43話 in
「じゃぁ、僕はソロソロ学園に戻りますね」
「うん。またね。今日も泊りに行くね」
「はい、待ってます。カグラさんお仕事頑張ってください。あ、晩御飯間に合いますか?」
「うーん。どうだろう。なるべく間に合うようにするよ」
「はい。では行ってきます」
「はーい。いってらっしゃーい」
「おー。遅かったな。」
「ギリギリだね」
「ふー。間に合った。」
思ったよりもゆっくりしてしまった。
【空駆・改】で急いで学園にもどり何とか午後の授業に間に合った。
午後の授業は1時間座学を受けて剣術の実技だ。
座学はとくに問題なく終了する。剣術の座学は基本の構えのおさらいや、形の確認。
その形を使用した有効戦術などを学ぶのだ。
さて、では実技の時間だ。
現状20戦20敗中。宿敵ライラ先生との勝負だ。
ほかの人は生徒同士で模擬戦を行うが僕の場合は一応序列が2位ということで先生と模擬戦をおこなうのだ。まぁ、個人的には生徒通しの模擬戦も面白そうな気はするんだけどな。
だってライラ先生とだとガチ勝負になって、その後が大変なんだもん。
たまには友達と仲良くチャンバラごっこしたいよ…
先生の前で生徒が1対1で模擬戦を行っていく。
順番を待っていると僕の番がやってくる
「お前は私が相手をしよう」
はい。本日もライラ先生との模擬戦決定です。
ひぇ~。
【格納石】か木刀を取り出す。
ライラ先生は訓練用の木剣だ。
お互いに構えてる。
「一応お前が生徒だからな。そっちからかかってこい」
「はい。では行かせてもらいます」
【身体強化】や【思考加速】のような強化魔法や、エクストラスキル等の魔法はあくまで剣術の実技の時間なので使用しないでおく。
てか、【体内加速】を使用すれば楽勝で勝てる。
「行きます!」
まずは上段に構えた木刀を振り下ろす。撫でるように引く。
それをライラ先生は剣の腹で受けて軌道をずらしてくる。
振り切った刀を今度は持ち上げるように振り上げる。しかし途中でライラ先生と鍔迫り合いになる。
こうなってしまうと力勝負になる。相手は大人だ。このままでは勝ち目はない…
と、普通は思うだろう。木刀で角度をずらしつつライラ先生の距離を詰める
手を伸ばせば触れられる距離。
この距離なら…
「【分刀】」
去年刀術のレベルが4に上がり新しく覚えた武術。
【分刀】それは魔力を使い自身の斬撃の分身を作り出し同時攻撃を行う技。
【飛剣】同様にほかの剣技組み合わせることも可能だ。また、同時に作り出す斬撃の数は魔力を追加で使うことで複数の分身を作り出すことができる。
現在は最大6個まで作りだすことができる。
今回は僕自身の周囲からライラ先生を囲むように刀の分身を作り出す。
木刀本体はライラ先生と迫り合い中。そのまま作り出した分身しで攻撃する。
しかしライラ先生は最初の2撃を腰をひねるようにして回避する。
続けて僕のことを蹴り飛ばし左右から来る斬撃をかがむようにして回避する
え?蹴りをくらうなって?残念ながら無理でた。正直、鍔迫り合いをするので精いっぱいでした。
ライラ先生がかがみながら僕との距離を詰めてくる。
僕はさっきの蹴りで吹きとばされていてむせる
「ゴホ、ゴホ」
クソッ。何とか持ち直すと目の前にすでにライラ先生が来ていた。
おいおいマジですか…
「相変わらずお前は武技に頼りすぎた」
僕の腹に木剣が食い込む。
うっ・・・痛い…
何とか立ち上がり剣術では勝てなかったので口で反論する
「だってしょうがないじゃないですか。魔法なしじゃ絶対にライラ先生の受けを攻め切れませんよ
魔法がだめなら武技で圧倒するしかないじゃないですか」
「その考えが間違ているぞ。武技は格下やある程度までの対人戦、もしくは知能の低い魔物との闘いで真価を発揮するものだ。相手にネタがわかっている物には逆にスキにしかならない」
ライラ先生が言っていことはわかる
実際その通りだ。
【分剣】は二振りずつ分身を作り出して攻撃を剣の振り方は自身の剣の振りかたと同様、もしくは左右対称に振るう。さっきで言えば鍔迫り合いをしていたわけだからこちらの剣の振り方がばれてしまったので、その順番通りに分剣を振ってしまった。
