14話 武術試験
「俺はイーサンだ。一応C級の冒険者だ。」
今回学園からの依頼で武術の試験をすることになった。」
僕たちは学力試験後にドレイク先生の後に続き校庭にやってきた。
その途中の廊下で別の先生に引率された生徒とすれ違い今まで僕たちがいた教室に入っていった。
おそらく学力、武術、魔術、礼儀の試験を交代で行なっているのだろう。
校庭には四角く白線が引かれていて、中に冒険者らしい革鎧を着た青髪の冒険者が立っていた。
僕たちはドレイク先生の指示でクラスで座ったのと同じように並びに先生が冒険者に自己紹介をうながした。
自己紹介が終わるとドレイク先生が訓練の説明をしてくる。
「えー、武術と魔術の試験は強制ではない。参加しなかったと言ってマイナス点がつくことはない。ただし、入学後により高度な授業を受けたり、学部に入る為にはここである程度の成績を見せておかねばならない。
今回の試験官はC急冒険者でちと強いかもしれんが、なに、殺し合いではない、気楽に自分の持つ武術を見せつけると良い。
では聞こう。武術試験に参加するものはそのまま起立して待て、参加しないものはその場に座りなさい」
僕は立ったまま待つ。驚いたことに横にいたココも立っていた。
「え?ココも受けるの?」
「はい。ソラ君がいない時はお父さんにも稽古をつけてもらってたんですが、冒険者は魔法だけじゃダメだって言われて……
ソラ君と同じ授業を受ける為にも頑張ったんです。」
「それで最近フランスさんにも棒術とか教えてもらってたんだね」
「では、今回武術試験に参加するのは今立っている15名だな。
では、そこの倉庫に木で出来た剣や槍等が入ってある。確実準備をしなさい。
自分の訓練用の武具をもっている者はそれでも構わない。
準備が出来次第前に並びなさい。
おや、ソラ君も受けるのか?てっきり魔術士かと思ったがなかなか色々やっておるようじゃな」
「はい、冒険者に、なりたいと思っていますので剣術を父さんから少し教わりました。」
はい、嘘はついてません。だってせっかく異世界に転生したんだもん、《な、なんだあいつ、C級冒険者を倒したぞ》
とか、やってみたい。
ちなみにC級冒険者がどれほど強いのかは知らない。
母さん曰く、そういう事は冒険者になった時の楽しみに取っときなさいとのことだ。なんでも冒険者ギルドの受付でそういう説明を受けるのも冒険者の醍醐味だそうだ。
「ほほう。そうか、ソラ君は冒険者希望か。てっきり魔術学者になるのかと思っておったわい」
「はは、僕なんかまだまだですよ」
あ、他の子たちが倉庫から帰っていた。
そろそろ始めるかな?
ちなみに僕は竹刀を持ってきている
あ、ココも戻ってきた。練習用の先が付いてない槍を使うようだ。
「では、武術の試験を行う。最初の者はサークルの中に入りなさい
その線の内側には物理衝撃軽減の魔法が発動しておる。相手も訓練用の木剣だ。安心して自分の技量を試しなさい」
あ、あの線は魔法陣になっていたのか。
僕はココが来るまでドレイク先生と話していたので列に並ぶのが遅れてしまい。と、言うが全員準備出来るまで並ぶのを待っていた為最後だ。一つ前はココだ。
「よろしくお願いします」
お、茶髪の少しガタイの良い少年が木剣を持って線の中にはいる。
冒険者のイーサンは木剣と盾だ。
少年は剣を両手に持ち構える。
「おう。甘い攻撃をしない限り反撃はしないから、いつでもかかってこい」
「行きます!」
少年は剣をイーサンに走り近づき剣を上段に構える。
そして、迷いなく剣を振り下ろす。
イーサンは盾を構えて剣を受ける。
大人と子供、肉体的差があるのであれでは絶対にイーサンの守りを抜く事が出来ないだろう。当然と言えば当然なのだが守りを壊さないことに少年は焦り始める。
おそらく今までは同年齢や同じくらいの実力の者としかきちんと打ち合わなかったのだろう。年齢や実力が同じなら体格のが良い方が有利だ。力任せの攻撃で今までは相手を崩せていた事が自信となり技術の向上につとめてこなかったのではないだほうか。
あ、少年がバテ始めたところにイーサンが剣を振る
少年の木剣が弾き飛ばされた。
「あ、ありがとうございました」
「ちと力任せのすぎるな、もう少し剣の技を磨いた方がいいだろう」
「はぃ…」
「でも、最後まで諦めなかった所は偉いぞ。剣士にとってその精神は重要だ。今後も剣術に励めばもっと強くなると思うぞ」
「はい!ありがとうございました!」
そんな感じで結局、子供の大人の稽古が続いた。
まぁ、子供の試験だしこんなもんなのかな?
