24話 武術トーナメント本戦②
「それでは4回戦を開始します。対戦ステージには魔術障壁を張りますので、観客の方はぜっていに手を出さないでください」
今回の対戦相手はヴィクトルから話を聞いておいた。
相手の名前はフロラン。ラルスとは違い魔法使いらしい。恰好も青いローブを羽織っている。武器は短杖で先端に大きな魔石が付いている。得意魔法は光属性らしい。
ラルスの時と同じように岩の影に身を隠しながら相手がいると思われる方向に進んでいく。
考えられる相手のパターンは2つ
一つ目は高台に移動していち早くこちらを目視して遠距離で攻撃
二つ目は岩に身を隠しながらこちらの場所を割り出して一撃必殺の魔法を使う
しかしこの世界の住人は基本魔法を行使する時は[詠唱魔法]を行う。
詠唱魔法とはそのままの意味で文言を詠唱して魔法を行う
利点は術者によって威力など多少の差異はあるが結果が同じということ。
たとえば、Aの詠唱を行うと必ずA'の魔法が発動する。
A'の特性を理解していなくてもその文言で魔法を行使することができるのだ。
まぁその理解度で再現度(魔法の威力や性能)は変わってくるが…
欠点は詠唱が必要であるという点と応用が利かない。
詠唱が必要と言うことはそれだけ発動が遅いということ。
応用が利かないというのは、ファイアボールの魔法を理解できても同じファイア系であるファイアランス等は1から勉強し直さなければいけない。つまり、魔法の選択肢が非常に少ない。
ちなみに、詠唱の文言はなんでもいいらしく、自分で決めているらしい。
魔法書などに正式な文言はあるのだが対人戦の時に相手にその詠唱を聞かれたら何の魔法を行うかばれてしまう。なので一度覚えた(正式な文言を使用して発動した)魔法の感覚を自分でつかみ、その魔法を行う詠唱の文言を自分できめて発動するのだ。
ゲーム的に言えばショートカット設定見たいなモノだろうか?
そんな事ができるならそもそも詠唱いらないんじゃね?と思いライラさんに聞いてみると、
「もちろん詠唱を行う時の文言はなるべく少ないほうが良い。しかしながら魔法の結果をイメージできる文言に設定しないと術者自身がその魔法を認識することができなくなってしまうのだ。
極論を言えば何も詠唱せずに魔法名のみで強化魔法のように属性魔法を使いたいと誰もがおもっているさ
しかし、現実それをできるのは勇者クラスの魔法使いのみだった。」
とのことだ。そもそも[指定の文言(詠唱)=魔法]を設定[詠唱→魔法発動]と言うプロセス自体が間違っているような気がする。
だからこの世界の住人ではない勇者や僕は無詠唱で魔法が使えるのではないだろうか…
簡単に言えば僕の世界の住人は手からファイアボールが出ない。
しかし、転移や転生して魔法の世界に来た。だからファイアと言えばファイアボールが出ると認識しても何も違和感を感じない。だって異世界だもん。
しかしこの世界の住人は指定の詠唱を実行するとファイボールが発動するいう常識がある。
なのでそれを詠唱しなくでも意志や魔法名のみで魔法を発動できると言われても頭のどこかで否定してしまうのだろう。
結局重要なのはイメージ力なのだ。
その証拠に剣技や強化魔法、生活魔法は詠唱を必要としない。
だってそれが常識だから…
試合中にそんなことを考えていると敵の姿が目に入った。
「対象へ与えたまえ光のさバッグエ!」
「【マジックショット】」
僕の手から発射された魔力の塊が高速で発射されて詠唱中のフロランさんの腹に直撃する。
ほんとは魔法名も言わなくて良いのだけどついつい叫んでしまう。
異世界生活満喫中です。ハイ。
怯んだところに自分に【身体強化】をかけて接近。木刀で腹への一撃を食らわせる。
「勝者ソラ選手!」
「「「うおぉぉぉっぉぉぉおおおおおおおお!」」」
まぁそんな感じで相手が魔法使いの場合には見合いでの戦闘になれば魔法発動の差で100%勝てる自信がある。相手が【魔力探知】等のサーチ系魔法を使って僕の認知外からの一撃必殺の攻撃を行われると辛いが、それをやられても僕は試合開始直後に自身に魔法物理攻撃を1度無効化する【プロテクション】をかけている為、たぶん2射目以降を確認できれば勝機はある。
と、そんな感じで5,6,7回戦は全員魔法使いだった為、余裕で勝つことができた。
さて、お昼の時間である。
ほんとは昼中も試合をやって盛り上げたほうが良いんだろうが、対戦しているのは学生である
しかも、片方は連戦中。そのことを考慮して昼中は試合は中断になる。
一応、先生同士の模擬戦を余興として行うらしいが…
気になりはするが僕にそれを見る時間はない。なぜなら次の対戦相手の情報収集をしなければならないからだ。正直ヴィクトルの情報はあてにならない。
「光魔法がすごかった」
「なんか魔法使ってた」
「魔法?つかってたかも?」
そんな感じである。ちなみにジュストは…
「ビカー」
「ボーン」
「シュッ」
鳴き声か何かだろうか?
