれ、まるでアントン・ブルックナーさんのように凡庸な持続を好むようになりました。確かにこれはこれで聴き心地はよいのですが、、、


でパーフェクトライブズの話に戻します。


The Supermarket (Famous People)のシーンを聴いてみてください。


この「っちゃっ!っちゃっ!っちゃっ!っちゃっ!っちゃっ!っちゃっ!っちゃっ!っちゃっ!っちゃっ!」ってのが延々と続くのです。作曲者本人は意図された「パルス一定テクニック」とか言ってました。


まだスチーブ・ライクさんの「ちゃんちゃんちゃんちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃ・・・(18人の音楽家のための音楽)」ってのには生楽器で演奏される分だけ旧世代の匂いがしました。


やっすいシンセ音源から「っちゃっ!っちゃっ!」とやられるしょーもない日常的なパルスの応酬に、本人の語り、そして"Blue" Gene Tyrannyさんの天才的なピアノソロが絡みます。彼は新世代の側に、1980年の時点でまだいました。


わたしがパーフェクトライブズを初めて見せてもらったときに、まず記憶に残ったのはこのピアノソロでした。あとで調べたらソロは全部"Blue" Gene Tyrannyさんが監修して自分で弾いたそうです。このソロがなければ作品として成立してなかったでしょう。後日ピアノソロを抜いて別団体が現実に存在するアメリカ合衆国のスーパーで上演しましたが、まったくと言ってよいほど品質が違いました。


何処の音楽学者もまだ指摘していませんが、アシュリーさんはカールハインツ・シュトックハウゼンさんやヘルムート・ラッヘンマンさんなどのドイツ現代音楽の影響をかなり受けたのではないか?それなら、シュトックハウゼンさんが後年ノイズを嫌ったこととアシュリーさんのアンビエント志向は極めて似通っていることにも納得がいきますね。


The Bank (Victimless Crime)ではこのパルスの速度そのまんまに9分53秒あたりから、、、もうなんなのこれ、、、、って歌が始まります。歌詞が引用できず残念ですが、どう考えても文法無視の同語反復です。絶対に日本とヨーロッパとユーラシアでは許容されないこの歌唱センス。がんばってんのかがんばってないのかよくわからない、というムードを人為的に創出できるアシュリーさんのセンスの良さ。


これは単に撮って出した音源をそのまま使っているのではなく、目立たないところで人為的に細かい編集を入れております。ベンディングが施されたパートがあるほか、本人のセリフがパルスに合わせて無理矢理編集されているため、非常にシュールです。その腕がアシュリーさんのすばらしさなんですが、日本でこれに気が付いた人は少なかったようです。


はい、そこで問題です。


アシュリーさんは本人の語りに、意図的にテクストから単語を抽出して連呼させております。


これは、日本の自費出版小説で使用され、メディアで話題になる20年以上前に発生したのです。


アメリカの超前衛芸術家のひねり出したテクニックは、30-40年たつと日本の民間に理解される、というと差別主義的に聞こえますが、事実これがそうなのです。


つまり「豪華」を連呼する小説を評価せず、アシュリーさんのこれを認めるというのであれば、ダブルスタンダードの批判を免れないでしょう。要は、日本の文壇があまりにも現代芸術の諸分野に対して無知すぎるのです。三島由紀夫賞の選考時、ジャック・デリダさんを知らない委員がいるということで話題になったことがありました。


またあの自費出版小説は、日本語の文法通りではない文章が存在するということで多くの酷評を受けています。しかし、アシュリーさんのパーフェクトライブズも途中で編集された同語反復のため、同様の問題が発生することは周知の事実です。


なろう系はサブタイトルが長大な編集を施されることが多いのですが、これもアシュリーさんがデビュー当初から保持していた性格です。


この手の同素材反復はヨーロッパではヴァンデルヴァイザー楽派が沈黙を伴った形でよみがえらせましたが、それも1990年代の話でアメリカ合衆国より12年ほど遅い。


つまり、まるでウイルスのように一つの国家から発生したテクニックが、何に乗ってくるのかどうかわからないが、ゆっくりと地球を一周するのです。そして、日本にもたどり着く。


なんでこういう「アイデア地球一周」状態が発生するのかは、せみころーんさんにも全くわかりませんでした。

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