63話 移動
(前方よりコボルト4!スラパライトさん対象お願いします)
(任されました!)
甲冑を着込んだガタイの良い中年騎士が前に出て切り込む
木の影から現れたコボルトを両断する
現在、【レイドパーティ】と言う、暫定的な大規模パーティ魔法で念話を行なっている。
なんでも魔法の効果は6時間しか持たないが、半永久的な【パーティ】魔法が8人なのに対して、【レイドパーティ】魔法は80名まで登録でにる。
(左翼よりゴブリンマジシャン1とゴブリンライダー3がいます。ウインドさんは先行してゴブリンマジシャンを、他の方でゴブリンライダーの足止めをお願いします)
「うらららー」
魔物討伐のローテーション1回分を無駄にした責任でウインドさんはD班のリーダーから降格。
その代わりにパフェさんがリーダーに昇格した。
別の班と協力して王都への襲撃している魔物をほとんど討伐していき、B班がその魔物たちが湧き出る場所を発見。
現在、C班とその場所を探索している。
そこはダンジョン化した森だった。
ダンジョン内と言う事で遠距離魔法の使用が解禁されてチョコ様は嬉しそうだ。
さっきもゴブリン相手に【爆散】魔法なる野蛮な魔法を放ち、ゴブリンを血祭りにしていた。
ただし、遠距離魔法を、使えるのはこちらだけではなく、相手も使用してくる。ゴブリンマジシャンやゴブリンシャーマンと言った遠隔系の魔物が多く参戦していて、魔物の討伐自体はダンジョン外よりも遅くなっている。
(ゴブリンキングがいます!各自下がってください。
あ、ウインドさんは早くゴブリンマジシャンの討伐を!
合流されたら面倒です。)
うえ、ゴブリンキングかー。
やっぱ出るよなー
(僕が先行します)
(え?ソラさん?)
【射出】を使い前に出る
木と木の間に何度か【射出】を使用して移動するとパフェさんの言う通りゴブリンキングがいた。
ゴブリンキングもこちらに気がつき手に持つ鎌を構える。
おいおい、ゴブリンなのに鎌ですか…
よく見ると骸骨の仮面のような物を頭にかぶっている。
「おりゃ!」
地面ギリギリから【射出】を駆使して移動する。
ゴブリンキングが横振りをする鎌をしたから避けつつ距離を詰め右手に魔力をこめる
「重力魔法!」
股の間をくぐり抜けながらゴブブリンキングの左足を右手で触れる。
その瞬間に左手にかかる重力を強くする。
ゴブリンキングが振り返ろうとするが左足に先ほどの【重力魔法】による負荷がかかり続け膝をつく。
その隙に地面を蹴り、空中で再度【射出】を使い近づく。
ゴブリンキングの背中に【射出】で加速しながら蹴りを入れる。
さらに体勢を崩したところに左手で頭を殴りながら【重力魔法】でゴブリンキングを拘束していく
さらに数発拳を打ち込んでゴブリンキングを拘束していき動けなくする。
(拘束しましたー。)
(えっ?拘束!?)
(はい。動けないようにしました。止めさしちゃってもいいですか?)
(え?・・・ど、どうぞ?)
(あ、そうですか?では止めさしちゃいますね)
なんだ、ゴブリンキングってB級の魔物って聞いたから珍しいのかと思ったのに。
左手に再度魔力を集める
「【ファイアボ…」
(ちょとまった!)
(え?あ、はい)
ウィンドさんからの念話が入り魔法を中断させる
なんだよ、やっぱり気になるんじゃん
しばらく待っているとゴブリンマジシャンを討伐してウィンドさんがやってきた…
「遅いですよ」
「すまねぇな。」
周りの魔物をある程度討伐し終わり、ほかのみんなも合流する。
なんだよ、け
「これがゴブリンキングですか…」
「すごい大きさですね…ほんとにゴブリンですか?」
「ソラさんすごいですね。まさかB級の魔物を…」
「そろそろ討伐していいですか?これ維持するのも魔力使うので…」
「あぁ、わるいな…」
ウィンドさんが予備の大剣でゴブリンキングに止めを刺す
あ、ほんとにパフェさんに取られたままなんだね。
そのあと、見晴らしのより小丘で交代で見張りをしながら少し休憩する。
ふぅ。疲れた。
「D班のみなさんですか?」
「えぇ、そちらは?」
交代で見張りをしていると冒険者集団がぞろぞろ歩いてきた。
猫耳にウサギ耳、熊耳。
亜人って最高!