そんな感じで頭を悩ませている。昼ごはんも買わないといけないしまずは会場内のアイテムショップを覗く
[これであなたも億万長者。王都第二学園序列ランキングと上位者の相性解析。]
おぉ!なんかふつーに雑誌おいてあるんだけど。イメージとしてはコンビニの雑誌コーナーである。
朝によった時はMPポーションのことで興奮して気が付かなかった。
と、言うか今思い返せば王都って普通に紙のポスターとかそこらじゅうに貼ってあったな。
どうやら王都は製版技術があるらしい?もしくは製版魔法?
っく!また勇者か!
まぁ、値段は高かった。
一応高価な物らしく盗難防止や立ち読み防止の為にレジから見える場所に置いてあった。
さっそく1冊買う。うん1万ギル。雑誌に1万円って高いな~。
一度外に出て屋台で簡単につまめる物を買って自分の観客席に戻る。
その途中で行きかう人から声をかけられたりした。あ、屋台のおっちゃんにおまけもしてもらった。
いや、変な通り名とかつけられなければいいけど…
「あ!ソラ選手じゃないですか!握手おねがいします。応援してるので頑張ってください」
「きゃぁー。ソラ様よー」
「ソラ君頑張ってください」
「あ、あれが噂の魔術師殺しのソラ様よ!」
「ソラ君すっごくかっこよかったです!今度稽古つけてください」
「ソラ君今度僕に魔法の使い方を教えてください」
「お前さんに今月のおこずかいかけたんやから絶対勝てよ」
うん。すでに通り名ついてそうでした。
人にもみくちゃにされながらなんとか自分の席に戻ってくることができた。
一応生徒の席は一般の人が入れないようになっているのでひとまず安心…
「ソラ君すごいですね。」
「一緒にお昼ご飯たべませんか?」
「今晩お姉さんの部屋にこない?」
「何を言ってるの私の部屋にきなさいよ」
「そこのお姉さま方は何を言ってるのですか?ソラ君は10歳ですよ?ね?私の部屋にこない?」
「「「はぁぁ~」」」
「ギエー」
はぁ、こんな感じである。あ、最後のはジュストである。彼は何になろうとしているのだろう?
周りの雑音を気にしないようにしながら屋台で買った焼き鳥を食べながら雑誌を読んだ。
うん。まともに取り合ってたららちがない。
そんな感じでお昼を食べていると知っている女子が声をかけてきた。
「ソラ君ちょっといい?」
「ん? あぁサクラ先輩。あれ?お昼はお友達と食べるんじゃなかったでしたっけ?」
「そうなんだけど。ちょっときて?」
「え?」
そう言って僕の手を握り、引っ張っていく。
あ、雑誌は格納魔法ヴィクトルに渡して次の対戦相手のページを読んどくようにお願いしました。
本人も雑誌の内容が気になっていたようで喜んでいました。
ジュストはお腹を抑えてうずくまってる。はてなんだろう?
