68話 魔王
痛みを堪えつつ立ち上がる
僕の立っていた場所には真っ黒なコートを着た二十歳くらいの少年が立っていた。
白髪をなびかせながらどこか幼そうな顔立ちをしている。
「このバカどもも一応俺の手下なんでね
多少減るのは構わないが全滅されてしまうと困っちゃうんですよ。」
「そうですか…」
会話をしながら相手を探る
やばいなこれ
魔力探知が苦手な僕でもわかる
空気中の魔力が奴に集まっていらのがわかるのだ。
「あなたは……魔王さんですか?」
「あん?文句あるのか?」
「いえいえ、文句はないんですが…少し質問してもいいですか?」
「……フッ ハハハッ!
いいぜ。答えてやるよ。魔王って聞いて逃げ出さずに質問か!いやー、お前いい根性してるな」
魔王が少し吹き出してわらってる
これは機嫌が良いのかな?
「ありがとうございます。」
「いやいや、俺も暇なんでね。いい加減待ちくたびれたんだよ
まったく、こんな都市一つに何日かかかるんだよ」
「はぁ」
「で?質問ってなんだ?」
機嫌が良いのか悪いのかよくわかんないが
気になっていた事を聞くだけ聞いてみる
「あなたは、どうして人間の大陸を侵略したいんですか?」
「あん?」
あ、聞いちゃいけなかったかな?
魔王が黄金瞳でこちらを見ている。
すぐに脱出できるように【射出】の準備をして魔王の動きを観察する
少しでも危ないと思ったら一択引く
まともに戦って勝てる相手じゃない。
そう思えるほどの実力差があることがわかる
魔王ルシファーなんか比べ物にならないほどの実力
これが覚醒魔王なのだろうか?
「まぁいい。しょせん人間なんて自己中心的な生き物だ。おしえてやるよ」
人間の大陸を侵略しようとしてるのに言ってんだろう?
魔族の頭ン中なんかわかんないな…
あ、魔王か
「実は俺な〝転生者〟なんだぜ
正確には、エクストラスキル【転生】をつかえる
お、驚いて顔が固まってるぞ
いいねー、その反応。」
え?どういう事?
魔王が転生者?
いや、スキルなのか?ではこの世界の住人がエクストラスキルに目覚めたのか?
「お前もそうだろ?[地球]
どうだ?これでわかったか?」
「・・・」
「フン。無言か?
まぁいいさ。どうせお前はこの後俺に殺されるんだ。
死ぬ前に魔王の半世でも聞かせてやるよ」
そう言うと魔王は腕を一振りして、地面から椅子を二つ生み出して、一つは自分に、もう一つは僕に渡した。
そしてその椅子を組み立てた……
よくキャンプとかで使う折りたたみの椅子だ。
僕と真似るようにして組み立てて座る
「これを組み立てられるってことはやっぱり異世界人だな…
なぁ?俺と手を組まないか?」
「なん……」
「いや、返事はまだいい。俺の話を聞いてから考えてみてくれ」
なぜ僕が魔王と手を組まなきゃいけないんだ?
むしろなぜ僕の事を欲する?
「俺が最初にこの世界に転生した時は、確か30歳くらいだったな。
あん時は一会社員として会社の歯車の一部になっていた。まぁ、不満があった訳ではないが別に幸せを実感している訳でもなかった。
上司の命令を黙って文句も言わずにコツコツとこなすが
基本他人になにか自分の意見を発する事が苦手だったんだ。
そんなんだ、妻はおろか恋人すら居なかった。」
「はぁ」
この人?はいきなりなにを話し出すんだ?
「気がつくと真っ白な世界にいた。
お前も見覚えあるだろう?
そこで神を名乗る老人と出会ったんだ。
目的はなんだったかなー?かなり昔のとこでよく覚えてないんだ。
まぁ、内容はなんだっていいんだ。もう達成したしな。
そこで俺はエクストラスキルをもらった。
ギフトって言ってたかな?」
僕の同じ?
サクラさんの時は僕の出会った神様と違うやっぽかったけど、感じ的に同じなのかな?