あ、ココの出番だ。
ちなみにさっきまでの13人中7人が男子で、残りの6人が女子だった。
この世界には魔法による身体強化が行える為あまり性別の肉体的差が出にくいのだ。
まぁ、今までの13人は誰も身体強化や思考加速を使わなかったが…
「よ、よろしくお願いします」
ココが槍の先の方を持ち杖のように構えながら線の中に入っていく。
ちょっと緊張してるようだ。可愛い。
「おう。ん?棒術か?」
「少し違います。魔杖術です。あ、魔法は身体強化以外使わないので安心してください」
「身体強化が使えるのか。っておいおいそれじゃ俺が試験受ける側みたいじゃないか」
「そうでした。ごめんなさい。よろしくお願いします。」
「おう。どっからでもかかってこい」
「はい。では、【身体強化】+【思考加速】」
ココが自分を強化してゆっくりとイーサンの方にあるっていく
その動きには隙がなく、一歩一歩相手の間合いを確かめるやように距離が詰まっていく。
「おお。お主の連れは身体強化と思考加速も、使えるのか」
いつのまにかドレイク先生が、隣に来ていた。
「はい。ココは僕よりも魔法に依存した戦法を取るので自衛として強化魔法を教えたのですが、いつのまにかマスターしていましたね」
「ほう。さっきのお主の魔法といいお主ら2人はどうなっているんだ?10歳で身体強化を使えるやつなんていないぞ。お主も使えるのだろう?」
「まぁ、それなりには」
お、ココがイーサンの盾を持つ左側に回り込む。
イーサンは旋回してココを正面にしようとするがココはさらに左にずれる。身体の半分を覆う盾の関係上左側の視界が悪くなる
特に10歳相手だ。身長差なら非常に見づらい
そしてココは身体強化を、使い移動に専念している為イーサンよりも早く移動する。そして見えない位置から杖でフェイントをかける。
「ちっ。【身体強化】+【思考加速】」
イーサンも強化魔法を使ったココの動きに追いつく。
強化魔法は各魔法のレベルが高いほどの強化倍率が上がる。
冒険者をしているだけあり、今度はココが左右に揺さぶってもイーサンがココを正面に捉える。
ココは相手の身体強化の、倍率が自分より遥かに上だとさとり今度は正面から距離を詰める。
槍の下段から振り上げる。イーサンの盾の先を引っ掛けて盾をめくり上げようとする。イーサンも盾を握り直しそれに耐える。
ココは持ち上げる角度を変えるように左にズレながら間合いを、詰める。
イーサンも負けじと盾で杖を押さえつけるようにしながらココの方に向き直ろうとする。
しかしそれは悪手だった。
ココは急に杖に入れていた力を抜いて引っ込める
盾が持ち上がろうと抑えていたイーサンは盾を地面に叩きつけてしまい体制を崩してしまった。
ココは身体強化を使って盾を、捲り上げようとしていた。そこに対抗するためにイーサンも身体強化で腕力を強化していたが、ココが身体強化を解いた事で力の格好が崩れてしまったのだ。
本来はありえない事だった。なぜなら前衛を務める剣士は不測の事態に対処するために常に身体強化を発動し続ける
もちろん相手も前衛のわけだから身体強化を使い続ける
しかし、ココは魔術士だ。日々魔法の練習をしているだけある身体強化のオンオフはお手の物だ。
後衛の魔術士は砲撃や回復に魔力を使いたい為、短期決戦でない限りは身体強化に魔力を使うのはもったいない。
「【身体強化】」
盾を、地面に叩きつけたイーサンにココは自身に身体強化を、再度かけて回り込むように近づきココの左手側から杖を薙ぎ払う。
盾を持ち上げようとしたイーサンの盾にあたり盾を右手側に吹き飛ばす。
「くっ!」
盾を吹き飛ばされた事でさらに大きく体制が崩れる。
ココの追撃。
返しの一撃がイーサンの胴体にせまる
イーサンが全力でバックステップでかわそうとするがココの一閃を避けきれず胴体にあたり後方に吹き飛びゴロゴロの転がる。
「や、やるね。お嬢ちゃん。」
うわ、イーサンかっこわる
「まだやりますか?」
ココが煽る。
「いや。やめておこう」
「はい。ありがとうございました」
ココはペコンとお辞儀をしてこちらに戻ってきた。
「やりすぎでしょうか?」
「どうだろうね。でも将来冒険者になるならいい練習になったんじゃない?」
「そうですね。C級も大した事ないです」
その日街に噂が広がった。とんでもない新人が現れたと。
なんでもC級冒険者を打撃のみで軽く遇らう魔術士だと。
ただし、その噂には続きがあった。
「では僕の番ですね」
「お、おう、そうじゃなの。おーい、イーサン大丈夫か?」
「あ、あぁ。」
盾を拾ってイーサンが帰ってきた。
「ではお願いします」
「お、おう。お前はその刀を使うのか?」
