45話 魔法使い見習い
入学。進級。そして卒業。
僕が上級学園に進級するという事は3年年上のサクラ先輩は卒業するという事。
「学園も、これで終わりかー」
「そうですね」
「ソラ君は今年から上級学園かー」
「そうですね」
「さっきからそうですねばっかだよ?」
「そうですか?」
「そうです。」
3年間学園に通って、サクラ先輩がいるのが当たり前の生活になってしまった。
よく考えたら僕の知り合いって同級生を除けばみんな年上なんだよな。カグラさんは去年卒業しちゃったし、サクラ先輩は今年卒業。
さみしくなるなー
……
そんな事ないかな?
いや、カグラさんはしょっちゅう僕の寮の部屋にくるし、多分サクラ先輩も来てくれるだろう。
そう思ったら気分が少晴れた。
「サクラ先輩はこの後どうするんですか?」
「卒業後?」
「はい。一応冒険者としての活動を続けるんですか?」
「あー。それね。私、数年旅に出てこようと思ってる」
「え?」
前言撤回。
さみしくなるね。
「どうせソラ君が本格的に冒険者としての活動できるのは3年後でしょ?
なら、それまで私は私で、この世界を見て回ろうかなって」
「そうですか?僕も卒業したら見て回りますよ?」
「いや、そうなんだろうけど、なんかこの街で後3年も待つのもなんかやだなーって思って…
ほら、冒険者のランクはソラ君と上げれば今からガツガツ依頼を受ける必要はないし、魔物の討伐も別に今からがんばる必要はないなーって。
お金も結構溜まってるんだよね」
ほー。やっぱ冒険者って儲かるのか。
サクラ先輩は上級学園に通いながら冒険者としても活動してたからなー
「あー。安心して、ソラ君が卒業する頃には戻ってくるよ」
「んー。そういうことじゃないんですけどね」
「あ、もしかして寂しーのかな?」
「うぐぅ」
「なにその返事。あ、たい焼きはあげないよ?」
「サクラ先輩、……そのネタ知ってる人ほとんどいないと思いますよ」
「あはは。まじですか!」
「いや、まぁ、サクラ先輩と僕の元いた世界が同じ異世界かどうかはわかりませんからね。サクラ先輩のいた世界では有名だったんですか?」
「え?有名だったと思うよ?アニメもやってたし」
「僕より前世でもアニメやってましたよ」
「あれれー?」
「もしかして…んー。まぁ。気のせいかな?」
「なになに?なんかわかったの?」
「わかったと言うか、予測ですね。ちなみにですかサクラ先輩がこの世界に来たのは西暦何年ですか?」
「200x年」
「……」
「え?なに?なんかおかしいの?」
「いや、おかしいとかではないんですけど。
僕が転生してきたのはのは202xなんです」
「え!20年近く違うの?!」
「そうなりますね」
ふむ。どう言う事だろう。
よくある異世界召喚とかは転生先の異世界では友人が数百年前に転移してた…とかよく聞くがそんな感じだろうか?
わからん。
考えても仕方ないからもうやめよう
「まぁ、それだって感じなんですけどね。それよりサクラ先輩が旅に出るって方が心配ですよ。大丈夫ですか?」
はっきり言ってサクラ先輩はあまり武闘派ではない
そりゃあそうだろう。だって元女子校生なのだから…
そんな小説みたいに異世界転生したら無双しますとかあってたまるか。
いや、完全にブーメランな気がする…
それはあれですよ沙耶からもらった魔法が…
幼馴染からもらった魔法がチートすぎるだけですよ…
って、だいぶ思考がズレてしまった。
それでサクラ先輩の実力なのだが…まぁ、学園で言うと上の下くらいの実力だ。
一応上級学園に行けるだけありある程度の実力はある。
しかし、上級学園の生徒で見ると強いほうとは言えない。
正直僕自身が一般的な魔物や冒険者の実力を知らない。
知ってる魔物はゴブリンとゴブリンキング
冒険者は父さん等のエリート級か王都に来た初日に絡まってきたかませ役冒険者の…
名前なんだっけ?
じょー?じゃー?あ、ジャイだ。
ジャイって冒険者しか知らない。
つまり女の子(16歳)を一人旅に送り出していいのだろうか?
いやー、不安だ。
「一応これでもE級冒険者になったんだよ?その辺の魔物にはやられないよ」
「ごめんなさい、E級ってどんなもんなのかわかりません…」
たしかジョイも…洗剤かよ。ジャイだった。
ジャイもE級って言ってた気がする。…かませじゃん!
