54話 森
「まったく。ソラさんわかってますか?
こんなおちゃらけて、頭のネジが吹き飛んでる。
年中繁殖期のバカ猫でも一応女王なんです」
ひでー言いようだな。
本人目の前にいるよ?
おい、本人頬を染めるな
「今日の朝は誤解ですよ。勝手にチョコ様が入っただけですよ」
「わ、私を売る気なの!」
「誤解される発言しないでくださいよ!
とにかく、今日のは冤罪です」
「そんなー」
崩れ落ちるチョコ様。
いや、あんたが悪いんだから巻き込まないでほしい。
「まぁ、事実は置いておいて昨日の事もありますから、両成敗です!」
「「ぐわぁ」」
殴られたよ。
いや、殴っちゃったよ。
このお付きの人、女王になぐっちゃったよ。
てか、地味にいいパンチしてたよ。
「それじゃいきましょーか」
僕らはホテルで朝食を食べてダンジョン前の町に繰り出した。
まずは古龍を倒すための武器を買う為だ。
昨日は結局ダンジョンに向かう為の道具を買っていて武器屋まで見る時間が無かった為だ。
いや、釣り具屋で時間使いすぎただけなんだけどね
「こんなのはどうですか?」
「それは武器ですか?」
今日は寄り道せずにまっすぐ武器屋に向かった。そこで武器屋のおっさんと武器の相談をしているとチョコ様が大きな三又の槍を勧めてきた。
完全にフォークだね
西遊記のブタさんが持ってそうなやつだね
「そいつはフォークランスだな。豚系魔物へ特攻攻撃が付くぞ」
「僕たちは龍と戦うので豚系はちょっと…」
「あら、途中で魔物と遭遇するので持って行って損はないとおもうのですが…」
「じゃぁ、これくださーい」
「毎度あり!」
おいおい、使うの僕なんだけど…
結局三又の槍と両刃の片手剣、片手盾を購入した。
『この先竜の山のダンジョン。現在、冒険者ランクE級以下は入場不可』
山の方角に街を進むと冒険者ギルドがあり、看板が立っていた。
「あれ?ダンジョンに入場制限がるみたいですよ」
「あー。そっか、忘れてた。パフェ?なんとかなりそう?」
「私とチョコ様は何とかなりそうですが、ソラさんはどうでしょうか…ちなみに冒険者ランクは今いくつですか?」
「それが…
名前[ソラ]
レベル[42]
王都第xxx学園xx年生[冒険者学部]
序列[xx位]
使用可能残高[xx億xxxx万ギル]
冒険者登録[xx級]
備考欄[]
文字化けして読めないんですよ…
やっぱり人間の大陸とこの大陸では距離がありすぎるんですかね?」
考えられるとすれば魔族の大陸と距離がありすぎて魔力による通信ができていないからなのかな?
ほかに考えられるとすれば、魔族の大陸は街とダンジョン以外の荒野は魔力が枯渇している為、そこが原因でジャミングされているとか…かな?
「そんなことはないと思うんですけどね?本来その身分情報を専用カードに記録したり、更新する魔法は魔大陸発祥の魔法です。その魔大陸でこのようにおかしくなるなんて本来ありえないんですよね…」
「はぁ。パフェさん詳しいんですね」
「チョコ様はこんなんだから私がしっかりしないといけないんです」
「なんか失礼な事言われている気がする…」
「気のせいですよ。チョコ様は全然女王感を出さないですね。接しやすくて助かります」
「そう?ねぇ。パフェさん聞いた?ソラさんがほめてくれたよ?」
フ。扱いやすいな…
「こちらで交渉してみますので、行きましょうか。ここで立っててもしょうがないですし…」
「そうですね」
「よろしくお願いします」
こうして僕ら3人は[竜の山]に向かった。
そう言えばチョコ様のほかのお付きはどうしたんだろう?
「チョコ様のお付きはパフェさんだけなんですか?」
「え?なんで?」
「ほら、女王って言うくらいだから何人もお付きの人がいるのかなーって思って」
「あー。そう言うことね。いるわよ。でも今は戦時中で人員不足なのよ。私は国王の嫁の下っ端だから優先度も低いのよ
ほら、まだ一度もシテないから万が一国が滅んだ後。ポンと子供が出てきた…ってことがないから…」
「敵からも味方からも眼中にないってことですか?」
「そうなりますね。おかげでこうして無事街から脱出できたんですけどね。」
「いいような、悪いようなですね」
「そうですね…でもこんな私を嫁にもらってくれた国王には少なからず感謝しています。
その恩を返すためにも、女王として、【聖女】スキルを持つ者として…必ず魔王を討伐します。」
チョコさんが僕の手を握り優しく語りかける
「どうか、ソラさんも強力お願いします」
「はい。どちらにしろ僕はあなたについて行くしか選択肢がないので…ご協力します」
「はい…頼みにしています。」
二人で見つめあう…
そのままチョコ様が頬を赤めながら目を閉じて・・・
「あなたたちが朝っぱらからなにしてるんですか?