結果、すべて見切られてかわされてしまった。
「いいかお前達もだぞ。お前達は3年生だ。来年度に上級学園に上がる者も多々いると思う。そこで上級生と戦うことになるだろう。まぁ武術大会ですでに対戦している物もいると思うが、上級学生は武術を回避することを最初に教わる。武技はあくまでも技術だ。実力ではない。そのことをよく覚えておいてほしい
それは魔法も一緒だぞ?いつまでも魔法使いではいけない。来年度からは魔術を行使できるようにならんとな。わかったか?」
「「…「はい!」…」」
「よし。それでは本日の授業は終了だ。各自かたずけをして帰宅しろ。あと、ソラ、お前は補修だ」
「え~」
残念ながら補修確定らしい。
いや、補修ってあれですよ。
「お前は毎朝トレーニングを欠かさず実施しているくせにすぐに武技に頼ろうとする」
「はぁ」
「なので武技を使う癖を直さなくちゃならい」
「いや、ぼく、冒険者になるよていなので…」
「いいわけするな!」
「ひー!」
はい、そこからは悪夢だった。
まぁ、ほぼ毎回なのだが、ライラ先生にボコボコにされるのだ。
そもそもライラ先生は98歳、元国王の騎士長だ。そんな人にまともにやって勝てるはずもない
でも武技を使っても見切られて反撃されるだけ。
ツミな状態だ。
それから3時間ボコボコにされましたよ。
「だから何度言ったらわかるんだ!」
「そこで武技を使ってもよけられるだけだぞ」
「それを見るのは何度目だと思ってるんだ」
「お?今のはなかなか…は!甘い!」
「なぜさっきより悪くなってるんだ!そしで武技を使うのをやめろ!」
・・・僕にどうしろと?
まぁもう悟りの境地ですよ。
そんな感じでライラ先生にしばかれ終わり何とか今日の授業を終えることができた。
更衣室で制服に着替えて校舎をでるとカーターさんが待っていた
いやー、恥ずかしいところを見られた。
これもココに報告されてしまうのだろうか?
「すっかり遅くなってしまいましたね」
さて、この後は特に予定もないので寮に帰るだけだ。
帰る途中でライラ先生を見つけて晩御飯に誘う。
今日はエルサが晩御飯をつくりに来てくれる日だ。
と、いってもほぼ毎日きてるんだけどね。
いやー、助かってます。
(ほんとはカグラさんの手料理を食べてみたいんだけど、やっぱり王族ってことは自分じゃつくれないのかな?)
「いやー。ライラ先生は強いなー。次は多少卑怯な手を使っても勝つ」
「そう思うのはいいが本人を前にして言う事か」
「・・・」
そうだった。僕の後ろにライラ先生いるし…
自室に戻り家の鍵を開ける。
「あ、おかえりなさーい」
「ただいまです」
「お邪魔するぞ。すまないが私もご相伴に預からせてくれ」
「ライラ先生、こんばんわ。それと、カーターさん、どうぞ」
エルサが晩御飯を作っていてくれた。
あ、エルサには僕の部屋の鍵を渡している。
と、言っても特に深い意味はない。単純に今日みたいに僕がライラ先生の特訓(笑)で遅くなることがあるので早めに帰れるエルサには鍵を渡してこうして作れる時は先に作ってもらっているのだ。
晩御飯の準備をしているとサクラ先輩が遅れてやってくる。
サクラ先輩もよく晩御飯を家で食べる。
最近はハンバーガーショップも軌道に乗っているらしく基本学園で授業を受けているか、同じ冒険者志望の冒険者と一緒に依頼を行っているようだ。
と、5人で晩御飯を食べているとカーターさんが爆弾発言をしてくる。
「ここにいる者たちはソラ君の婚約者なのか?」
「ちがいま…」
うん。やっぱり気になっちゃうよね。
否定しようとしたけど行程されてしまった。
「はい、ソラ君、パートナー」
とはエルサさん。
いや、見習い冒険者のね。
「そうですね。まだ婚約者ではないですが、お付き合いさせてもらってます」
とはサクラ先輩。
いや、サクラ先輩かわいいよ。ほんとに、…でもまぁ、ね?
成行きで一応付き合っている形らしいけど、その話自体2年近く前の話なので実際どうなんだろう?
