74話 アスモデウス
「あとは市場に行って保存食を確保しましょうか?」
「そうですね」
翌朝、僕らはお互いの装備を確認しあいながら必要なものを揃える
幸いにして、未だ国王殺しの事は話が広まっていないのか、さしずめ問題なく買い物はでした。
移動にはやはりクルマとかが良かったが、都市の外では魔力が使えないため鉄くずになるようだ。
前世の技術でなんとか魔力をつかわない自動車を期待したが魔法のある世界では科学は受け入れられなかったようだが。
まぁ、その代わりに魔法と科学が融合した便利な道具があるからなんとも言えないが…
「保存食って缶詰とかでしょうか?」
「そうね。缶詰か…。鯖の缶詰食べたいなー」
「そうですね。でもねここって缶詰とあるんですか?」
「高級食品としてあるわよ。流石に私の手持ちではそうパカパカ買えないわね」
高いのか…
魔大陸の住人は基本都市にいるからな。
移動も魔列車で簡単だし、すぐに着く。保存食の必要がないのかもしれないな
「では、干し肉とかですかね」
「私干し肉嫌いなんですよね。ビーフジャーキーとか何が美味しいかわかりませんでした。」
「まぁ、アレはおつまみってあじですからね。って、パフェさんは大人だだったんじゃないですか?
お酒飲まなかったんですか?」
そう言えば昨日、パフェさんの前世の事を軽く聞いた
軽くのつもりがどっぷりしたものだったけど…
「そうね。あんまり好まなかったわ」
「そうですか…学生からしたらお酒って魅力的なんですけどね」
「そう?お酒なんて飲めたって、飲みの誘いが増えるだけよ」
「そもそもパフェさんってお誘いがあったんですか?」
「………ム」
「あ。ごめんなさい。」
「ムムム」
「そんな拗ねないでくださいよ。」
頬を膨らませるパフェさんは
いつもの凛々しい一面からは一転して可愛かった。
「それで?これがいくら?」
「お客さんはせっかちですね。そうですね、200万ギルでどうですか?」
「高いですね…もう少しお安くなりませんか?」
現在。馬車の購入の交渉中だ。
パフェさんが…
ぼくはここでの物の価値がイマイチわかっていないのでパフェさんにお任せする。
「そうじゃなぁ。馬と荷台のセットじゃろ?これでもかなり安くしてるつもりなんじゃが…」
「そう言わずに…
魔列車のあるこのご時世で馬車を持っていても維持費でたいへんなんじゃないですか?
それをまとめてこちらで引き取るんです。もう少し何とかなりませんか?」
「なかなか、わかっておるなー。そうなんじゃよ。今は魔列車と自動車が普及してきて、馬車を使う事がほとんどなくなってしまったのじゃよ」
ふむ。
都市間の移動は馬車より早くて安全の魔列車
都市内の移動は馬車より小回りのきく自動車が良く、馬車の出番がないのか。
まぁ、それならレンタル馬車をやっていても儲からないかもな
「そうですよね。ですから、…もーすこし、お安くなりませんか?」
「そうだなー。なら、積み荷の水と保存食をつけてやるよ。それで200万ギルでどうだ?」
「うっ。それは魅力的ですね…ソラ君どうしますか?」
「え?ぼく?」
急に話を振ってくるパフェさん
はて、どうしたものか…
「そうですね。なら、馬の餌もつけて下さい。
こちらで買い取るのだからもういらないですよね?」
「ま、まぁ、確かにそうだな…
わかった。それでいいだろう。馬の荷車、それに馬の餌と保存食と水で200万ギルな!」
「はい。ありがとうございます」
「それでは、行きますか」
「そうですね」
荷物を積み込み、馬車を走らせる
パフェさんはお付きの人らしく馬の扱いにも慣れていた。
街の中を走らせ、外壁に向かっていく。
入るときは魔列車だったが今は馬車のため、歩行者用の出入口に向かう。基本的には冒険者用の出入口でもあり、冒険者ギルドの詰所も近くにある。
「おいお前ら、身分証をだせ」
その出入口で街の衛兵から声をかけられる
あれ?さすがに国王殺しが伝達されたか?
てかあれかな?ホテル代とか馬車やその他備品の購入で冒険者カードを使ったからさすがにまずかったのかな?
「どうされましたか?はい、これが私のです。ほら、ソラ君も出して」
「え?…はい」
パフェさんは全く同様せずに自分の冒険者カードを出す
僕も言われて自分のカードを出す
「お?おう。やけに素直にだすな…」
「お前らどこに行くんだ?そんな馬車に大荷物を載せて」
別の衛兵から聞かれる
どうやらカマをかけただけのようだ。
「私たちはドレイブに向かっています。戦争の影響で魔列車が使えないくて、…
それでもどうしても行かなければならなくて、馬車で行くことにしました」
へぇ~。ドレイブって街なのか?
