67話 魔族
はて、この世界ではどこまでが人間なのだろうか?
僕の基準では亜人や獣人は人間ではない気がする
あ、もちろん魔族も人間には含まない
まぁ、その感覚も転生するまでの感覚ですけどね。
この世界に転生してきて、いろんな人に触れ合った。
猫耳のココやチョコ様。鬼人のパフェさんなどなど数えきれないほどに…
さて、何故そんな事を唐突に思ったのかと言うと、目の前に捕食されている鬼人が見えた。
外見は人間そのものの姿。
違いと言えば頭に角が生えてるくらいだろうか?
外傷は両腕が両方とも食いちぎられ、
腹には大きな穴が空いている。
そんな鬼人を2体の魔族が襲っている
一体は文字通り襲ってる。いや、犯している。
そしてもう一体が千切られた両腕をかじりながら後半した様子で犯している魔族を見ている。
そんな光景があちらこちらに見える。
もちろん死体がそこら中に転がっている。
あぁ、目の前で知ってる人が殺され犯されている時ってこんな気持ちなんだな。
あまり長い付き合いでは無かったが、一晩中話し合ったのはよく覚えている。
「ソラさん。逃げましょう」
僕の横から雑音が聞こえる
逃げるなら一人で逃げろ
「僕の、身元を確かめなければいけないので、逃げるならお先にどうぞ」
「さ、そんなぁー」
チョコ様の死体がない事を祈りつつも、僕は右手に魔力をあつめる。
魔族は様々な姿の者がいるが、そのどれもが共通して背中に羽を生やしてお尻の辺りから細い尻尾を生やしている
前世の記憶では悪魔と言った方がわかりやすいだろうか。
実際、この世界の亜人、獣人は魔物との類似した箇所がある人間の、事を指す。
そうなると、もしかしたら魔族も悪魔の遺伝子を持った人間なのかもしれない
そんな悪魔が見える範囲で20体。
死体を食べる者、犯す者、それを眺める者
まるで時刻絵図だな……
衝撃的な事があると逆に冷静になるって聞いたことあるけど本当なんだな。
「セルンさん、あなたはどうしますか?、ここから引き返しますか?」
「も、もちろん。これだけの大軍ですよ。勝てっこないですよね。」
「わかりました。では、僕が切りこんで騒がを起こしますのでそのスキに逃げてください」
「え?てことはソラさんは戦うんですか?」
「はい」
別に無理強いはしないし、僕自身も死ぬつもりはない
単純に僕の任務は魔王の討伐だ。
結局、僕が人間の大陸に戻るには、チョコ様からの依頼の魔王討伐を達成するしかない
そのためには、この魔大陸で身分を証明してくれるチョコ様の生存と魔王討伐の2つを達成するする必要があるのだ。
魔大陸用の冒険者カードは発行出来ているので、
もしかしたらこれが身分証になるかもしれないが、結局はそれを発行指示を出したのが身分を隠したチョコ様ならそこまでの影響度はないだろう
最悪の手段として、一応は頭の片隅に入れおくくらいが現実的かな?
「僕がここにいるのは魔王の討伐とチョコさんの護衛です。そのチョコさんを危険にさらす可能性があるならやはり僕はここで逃げるわけにはいきません」
「そ、そうですか…でも死んだら終わりですよ?」
「セルンさん…大丈夫です。簡単に死ぬつもりはありません。」
実際、僕一人なら死ぬことはないだろう
自分を上空に【射出】して緊急離脱。その後【空駆】で移動すればなんとかなるだろう
まぁ、そんな打算もあり僕は強気でいる
「では、セルンさん。僕が飛び出したら逃げてください。
でも、周囲に魔物もいるので気を付けてくださいね」
「わかりました。それでは…」
その言葉を最後にセルンさんが木の影に隠れながら移動を開始する
さて、…行きますか
「【ファイアドライブ】!」
【射出】による高速移動で、一番近い魔物に一気に近づく
そして左手で魔法を発動させながら魔族を勢いよく殴る
犯すことに集中していた魔族は最後まで僕の攻撃に気が付くことは無かっただろう…
拳の先には何もない。
バタリと音を立てて下半身が転がる
その音を聞き終わる前に、近くで腕をかじっていた魔物に向けて蹴りを放つ
「グレンさ…」
蹴りに反応できずに、その魔物は吹き飛ぶ。そしてその先にあった木に頭から激突して上半身がめり込む
かなりの音を発した為、周囲の魔族が手を止めこちらを振り向く
「お?獲物か?」
「俺は男は好きじゃないんだがな…」
その数20匹
うん、外見は悪魔のような人間。でも決して人間ではないな…
「おい!グレン様はどうした?」
すこし偉そうな魔族が周囲を見回しながら誰かの名前を呼ぶ
最初に殺した魔族かな?
