36話 痴女
はぁ。酷い目にあった。
結局衛兵たちが騒ぎに騒ぎ、なぜかそこから1対1の剣術の模擬戦を行うことになり
カグラさんもそれを面白がって悪乗りし、結果、騒ぎを聞いて駆けつけた宰相のミハエルさんが止めに入るまで続いた。
「あなた達だらしないわね!それでも王都の騎士なのかしら?」
「私の婚約者を止めたければ実力でねじ伏せなさい!」
「ソラ君かっこいい~」
「騎士長がそんな実力なのかしら?ソラ君は魔王と戦ったのよ。そんなへっぴり腰でなさけないわ!」
…はぁ。え?今カグラさんはどうしてるかって?
国王の横で正座中です。
「ソラ君すまんな。こんな緊急事態なのにうちの娘はこんなバカで」
「お父さんバカだなんてひどい!」
「そんなだから婿がみつからないんだよ。ほんとにソラ君このカグラをもらってくれないか?今なら王権まで付いてくるぞ」
「カグラさんは別としても王権はいりません」
「それでは困るのじゃ。この国の王はどうするのだ。」
「僕に聞かれましても…」
「ほら、貴方。いい加減本題をお話ししなさい」
王妃が助け船を出してくれた。
「ソラ君?なんだったら私と子作りしない?そうすればいろいろ解決するわよ」
「「「はぁ!?」」」
ダメだこの王妃。早く何とかしないと…
あ、ちなみに王妃はまだ30代で結構わかわかしい。
いや、さすがに年上すぎるよ?
「では日の出と共に北の森に調査隊を出す。ミハエル。準備を頼んだ」
「は。」
一通り話すと国王は部下に指示をだし調査隊を準備させ始めた。
僕にできるのはここまでかな?正直どれだけ調査隊をだしても魔王ルシファーには勝てる気はしないが、もう一人の勇者カレルさんのことは心配だ。
無事救出されることを祈ろう。
「さて、二人は状況によってはこの国の護衛についてもらうかもしれない。本来は学生をしかも女王を戦場にだしたくはないのだが、状況が状況だ。了承してくれると助かる」
「もちろんそのつもりです。」
「私も明日は学園を休んで城壁で警護するわ。ソラ君も一緒にね」
「うむ。民あっての国だ。何としても魔王はこの地に入れるわけにはいかない。助かる」
「いえ。僕はすでにこの国の民です。できることをやらないで後悔はしたくないので…協力させてください」
魔王ルシファーが何を狙っているかはわからない
しかし安全な学園生活の為にもここで協力を惜しむわけにはいけない。全力を尽くそう
「学園の女子寮にいる勇者エルシェには使者をだそう。すでに真夜中だ。二人は城で休んでいきなさい」
「はい。」
話もまとまり僕は王妃に案内されるまま部屋まで移動する
って…
「いらっしゃいソラ君」
ガチャ
あ、また鍵を閉められた。
はい、女王の部屋。カグラ様もお部屋でした。
「今日は一緒にねましょ?ほら、借りがあるでしょ?」
「うっ」
え?借りてそういうことなの?
もっとこう…せめてデートに行きましょとかじゃないの?
「ほら、べつに今すぐ食べようってわけじゃないわよ。そういうのはソラ君がもっとおっきくなってからでいいわよ。お姉さんそれくらい待てるわ」
「はぁ。ほんとに襲いません?」
「もー。ソラ君は私のことをなんだとおもってるの?」
「痴女」
…
「男装変態女子」
「言い換えてんじゃないわよ!」
で、小一時間ほどお説教をされて結局同じベッドで寝ることになった。
あ、学ランを着ているのは女王としての正体を隠すためだそうです。
この国の女王がまさか男装して学園に通っているなんて思わないでしょ?