またですか?発情期ですか?」
パフェさん入場~
「あ、お帰りなさい。どうでしたか?」
「いや、話そらそーとしないでください。おい、そこの女王様?また発情しちゃったのかな?」
「に、にゃぁ?」
「かわいこぶっても私はごまかされませんよ?」
猫耳かわいいなぁ~
ココが元気にしてるかなー?
それから半刻ほど説教が続き何とかお話が終了した。
「はぁ。・・・なんとか入場は可能とのことです。」
「おお。よかったです。」
「そうね…危うくここでずっと説教をされ続けつとこれした」
「…あなた達ね…反省してないのかな?」
「「してます!ごめんなさい!」」
ふぅ。何とか許されたみたいだ…
それから僕らは装備の最終確認を行い[竜の山]に入った。
ちなみに3人の装備だが…
僕が、両刃の片手剣と片手盾をメイン持ち、防具は皮の鎧で動きやすい軽装だ。
腰に掛けた3つの【格納石】には
三又槍とMPポーションと水を格納しておいた。
立ち位置は前衛のつもり
チョコ様は【聖女】スキル持ちのイメージ通りに
魔杖を持ち、真っ白のローブを着ている。
回復魔法を使えるそうなので後衛で遠隔攻撃をしつつ、状況で回復魔法を願いしてある
最後のパフェさんだが…
彼女は荷物持ちだ。一応腰に短剣を挿しているがなんでも基本は戦闘以外の補佐に徹するそうだ。
服装も動きやすい服だ。
いや、鬼人って言うくらいだからなんかこう、肉体強化?とかして、敵を撲殺したり、
棍棒を振り回すのかと思ったが基本的には優れた身体能力を使い荷物持ちに徹するようだ。
あとは、あくまでチョコ様の護衛なのでそこまで魔物との戦闘には関与せずに守りに徹するそうだ…
「左から3匹来ます!」
「了解。【ウィンドランス】!」
木の影から現れた巨大ネズミの魔物へ剣を向けて魔法を使う
剣先から風の槍が現れ、回転しながらネズミの腹部に突き刺さる。
先頭を行く1匹が肉片となったことで後続2匹が怯む
「我、聖なる乙女なり、我が願う。我を害する敵を打て。」
「【ウィンドウォール】」
風の壁が現れてネズミ2匹を取り囲む
直前のことで混乱していたこともありうまく抜け出せない…
「爆散せよ【爆撃弾】」
チョコさんの魔杖が振られ、魔力が圧縮された魔弾が生み出され、ネズミに直撃する。
次の瞬間、爆発音を響かせてネズミの魔物2匹が文字通り爆散する
・・・グロ
よくこんな魔法使うな。
「おろろろろ~」
「いや、使った本人が吐くなよ」
「チョコ様。お水をどうぞ」
「あ、ありがとう」
自分で使った魔法ではいちゃだめでしょ。
なんだこの聖女。
「わたし・・・攻撃魔法、・・・ゲボ・・・これしか使えないんです」
「ポンコツ姫ですね」
「おろろろ~」
「吐きながら抗議しないでくださいよ。」
「うぅううう」
チョコ様涙目…
はぁ…
1日目は森に入ったばっかりだからなのか、動物系の魔物に数回であっただけで日が暮れた。
これがゲームならクソ経験値がまずいダンジョンだろう。
1日中森を進んでも戦闘回数数回だもんな…
でも、残念ながら現実。現実はHPとMPだけじゃない。歩けば疲れるのだ。
ただ森を進むだけで疲れる。今の所は馬車が通れるほどの道幅だが、だんだん狭くなっていく。
おそらく山を登り始める頃には獣道になっているんじゃないだろうか…
「見回りしてきました。このあたりには魔物はいませんね」
「ありがとうございます。夜ご飯できているので食べましょう」
日が暮れはじめる頃に、少し広めの場所で野宿をすることにした。
僕は周囲の見回りをして魔物や動物がいたらそれを駆除する。
残念ながわかる範囲では1匹もいなかった。
戻ると髪の毛が若干湿った二人が焚火で鍋を囲んでいた。
キャンプ用のテントも立っている。
あ、よく考えたら二人は魔力探知ができるから僕が見周りする必要なかったじゃん
って思ったけどアレだね、お湯を沸かして体をふいたのかな?