いや、国なのかな?
「ドレイブだって!?そいつは遠いな。兄妹か?二人で大丈夫か?」
へぇー。ドレイブって遠いのか。
そして兄妹と見間違えられましたw
「いや、私たちは兄妹ではないのですが…」
「そうか、それは失礼した。それより、大丈夫なのか?護衛の冒険者とか紹介するか?」
「いえ、それには及びません。ほら、冒険者カードをご覧になってください」
言われた衛兵が僕とパフェさんの冒険者カードを確認すると…
「「【魔王殺し】!?」」
そう言えば冒険者カードには簡単な経歴が描かれるんだっけ
そっか、魔王討伐の依頼を達成したのはきちんと更新されているのか…
「お、お二人は…ゆ、勇者様なのですか?」
「いえいえ、違いますよ。私たちはただの冒険者ですよ」
「そ、そうですが。先ほどのご無礼を謝罪します。どうかこの先の旅路でご武運があることを祈ってます」
「あ、はい。行ってもいいですか?」
「あぁ、すみません。どうぞ・・・・オイ!開門しろ」
外壁の門が大きな音を立てて開門する
「あれ?魔王を倒したのに何で戦争継続してるんだ?」
「確かに…」
そんな会話が聞こえたが、下手に関わるボロを出すと判断したのか、パフェさんは聞こえないふりをして馬車を発進させる。
後ろから呼び止めるような声が聞こえたが、すでに馬車は外壁を越えて走行中
はい。聞こえないふり~
「ちょっと危なかったですね」
「そうですね。大丈夫でしょうか?次の街に先に伝達されたらまずいんじゃないですか?」
「あー。それなら大丈夫よ。ここから西にある国は違う国だから」
「え?ってことは敵国ですか?」
「ん~。一応そうなるわね。まぁ今起きている戦争も戦争って言っていいか微妙だけど」
パフェさんから簡単に説明を聞く…
魔大陸の特徴として魔王が支配する小規模の国が乱立する
今いた国は比較的多きな国だったが、それは例外的に大きな国だっただけで、
ここからは小規模な国が乱立するらしい
また、国の王の魔王は“自称魔王”の為実際の魔王かどうかはわからないらしい
まぁ、魔大陸の存在する国の王。と言う意味では間違ってはいないのかな?
魔王自体は実力主義性らしく、コロコロ変わるらしいが、変わったからと言って他国に侵略することはないそうだ。むしろ魔列車が完成してから友好的に付き合っているらしい
そんな中で今回の魔王だ。
他国を侵略して、人間の大陸に攻め入ろうとした。
なかなか珍しいケースらしい。
「そう言えば、僕らの倒した魔王の名前ってなんて言うんですか?」
「え?それも知らなかったんですか?」
「すみません。みんな魔王って言うもんだすから・・・」
魔物使いの王とかじゃ…だめですよね?
「彼はグリード。知っていると思いますが、魔物使いの王ですね。
彼の国の名前もグリード王国。
というか、魔王に襲名すると名前えおグリードの名乗る習わしがあるらしいです。
しかし、話に聞く内容だとグリード王国の魔王は温厚な方だったと聞いていたのですが、
実際戦ってみると全然違いましたね。」
「そうですね。何というか…くるってました。と言うか、グリードは魔族?悪魔族?なんですか?」
外見は完全にアニメとかで見る悪魔だった。
あんな感じの種族が穏便なのだろうか?
逆にコワイ…
「そうですね。グリード王国には魔族が多く、先代魔王からずっと魔族らしいですよ?
グリードの容姿も想像と違っていましたね。実際本当に魔王グリードだったのでしょうか?」
「それを僕に聞かれてもわかりませんよ…」
「そうですよね?」
「でも、パフェさんは物知りですね。どうしてそこまで知っているんですか?」
「へ?この世界の一般常識ですよ」
お、おう。そうですか。そうなのですか…
んで、実際のと所どうなのよ?【悪魔】さん?
(やっぱり俺を疑った?)
(そりゃそうでしょう。実際グリードに取りついていたんでしょ?)
(まぁ、そうだな。そこは認めよう)
なんだよ。そこはって
では、どこを認めないんだよ?
(俺が狂わせたのではない。グリード本人が俺の力に酔って、勝手に狂ったのだ)
(そうですか。「(…)」)
まぁ、悪魔の言うことだ。話半分に聞いておこう。
(この前言っていた。悪魔の力前提の戦闘はダメってやつですか?)
(あぁ、そうだな。人は体内に魔力があり溢れていると自分が強くなったと錯覚してしまうんだ)
(へ?)
