ストックホルム、負けちゃいました。残念です。
2026年冬季はイタリアのミラノとコルティナ=ダンペッツォに決まったことを聴いて目が覚めたせみころーんさんです。会長がお札を出したとき、ダンペッツォの部分が省略されてたのを見て、名前が長いと不利なんだなと考えてました。
負けちゃった国はスウェーデン。と、いうことでスウェーデンイチ押しの作曲家Ansgar Besteさんを紹介しようと思いますー。
経歴はというと、カローラ・バウクホールトさんに師事してダルムシュタットへと何の変哲もありません。In the steppes of SápmiってのをYoutubeでつけてみてください。
今年のISCMに来るそうなので、お金のある家は行って聞いてみてください。損はしないと思います。babelscoresにいっぱいあります。
でましたか?
はい。つけてくださいね。
これ、なんで合唱団が口にこんなもん構えてるんやってことですよね。これは漁師の口伝え民謡に動物の鳴き声や自然音を絡ませた作品ってことで、よりリアルな音色にするためにこういうことをするんだそうです。普通に「プリペアド」しなくても普通の合唱でも演奏は可能です。しかし、これは単純な音楽ではない。かなりの筆力を持った人間なんじゃないのか?ってのは楽譜みりゃわかります。
その次はね、Musik im Essl Museum: ZEITKLANG: Kairos Quartettってのをどうぞ。
ここまでくりゃわかりますよね?この人は、楽器を全部プリペアしてしまう。とにかく通常の奏法で通常の音楽をってのを根底から否定する。そのため、彼の楽譜は最初っから特殊奏法のシンボルだらけです。チェロなんか弓すら持ってない。
まだ彼の世代では「なろう系」に見られるような開き直り路線には抵抗があるんだなってのもわかります。特殊奏法もちゃんと隣の人が何の音を出してるか、よく考えてから入ってくる。そのあたりがまだ、師譲りで堅実な音楽だよなあって思うんですよ。何処の賞に出しても好評でしょうね。これだけ書ければ落ちようがない。
筆力ってのを持ってると、いかなる局面においても有利です。しっかり書き込まれながら、漂ってくる音楽性は決して難解ではない。親しみやすい。
「なろう系」というよりは「ラノベ系」と言えなくもないでしょう。黙れドン太郎と、かのこんの違いに等しいものがある。2010年代を見渡せば芸術から反芸術へ、って流れがわたしは感じられますが、ほかの人は反対するかもしれない。「大げさだよバカ」って言われるかも。
彼はまた自作の楽譜の表紙すら自分で絵を書いてる。このあたりも普通の人とは違います。
そもそも北欧の現代音楽シーンは、現在ヨーロッパに貢献しているでしょうか?
確かに北欧はベンクト・ハンブレーウスさん、カルク・エリク・ヴェリンさんをはじめとして、最もドイツの前衛を消化した国々ってことになってます。それからカイヤ・サーリアホさんやマニュス・リンドべルイさんのような中堅世代が初めてヨーロッパ大陸で認められ、日本にも来ました。そしてこのAnsgar Besteさん、、、
どうです?
教育程度の異様なほどの高さを考えると、さほど人材は集まってないのです。Palle Dahlstedtさんが18年前に騒がれたこともうっすら覚えていますが、それもこんなに時間がたってしまう。
教育程度が高く、なおかつそれなりに人材がそろった、か?(今から10年前はそうだったと思う)、のような領域まで一旦はたどり着いたのは韓国とアメリカだけです。日本や中国の教育程度は高くはありませんが、作曲家の数は膨大です。
そもそも国際音楽コンクールの檜舞台にも誰も来ません。武満徹作曲賞でマニュス・リンドべルイさんが審査を担当したとき、フィンランドからの応募がゼロだったということが話題になりました。木管楽器や金管楽器のコンクールだと、たまに見られますが、ピアノやヴァイオリンのような争奪戦には一切参加していないのです。どうしてこうなるのでしょうか?
その一つは音楽の中心地から遠くかけ離れているために、なかなか芸術運動が実を結びにくいということがあるでしょう。ついこの間Top Of The World国際ピアノコンクールが終わったばかりですが、なんでこんな場所で予選なんかやるんだ、と突っ込みの一つでも来そうなところでやってる。本選はそれなりのホールが与えられたようですが、それでも狭い。
スイスにも北欧の現代音楽とほぼ同じことが言えます。スイスの作曲家も一時期フーバー、ホリガ―、ドゥンキ(せみころーんさんはこの人の大ファンですー!)、ツィメルリン、ヴァッセナとかなりの逸材を出したはずなのですが、、、
あまりに教育が行き届くと、競争と無縁の職業についてしまうので、音楽業界がさほどの発展につながらない。これは現在の日本で起きている現象ですが、その先駆が北欧諸国だったという事でしょうか。