髪の毛が若干湿っているのはそのせいかな?
「ソラさんも一緒に体をふきっこすればよかったのに…」
このポンコツ姫。速攻でバラしたね
ほら、パフェさん顔が真っ赤だよ
「チョコ様?女性としての自覚。ございますか?」
「っひ!ヒィー!」
「逃げるな発情期姫~」
平和だな…
ほらほら、そんなに走り回ったらせっかく体をふいたのにまた土埃まみれになっちゃうよ…
そんな感じで1日目が過ぎた。
一応夜の見張りは僕とパフェさんが後退で行った。
さすがに女王に見張りをするようには言えない。
ちなみに、僕は焚火を囲って地べたに寝ました。
チョコ様には一緒にテントに入るように言われましたが、ものすごい顔でパフェさんが睨んでいました。
怖い怖い…
翌朝…
「ふぅ~よくねた~」
チョコ様がテントから這い出てきて背伸びをする
いやー。改めて思うけどおっきいですね
「何みてるんですか?」
「な、なんいも見てないですよ。おはようございます。チョコ様、パフェさん」
僕は硬い地面で寝ているせいか、体中が痛いですよ。
ちらっと除いたがあのテントの中は空間魔法によって見た目より広いらしく、中にはベットが置いてあるそうだ。
チョコ様の太陽二つを眺めているといつの間にかテントから出てきたパフェさんにシド目で見られる。
寝起きで若干頭が回っていないのかいつもよりもパフェさんの目つきが優しい気がする
こうしてみると姉妹みたいだな。
あ、ちなみに姉はパフェさんですよ。
見た目的にも二十歳くらいだし…
「朝ごはんは何かしら?」
「今日は麦パンのサンドイッチです。すぐに準備しますね。」
「何かお手伝いすることはありますか?」
「じゃぁ、昨日の残りのスープを温めてもらってもいいですか?」
「はい。わかりました」
「あ、私温めたい!」
チョコ様がやりたがる。
子供かよ
勿論答えは決まってる
「「ダメです!」」
「え?なんで!?」
「そんなの決まってるじゃないですか。チョコ様はどうやって温めるんですか?」
「え?魔法ででしょ?」
「はい、そこまでは正解です」
「やったー。ならいいでしょ?」
「チョコ様は回復魔法と【爆撃】魔法しか使えないじゃないですか!」
「そうですよ。鍋を爆破させるきですか!」
「そんなぁ~」
それからアホなポンコツ姫を慰めながら朝ごはんを食べて荷物を撤収する。
どうやってテントた、調理器具を持って来たのかと思ったら、どうやらパフェさんが背負うリュックは魔法鞄になっていうるようだ。
容量がどの程度だか知らないがしばらくは食糧の心配はなさそうだ・
「魔法鞄持っていたんですね」
「「え!?」」
おいおい、なぜハモった?
「もしかして人間大陸にはあまり普及していないんですか?」
「普及は…そうですね。高くて一部の人しか持っていないです」
「え?そうなんですか?」
「ちなみに…パフェさんのリュックってどのくらいですか?
容量次第ですが、それくらいの大きさだと僕の住んでいた大陸では1000万ギルはかかりますね…」
「え!?これでですか?」
「はい」
「素材の入手環境の違いでしょうか?このあたりでは比較的簡単に魔石は変えますからね」
「へ~。ちなみにそのリュックいくらいぐらうですか?」
「たしか10万ギルくらいですね」
「お~。このダンジョンを出たらあとで買おう」
欲しかったんだよね。
魔法鞄。この世界に来た当初は魔法陣の解析ができなくて劣化魔法の【格納魔法】や【格納石】を作ったが、3年間とはいえ学園で魔法について学んだ。今なら魔法鞄の魔法かができるかもしれない…
「このダンジョンを出たらね…」
「まだ、竜の山にすら上ってないのですよ?今日からペース上げましょう」
「そうですね…古龍と対話できるでしょうか?」
「さー?どうでしょう?」
「今までにそんなこと考えた人はいなかったと思いますけど…。
いても一瞬で灰になってしまったのだろうけど…」
まぁ、考えてもしょうがない。
今日は山のふもとまでを目標に進みむとしますか…




