34話 学園
朝から優雅に修羅場お茶会をしつつ気が付くと始業の時間間際だった。
二人を見送り僕も1年の教室に向かう。
あ、結局どこが僕の教室か聞いてないや…
「おはようございます」
1年生の教室が並んでいる廊下につく。端からEクラスからD,C,B,Aとある。Sはないのかな?
Aクラスの教室に入る。うん、一応特待生だしB以下ではないだろう。
すると教室ではすでに生徒は自分の机につき、担任の先生が何か話していた。
うわ、全員こっち見てるよ。めだつなー
初老の女性教師が訪ねてくる。
「ソラ君ですか。おはようございます。ソラ君はSクラスの教室ですよ?」
「すいません。場所がわからなくて迷子になってしまってました。」
「では、この後案内しますので、そうですね、一番奥の窓際の席にすわっててください。」
「はい」
ここではないがSクラスはあるようだ。
しばらく先生の当り障りのない話を聞いていると
「では、ちょうどソラ君がいますので自己紹介してもらいましょうか。
ソラ君はSクラスですので授業は免除ですが、本人が希望した授業のみこのAクラスで受けます。
では、自己紹介お願いします」
聞いてなんだけど…
てか、授業免除なんだ。遊び放題じゃん!
遊ばないけどね!
呼ばれてしまったので仕方ない。僕は席を立ち教室の前にでる。
教壇に立ちゆっくりと自己紹介をする。
「おはようございます。僕はソラです。えっと、出身は北の端にあるフランツ領です。
父さんと母さんは冒険者をやっていて、小さい時からいろんな練習をしてきたのでちょっとだけ剣術と魔法が得意です。
でも、まだまだ至らないところがあると思います。皆さんと一緒に勉強していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
あと、今噂になっている魔王の撃退したってやつですが、僕は魔王を王都の外に追いやっただけで、撃退はその後来てくれた勇者の方は行ってくれました。むしろ僕は魔王に対して手も足も出ずにボロボロにやられてしまいあした。今度は負けないように勉強していきますので、一緒にがんばりましょう」
うん。こんな感じかな?
ザワザワ
「え?序列2位で至らないところがあるだって?すごい向上心ね」
「ソラ君かっこいい」
「魔王相手に1対1で生き残るとかどんだけだよ」
「ソラ君はぁはぁ」
「フランツ領ってダンジョンの近くにある都市だろ?全然田舎者じゃないじゃんか。むしろそれが強さにひけつか?」
「ソラ君はどの男子と仲良くなるのかしら。はぁ」
おい、最後のおかしい奴いたろ。
この世界にも腐った女子は存在するのだろうか・・・
「しーずーかーにー」
先生怖!
そんな感じで僕の自己紹介が終わり、この後は剣術の授業と言うことでクラスのみんなは運動場に行くようだ。僕は先生の後に連れられ校長室に入る
あれ?Sクラスは?
「おぉ、やっと来おったか。」
「おはようございます」
学園長のダンテが出迎えてくれた。
「いや、大変だったね。でもここに来た初日にお願いした通り息子のエドモンドを倒してくれてわしはうれしいよ。勇者の弟子になったと浮かれていたので良いざまじゃ。ハッハッハッ」
「はぁ、それで、えっとSクラスの教室はどこでしょうか?」
「あぁ、その件か…カサンドラ先生からはどこまで聞いたかの?」
カサンドラ先生?
あぁ、Aクラスの担任の先生か
「えっと授業は基本免除と言うことと、参加したい場合には好きなときにAクラスの授業に参加してくれて構わないということですね」
「うむ。おおむね間違っておらんな」
「ではSクラスといってもほとんど誰もいなんですかね?Sクラスが授業の参加が自由なら」
「そうじゃな。普段はそうでも4ヶ月に一度の武術トーナメントの翌日くらい来るじゃろ。ほれ、カサンドラ先生案内してやってくれ」
「学園長。ソラ君をここに案内した理由をお忘れですか?」
「おお。そうじゃった。」
このジジイボケたか?
Sクラスに行くだけなら最初から案内されていただろう。
それを学園長室に案内したと言うことはなにかあるんじゃないかな?
はて、なんだろう?
