57話 龍
「そこまで警戒しなくでも大丈夫じゃよ?
ちょっと力試しさせてもらうだけじゃよ?」
・・・ほら、やばくね?
どうする?別に戦う必要ないしここは【射出】で離脱するべきか?
「ほほう。そこの穴子は……あ、間違えた。
そこのおなごは【聖女】じゃな?
ふむふむなるほど……」
「わかるんですか?」
「そりゃ千年以上生きていれば相手のスキルを見透かすことなど容易いわい」
ほう。
なら、僕の時間魔法もわかるのかな?
「そうか、そちらの少年を覚醒させる為にここへ導いたんたな?」
「チョコ様?そうなんですか?」
「え?覚醒ってなんですか?」
「いえ、僕達は魔王を倒すために武器を貰えると聞いて来ました。でも違うみたいなので帰りますね……っつ!」
僕が言い換えるや急に殺気を出して持つ杖をレイピアの様に使い突きを繰り出してきた。
はやっ!
左手に持つ小盾で横にずらそうとするが容赦なく盾を貫いた。幸い腕のある中心部分ではなく端よりだっため突き刺すだけにとどまったが…
「ほう。ワシの突きを受け止めるとは…」
「いや、盾に穴が空いちゃいましたよ?」
「ホッホッホ!」
老人が杖を離し回転蹴りを放つ。
右手に持つ剣の腹でその蹴りを受け止める。
「これも受けるか。交わしてもいいんじゃよ?」
「交わしてたらかわしてますよ!」
僕の剣も足場にしてさらに次の蹴りを放たれる
すでにゼロ距離。
【体内加速】(4倍速)
腰をひねり無理矢理蹴りを交わす。
その回転を活かして杖の刺さった盾で殴る
【衝撃緩和】
盾が老人を捉え強打する
威力的には身長2mはある蛙頭を吹き飛ばす威力だ。
「ホホッ。やればできるではないか。」
「くっ!」
老人が左手で盾を受け止める。
老人の手がうっすら光手の甲が鱗に覆われた巨大な3本指の手になる
その手で【衝撃緩和】により威力を上げたはずの盾を押し返す。
【体内加速】(16倍速)
盾を捨てて距離を詰める。左下から右上への一閃。
【炎剣】を、発動して威力をあげる。
(なるほど…これが時間魔法か…)
え?念話?
脳に、直接声が響いてくる
(ソラ!頑張って!)
(ソラさん。ここで負けたら国は救えませんよ!)
同時にチョコ様とパフェさんからも声が聞こえる。
老人をの方に意識を戻すと剣が空を切った。
老人が真っ二つに分かれ煙になって四散する。
白い煙。いや、これは魔力をでできているな。
おそらくこの魔力の煙のおかげで後ろの2人とも念話ができる様だ。
バックステップをしながらチョコ様とパフェさんを抱える。そして後半へ【射出】
煙を抜けた所で着地して一度【体内加速】を切る
「大丈夫ですか?」
「え、えぇ。ソラって凄いのね。さっきのは私の目では追えなかったは」
「私は辛うじて見ることは出来ましたが交わすことはまず無理でしょう」
「ホホ。やりおる。やりおる。滾ってきたわ」
「そのまま、煙になって消えてくれると嬉しいんですけどね」
「それは無理じゃのー」
煙が集まりだし徐々に龍の形にかたどられていく。
長い尻尾にトラックほどの胴回りがある胴体。
そこから太い足と、足よりは小さいがそれでも筋肉質の腕が生えている。
口を払えば人間数人を、丸々飲み込んでしまいそうな大きさの顔。
そして一番目を引くのが巨大な翼。
飛竜をおまわせる体の倍以上ある薄い皮翼が背中きら生えている。
あれだね。某狩ゲームのサマーソルトをしてくる緑の飛竜に、手を生やしたような外見だ。
「では、せめて僕と1対1でいいですか?」
「良いのか?普通はパーティで戦うもんじゃぞ?」
「残念なことに僕のスキルは誰かを守ったり、連携して戦うのは不向きなんですよ」
龍がニヤ付きながら答える
てか、あの外見で喋れるのか
「そうか…
大体の【勇者】はパーティで挑んで仲間の1人が殺されて、これはゲームじゃないって自覚して強くなるんじゃがな…」
「おいおい。殺すなよ」
「それは違うぞ。あやつらはワシを殺しに来た。だからやり返しただけじゃ
そういう意味でお主はちがうの。最初はワシの心配をしてたり、今は仲間の事を考えて一人で戦おうとしておる」
どっかで聞いたことある話だな。
異世界転生した勇者がこれは現実だと自覚するイベント
なるほど。ならば僕はすでにその必要がない。
だってわかってるもん。
この世界は悲しいくらい現実的で絶対ゲームなどではない。いや、そう思わせる魔法はある。
歴代な勇者が作った魔法達のせいだ。
そう誤認させる魔法を、なぜ作ったのだ?