「ほら、こっち来なさいよ」
「はい」
寝巻がない(嘘だよね)ということでお互い制服姿だった為下着姿でベッドに入る。
ゴソゴソ
カグラさんの反対を向いていると後ろから抱きしめられた。
抱き枕かよ。
ちょうど後頭部にやわらかい感覚が…
てか、外したね。うん、無駄に柔らかい
心は前世と転生後の5年を合わせてすでに二十歳を超えているが
体は10歳児。興奮しても体が反応しない…
これで体が成長したらどうなってしまうのだろうか…
そんなことを考えながら眠りにつくのであった。
「おやすみなさカグラさん」
「くぅー」
「うぁぁああああ!」
翌日、日の出と共に調査隊が北の森へ出発。また、在留騎士や冒険者に国からの緊急依頼として、王都の警備についてもらったそうだ。
僕とカグラさんも王城で朝から警備についた。
(いつ襲撃があってもいいように国王と一緒に朝ご飯食べてただけだが…)
昨夜のことをいろいろ聞かれる苦痛の時間を過ごしていると、北の森に行った兵士から一報が入る。
北の森にて勇者カレルと魔王ルシファーが交戦中との連絡が入り、事前情報で遠距離戦闘が得意な魔法使い部隊を中心に援護に入ったそうだ。
魔ルシファーの所在が分かったところで僕とカグラさんは一度学園の女子寮に戻ることにした。
女子寮につくと、先ほどの悲鳴を聞き、かけつけると…
「カグラ様がいらっしゃらない!?」
「いたわ。こちらにいらっしゃるわ。あれ?でも男の子といっしょよ」
「ま、まさか。朝帰り!?」
「・・・?」
「あー。そういえばだれにも言わないで寮を抜けたわね」
どうやらカグラさんの自称お付きの方が朝起きると部屋にカグラさんがいないのを発見し、女子寮の寮主に確認すると殿方と昨夜お出かけになったと言ったそうだ。
まぁ、カグラさんが女王ってことは秘密なので詳しいことは話せないんだろうけど、誤解を生む言い方だ。
で、僕らが二人で女子寮に来たのである。
誤解されるよね?
「私って、女子からはそれなりに好かれてるのよ」
「はぁ」
まぁ、様付けで呼ばれてますもんね。
ほら、なんか女子寮から乙女がぞろぞろ出てきて囲まれちゃったよ。
カグラさんきれいだし、かっこいいもんな~。女子から好かれてるのも納得できる。
「カグラ様!そこの男子はだれなのです!?」
「カグラ様が夜這いなど、何かの間違えですよね?」
「昨夜はその殿方と一緒だったのですか?」
おー。カグラさん問い詰められてるよ。
修羅場だね。正直いい気味だ。さんざん僕のことをからかったからね。
よし、爆弾投下しよう
「昨日はカグラさんと一晩中一緒にいました。」
「…はぁ!?カグラ様どういうことですか?」
「そ、そんな…カグラ様が…」
うん。嘘は言っていない。なにもなかったけどね。
よし、取り巻きが一部放心状態になってる。このスキに僕一人ででも包囲網を突破する
「ソラ君逃げるな!」
「カグラ様!あんな殿方より、私たちに何があったか説明してください!?」
女子の群れを突破
…したと思ったら…
「ソラ君?どういうこと?」
肩を掴まれた。
振り返ると黒髪ポニテ姿のサクラ先輩が立っていた。
「サクラ先輩。おはようございます。今日も髪型きれいですね。」
「あら、ソラ君ありがと。で、さっきのことどういうことですか?」
「・・・」
目が笑ってない!?
「ちょっとこっちに来ましょうね?」
「は、はい…」
そのまま僕は女子寮に連れ込まれるのであった。
「で?サクラが男子を連れ込んだと思ったら、今話題のソラ君だったのね?」
「カグラ先輩とそういう関係なのにサクラと付き合おうとはいい度胸ね」
現在、誤解を生んだまま部屋にいたサクラ先輩の学友のメラニーさんとリーンさんも含め3名に事情聴取を受けているのである。
いや、正直とんな状況ではなんですが、結局僕が魔王との戦闘に参加したところで大した戦力にはならないと思うので今という修羅場を味わっているのである。
青春最高!
いや、女子3名が怖くて抜け出せないわけじゃないよ?
ほら、心は二十歳を超えてるけどさ、体は10歳児なわけで、年上女子3名に囲まれたら体が言うこときかなんですよね…
「メラニー、リーン。私はね、べつにソラ君が何人の女の子とお付き合いしても構わないのよ。正直それがわかっててソラ君とお付き合いしてるんだもの。
でもね、ソラ君?」
「はい…」
「だからって言ってもね。いきなり年上の女の子をお持ち帰りするのはよくないと思うよ?
そういうことは大人になってからでしょ?それに順番的には私が最初じゃないかしら?」
あ、だめだ。この子も頭がお花畑だ…
「サクラ先輩。」
「何?言い訳?」
「僕はサクラ先輩のことも、カグラさんのこともまだ好きとかそういう気持ちではありません。
いや、綺麗だとはおもいますよ?そんなサクラ先輩とお付き合いできたらうれしいなと思いますよ?