人ごみ?をかき分けて上級学園の観客席に入ってくる。お、追いかけてくる生徒が少し減った。
さすがに下級生が上級生の観客席まで入ってこれないか…
「えっとこの子はソラ君よ。ってみんな知ってるか」
「えっと、サクラ先輩この方は?」
サクラ先輩に案内された先にはごく普通の観客席で、僕の方を二人の女子が眺める
うん?ナニコレ
「えっとこっちの子がメラニー。私の同級生よ」
「メラニーよ。君かわいいね。サクラをよろしくね」
赤毛のセミロングで髪の毛を後ろで三つ編みにしているソバカス眼鏡女子だ。
そして座っている感じ身長は低そうだがデカい。何がとは言わないが。あ、この世界に眼鏡あったんだ。
ライラ先生眼鏡かけないかなー。
「こっちがリーンよ。」
「よろしく魔術師殺し君。サクラが欲しければ私を倒していきなさい」
あ、コイツだな。魔術師殺しとか広めたの。ニヤニヤしてるし…
薄い黄緑のロングヘアの女性だ。うん。美人って感じ。メラニーが自己主張激しかったが、この子は髪の毛の色以外は普通に日本に居そうなおとなしそうな子だ。まぁ。外見だけだけど。
「サクラ先輩。なんでしょうか?」
「いやね。君大会で活躍してるでしょ?友達2人が興味持っちゃって、私知り合いだよって言ったら連れて来なさいって言うんだもん。
最初はソラ君も忙しいだろうからって断ったんだけど、そう言えば昨日お昼にさそっわれたなーって2人に言ったら勘違いしちゃったみたいで、……
それで引くに引けなくなっちゃって、誤解を解こうと思って連れてきました。ごめんね」
「えっと、誤解とは?」
「君。サクラのこと好きなんでしょ?」
メラニーさんががっつり聞いてくる
ストレートやな。あ、サクラ先輩が顔を真っ赤にして慌ててる
ん?ナゼ?
「ちょっとメラニー。何言ってるの?」
「ごめんごめん。昼休みも時間かかるないしさっさと聞いちゃおうと思って。君サクラの事をお昼に誘ったんでしょ?。それに今日ここにくる途中遅刻してでもサクラの手伝いしたんでしょ?」
「まぁ。はい」
「惚れてる?」
「めーらーにー!」
あ、サクラさんかわいいな。
見た目から12.3歳だと思ったけど上級学園の生徒ってことは今年14歳かー。中学生に手を出したら犯罪だよなー。
あ。ぼくまだ10歳だからセーフ?
「えっと、サクラ先輩は可愛いし。綺麗だし。話した感じとってもステキな方だとおもいます。
でも、まだ僕は10歳でこの前王都に来たばかりで右も左もわからなくてオロオロしています。正直そんな余裕が無くて……」
「あれま」
「サクラどんまい」
サクラ先輩がしょんぼりする
あれ?僕が惚れてるって話じゃなかったの?サクラ先輩に惚れられた?
なぜ?
「えっと、んー、」
「ソラ君ごめんね。大会中に呼び止めて」
サクラ先輩が申し訳なさそうに言う。
まるで僕が振ったみたいじゃないか!
基本僕は来るものは拒まずの精神でやっていくんだ!
目指せ異世界ハーレム!
でも、どうしようか、ここで振ってしまうとハーレム計画に支障が出る気がする。ハーレムメンバーには同じ世界の住人枠はひっすでしょ
まぁ、そんな冗談はさておき、サクラ先輩がかわいいのは事実で、この感情が恋なのかはわからないが少なくてます一目惚れしたのほ事実だ。
「いや、そうじゃなくて。僕はサクラ先輩のこと好きですよ?」
「「「え?」」」
3人が目をまるくして聞き返す。
うん、ココのこともあるかまだ問題を先延ばしにするのがいいかな?
「でも、サクラ先輩とはまだ昨日出会ったばっかりで、まだサクラ先輩のことは知らないことの方が多いし…。だから、しばらくは先輩後輩の関係でいさせてください。その付き合いの中で僕に幻滅したらそのまま僕のことは忘れてくれればいいですし、…
どっちにしても、まだ僕は10歳なので早いとこ思います」
「けなげだねー」
「サクラよかったね」
2人がサクラさんのことを茶化す
「そっか。うん。でもね」
そう言ってサクラ先輩は僕のことを抱き寄せる。
そして耳元で2人にかからないようにつぶやく。
「私転移前は16歳だったから今年で22歳よ。ソラ君もそれくらいでしょ?はやいかな?」
そう言ってぎゅーってと、僕のことを抱きしめた。
冷や汗ものである。
あ、【身体強化】使ってるし。
「とりあえず、先輩として見守ってるから大会頑張ってね?」
「はい。」
2人に聞こえるようにそう言って僕を下ろした。
うん。そのあと?一応今の会話を聞かれないように気を使ってたけど、最後のハグで結局は意味をなくしてしまった。
「ソラ様って上級学園のサクラって子と付き合ってるらしーよ」
あぉ、噂が拡散されていく。
しかし、不思議なことにサクラ先輩に嫉妬を抱くものは少なかった。
どうやらこの世界は一夫多妻制らしい。
妻を多く養える夫は偉大らしい。逆に言うと経済力がないと成り立たないらしいが…
つまり、大会で優勝してハーレム計画を現実にする!
(賭け事で金儲けしても経済力とは言わないことにあとで気がついた。)