「ではソラ君や。この学園での規則や君の立場を教えてあげよう」
学園長から書いた内容をまとめるとこんな感じだ。
授業について
Sクラス在籍の生徒はすでに義務教育で学ぶことは問題ないと判断されて自由に勉強するとこができる。
また、本人が希望すればAクラスの授業に参加することができる
ただし受けられる授業は在籍している学年の授業だそうだ。
授業は武術、魔術、学力、礼儀が基本的な授業だそうだ。
なるべく僕も参加してこの世界の事を学ぼうと思う。
学園での生活について
基本的には全員寮生活。
寮は男子と女子で分かれている。そして、序列が上がるごとに部屋のランクが上がるそうだ。
100位以内に入るまではほとんど変わらないらしいが
100位より上がると個室になり部屋にトイレやお風呂がつくようになったりする。
って事で序列2位になった僕は10位以内の部屋に引っ越しになる
また、食事については朝夜は寮の食堂で無料で食べれる。
昼は自腹らしいがすでにかなりの金額を持っているので僕はほとんど問題ない。
序列について
序列は生徒には公表されていないが内部のポイントがあり、そのポイントが高い順で序列の順位がきまる。
(通称序列ポイント(笑))
序列ポイントを増やすには3つの方法があり、
1つ目は授業で合格点をとることで一定の数値をもらうことができる。
2つ目は生徒同士のでお互いの了承のもと模擬戦を行うことができる。
敗者から勝者に一定数のポイントが移るらしい。
そして3つ目が一番ポイントを多く稼ぐとことができる
その方法は4か月に一度行われる武術トーナメントでの公式な模擬戦。
僕が序列2位に慣れたのもこの前の模擬戦で優勝できたからである。
逆に言えば序列最下位でも優勝できれば序列上位に食い込むことができる。
ちなみに序列によっての寮の部屋の入れ替えは武術大会の後で4か月に一度とのことだ。
あ、帰ったら荷物の片づけしないと…
そんな感じで一通り説明を受けて僕はSクラスに案内された。
そして教室に着くと
「…」
誰もいないし!
仕方ないのでその日はAクラスに戻り授業を受けた。
いや、教室でボッチはやだよ
「では両者構えて。はじめ!」
「ソラ君かくご~~!」
回避からの相手の武器へ一発
木剣が折れる
「くっ。負けました…」
「次は僕と勝負だ!」
「いい加減にしてくださいよ…」
何してるかって?
教室での自己紹介の時に魔王を撃退したのは勇者だったと公表してから
「あれ?序列2位のソラって子、そんなに強くないんじゃない?」
って噂が広まってしまい休み時間のたびに模擬戦を挑まれるのだ…
序列2位の僕に勝てればかなりの序列ポイントが稼ぐことができる。そんなわけで僕の昼休みもつぶれていく…
「あなたたちいい加減にしなさい。審判をする教師たちのことも考えなさい!」
あー。教員の声が聞こえる…
そんな感じで毎回授業の合間の休み時間がつぶれてしまった。
授業の方はどうだったかと言うと、
剣術の授業はまだ下級生(10歳)ということで基本素振りや型の勉強をする。
うん、つまらない。明日からは参加しないでいいや。
あとでライラ先生に聞くと本格的な試合形式を行うのは1年生の最後の方らしい。
おい、それでよく4か月に一度の武術トーナメントに参加できるな…
と、思ったが、一部の人(騎士になりたい者や冒険者になりたい者)以外は基本農業や商業が中心であくまでも学業の一環で学んでいることなのでイメージ的には体育のようなものらしい
魔術の授業の方は予想通りだったのだが、
魔法の発動に必要な正式な詠唱訓練やその内容の座学だった。
うん、こちらも明日から受けなくていいや。
ちなみにだが、この世界の魔法と魔術の違いについて今日はやっていた。
普段何気なく言葉として使っているが、くわしく違いを聞けたのはよかったと思う。
魔法とは、魔力を使い現実には起こりえない現象を引き起こすこと
魔術とは、魔力によつ現象を観測し、その現象による結果を活用すること
らしい。
例えば戦闘面での魔法使いと魔術師の違いは、…
詠唱を行い魔法を行使してその魔法で戦う者のことを魔法使い
詠唱を行い魔法を行使して、その結果に生じることも含めて戦う者を魔術師と言う。
そのことから一般的には魔法使いよりも魔術師の方がランクが高いそうだ
今まで意味も知らずに使っていた。あー、恥ずかしい…
で、一番つまらないと思った授業が座学だった。
やってること?足し算、引き算を行っていた。
あと、この世界の言語の練習だ。
うん、一番つまらないけどこの世界で生きていくには一番必要な気がする。
座学の授業は明日から出席しよう。
ちなみに…