「グレンってコイツですか?」
上半身が無くなった魔族の死体をそいつに投げつける
その姿をみて、周囲の魔族が怯む…
「ぐ、グレン様を一撃で?」
「なんなんだあいつ!」
「誰か魔王様を呼びにい…」
最後の奴は言い終える前に上半身が吹き飛ぶ
さすがにこの数の魔族を相手にしながら魔王の相手は大変そうなので妨害する
と、言ってもどうせこういうのって騒ぎを聞きつけて勝手に登場しそうだけどね…
アニメとかのあるあるですよねぇ
【射出】による高速移動で瞬時に敵のゼロ距離まで移動し、自分の手に【物理障壁】の魔法陣を発動させて敵を手で押す。その結果、【射出】の移動エネルギーでそのまま敵を押しだすことができる。
本来ならば、衝突した場合は両者に同等のエネルギーが加わるのだが、
今回は【物理障壁】により僕には一切ダメージ、と言うか反発力が加わることなく、【射出】の威力を活かして敵を攻撃することができる
そしてさらにここから応用だ。
すぐ横にいる魔族に対しほんの少しの距離を【射出】して先ほどと同じように【物理障壁】を張った手で押す。今までならばこの近距離は【視界内転移】を使っていた。
なぜなら、この距離で【射出】を使用すると移動の為操作した運動エネルギーを再度魔力を使い操作する必要があるからだ。
しかし、今回の攻撃方法により、敵を押すことにより自身は止まることができる
もし攻撃が外れてもそのまま【射出】のエネルギーで相手の射角まで緊急離脱できる
「なんなんd…ぐふぅ」
「こいつはゃ…ゲフゥ!」
「た、たすけぇ…ガッ」
同様の攻撃で続け様に3匹の魔族を仕留める
押す。蹴る。殴る。
今までなんでこの方法を思いつかなかったんだろう?
思いついてしまえば簡単。サクサク
簡単殺戮マシーン
面倒なので魔法名を決めよう。
何にしようか…
「よくもなかまぉ…ッガ」
「く、くそ…!」
ラリアットのように2匹の魔族の顔へ一撃を入れる
両者の顔が完全にスクラップになる…
「【射出撃】…我ながらネーミングセンスが壊滅的ですね…」
この世界は一度使った魔法のイメージを文言で代行することができる
それが呪文だ。
その呪文をしないでイメージで魔法を使うことも可能だが、やはり文言として魔法を使った方が使いやすい場合もある。今回のように高速で戦闘する場合なんか特にそうだ
「【射出撃】!」
「ギャフン!」
いや、お笑いみたいな叫び声上げないでよ…
お腹に大きな穴をあけて魔族が崩れる
これで6匹。残り14匹。
「次はどなたですか?」
拳を構えて挑発する
1匹1匹を初見殺しで瞬殺。まぁ、普通の奴は見切れないと思うけど…
「フハハハ、俺様が…ッ」
「な!」
言葉を発した大柄な魔族に不意打ち気味に【射出撃】で殴る。
しかし、その拳を手のひらで受け止められる。
ふむ、雑魚ばかりではないってことか…
こちらの腕をつかまれる前に後方へ【射出】して距離を取りつつ、後ろに回りこもうとしていた魔族2匹を蹴り飛ばす。
「反応速度もなかなか」
「それはお褒めにあずかり後衛です!」
横に【射出】しながら別の魔族をつかみ、大柄魔族に投げつける…
投げた魔族の後ろに移動して向こうからこちらを確認できないようにして、視界の影に隠れるように近づく…が、
「甘いな」
投げた魔族が両断された。
魔力による巨大な刃が縦に射出されて魔族ごと僕を切り裂こうとしてくる
「あぶっな!?」
慌てて右側に【射出】してかわし、移動しながら遠距離魔法を放つ
「【ファイアボール】3連射」
高速で横移動をしながら続けざまに3つの火の玉を生み出す
火の玉自体は高温の燃える攻撃性の高い魔法だが、残念ながら魔族には全く聞かなかった
「俺様達には魔法はきかねぇぜ?そんなことも知らないのか?」
「人間って馬鹿だな」
「ハハハッ…ふはぁ!」
取り巻きが五月蠅いので【射出撃】で動かないようにする。
1匹目は【ファイアドライブ】により上半身を消し飛ばす
2匹目は直前の【視界内転移】で後方に回り込み尻尾をつかみ、ハンマー投げの要領で3匹目へ投げつける