「そこで俺が貰ったのは【転生魔法】だ。
確かに強力な魔法だったさ。死んでも所得したスキルや武技を維持して生まれ変われるだ。
しかし、逆に言うと、技能は全て自分で習得する必要があった。最初は大変だったぜ」
そりゃそうか。
転生して記憶はあるが、一般人と同じ能力でこんな世界で生きていかなければならなんだから
「でもな、確かに最初のうちは苦労したさ。しかしそんときの俺にはいつか強くてなって楽をしてやるって思ってたんだ。実際に、数度転生を繰り返す事で確実に強くはなっていった。
しかし、その強さにも限界が来たんだ。
知ってるか?人間ってレベル100が最大なんだぜ?」
「それは知ってますね」
「そうか。さすが俺の部下を瞬殺できる実力だな
それでな、俺の【転生魔法】もスキルやレベルは引き継いでもその上限は常人だった。つまりレベル100とまりだったんだ。」
「はぁ、まぁそれは大変ですね…」
僕自身のレベルがまだ50にも達してないので、それがどんなものなのかは分からないが、
確かに上限が同じってのは酷いようなきがする
「まぁ、それでも俺は俺で楽しんでした。
神様から依頼されたことは苦労しながらも何とか達成することができた。好きな事をして生きていく…
そう決めて生きていたんだ。
そんな中でひとつのことを学んだ。なんだと思う?」
「さぁ?なんですか?」
「それはな、目立たないことだ」
「?」
今のやってることと正反対じゃないか
魔王って…
「そう困惑したような表情をするなよ。
結局おれは達人レベルのスキルしか身に着けていない、暗殺されたら終わりだし、そもそも種族によってはレベルが100以上ある種族もあんだ。エルフとかな?
そんな奴らに囲まれたら俺だって瞬コロよ」
なんだよその表現
瞬コロって…
「でもな、何度目の転生だろうか。
ふと思ってしまった。俺はいつまでこんな事をしてるんだって…」
その場の空気が変わる
いや、空気中の魔力が殺気立つ。
前進にピリピリした感覚がくる
「そん時俺は思ったんだ。終わりにしようって。」
「!?」
「失敗しても構わない。もし次に生まれ変わったら…
まぁ、【転生魔法】で確実に転生するんだけどな。
そう、転生しちまうんだ。俺が本当に終わるには、転生する先をなくす必要があるんだ。
悲しいことに【転生魔法】は常時発動型。俺が死ぬと同時に生まれる。その連鎖を断ち切る」
男が両手を広げる
僕は少しづつ後ずさりをしながら【射出】の準備をする
魔法の発動後最速での移動をイメージする。
普段は自分の体にかかるGを考えてか無意識に【射出】の速度に制限をかけている
今回はそうはいかない。相手は魔王。
覚醒魔王なのかもしれない…
「そう思い転生すると俺は魔族に生まれていた。今までずっと人間にしか転生できなかったんだぜ?
魔族ってさ。レベル上限が900まであるんだ。まぁ魔族にもいろんな種族があるらしいが、少なくても俺の種族は900だそうだ。今世のおふくろがおしえてくれたんだ。
それを聞いて魔族で高みを目指すのもいいかなって思って俺の意志が若干揺らいだが、それも目の前で母さんが【勇者】に殺された時に気づいたよ
あぁ、やっぱり終わらそうって…」
「それが人間を侵攻する理由ですか?」
「あぁ。まずは人間だ。その為にはまずは亜人の協力を仰ぐ。そして人間を滅ぼしたら今後はその亜人の寝首を襲う。それが終わったら魔族だ。」
「そ、それで、僕が協力するメリットはなんですか?」
「あ? あぁ、そうだったな。」
今の話を真に受けると人類すべてが滅んでしまったら何の意味もないような気がするのだが…
「そうだな…俺は“魔力の王”魔力がかかわることなら大抵のことはできる。
もし俺に協力してくれるなら…お前の前世に戻すこともかなだぜ」
「!?」
それは魅力的な相談…
正直この世界にいる意味もなくした気がする。
ならばいっそ元の世界に帰るのもいい気がするな…
ほら、沙耶も異世界転生者の経験者ならなら受け入れてくれるよね…
「あ、でもぼくはまだ神様からの依頼を達成できていません。それでも大丈夫ですか?」
「あ?あぁー。それはちょっと問題だな。でもアレだ。神様も殺してしまえばいい」
「はい!?」
「この世界の神なんて殺せばいいんだ。俺にはその力がある。
お前もやる気を出せばできると思うぜ。肝心なのは想いだ。
何かを成し遂げようと必死になるか、どこかで無意識に自分を堕落させるか…」
「それが覚醒魔王の秘訣ですか?」
「いや、聞いた話だ。
俺は何度も転生して、時には勇者の仲間として活動する時があった。
そこで覚醒魔王に出合った。
その時のパーティは俺も含めて覚醒魔王に見事に皆殺しにされたけどな。
しかし、死に際に教えてくれたんだよ。「俺は魔力から導かれている」ってな
最初はその意味が分からなかった。しかし今ならわかる。俺の目的の為に魔法が勝手に発動するんだ
今まで見たことんもない魔法がな。まさにイメージ通りだ…
悪いことは言わん。投稿して俺に協力しろ
戦っても無駄だ。逃げようとしても無駄だ。」
その話が本当だったとして、僕には何ができる?