「一応一般的な冒険者はE級なんだけど…って言っても最底辺だけど…」
「だめじゃないですか! ゴブリンとかに襲われたらどうするんですか!?」
「そんな危ないところにはいかないよ!」
「むー。そんな危ない所って、…ゴブリンはどこにでも出ますよ。王都近くの森にも出るじゃないですか!」
「そういうところはさすがに他の冒険者とかといっしょに移動するよ」
「そうは言っても…」
ゴブリンは本当にどこにでもいる
繁殖能力がすさまじく、なんでもツガイにする。その為、ダンジョンで発生してもすぐに個体数が増えてダンジョンからあふれ出る。あふれ出たゴブリンは森に集落を作りそこでさらに個体数を増やしていく。
その為定期的に冒険者へ討伐依頼が出されるが、それでもダンジョンのある森を歩けばそこら中ではぐれゴブリンによく出会うのだ。
まぁ、はぐれなら実力はお察しだけど…
しかし、寝込みを襲われたり、それこそ万が一ゴブリン集落の近くを通ってしまうと悲惨な結果になってもらうことが多い。現に最近冒険者ギルドに行く機会が増えたがゴブリンに犯され、孕まされた冒険者を何人も見た。
サクラ先輩にそうなってほしくないのだ。
「じゃぁ、まずはソラ君が王都の森を護衛してよ。そこを抜ければフランツ領まで危険な場所はないんでしょ?」
「うーん。フランツ領に向かうなら確かにそこまで危険な地域はないですね。」
「じゃぁ、そうい事で!卒業式が終わったら護衛してね?」
「それはいいですけど…その先はどうするんですか?」
「そこからは商人の馬車にのっけてもらうよ。それならいいでしょ?」
まぁ、それならいいか?
北はフランツ領までは確かに危険地帯は少ないはずだ。僕もライラ先生とこの王都に来るときはほとんど魔物に襲われなかった。
フランス領まで行ってしまえばあそこは冒険者が多いからサクラ先輩と組んでくれる冒険者もいるだろう。
まぁ、それはそれで問題がありそうだけど…
「ってか、なんで私がソラ君にそこまで心配されてるの?」
「友達を心配しちゃいけないんですか?」
「ト・モ・ダ・チね?」
あ。やべ。地雷踏んだ…
にげ…
「よーく、お話しましょか?」
「…はい」
そんな会話を数日前に行った。
今日は卒業式当日。
と、言っても前世のような卒業式ではない。
ただ単にこの学園の卒業証を配布するだけの簡単な内容だ。
なんでかだって?
上級学園に3年間在学している者がすくないのだ。
上級学園は己の技術を磨いたり、この後の就職先での学習を行う場所だ。
冒険者学部がイレギュラーなのだ。
例えば…騎士学部。
これは各貴族への騎士になるために必要なことを学ぶことができる学部だ。
貴族の騎士と言っても内容は異なる。例えばこの王都、王城の騎士の場合は様々なことを学ぶ必要があるが、地方貴族の場合はそこまで勉強する必要はなかったりする
(地方貴族が裏切るらないようにor裏切った時に有能な騎士を与えないようにする目的もあるだろうが・・・)
なので、最短で、地方貴族の場合は採用条件が上級学園騎士学部1年間在籍…とかだったりするのだ。
逆に王城騎士は上級学園騎士学部3年間在籍+序列50位以内。とかだったりする。
つまり何が言いたいかと言うと、上級学園で3年間過ごす者(卒業式に参加している者)は優秀な者か、怠惰に過ごした者のどちらかだ。
あ、サクラ先輩は後者ですね。
「では、サクラ先輩の卒業を祝ってかんぱーい」
「おめでと~」
ただいま僕の部屋でお祝い会中である。
参加者はサクラ先輩。カグラさん、エルサ、ライラ先生と僕の5名だ
そう言えば去年もやったな。カグラさんの卒業を祝う会…
いや、翌日いつも通りに晩御飯を食べに来たときは驚いたな…
「サクラは明日出発なんでしょ?」
「はい。明日からソラ君を借りますね」
「しょうがないな~。これから離れ離れになっちゃうんだからそのくらいはソラ君を独り占めしてもいいよ」
ふむ。どうやらサクラ先輩とカグラさんの中ではすでに話合われたい内容のようだ。
また地雷を踏まないように気を付けよう
「え? サクラ先輩 明日 いない?」
「あ!。エルサには話してなかったわね。」
どうやらエルサとは話し合いは行われて内容だ。
そう言えばライラ先生はどうなんだろう?