でもですね。僕はまだ10歳です。そういうことはまだ先です。
もしこれから僕が大きくなって、それでもサクラ先輩の僕に対する気持ちが変わらなければ、その時にしましょう。それまでは待っていてください。」
「はぁ」
「ヘタレね」
む、外野がうるさい
「サクラ先輩?今日も綺麗ですね。」
そう言って、黙っているサクラ先輩に抱き着く。
背中をトントン。サスサス
小声で「今度デートしましょう。この街を案内してください」
「うん」
よし、ど?落ちた?ハーレム来た?
え?考えがゲスいって?
うるさい。いいんだよこれで。生かさず殺さずですよ。
「さて、これから僕は勇者さんの所に行きます。サクラ先輩も来ますか?」
「「「え?」」」
「あ、はなしてなかったですね。実は昨夜…
・・・
ってことがありました。昨夜は国王の所に行ってたんですよ。カグラさんは武術トーナメントで一戦交えてから意気投合しまして、僕の補佐をしてもらてたんですよ」
一通り話す。あ、内緒にしなきゃいけなそうな案件は黙っておく。
いや、抱き合いながら寝ましたなんで言えないよ。
あ、サクラ先輩目がシド目だ。後半部分信じてないな…
「では、行ってきます」
「あ、ソラ君まって!?」
3人の制止を振り切り部屋から出た。
ふぅー。
そのまま女子寮の管理室まで行く。ドアをノックすると寮主さんがあけてくれた。
「ソラ君酷いよ!」
あ、カグラさんはすでに部屋の中に居た。
どうやら無事脱出できたようだ
「昨日の仕返しです」
「むー」
「それよりエルシェさん。ゆっくり休めましたか?」
「えぇ。昨日はいろいろありがとう」
エルシェさんは昨日会った時より多少元気そうだった。
昨日は完全にやつれていたからな…いや、あったことを考えたらやつれないほうがおかしいか。
てか、魔王ルシファーがゲスすぎていろいろショックだよ
「現在カレルさんと国王の騎士で魔王ルシファーと戦闘中です」
「え?」
現状をエルシェさんに話す。
今のところは魔王との交戦中。これからどうするかはエルシェさん次第だ。
「どうしますか?これから援護に行ってもいいですが、正直エルシェさんのステータスは大丈夫ですか?」
この世界ではお互いの承認の元、男女が交わることで自信の最も優れるスキルを相手に分けることができる。魔王ルシファーは勇者2名を生け捕りにし、脅し、エルシェさんのスキルを数度奪った。
場合によっては勇者としてのスキルを奪われている可能性もある
その場合魔王ルシファーは勇者としてのスキルをもつ矛盾した存在になるが…
「エクストラスキル【勇者】は奪われませんでした。スキル自体がレベルの存在しないスキルだったので良かったかもしれないですね。その代わり攻撃魔法のスキルをいくつも取られてしまいました。
私は火属性魔法と水属性魔法がレベル4でしたが両方2まで低下してしまいました。」
「と、なると現在は魔王は火と水魔法が最低でもレベル2.元々覚えていた場合にはさらに高くなっていますね。」
「はい。そなりますね。本人は【勇者】のスキルを狙っていたようでだいぶ苛立っていましたが、…あのまま犯され続けたらと思うと震えが止まりません。ソラ君には感謝してます」
「いえ。もっと早く助けれればと後悔しています。」
まぁ、その場合魔王ルシファーと交戦になり、僕はこの場にいないだろうけど…
「私は【勇者】のスキルで回復魔法は今でも使えます。攻撃は戦力にならないだろうけど、役には立つと思います。私をカレルの所に連れてってもらっていいですか?」
「カグラさんどうしますか?」
「そうですね。…冒険者1個人を止める権利は私にはありません。おすきになさい」
「ありがとうございます!」
「ソラ君。護衛、お願いしてもいいかしら?」
「もちろん、仰せのままに。女王さま」
「むー。ソラ君はそうやって私のことをからかうんだから!」
「ソンナコトナイデスヨー」
「くすくす」
あ、エルシェさんが笑った。
うん、笑顔のほうがかわいいね。
と、言うととで僕は一度自分の部屋に戻り装備を整える。
といっても鎖帷子は片腕がもげてしまっていて、武器も半ばから折れた木刀のみだ。
「はぁー。どうしよう」