本人はその気らしいけど…
本人承諾済みのハーレム要因なので貴重な人材だ。
「私は違うが、まぁ将来はそうなる予定だ」
はい、なんかライラ先生が便乗してるよ。
個人的にはお姉さん的立ち位置だ。
いや、相手教師だし、そもそも77歳ってなんだよ。
一応本人もハーレム要因を若干肯定している口ぶりなのでほっとこう。
そんな感じでおバカな会話が続き、晩御飯もお開きにする。
いやー、はずかしいことを結構聞かれたきがする。
冷静に考えてみると今の状況ってココに伝えられたらかなりまずいよね?
憧れの人が王都でハーレム作ってるって…
しかたない、カーターさん消すか…
「今日はご馳走様でした。美味しかったです。」
「いえいえ、お粗末様でした。」
「では、私は帰りますね。みなさんお休みなさい」
そう言ってカーターさんは席を立って部屋を出ていく
「あ、まってください」
僕もカーターさんを追って部屋を出る。
「どうしましたか?」
「えっと、…ココが心配するのであんまり報告しないでくれるとたすかるなーっと…」
「あー。そのことですね。大丈夫ですよ。わかっております」
お?話わかる奴?
消さなくてもいいかな?いや、消さないけどさ。せいぜいお金に者を言わせて買収するくらいだ。
こちとら初参加の武術トーナメントで荒稼ぎしてしまって正直使いきれない…
ちなみにだが、2回目以降の参加は優勝候補になってしまう倍率が1.005とかで全然旨みがないので
賭けはやっていない。
「今日お食事に誘ってくれたのもそのことでしょ?いやー。大変美味しかったですよ
私は商人ですからね、信用第一ですよ。
ですからねいくらお金を積まれましても一度受けた依頼はきっちりこなすのをモットーにしてるんですけどね。
最初はソラさんがお食事に誘ってくれたので、現金で買収するつもりなのかと思いましたよ。
それがです、なんですかあのチーズハンバーグと言う物は、まさに革命でした。
私の中で何かが弾け飛びましたよ。
あぁ、私もこの年になり、特に数年前に一度ある少年に出会って考えを改めさせられましたが、
まだまだ私の知らない世界が広がっていると痛感しました。
パッと見、ソラさんの周りには複数の女性がいて、いかがわしい印象を持ってしまう所でしたが、
それはあくまで私の主観の話でした。おそらく私の知らない世界が広がっているんですね。
それをソラさんは伝えてくれたのです。
いやー、恐れ入りました。料理一つでこの中年の考えを改めさせるなんて。」
…まぁいっか。
勝手に勘違いしてくれてるし。
「あー。でもこれだけは言わせてもらいますよ。
本命は一人にしなさい。これも私の経験則なので間違った考えかも知れませんが、すべてを平等にすることなどぜっていにできませんよ。大なり小なり差は出てきます。
最初は…いえ、一番はどなたにするのかは決めておかないと、
中途半端なことをすると後々その微妙の差で関係が崩れかねませんよ」
「はぁ、気を付けます?」
「そうですね。では、私はフランツ領に帰りますね
いやーココさんになんて言い訳をしましょうか?やっぱり、正直に料理に夢中になってしまった。と言うのがいいですかね?」
「お、お任せします。あ、でもこれ」
そう言ってココ宛てに書いた手紙を渡す
「一応ココに渡してください。あと、こっちが父さんと母さん宛です。お願いしてもよろしいですか?」
「えぇ。もちろんいいですよ。あんな素敵な食事を教えてくださったソラさんには感謝しきれません」
「いえいえ。」
「ちなみにですが、あのチーズハンバーグ、いや、チーズinハンバーグは王都では見えませんがあれを作ったのはソラさんですか?」
「いえ、あー。どうでしょうね?僕は見たことありませんが、もしかしたら侍の国にはあるかもしれませんね」
チーズinハンバーグはエルサにお願いして作ったものだ。
まぁ、異世界人の国の侍の国にはあるとは思うが、少なくてもアネモイ王国では一度も見たことはない
「と、言うことは、それを私に見せてくれたということは…
この料理、この商人カーターがこの国の名産品にして見せます!」
「・・・」
なんか、どんどん話が大きくなっている気がする
もう好きにしてくれ
「では、私は帰りますよ」
「あ、はい。お疲れ様でした…」
結果オーライかな?
まぁあれだ、カーター氏の無事を祈ろう…
宙を飛ぶことがなければいいが…




