70話 魔王③
念じれば魔法が発動する
この世界の魔力は願いを叶える魔法のような物質だ
(実際魔法なんだけどね)
しかしその魔力を使うには自分の意思を魔力に伝える必要がある
それは呪文という形で言葉にイメージを乗せて発信するのが一派的だ。まぁ、一部僕のようにイメージを思考のみで伝えることで無詠唱で使う事をできるのだが…
詳しく言えば、魔力は空気中にも存在するが体内にも存在するする
空気中の魔力使う時には何か媒体を通して伝える必要があるかもしれない。それが声、という振動だ。
ならば体内の魔力には?
体は電気信号で動いている、ならば意思に魔力を込めてみれば?
体内の魔力は声を発する事なく魔法を発動できる
一度魔力へ伝達できれば後は簡単。
その魔力を使い、空気中にも意思を伝える。
という魔法を、使えばいい
まぁ、僕がこの世界に転生してきた時にはそんな事考えなかったけどね
そして、そんな面倒な事をしなくても、魔力が自分から意思を確認しにくる存在がある。
それが【魔王】
その事実に気が付き、魔力を有効活用する存在
それが覚醒魔王。
それは攻撃に使えば、どんな状態でもどんな魔法を放てる
そしてその能力の一番厄介なのは防御面だ。
相手の魔法を認識できれば、相手の体内の魔力を暴走させることで自壊させる事ができる。
対抗するには二つ
魔力を使わないで戦闘するか
認識されないように魔法を使う
前者は相手からの強力な魔法が放たれ続ける以上、こちらが魔法を、使わないでの戦闘は非現実的だ。
まぁ、それをやっての方パフェさんもすごいけどね
パフェさんが強いのか、鬼人の身体能力がすごいのか…
魔王から放たれた光線を【漆黒の炎】を生み出す事で相殺する
小刻みな【射出】を数度使用して相手に補足されないように高速移動し距離を詰める。
「小賢し!【マジックバースト】」
魔王を中心とした魔力の衝撃波が放たれる
魔力は本来見えないもの。魔力の圧がハッキリと見えるほどの力が押し寄せる。
地面をエグらようにして近づく魔力の波動をギリギリまで引きつけて魔法を発動させる
【視界内転移】
衝撃波に当たる直前に、その先へ転移して回避する
これも一瞬で終わる魔法の為、認識出来なかったようで問題なく発動できた。
まぁ、初見で瞬間移動されたら見失うのも当然か?
「どどけ!【漆黒の炎】」
「当たらんぜ!」
距離を詰めて数メートルの距離から防御不可能の魔法攻撃を放つが、前回同様回避されてしまう。
しかしこれで距離を詰めて相手の行動を制限させる事が出来た。
そのスキを利用して、改変魔法を発動させる
【改変魔法】
→【魔力喪失】
先ほどと同じように空気中の魔力を消し去る事で魔王の自動発動型の魔法を抑止する。
地面を蹴り、拳を構える
魔王が引き気味に剣でこちらを払おうとするが【体内加速】を使用する事で簡単に回避する
そのまま魔王の服を掴み、足をかける。
にわか柔道だけど【体内加速】により通常よりも、時間あたりのかけられる力が多い為、たやすく体制を崩す事が出来た。
若干ゴリ押し気味であるが魔王を押していく。
魔王が倒れこみながら体内の魔力を使い光線を放ってくる
放たれた光線はその軌道が読みづらく、当たったらシャレにならないので仕方なく一度距離をはなす。
少しの油断で即死するような攻撃を連続で放ってくる
その一つ一つを最速で判断し最適な回避を行う
それが出来ればいいが、こちとら元高校生の一般人である
限られた時間の中で必死に思考して最適策を探す
再度近づく為に【射出】を発動する
もちろん魔王にその発動を認識される前に効果を切る
動き的には随時加速し続けるロケットエンジンではなく、
打ち出される弾丸のような動きだ。その分身体への負荷がかなりかかり一回一回使うたびに苦痛を感じる
「ござかしい!」
魔王が起き上がりながら再度光の光線を手指の数だけ放つ
神速のビームは本来認識することすらできない
【体内加速】の倍率をさらにあげて16倍まで引き延ばす
光線といっても別に光の速さのビームではない。あくまでも魔法によりそれっぽいビームを生み出しているだけだ。
ほら、よくアニメであるビーム。そんな感じだ。
この世界の魔法はイメージが大切な為、無意識のうちに何かのアニメを参照したんだろう