足し算引き算はおはじきを使っていた。
まぁ前世で言う小学生だもんな…
「疲れた~~~」
1日の授業が終わり、寮の自室に戻ってきてベットに横になる。
いや、やってることはどれも単純で基礎的なことだから簡単なのだけど、さすがにつまらない。
午後からは魔力操作の訓練を行いながら授業に参加していたくらいだ。
さて、この後の予定だが本来は学部がある。
学部とは学校内でもっとレベルの高いことを学びたい者が集う自主学習や部活みたいなもので
その中には[冒険者学部]が存在する。
やることは簡単。冒険者になる為に必要なことを教えてもらったり学び合うのだ。
しかし、冒険者とは命に関わる職業。下手な知識では逆に危険になる為に学園で実際の冒険者に指導を行ってもらうそうだ。
あ、一応3年生の最後の方に通常の授業として冒険者登録をして狩りに出る。
と、言う授業もあるそうだが、そちらはあくまでも遠足みたいなもので
魔物を狩るのではなく、授業用に捕まえてきた小動物をわざと柵で囲った森に逃がして捕まえる。
という内容らしい。
つまんねー。
ただ、一応事前に冒険者としての知識を簡単に座学で学ぶらしく、この学園の卒業と同時に冒険者見習い(G級)のランクがもらえるそうだ。
僕も[冒険者学部]に入る予定だが、上記の指導者が先生ではなく現役、もしくは引退した冒険者の為教員のように毎日来てくれるわけではないので(現役冒険者自体はこの王都にもある程度いるが、あくまでも指導者としての冒険者の為必然的にランクが高い冒険者になるので、なかなかきてくれない。)一応そんな状態でも引退した元冒険者が週に何度かは固定できてくれるようだが、今日は休みだ。
荷物を片付けて引っ越しを行わなきゃいけないんだが、僕自体王都にきてからまだ1週間ちょっとしかたっていない為部屋に荷物という荷物もない。そんな感じなのでいつでも引っ越しはできる。
教師の人にもそのことを話したが、部屋の受け入れ自体ができない為、明日以降にしてくれと言われてしまった。
と、そこで部屋の扉がノックされる。
「ん?はい、今開けまーす。あ、エルサさん」
扉を開けると金髪ツインテールの少女が立っていた。
コタロウの妹だ。
「こんばんわ。今良いですか?」
「あー。はい。どうぞ」
部屋に招く。
うん、見事に何もないね。
「えっと、お兄さんの件は大変だったね。」
「はい。兄さん、生きてる、絶対、どこかで…よね」
実はこの前国王に会った時にそのあたりのことを聞いた。
おそらくコタロウ先輩と魔王ルシファーが入れ替わったのは侍の国にいた当初かららしい。
侍の国は勇者が建国した国ということでその制度は貴族制度や国王が総べる国ではなく、国民の選挙により代表を決定しその方々が国を運営するそうだ。
しかし、いくら選挙で決定するということでもちろん政治家が存在する
コタロウとエルサは政治家の子供らしい。しかし、父が不正で失脚しそれに追われるようにこの国に留学で来たらしい。
うん、魔王ルシファーから聞いた内容とだいたいはあっている。
あいつは僕が何も知らないからとそれっぽい嘘をついていたらしいが…
おそらく父親の失脚も魔王ルシファーの策だった気もする。この国に怪しまれずに留学する為に…
そう考えるとなぜ妹のエルサに対し心配するようなことを言ったのか疑問だ。
現在エルサは一応は今回の魔王ルシファーの重要参考人ということで国が管理する施設に移っている。
うん、尋問とかされてなきゃいいけど…
「僕にわからない。…エルサは大丈夫?」
「違う。兄さんは生きてる。これ見て」
そう言ってエルサがポケットから折りたたまれた紙を取り出す。
「これは?」
「今朝私の部屋の前に落ちていた。」
エルサが紙を広げるとそこには手書きの地図が描いてあった。
「これって?ここには行った?」
「今日、騎士、ずっと話し…」
「今から行ってみる?この地図も国の人には話してないんでしょ?」
「うん」
そうだよね。これ見せたら絶対あやしまれるよね。
「僕が見てくるね」
「うん」
おそらくエルサは国の人に尾行されているだろう。
むしろ、よくここまでこれたな。
いや、泳がされているのかな?
どちらにしてもエルサがこれ以上怪しまれるのはよくない…
「じゃぁ、エルサは部屋で待ってる?」
「いったん帰る。ここにいると誤解される。それともその方がいい?する?」
何をするんだ…
幼女に興味はない。
まあ、僕も同い年だから10歳だけど…
その後エルサを国が管理する施設まで送り(意外と学園から近かった)、路地に入り【空駆・改】を使い空を駆ける。
すでに太陽は沈み、漆黒の空。尾行を巻いて悠々と地図の示す場所まで駆ける。