と、ふざけすぎてしまった…
いやさ、にやにやが止まらないね。
「はい。私がD班のリーダーのパフェです。あなたたちは?」
獣人の女性冒険者8人にニヤニヤしている僕に対し若干不機嫌なパフェさんが聞く。
「私はC班の班長のエリスです。同じ鬼人通し仲良くしましょう?」
「えぇ。よろしくお願いします。」
黒髪ポニテの少女冒険者がパフェさんと握手をする。
あ、よく見ると頭にちょこんと角がある
「あれ?B班ですか?」
あれ?順番的に入れ替わりならE班かと思ったけど…なにかあったのかな?
パフェさんも同じことを疑問に思ったらしくエリスさんの顔を見る
「えぇ、国王より命がくだりました。この先に巨大な魔力反応が見られたそうで、至急対応せよと…」
「魔力反応?」
魔大陸は各都市に周囲の魔力吸収装置がある。その装置で周囲の魔力を吸収している為、遠隔魔法は使えない。それなのに、魔力を探知する魔法で確認とはそう言うことなのだろうか?
仮に魔力を探知できる方法があったとしても、ここは森のダンジョンだ。
本来魔力があって当たり前の場所…なにかあったのだろうか?
「まさか…」
「えぇ、そのまさかです」
あれ?パフェさんは気が付いたようだ。
なんだろう?
「そちらの少年くんは気が付いてないみたいだから説明しますね。あ、ついでなのでそちらのメンバーも召集をお願いします。一度で説明しちゃいましょう」
「あ、はい。そうですね。」
D班のメンバーを集め説明をお願いする。
「現在、このダンジョンを中心に魔力が溢れ出ています。それはもう膨大に…
王都魔力吸収装置でも吸収しきれないほどです」
みんなが驚く中、パフェさんだけが“やはりね”みたいな顔している。
若干ドヤ顔だ。ほら、チョコ様なんて驚いて尻餅ついてるし…
てか、パフェさん、チョコ様の護衛だよね?最近わすれてない?あれかな?D班のリーダーになって浮かれているの…イタ!
パフェさんが【縮地】で来てげんこつしてきた。無駄にスキルを使わないでください
「王都周辺は魔力に包まれています。いえ、まるでこのダンジョンと一体化しているようでした。
そんな状態ですので本来休憩中だった私達B班にも声がかかったのです。」
なるほど…では王都周囲は魔物だらけなのかな?
あれ?ならここにいて大丈夫なのかな?
「現在はA班のみなさんが王都周囲を警戒してくれています。その隙に…と言うことで国王よりダンジョンの中心部にいると思われる魔王討伐を依頼されました。」
「なるほど、それで【魔力探知】が王都で使えるようになったんですね」
「そうです。では一通り説明しましたので、こちらも移動の疲れを癒したいですこし周囲の警戒をお願いします。」
「わかりました。」
それから半刻ほど交代で見張りをしながら休息をとった。
その後ダンジョン奥部への侵攻を開始した。
と、言っても各班は20名近い人数だ。一気に移動してはお互いに邪魔になるのでB班が先行してその後を僕らD班がついて行くことにする。
最初はどちらが先頭を行くかもめたが、決定打になったのは先ほど討伐したB級の魔物、ゴブリンキングだった。
基本、複数パーティで侵攻する場合は、戦闘のパーティが一番戦闘数が多くなりその分危険も多くなる。
また、侵攻途中でボス級の魔物の遭遇した場合には未知の敵と戦うことになるので非常にリスクが高い。
しかし、それだけ危険がある代わりに利点もある
それは、後衛のパーティの戦力を温存できると言うことだ。
戦闘を危険にさらしてでも確実に個体を倒したいがいる時のみの編成方法だ。
そして、それが今回のような場合。
魔王の討伐。
その為には決定打になりうる戦力の投入が必要になる。そして現在、その戦力としてカウントできるのが、B班パーティのエリスさん、D班の元リーダーのウィンドさん。
そして、ウィンドさんに勝ったパフェさんとB級の魔物を制圧し拘束した僕。
この4人が戦力の大部分を占めている。
(え?チョコ様?一応戦力にはなるが、魔王戦で確実な戦力になるかはわからない…)
そのことから有効戦力が多いD班を温存させ、途中に雑魚敵はB班が対応することになったのだ。
「先で戦闘音がしますが大丈夫でしょうか?」
「私の【魔力探知】と[勇者の杖]での効果UPで確認していますが、今の所は問題なさそうです」
「って、いつまでパフェさんから杖かりてるんですか?」
「あ! ほんとね。返してよ」
ウィンドさんとの模擬戦で勇者の杖をチョコ様から借りたままのパフェさんがすでに平然と使いこなしている。もう、パフェさんが持ってればいんじゃないのかな?