分からん。
考えても仕方ない。少なくても僕が今までにあった転生者はサクラ先輩だけだが、彼女は一生懸命現実を生きている。
もしこの先、ゲーム感覚の転生者がいたら注意しよう。
「では、あくまで模擬戦っことでいいんですね?」
「それは違うな。ワシは今からお主を殺しにかかる。
しかし、必要に殺す事はせぬ。戦闘不能になったらそれで終了じゃ。回復魔法もかけてやろう。
お主もそのつもりで来い。即死しなきゃ助けてやるってだけだ。
あ、後ろの二人は結果がどうあれ生かしてここから出してやろう」
「わかりました。どのみち逃げられそうにないですしね」
「そうじゃの。この姿を見た者がここから生きて帰った事は今までない。そういう意味ではそこの2人が始めてになるな」
「では最後に質問です。」
「なんじや?」
「貴方は、古龍ですか?」
「ホッホッホッ
そうじゃのー。古龍の定義がワシには分からん。
しかし、ワシにあった勇者は皆こう言う
[黒龍]とな」
そう。この龍。全身真っ黒なのだ。
古龍の定期がダンジョンコアが生み出し、長い年月を経た龍の事を言うので古龍である事は間違いなさそうだが、
外見は黒い龍。黒龍なろう
「なるほど。わかりました。では生きますよ」
「そうじゃな。ワシの攻撃を受けて生きろ
まずはそちらの2人に【インフィニティシールド】」
チョコ様とパフェさんの周囲を囲むように丸い光の盾が生み出される
「そのシールドは空気中の魔力を吸って魔法・物理完全無効の結界を作る。これで安心じゃな?」
「信じていいんですね?」
「ホッホッホッ」
ちっ。笑って誤魔化された。
しかし信じるしかないだろう。どちらにしろ僕には守るすべがほとんどない。
「いつでもくるが良い」
「そうですね。では……【射出】」
自信を前方に【射出】する
あの巨体だ。盾は諦めよう。
「甘い!【岩石】」
黒龍が手を払うと巨大な岩が生み出され高速回転しながらこちらに直進してくる
直撃コース。
見る見るうちに目の前に迫ってくる
【体内加速】(4倍速)
【視界内転移】
岩石が当たる直前に斜めに転移する。
さらに【射出】を行い角度を調整。
驚く黒龍の腹に蹴りを入れる。
腹が凹み、黒龍の顔が苦痛の表情になる。
しかし次の瞬間黒龍の体が視界から消える。
直後に、目の前は尻尾が…
サマーソルトまで使うのかよ。
事前に【体内加速】してて助かった。
横に【射出】をして緊急回避をした。
【空駆】により足場を作り、それを重力魔法で座標固定しつつなんとか着地する。
今度はそのに向けて炎のブレスが迫る
片手剣に魔力を集め受け止める
【炎剣】+【空間斬撃】
久々の時間魔法の二つ目のスキルだ。
正直オーバーキル過ぎてなかなか使い道がなかった。
炎の斬撃がブレスにぶつかる。
黒龍が爆発を予想して目を閉じる
しかし爆発は起きない。
ブレスそのものを異空間へか消し去った為だ。
【視界内転移】を、使い距離を詰める
目を開いた黒龍が僕の死体が見えないことに動揺する
それが明確なスキになる
【視界内転移】の連続使用で後ろに回り尻尾を掴む。
正確には尻尾に着く鱗を掴む
そして引き剥がす
赤い鮮血を流しながら中の肉が見える
流石にこちらに気が付き尻尾を振り回しながら振り向こうとするが、そうする前に鱗をはがした場所へ剣を突き立て深々と差し込む。
「くぅっ!」
剣を離し離脱。
180度回転してこちらを振り向く。
その顔に向けて魔力を集めた拳で殴る
一撃目。
黒龍の顔が大きくぬけぞる。
こちらを睨みながら顔を戻そうとした時に【視界内転移】で黒龍の顔の上に移動する
二撃目。
地面に、叩きつけるように拳を振り下ろす。
土埃をあげながら叩きつけられた黒龍のはらわたに再度転移。
三撃目。
地面を蹴ってアッパー。顔面な直撃して体ごと後方へ吹き飛ぶ。
「どうですか?」
「や、やりおるの」
「降参…してくれませんよね?」
「そうじゃな。今度はワシのばんじゃ」
「お断りします!」
「なっ!?」
【体内加速】(4倍速)
一度切った体内加速を再度使用して先ほどと同じように【視界内転移】を繰り返し距離を詰める
(ちょこまかと小賢しい)
(すいませんねっ!)