と、思いライラ先生のほうを見ると…
「なんだこっち見て?」
ただいまエルサ作のフライドチキンをお食事中だった。
いろいろと話を聞いていないらしい。
まぁ、めんどくさいからいっか。
ほっとこう…
「何でもないです」
「そうか? なにか相談事があったら私に相談してくれたまえ」
いやー。両手でフライドチキンを持ってる。説得力ないなー
気にしたら負けだ。見なかったことにしよう
そんな感じでこの先のことを話したり学園での思い出を話したりしているといつのまにか深夜近くになっていた。
「じゃぁ今日は帰るね」
「私も」
「私もそろそろ、帰るかな。そういえばこの前の上級学園の学部ごとの試験の採点がまだおわってないのだ。」
カグラさん
エルサ
最後になんかここにいるべきではないような教師がいる。
「あれ?カグラ先輩かえるんですか?」
「うーん。今日くらいはね?いつもソラ君は私の所にきてくれてるから…」
「はぁ。おやすみなさい」
そうして3人が自室に帰る。
あ、一応自分の名誉のために言っておくが、女子寮に帰るエルサはカグラさんがきちんと送って行ってくれている。
いつもは僕がサクラ先輩とエルサを送って行ってます。
と、まぁ、心の中の誰かさんに話しかけながら、サクラ先輩と机とかの片づけをおこなう
「サクラ先輩は帰らないんですか?荷物の整理とか大丈夫ですか?」
「え?あぁ、大丈夫よ。えっと、今日は泊っててもいい?」
「あー。そう言う事ですね」
理解した。
一応明言はしていないが僕はカグラさんと付き合ってるつもりだ。
それもあって二人きりで遊ぶことがあるがこうして部屋に泊まりにくる。ってことは基本カグラさん意外とはしていない。
カグラさんのことも公表はしてないで、さっきの女子寮に送るために一度全員解散して、その後コソッと僕の部屋に来るのだから、やっぱりバレていたのかな?
それで、さっきカグラさんが言った
「これから離れ離れになっちゃうんだからそのくらいはソラ君を独り占めしてもいいよ」
と、言うのはこういう事だったのだ。
「あー。どうぞどうぞ。でも相部屋の方は大丈夫ですか?」
「メラニーとリーンは昨日の夜に出発したからもういないわ」
そう言えばそんなこと昨日言ってたな
どっちかが宮廷魔術師見習いでもう一方がどっかの街の衛兵って言ってたな。
よく覚えていない…
「まぁ泊ること自体は問題ないですが。布団一つしかないですよ?」
「え?当たり前じゃん。なんか問題あるの?」
「あ、はい。どうぞ好きにしてください」
・・・襲われる?
まじで?カグラさんともまだしてないよ?
「先シャワーもらうね」
「あ、はい…」
「いっしょにはいる?」
「入りません!」
はぁ。出会った当初は夢に神様が出てきて僕のハーレムに一員になれー
みたいなことを言われてノリノリだったけど、最近は現実をみたのかすっかり収まってきてたと思ったが、残念ながら神様ハーレム計画は進行中らしい…
はて、どうしたものか…
1、来るもの拒まず
2、否定する
3、逃げる
どれ?
どれがベストアンサー?
ん~。
って、よくよく考えたらカグラ先輩のことだ。絶対に初めては譲らないだろう。
と、なるとサクラ先輩にもそういうことはダメだとよく言い聞かせてると思う
うん、そうだ、そうに違いない。
今、サクラ先輩がお風呂に行ったのはただのお風呂だ。
はぁ、精神年齢(16歳+8年間)24歳。我ながら情けないな…
妄想オンパレードである。
その後、バスタオルを巻いた姿のサクラ先輩に興奮しながら僕もシャワーを浴びに行く。
・・・そして部屋に戻ってくると・・・
すでにサクラ先輩は布団に入っていた。
うーん。どうしようか?
ソファーで寝る?
それが安全な気が…
「ソラ君こっちおいで」
…そんな選択肢はないようだ。
下着を着て布団に入る。
あ、パジャマは着ない派です(言い訳)
【秘儀:寝たふり!】
その夜は全裸のサクラ先輩に抱かれてねむることになるのだった。
あ、文字通りの抱かれてね。
なんとか僕の魔法使い見習いは死守した。
いや、そういう意味での魔法使いにはならないけどね!
(たぶん・・・)
まったく関係ない話だが、
ライラ>>>>超えられない壁>>>>サクラ先輩(逆転!ただし小ぶり)>カグラさん(小ぶり)>壁:エルサだ。
実物を触れたのはサクラ先輩とカグラさんだけだけど…