3匹目は2匹目の手を話す直前に【射出】を使ってみたら思ったよりも威力が出て、それに巻き込まて絶命する
大柄な魔族が、雑魚が瞬殺されたことに驚きつつも僕とほかの雑魚の間に入るように立つ
仲間思いなのかもしれないな…
まぁこいつらのやったことを考えるとそんなことをしても関係ないけどな
間に立ちたいならそれはそれで魔法の実験台になってくれて助かるね
「へぇ。魔族って魔法は聞かないんですね」
「あぁ、ここにはまだ10匹近い魔族が残っている。お前らの負けだ」
「ほう…でそうですか…では、僕の魔法を受けてみてください」
「そちらに付き合うわけないだろう?」
ここにきて初めて大柄な魔族が動く
両手を左腰の位置に添えて魔力を集めだす
あ、これヤバいやつだ…
「か~」
ほら、掛け声まで真似してるし…
慌てて僕は魔法の発動を始める
「め~」
ホントは【射出撃】で先手必勝で魔法潰すのが別祖なんだろうけど、今回は特にそこまでしない
両手で周囲の魔力を集めて収束する
放つのはただの魔法ではない…
この世界の真理を改変する魔法。
放つのは先ほど潰された【ファイアーボール】
ただし、魔法による攻撃の無効化という魔族の体質に対し、その魔族の体を焼くことができる…
対象の物質に関係なく燃焼させる炎を生み出す。
いや、そう言う炎を生み出すように世界を改変する…
…ファイアーボールの周囲だけね
「は~」
「行きます![漆黒の炎]!」
僕の手から漆黒の炎が発射される。
大柄な魔族は先ほどと同じようにかわすことなく詠唱を行っている
しかしそれが命取り…
「め~…ッ!?」
漆黒の炎が大柄の魔族の右腕肘部分に直撃する。
しかし炎は大柄魔族の右腕をもやし始める
おそらくだが、魔族は体に魔石を持っていると聞いたことがある
通常の魔法が効かないのはその魔石で相手の魔法の魔力を吸い取ってしまっているからではないだろうか?
まぁ、その事実はこの際どうでもいいのだが、[漆黒の炎]は空気以外のふれた者をすべて燃やしつくす
そして燃やす熱エネルギーをどこから持ってきているかと言うと、それは燃やす対象から奪うのだ。
魔族の魔石が側は漆黒の炎から魔力を奪おうする
漆黒の炎側は、対象の魔力を奪って起動する
つまり両方相手の魔力を奪い合うのだ。
その結果どうなるが…
見ての通り大柄魔族の右腕が消し飛んだ。
そりゃそうか…
魔力をただ吸収する物と、魔力を奪ってそれを活用してさらに奪うのでは後者の方が圧倒的に有利だ
そろそろ解説も飽きてきたので結果を出そう…
「な、なんなんだこの炎!?」
「漆黒の炎という魔法です。ふれた物すべてを燃やしつくします。あなたもその全身を焦がされることでしょう…」
「…」
大柄魔族は絶句する
そして決意を持った目でこちらを見て、その腕を切り裂いた…
「これで貴様の魔法は…」
「すいません…甘いです[漆黒の炎]」
[漆黒の炎]対策としては良いだろう。しかしそれはあくまでも現在の漆黒の炎に対する対応だ。
僕は自身の周囲に6個の火の玉を生み出す。
「僕はあなた達のおこなったことが許せません。ですので僕も容赦なく決着をつけます」
僕の周囲から漆黒の炎が飛び出し、魔族めげけて飛んでいく。
そこからは先ほどと役を交換した地獄絵図
逃げ惑う魔族に対しては【射出撃】で足をちぎり、動けないようにして[漆黒の炎]で焼き殺す
絶対に容赦はしない…
一通りの魔族の処分は終わった。
前進を焼かれながら苦しむ声をBGMに息がある冒険者はいないか探す
残念ながら誰もいないが…
「面白ことをやっていますね。僕も混ぜてくださいよ…」
幸い、チョコ様の遺体は無かった。
人間の死体を一か所に集めてどうするかを考えていると背後から声が聞こえた。
そして振り向こうとして…
吹き飛んだ。
錐もみ状態で周囲の木にぶつかりながら停止する
何今の…?
何とか体制を起こしながら周囲を観察し、小声で自身に回復魔法をかけて何とか立ち上がる
「ファストヒール」
さて、どうする?
来週の日曜日に更新します




