73話 勇者
「さて、どこでご飯食べますか?」
「そうですね…パフェさんは何か希望ありますか?」
少し高めになってしまったがセキュリティがしっかりしてそうなホテルに宿を取り、
現在は街に繰り出し夕食を探している。
お腹が減ってはなんたらかんたら…って、言うしね
「そうですね…では、あの麺にしましょうか」
「お、おう?」
「ラーメン!?」
『魔大陸名物。豚骨醤油ラーメン』
さすが魔大陸
って、意味が分からねぇ
てか、魔大陸で魔大陸名物っておかしいだろ!
「嫌ですか?」
「いえいえ、嫌ではないですけど…かなり気になりますね」
「では決まりですね。行きましょうか」
「美味しかったですね」
細麺の豚骨らーめん。
なかなか本格的な味だった。
まぁ、本場のを食べた事は無いんだけどね
ちゃんと替え玉まであったよ
「はい。懐かしい味でした。」
懐かしい?
あ、看板に魔大陸名物って書いてあるくらいだ。
パフェさんも魔大陸に住んでいるんだしラーメン食べたことあっても不思議じゃないか
「魔大陸にはラーメンって結構あるんですか?」
「いや?ないですよ?ラーメンはこの魔大陸で始めてみました。
この街にはいつも通り過ぎるだけでよったことはなかったので惜しい事をしましたね」
ん?
と、言うことは…
パフェさんはどこでラーメンを食べたのだろうか?
「あ、そっか、ソラさんには話して無かったですね
私は異世界人なんですよ…転生者ってやつ?」
「へ?パフェさんも…?」
「も?ってことはソラさんも転生者なんですか?」
「はい。僕も転生者です」
そうか、それでラーメンを知っているのか…
それならもっと早く言ってくれればよかったのに…って、そんな話いきなりできないか…
「魔大陸は異世界人が多いと聞いたことがありましたが、本当なんですね?」
「そうなの?そんな話は初めて聞いたは。あ、でもさっきのラーメンみたいに懐かしい物はたまに見るわよ」
「へー。ほかに何がありました?」
「そうね…あ、ここからはかなり離れている街でみたのだけど納豆があったわ」
「おー。いいなー納豆食べたいですね…」
「チョコ様がお気に入りでよく食べに行ったわ… あ、ごめんなさい」
「いえ…謝らないでください…」
クソ。僕がチョコ様を守れていれば…
「今日はもうホテルに戻りましょうか?」
「そうですね。準備は明日の朝からしましょう」
気まずい空気から逃げるように帰路につく
結局その後、帰り道ではパフェさんとは一言も話さなかった。
別に悪気があってチョコ様のことを口に出したのではないことはわかっている。
ただ、僕の中でも、…おそらくパフェさんもまだ割り切れていないのだろう
今はこの悲しみを乗り切らなければ…
ホテルに戻り部屋でシャワーを浴びてベットで横になる
パフェさんは今何してるだろう?
(ねぇ)
(なんだ?俺にようか?)
(あー、ようってほどのことでもないんですけどね…)
(あのな。俺に話しかけても解決しねーぞ。話するならお前が助けた女と話しろよ)
なかなか察しが良いな
って、僕のスキルとして自我があるんだから当然か。
僕の記憶も見たって言ってるくらいだから、僕の感情も読めているのか…な?
(お前のスキルでも自我は俺のだ。お前を拠り所にしてるから多少は感情面はわかるつもりだが、
基本は結果のみ、記憶を閲覧できるだけだよ。
で、俺に何を聞きたいんだ?)
(死者をよみがえらせることってできないのか?)
(あ?バカか?俺になぜそれを聞くんだ?)
(いや【悪魔】なんでしょ?命を食うんでしょ?なら知ってるかなって…)
エクストラスキル【悪魔】は自我を持ち、人から人へと憑依元を変えていく
その【悪魔】は人の命を求める。
なぜだかはわからないが、憑依者が人を殺すことでその命を悪魔のモノにできるらしく、それを食すらしい
と、言うことは命のあり方を知っているのだと思う。
悪魔には命が見えているのだろうか?
(そうだな…まぁ先に言っておくがチョコって女を生き返らせることができないぞ)
(なんでですか?)