光線と光線の間を抜けて距離を詰める。
距離が詰まるに連れて回避位置がなくなってくる。
【視界内転移】を行い緊急回避。魔王に魔法を認識される前に再度使用して視覚外に移動する
「これで!」
背後に位置取り【漆黒の炎】を発動させて右手に纏わせる
魔王が振り向きながら光線を振り払ってくる
「くそが!」
右手を突き出し【漆黒の炎】を押し付けるようにして魔王へ放つ
それと同時に僕自身は屈みこむようにして光線を回避するが…
「ぐぅぁああああ」
「ぁぁぁああああ」
両腕の痛みに耐えながら後方へ【射出】する
数回移動を繰り返したところで力尽きて地面に崩れ落ちる
「大丈夫ですか!」
「今回復させます。【ヒール】」
と、地面に転がる前にパフェさんに抱き抱えられる
チョコ様が両手に回復魔法を当ててくれる
緑色の光が心地よい
失った腕が光に包まれて腕の形を作っていく
「まだだぁ」
前方から声が聞こえる
チョコ様が邪魔で見えない
「チョコ様うし…」
「え…?……」
慌ててチョコ様に声をかけるがそれを言い終わる前にチョコ様の胸が光に包まれる
立ち上がり庇おうとするが抱きかかえられていて、両腕の回復もまだの為立ち上がる事が出来ない
「今、……なお……すか…から…ら…」
数秒がに光が収まると同時に両手が回復しチョコ様を抱き抱える
胸には大きな穴があき、先ら止めどなく血が溢れでる
「生き……て」
その言葉を最後に女王が動かなくなる
その顔はどこかやりきった顔をしている
「ヒヒィ ヒヒヒヒィ」
「コロス」
左手から身体の3割近くを失い、全身を真っ黒に焦がし、身体の先端が炭化さている魔王が身体の部位を崩しながら立ち上がる。
顔面も辛うじて口がわかるほどに真っ黒に焦げてただれている
パフェさんが真っ赤になりながら立ち上がる
闘気と言うのだろうか、前者からただならぬ気配を発している
両手用の大剣を片手で軽く持ち上げて魔王の方へ歩いていく
その一歩一歩は確実で強い意志を感じる
「ハハハハハ 聖女を殺してやったぞ」
「コロス コロス コロス」
両者会話が成り立たない。すでに正気を失っているようだ。
僕自身もチョコ様を守れなかった事ですでに体が震えて動かない
頭ではパフェさんを止めて、魔王にとどめを刺さなければいけない事は分かっているのだが、体が動かないのだ。唇すら思うように動かず止めることもできない
魔王に近づきパフェさんが両手で大剣を握り、力を込めて振り下ろす。
その一撃を魔王は回避するその体に受けた。
肩から腰にかけてえぐるような切り傷ができる
「イテーナ ハハ」
「コロス」
パフェさんが返しの一撃をさらに浴びせる。
今度は切り裂くことなく腹に深々と突き刺さる
「へへへ チャンとキレヨ」
「コロス」
パフェさんが突き刺さる大剣を離し、両手に魔力を集める
近距離での魔法でトドメを刺す気だろうか
「我の前の敵を撃て その一撃は大地に落とす神々の神罰なり 放て神の一撃……」
パフェさんが詠唱を開始する。…
通常の詠唱とは違いかなり長い。ここまで長い詠唱を聞いたのは、母さんの厄災級魔法の時以来だ。
って、仮に厄災級の魔法だったとしてこのままじゃパフェさんも被害を受けてしまう
いや、それでも滅ぼしたいのかもしれない
でも、そんな方はさせない
チョコ様に生きてと言われたのだから…
そう決意すると体には力が入る
立ち上がり、パフェさんに近づく
血を流しすぎたのか思うように動かない
ふらふらになりながらもなんとかパフェの元にたどり着いて…
「トドメは僕が刺すよ。【漆黒の炎】」
パフェさんの前に立ち、魔王に向かって【漆黒の炎】を放つ
その炎は全てを喰らい、魔王の体を焼いていく
魔王が倒れこむのを確認し、パフェさんの方を振り返りさっと抱きしめる。と言っても身長的にはパフェさんの方がだいぶ大きいので僕が抱きつく形だ。
「ごめんなさい、守れなくて…」
「ぁぁ」
パフェさんの真っ赤な肌に触れると焼けるように熱い。
鬼人が怒ると肌まで発熱するようだ
そんな事を考えながらその場でしばらく抱き合った。
しばらく抱き合い、日が沈む前にチョコ様の遺体を抱きかかえてダンジョンを出るために帰路につく