(いや、そう言う生き物なんだ。
詳しく説明すると、空気中よりも体内にある魔力が濃いと。自然と肉体は魔力を外に出そうとするんだ。
まぁ、そう言うもんだと覚えておけばいい。)
なんか急に始まった悪魔様が魔力講座を開始する
することもないので素直に聞いておく
何かの役に立つかもしれないしね
(体内の魔力を外に放出するには魔法を使うしかない。
だから、好戦的になるんだ。
グリードと言う男も同じだ。あやつは暗殺に怯え常に体内に魔力を満たしていたがった。
その為に王と言う権限を使い常に俺に供物を提供し魔力を欲した。
結果、さっき言ったように常に自分の保持できる魔力量以上の魔力が溢れ、好戦的になっていったんだ)
(いや、それわかってて魔力与えてたでしょ?)
(・・・)
(結局あんたが黒幕じゃねーか)
全部が全部だとは言わないが、そうか。
コイツが黒幕なのか…
(一応言っておくが、)
(いや、さすがにわかっている。チョコ様を守れなかったのは僕らの責任だ。僕にもっと力があれば…
魔王グリードを瞬殺できる力があれば、チョコ様は殺されずにすんだ)
(おう。そうだな。でもこれだけは言わせてくれ)
(なんでしょう?)
(その考え方は危険だぞ
理由は違えど、それはグリードと同じ考えだ。危険に怯え力を蓄える。その結果に待つのは破滅だ)
(わかってます。あくまでも強くなるのは僕です。あなたの力で強くなろうとは考えていません)
(そうか。それならいい)
そうだ。ついでだから気になっていたことを聞こう
(一つ質問)
(なんだ?)
(あんたの名前は?悪魔ってのはスキル名で、話を聞く限りだとほかにも同様な悪魔のスキルが存在するんでしょ?なら呼称くらいあるでしょ?)
(あぁ、あるぞ。まぁ教えても減るもんじゃないし教えてやる。アスモデウスだ)
(アスモデスス? 長いね呼びずらい)
(悪かったな…)
(アスモ。って呼んでいい?)
(・・・)
(よし。異論はないね。決定!よろしくアスモ君!)
(てめぇ~~~!)
「で。この世界の一般常識を備えたパフェさん質問です」
「なによ…嫌味?」
「まぁ、若干それも入っていますが。質問です」
「はいはいどうぞどうぞ」
「悪魔の名前でアスモデウスってしってますか?」
ついでだから聞いてみた。
ほら、よくあるじゃん。悪魔の名前。
魔王ルシファーのルシファーとかはいろんなゲームで聞いたことがあるけど、もしかしたらアスモ君にも何か由来があるかな?と思って聞いてみた。
「アマデウス?」
「それ、音楽家ですよ。アスモデススです」
「そうね。私は知らないは。でも一つ言っておくわね。」
「なんでしょう?」
「必ずしも前世の記憶にある意味と今世の意味が同じとは限らないわよ」
「はぁ?なぜいきなりそれを?」
「それは言わない。ただ、そのアモデウスって悪魔さん。優しい方ですね?」
「はぁ?」
(ケケケ。俺が?この女…おもしろい。)
なんかアスモさんが反応しているよ
これはあれですね。パフェさん知っていますね。
どうせ聞いても教えてくれそうにないけど、まぁいいや。何かあったた…
(アスモ君。わかっていると思うけど。僕の身内に手を出したら殺すよ?)
(ッヒ!?俺を?殺す?…ほんとにやれそうで怖い…わ、わかっている。だからほら、そこの女には手をだしていないだろ?)
(わかっているならいいですよ。)
実際、神様にもらったギフトで【悪魔】の一人や二人くらい簡単に殺せるようになった。
どうやらあの真っ白い世界には【悪魔】は干渉できないようで、悪魔自身も僕の記録は参照できても記憶は参照できないから、あの白い世界であったことはわからないようだ。
いや、わかっていたらこんな関係にはならないはずだ…
次回更新は5月9日です
補足です。自分で読み直してかなり誤解を招く書き方をしているので・・・
魔王グリードの話ですが、
表の顔はパフェさんが言っているの通り
魔王(国王)としての顔です(温厚な方)
裏では(69話で本人が、語っている通り)上限レベル900に興奮して、やりたい放題しています。
まぁ、それが原因で勇者に目をつけられて両親を殺されてます。
あくまでもグリードは人間としては最強でしたが
それでは魔大陸では通用しない事は分かっているので
アスモデウスの魔力供給による防衛を行いました。
結果として自分が魔大陸でも最強だと思ってしまい、
表の顔を維持する事ができなくなりました。
補足2
アスモデウスが参照できるのは今世での記憶のみなので
グリードの転生者として記憶や考えるはわかりません