(俺が食ったからだ…)
・・・
(俺の元憑依者は【魔王】でもあった。お前との決戦時に魔力を大量に使い、その補給の為にお前の言う女を殺し俺にその命を差し出したんだ。まぁ結果負けて死んだがな)
(・・・)
(おいおい、なんか言えよ。
あ、言っておくが俺は悪くねーぞ。殺したのは【魔王】だ。まぁ【聖女】の命は美味しくいただいたけどな。)
予想はしていたが、やっぱりそうなのか…
でも、なら余計に何とかならないんだろうか?
(その命を吐き出してください)
(それは無理だ。もう食べちまった。お前だった食べた物を吐き出して元の形にするなんてできないだろう?それと同じだよ
それにな…命だけあってもダメだろう?体がなきゃ…)
っく。そうか…
何か手はないだろうか?
(僕のスキルレベルを上げることって出来ますか?)
(いきなり唐突だな…
できなくはないけど、かなり命がいるぞ…スキルにもよるが、この都市の人を全員殺してやっとレベル一つ上げられるかどうかだぜ)
(そうですか…)
でも、逆に言えば、この街の住人を全員殺せばレベルを1つ上げれれるのか…
今、僕の【時間魔法】のレベルは3だ。
それを上げることができれば、…沙耶のように【時間跳躍】できるようになるだろうか?
タイムリープできればチョコ様を助けることができる…かもしれない。
(やめとけ…今のお前じゃこの街の住人を殺しつくせないだろ?)
(そんなことは…ないですよ。僕には対人戦最強の【時間魔法】がありますから)
(おいおい、その【時間魔法】って、燃費が悪いんじゃなかったか?お前が街の住人を殺すために【時間魔法】を使う場合、相当な魔力を俺が供給しなきゃいけないんじゃないのか?
そうなったらお前のスキルのレベルUPどころじゃないぞ?)
(そうか…でも、それだけ【時間魔法】を使えば普通にレベルUPしそうだな…)
案外悪くない手かもしれない。
僕は、友達を救う為に狂気になれるのかな?
(俺が言うのも筋違いだけどよ。ズルしないで自分の力で強くなることをお勧めするぜ
俺の与えた力で強くなったって、いつか崩壊する。あくまでも俺は補佐だ。いざと言う時の保険で良いんだ。
俺ら【悪魔】はな、なるべく同じ奴に憑依していたいんだ。だからお前に死なれると困るんだよ)
(はぁ)
(だから、今のように、あくまでも殺したい相手に対して魔力が足らない時にそれを補てんするくらいの考えでいてもらはないと困るんだ。
俺の魔力供給を想定した戦いかただとお前が殺した【魔王】のようにいつか寝首をかかれるぞ)
(わかりました。善処します)
自我を持ったスキルか…
どうせなら女性がよかったな。
いやさ、何が楽しくて体内に男を飼わなきゃいけないんだよ
せめて女体化?、とかできないかな?
(できるぞ?やるか?)
(出来んのかよ!今更いいですよ。ほっといてください。
そして、僕のプライベートは覗かないでください…)
(お、おう。善処しよう…)
真っ白な世界
そこに立っていた。
あれ?さっきまで部屋にいたのに…
周囲を見回すと、爺がいた。
あ、久々だな…
「ホッホッホ 久しぶりじゃな」
「そうですね。久しぶり過ぎて存在わすれてましたよ。ところで何のようですか?」
現れるなら魔王戦に現れて欲しかった。
どうせまた何か助言をしたりエクストラスキルをくれるんでしょ?
「わしがお主の心を読めるのを忘れてないかな?」
「あー。そうですね。忘れてました。」
「では、わしからひとつだけ忠告じゃ」
「なんでしょう?てか、そのために読んだんですか?」
「そうじゃ。お主には依頼を出していたな」
「転移者の勇者の見張りの話ですか?場合によっては殺せって…」
そう言えばそんなこと言われてましたね
色々な事がありすぎて忘れてましたよ
「そうじゃ。それでな、近々お主はそいつに出会うことになる」
「出会うことになる?予言ですか?」
「んー。まぁ、そうなるな。今のお主には話せんがこれから起きることはわしが把握しておるのじゃ」
「はぁ。今はですか…
まぁ。話せない事情があるなら詳しくは聞きませんが、それで?
僕がその転生者に会うから殺せってことですか?」
「いや、そうではない」
ふむ。ではやはり見張りだろうか?
しかし、勇者ねぇ…
黒龍老人の言うことが正しければ、勇者は周りの人の願いに魔力が反応して本人を強化しているらしい。
もしそうならその転生者の勇者は周りからの信頼を得ている事になる。そんな人に取り入ることができるだろうか?