念話で会話をしながら殴り倒す。
ブレスを交わし、殴る
サマーソルトを交わし、上から殴る
魔法を交わし、殴る
(このワシがこんな……)
(さっさと降参したください)
すでに黒龍は全身殴られる、鱗があちこちに割れていて痛々しい。
まぁ、その分僕の両腕からも血が滴っているんだけどね
いくら魔力で覆って殴っても衝撃を完全に緩和できるわけではない。
1発1発殴る度に腕が軋む。
(ワシの奥義を喰らえ!)
(【プロテクション】)
大技を予知しとっさに物理・魔法によるダメージを一回だけ無効化する魔法を貼る。
(【ドラゴンブレス】)
(!?)
あれはヤバイ。
黒龍が口から漆黒の炎を放つ。
回避は簡単。しかし炎の先にはチョコ様とパフェさんがいる。
アイツを信じる信じないは置いておいて、もしあのブレスをアイツの貼った魔法が耐えられなかったらヤバイ。
ならばこちらも必殺の一撃を放つ。
格納石から三又の槍を取り出す。
イメージは最強の投擲。
僕の魔力を受けて槍の形状が変わっていく。
真っ赤な槍。そして魔力をさらに注ぐ。
魔力を注がれた槍が赤く光りだす。
(たかが投擲でワシの最強魔法を打ち砕くことができるものか!)
(喰らえっ!【追尾射出】)
僕の腕がから赤い槍が放たれる。
赤い残像を残しながら漆黒の炎と衝突する。
炎の先端を槍がエグるように搔き消しながら直進する。
しかしその槍を炎が取り囲むように展開される。
そして炎に取り囲まれて槍が溶解して跡形もなく消える。
その代償に漆黒の炎も魔力を使い果たし消える。
両者ともに相手への一撃は与えられなかった。
「や、やりおるな。」
「そうですね。今のブレスはなんですか?」
「それはあかせんよ。我が奥義じゃからな。それよりいいのか?ワシはまだブレスを放てるが、お主は槍はあるのか?」
「くっ。」
黒龍は魔力を消費してブレスを放った。
それに対して僕は槍を媒体として魔力を使って投擲を行った。
つまりこのままではすでに槍を使ってしまった僕が不利という事になる。
「ほれほれ?降参するか?ワシはまだ4発はブレスを、はなてるぞ?」
「ずるいですね」
「なんとでもいうが良い。結果はワシの勝利。それだけじゃよ」
「そうですね……これならどうですか?」
別にさっきの投擲を行うのに槍である必要はない。
さっきの魔法【追尾射出】はあの場で作った魔法で、
あくまでイメージしやすいように槍を使っただけだ。
ほら、アニメで見たからね。槍兵かっこいいよね?
僕は金ピカ弓兵の方が好きだけどね
両手で岩の弾丸を作り出す。
その数6個。
その6個の弾丸が回転しながら赤く光りだす。
「マジ?」
「マジですよ?ほら、綺麗でしょ?」
僕を取り囲むように高速で旋回させる。
赤い残像が軌跡を残しながら徐々に僕から離れていく。
「行け!ファン◯ル!」
いやさ、一度言って見たかったんだよね
黒龍が、翼をはためかせ上空に逃げる。
僕も【射出】と【空駆】を使い空中に移動する
周囲を取り囲むように放たれる岩の弾丸を黒龍は漆黒の炎を放ち撃ち落とそうとする。
しかし岩の弾丸を魔力を使い移動させることでブレスを回避。何もない空間を通りすぎたブレスは遥か後方の森に着弾して火柱を出現される
【射出】を使いブレスを放ったことで出来たスキに一気にに距離を詰める。
ザ・腹パン
「ぐぅ」
腕を振り払ってくるのを後方へ【射出】する事で回避。
そこは岩の弾丸二つを、着弾させる。
腹の肉をえぐり、黒龍から血が吹き出す
「こ、降参じゃ」
「あ、はい。」
残った4つのファン◯ルを魔力に変換して回収する。
いいね。この魔法は使えそうだ。
今使った感じ6つまでなら自由に操作出来そうだ。
ほんとは弾丸からビームでも出せたら良いんだけどな。
その内研究して見よう。
「大丈夫でした?」
「さ、流石私の騎士ね」
「勝手に騎士にしないでくださいよ」
黒龍にまたがりながら地上に降り立つ
いやー。これもやって見たかったんだよねー。
「これじゃ【勇者】じゃなくて竜騎士ですね」
パフェさん不吉な事は言わないでください…