と、行ってもこのまま普通にあるって行ったら夜になるのでパフェさんに抱きしめしめてもらい、【空駆】を使い一気に距離を稼ぐ
ダンジョンを出る頃にはすでに日は沈み、月?と遠くに見える王都の光がうっすらと夜道を照らす。
ダンジョンを出ると都市にある周囲の魔力吸収装置で魔力を吸収するので魔法が使えない
仕方なく、ランプに火を付けて王都に向かって歩くことにした
本当は一晩どこかで野宿しても良いのだけど、僕らは兎も角チョコ様だけは一刻も早く家に帰してあげたかった。
状況的にはそこが家と呼べる場所かは微妙だけど…
「私は止めるべきだったのだろうか?」
「どうですかね」
帰り道でパフェさんがポツリ、ポツリと話し始める
「チョコ様は昔から頭のネジが外れたような性格で
唐突に何かを思いつき行動していた。
今まではそれでうまくいっていたんだ。
今回もなんとかなると思っていた。
まさかこんな事になるなんて……」
「こう言っては少しひど言い方ですけど、
パフェさんは仕方ないですよ
立場を考えれば止められなくて当然です。むしろ僕がチョコ様の依頼を断っていれば………」
取れる手のなかでは最善の手は尽くしたと思う
しかし思ってしまう。もしあの時こうしていればと…
結局は結果論でしかなく、今更どう思おうが意味はないのだが…
「今は王都につく事に集中しましょう」
「そうですね」
王都近くに魔物が大量発生したと聞いたがほかの冒険者達が一掃してくれたようだ。
周囲を警備している冒険者に聴くと教えてくれた。
「倒しても倒しても魔物が溢れてきて、俺たちは終わったと思ったんだよ。そしたらある一時を境に魔物が湧かなくなったんだ…」
と、まぁ、こんな感じの意見を多々聞いた。
おそらく魔王を倒した事が理由だろう
今回発生した魔物は全体的にレベルが低かったらしく、無限湧きさえなんとかなれば問題なかったのだろう
しかし何か引っかかる…
何か重要な事を思い違いしている気がするが、今は僕自身の思考がうまく働いてないので、その感覚すら確信が持てない…
徒歩で王都のにつく頃にはすでにあたりは明るくなり始めていた。
結局、この時間になるならみんなと合流すられば良かった。
正直肉体的にも精神的にもすり減っていて時間が余計にかかった気がする
「そこのお前達、 冒険者か?」
「はい D班のソラです。こちらが同じ冒険者のパフェさんです」
王都へ入るための門で衛兵の方に声をかけられたので
素直に返事する
「その包み紙はなんだ?」
衛兵がパフェさんの持って紙袋に包まれたチョコ様の遺体を指して聞く。まぁ、普通に木になるよね。
「同じ冒険者の遺体です。家族の元へ持っていくので持ってきました。」
「そうか、……そいつは大変だったな」
衛兵が労いの言葉をかけてくれるが返事する元気もない
軽く会釈をして衛兵を黙らせて先にすすむ
目的地は白銀城。まずは国王に今回の件の報告をしなくてはならない
先が思いやられる…
そして恐れていた事が起きた。
と言うか、こうなる事を想定してきちんと話をしておくべきだった。
白銀城に着くとチョコ様のお付としてパフェさんが事情を話しめ国王に謁見出来ないか交渉していたのだが、
「じょ、女王様?……き、貴様、女王王殺しか!」
はい、誤解されました
よくいるよね、人の話を聞かずに勝手に解釈する迷惑のやつ
今はそんな状況じゃないのに、そんなのお構いなしに騒ぎ立てる
はぁ、どうしよう?
「違うって言ってるでしょ!
ほらこの冒険者手帳を見て!私たちは同じパーティですよ。
それに国の従業員表を見てくれれば私がチョコ様のお付きの者だとわかるでしょう」
「た、たしかに…」
周りの衛兵が納得しかけるが…
「騙されるな!私は衛兵長だぞ!嘘に決まっている」
「はい?」
ダメだこりゃ、相手も維持になっている
自分の失態を認められずに無茶苦茶な事を言い始める
「もういい!この者達を捕らえろ!」
「いや、おかしいでしよ」
騒ぎを聞きつけて城から衛兵がぞろぞろでてくる
そしてその状況を知らない衛兵が衛兵長の命令を聞いて僕たちを取り囲む
「何をしてる、はやく捕らえろ!
この者達は王女殺しの反逆者だ!」
GW中も休みなく仕事です
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