いや、殺す方が大変そうだな…
「いやいや、見張りでもないぞ。それに取り入る必要はない。
お主にはそやつに協力して、やって欲しいのじゃ」
「協力?」
「あぁ、そうじゃ。転移者の勇者はこの後魔王と戦う事になる。
その戦いに邪魔が入らないようにしてくれ」
「邪魔?周りの取り巻きを倒せって事ですか?」
「いや、そうではない。
そうだな。こう言おう。勇者が姫を助けに行けるように、ほかの者達が、助けに行かないように邪魔をして欲しいのじゃ」
ん?
意味がわからない。
勇者がお姫様を助ける?
魔王から?
「なぜ?って聞いても答えてくれないんですよね?」
「そうじゃな。今のお主にはまだ話せないのじゃ
しかし一度魔王を倒したことのあるお主だからこそ、わしはお主に頼みたい。協力してくれ」
協力してくれと言われても、
状況がわからないから協力のしようがないと思うのだが…
「そのお願いは、僕がこの世界に来た時にされたお願いに入っているんですか?」
「いや、それは別じゃよ。今回のは個人的なお願いなのでもしソラ君に断られたらわしが困る。と、言うだけじゃ」
「はぁ、それなら保留って事ですかいいですか?
状況がわからなさすぎて、僕には答えられません」
だってそうじゃん。
場合によっては僕が魔王側に協力する必要があるって事ですしょ?、そんなの危険すぎるよ…
「そうか。それなら、今は保留で考え置いてくれればよい。
でも、これだけは言っておこう。もしわしの願いを聞いてくれるならお主の仲間を一人、蘇らせてやってもよいぞ?」
「!?」
「チョコと言ったかな?そやつの魂と肉体を用意してやろう」
「そ、そんなことができるんですか?」
「わし、神さまだからな」
お、おう。
流石、神様。
なんでもありかい。
「わかりました。前向きに考えておきます」
「む。これだけ破格の条件を出しても頷かないか…」
そりゃ、いくらチョコ様を復活させても、
その後勇者に殺されてはあまり意味がない…
だからあくまでも慎重に……ってわけだ。
「そうそう。ここ、世界の狭間に来たって事は、元の世界に戻るにしてもお主は転移者扱いじゃ。
規定に基づいて、お主にギフトを授けよう。
それもお主への選別だと思って協力してくれたら助かるのじゃ」
まぁ、
もらえるものはもらっときますか…
白い世界がぼやけてくる
あ、前回来た時に聞きたい事があってそれが途中だった!
「神様さ……
世界が白で埋め尽くされる…
そして暗転。
現実に…
は!
寝てた。
お風呂に入ってベットで横になってたらいつのまにか寝てた。
やっぱり疲れが溜まっていたんだな
ん?チャイムがなる
「ねぇ、入っていいかしら?」
「え?、ぁはい。今開けますね」
ホテルの一室。
自分が泊まっている部屋だ。
扉の施錠を解除しめ扉を開けるとパフェさんが立っていた。
まぁ、同行者はパフェさんだけなんだけどね
「どうしました?」
「…………、今晩は…」
「あぁ、今晩は? どうしましたか?」
「いや、ちょっと話したい事があって…」
「はぁ。ま、ここじゃアレなんで部屋にどうぞ」
「ありがとうございます」
高身長でさらっとスタイル
ショートカットの髪で頭にちょこんとツノがある。
あ、すれ違った時にいい匂いした。
シャンプーの匂い…
そっか、この魔大陸にはシャンプーがあるのか…
「それで?、どうしました?」
一人用のソファーに座るように進めて、僕はベットに座る
「あ?何か飲みますか?」
「大丈夫です。それより私もそちらに座りますね」
「へ?」
言うより早く僕の隣にパフェさんが座る
ありゃ?
身長差が頭一つ分くらいあるのに座るとパフェさんとほとんど同じだな。足長すぎですか?
ハッ!
僕が短足?
いやいや、そんな事無いはずだ。うん。パフェさんが足が長いだけ…
「あのですね。私思ったんですよ」
「へ?あ、はい。なんでしょう」
やべ、話聞いてなかった。
あ、手を握られてるし…
「チョコ様が居なくなって、お互い悲しい気持ちで…
それでも私達は止まるわけにはいかなくて…
その悲しみを乗り越える為に…慰め合いませんか?」
あぁ、
そうか…そうだよな
「だめ?ですか?」
「・・・」
次回は5月7日に更新します