おそらく魔法による攻撃や回避だダメだろう
ならば【時間魔法】はどうだろうか?
試してみるか?それとも素直に降参する?
「さて、俺も久々に人間と話した気がする
どうも相手が魔族だとダメだな。頭の良い奴か、頭の悪い奴しかいない。
話してて疲れるよ」
「はぁ」
「さ、どうする?俺に協力するか?それともここで死ぬか?」
「俺は…」
「ここで死ぬのはあなたです!」
「ん?」
突如として地面から土槍が生み出され魔王に突き刺さろうとする
「この程度で俺を殺そうと?笑わせるは」
「っく!?」
魔王が後ろを振り向き何もない空間を掴む
魔王がその手を上に上げると、動きやすそうな和服姿の女性が首を絞められじたばたしながえら現れる
「フン」
「かっ」
魔王が腕をクロスするようにして払う
ポトリと何かが落ちつ音がした
「この程度か?お前らの実力?」
魔王が周囲の森に向かった叫ぶ
そっと落ちた者を確認する…
そこには驚愕の表情をした、知らない女性の顔が落ちていた。
ふぅ。よかった。
「さて、タイムアップだ。話せて楽しかったぜ
黙って聞いていてくれる奴がいるってのもいいもんだな。忘れてぜ」
「なら見逃してほしいんですけど…」
「そうはいかないぜ。それにお前も俺を討伐しにきたんだろ?」
「まぁそうなんですけどね。でもよくわかりましたよ。自分の実力が・・・
まったく勝てる気がしませんね」
「そうか…なら」
魔王がその手に持つ死体を上に放り投げる
その死体に目が行かないように気を付けながら相手をよく見る
「!?」
「ほう?これをよけるか?」
相手の視線を誘導し、その隙に左右から魔力の刃が発生し挟み込むように攻撃をしてきた
中々ずるがしこい手を使う。
「魔王がやる攻撃ですか?」
「悪いが俺はそんな強くないんでね?チートスキルもなんもないんだ」
いや、いま全くの無詠唱で魔法発動させたやん
そう口答えをしそうになり慌てて回避する
僕がいた場所に上空から光のビームが降り注ぐ
なんだよそれ…
やっぱりまともに戦っちゃダメだ。
【射出】で…
「そこの冒険者!援護魔法行くぞ!」
森熊のような男が現れ、その男を筆頭に10名近い魔法職の恰好をした部隊が現れる
そいつの声を聞いて、魔王に全身に注意しながら距離を取ろうと再度バックステップをする
それと同時に魔法が放たれる。それは炎た氷、雷など、おそらく魔法職が得意な魔法を放っているのだろう
「退屈だな…」
その一言で魔王の目の前まで迫っ火の玉や氷の礫、が四散する
やはり魔法はきなないのか…
そう判断したのか、先ほど出てきた魔法職の後ろから甲冑を着込んだ数人の戦士が前にでる
こう見るとアレだな。甲冑の頭部は耳の形をしたりしている
人間とほとんど見分けはつかないが、それでもここは亜人の国なんだと自覚する
まぁほんと今更ですけどね…なぜ今それを思ったのだろう?
「お前たち、行くぞ!【身体強化】」
「「【身体強化】」」
3人一組のチーム自分たちに身体強化の魔法を付けながら突っ込む
「甘いな…」
魔王が腕を振るう
すると甲冑を着込んだ兵士たちが倒れて血を吐く
「な、なぜ・・・?」
その一言を最後に兵士がつぶれる
そう、つぶれたのだ・
真っ赤な血を周囲にバラマキながら潰れる…
「これが魔王?」
おそらく【身体強化】に魔力を使ったため、その魔力を操ったんんだろう。
これじゃ、【射出】はおろか、【体内加速】も仕えない可能性がある。
これ…やばくね?
「【時空斬撃】」
魔王が居合にポーズを抜刀と同時に一回点する
勿論その手には何も持っていない。無手だ。
しかしそのスキル名には聞き覚えがある
と、言うか僕が持っているスキルだ。
武技と併合して使用することで空間そのものを切り裂く武技だ。
それを無手で武技を発動させ宇ことなく使用した…
・・・やばい!?
慌ててしゃがみこむ…
直後、応援部隊が全滅した…
引き続き仕事が忙しすぎて更新ペース遅いです
次回は4月28日です