「あれ?チョコ様使うんですか?てっきり格闘家に転職したのかと思いましたよ」
「そんなわけないじゃない…ほら返しなさいよ。竜の山で練習した魔法も使いたいし…」
「あ~。あれ使うんですか?」
なんだろう?新しい魔法?きいてないな…
僕が黒龍老人と修行している間につくったのだろうか?
「新しい魔法ですか?みせてくださいよ」
「え!?いやですよ!」
あれ?なんでだろう?
せっかく作った魔法なら見せびらかしてもいいと思うのにな…
「ソラさん。パフェ様はね、黒龍老人の家にある古文書を読み取り、その魔法を真似したのよ。」
「ちょ!。パフェ!それは言わないでよ」
「え~。そうですか?」
「古文書なんてあったんですか?僕もみたいな…」
「え?あー。あれはまぁ、…確かに魔法の想像力の勉強にはなると思いますが、ソラさんには少し退屈かもしれないですよ?」
「ん~。どうでしょうね。僕は本を読むのは好きなので気になるんですが…」
「では。次に黒龍さんの所にいったら一緒にみましょうね」
「そうですね。…そのためにも今は魔王を何とかしないと…」
「えぇ。ソラ。よろしく頼みます」
「はい…」
それから数時間移動を行うと少し開けた場所に出る。
すでにそこでB班のみんながキャンプを張っている。僕らもそこに合流して準備をする
周囲の調査だけでこのダンジョンが巨大な物と言うことはわかっていた。なので今夜はこのダンジョン内で一夜をすごすことになっていた。
その為の装備も持っていきている。
B班は折りたたみのテントを張り終えて焚火を作り魔物の調理を始める。
(ちなみに水は魔法で生み出せるので今の所問題ない)
僕らも荷物持ちの班員から部材を受け取り作成を始める。
レイドパーティと言っても一概に全員が戦闘員と言うわけではない
中には今回のように部材持ちや食料などの荷物持ちの人員もいる。
もちろん僕らのD班にはもいる。その為に移動や戦闘の間に何度も休息をとった。そのことも影響して持ったよりも移動距離を稼ぐことができなかった。
「【魔力探知】で強力な魔力を確認できたのがココから北に100キロいった場所です。まぁダンジョン内ということで空間のゆがみ等もあるとおもいますので一概に正しいとは限りませんが…」
「そうですね。しかし現在も北から強烈な魔力が感じられることを考えるとやはり脅威は北でしょうか…」
現在はB,D両班の班長のエリスさんとパフェさんで今後の行動につて協議をしている
「それで明日以降の対応ですが…正直予想以上の魔物の戦力が高くてB班も消耗が激しいように感じます」
「そうですか…こちらも今日の午後から休み休みの侵攻をさせていただいたので、明日は前後を交換しますか?」
「できればそれを希望しますが、それだと魔王に対しての戦力が心もとなく感じます。
北へ移動し、近づけば近づくほどその強大な魔力へ危機感を持ちます…そうなるとこの先、おそらく明日の邂逅に向けて戦力を温存しなければいけないとは思うんですよ」
「なるほど…では明日も今日の布陣でいきますか?」
「いえ、それでは最初に行った通り魔王との邂逅前、下手をすればB班が疲労で衰退してしまいます
ですので…
そこのソラさんを暫定的にB班に移動をお願いできないでしょうか?」
「「はい!?」」
いやいや、何言ってるのかな?
「魔王に対抗できる方をB班とD班で2名づつに分けましょう。と、言うだけなのですが…なにか問題でも?」
「えっと…」
僕が説明しようとするとパフェさんが止める
「ちょっと諸事情がありまして、私とソラさん。それにソコでへばっている魔法使いの子は近くに痛いんですよ…」
パフェさんが作戦室用のすこし大きいテントの端で倒れこんでいるチョコ様をさして簡単に説明する
「諸事情?…」
「えぇ。説明はできませんよ?」
「そうですか…それですとウィンドさんをこちらのパーティに移動してもらうことになりますが、それだと戦力が偏ってしまいませんか?」
「それはしかたないですね。ウィンドさんをそちらのパーティに回しましょう」
こうして明日に向けた作戦会議が続くのであった…