「はい。木刀と言って日本刀を模して作られた刀です」
「さっきはお前の連れのお嬢ちゃんにやられちまったからな。今度は油断しないぞ。てか、叩きのめしてやるわ。恋人の前でかっこ悪くやられて恥をかけ!」
「い、いや、そんなんじゃないですよ」
あ、ココが顔を真っ赤にしている。
「よそ見してんじゃねーぞ。行くぞ【身体強化】+【思考加速】」
うわー。この冒険者おとなげねー
イーサンが盾を構えて突進してくる
僕は木刀を腰に構えてイーサンが間合いに入るのを待ち構える
イメージは抜刀術。
身体を少し斜めにしてイーサンの盾を捉える
「いくよ。幼刀【十祭】」
父さんが僕の10歳の誕生日を祝って買ってくれた木刀。
いつもは脳筋でウザい父さんだったが僕の10歳の誕生日をすごい喜んでお祭りのよう祝ってくれた。
ココのお父さんから聞いたがなんでもトムには弟がいたが10歳の時に魔物に襲われて死んでしまったらしい。そんなわけで父さん的には10歳って特別らしい
うん。人の祝いの席で悲しい事言わないでほしーよね。
まぁ、そんなことがあり、その場のノリで命名したのだ。
横に一閃
「え?」
イーサンの盾を切断した。
返しに右手側から木刀を軽く振り上げ、体勢を崩したイーサンの剣を軽く払い上に飛ばす。
剣を振った勢いを消さないように回転蹴りをイーサンに放つまで吹き飛ばす。
ちょーど真上から落ちてきたイーサンの木剣を左手でキャッチする
「ま、魔法はなしだろ」
「魔法は使ってませんよ?」
イーサンがガクガク震えながら文句を言う。
「そうじゃの、ソラ君は魔法は使ってはないの。それは見ていたわしが証明しよう。ただ…」
「ど、どう言うことだ?」
「ソラ君どう言うこと?」
イーサンとココが聞いてくる
「空気中には常に魔力があります。本人が魔法を使うまでもなくイメージして剣を振れば、勝手に空気中の魔力が魔法として発動してしまうんですよ。だから僕は魔法を使ってない。あくまで竹刀を振っだけです。盾を真っ二つに切断するようにイメージしながら」
「そ、そんな事が?無詠唱魔法じゃないか」
「いえ、違います。僕は一切魔力を、使ってません。本来魔法を使うとかは詠唱しイメージを固めて使用者本人の魔力を使います。ただしそれではどうしても魔法としてこの世界に実在することはできない。
例えば火を生み出す魔法を使ったとします。使用者本人の魔力で火を生み出すことはできますが常に空中に実在する事は出来ないですよね」
「何かに燃え移らせないカギは、そのうち火は勝手に消えるな。」
イーサンが答える
「そうです。でも術者が魔力を使った時に使った魔力は火をつけることだけです。
その後、何かにその火をぶつけるにしてもそのぶつかるまでの間は術者は無意識に火の維持を行おうとします。しかし、火を維持する魔法は使っていないし魔力も消費していません。
空気中の魔力が勝手に魔法を、発動させているんです。
僕がやったのも最初に魔法を発動していない点を除き一緒です。
強い意志を持ち剣を振ったんです。すると木刀で木盾を切断できるのが当たり前のよう切断できました。」
「な、なんじゃそりゃー」
「ソラ君すごいです。」
「そうじゃな。天才的じゃな。でも武術の試験に魔法の力を持ち出してはダメじゃないかなの?
そんな事した者は今までおらんかったから実例がないの、はて、どうするか」
イーサンは驚き
ココは感激し
フランス先生は困っている
「フランス先生、身体強化を使うのがありだから、問題ないと思ったのですがダメでしたか?」
「んー。確かにそうじゃな。だが、わし1人では決められないので一度職員達で話し合ってから決めるかの」
街に魔剣使いの新入生がいると噂が流れた。
真実は違うのだがやっている事はあまり変わらない為、近くで見ていた生徒を否定できなかった。
あ、魔術試験は問題なく通過しました。
ちなみに礼儀試験は多分ボロボロです。
貴族の礼儀とかしらないよ!
[ココ](14話時点)レベル15
魔力保持量(MP):5,200
最大魔力出力:1,200
最大魔力制御:720
使用可能スキル(魔法)
通常スキル
【生活魔法】
【魔杖術】
属性スキル(魔法)
【土属性魔法】
【重力魔法】
強化スキル(魔法)
【身体強化】レベル1
【思考加速】レベル1
【回復魔法】レベル1
エクストラスキル(ギフト)
【格納魔法】
スキル解説
【魔杖術】 (常時発動型)
効果①:装備した魔術用杖への物理ダメージ50%カット
基本的に魔法使いは近接戦闘に持ち込まれないように立ち回る為、魔法用の杖で攻撃しようという発想には至らない。そのためこのスキルを所得するものは戦闘狂の場合がほとんど。
まだレベル1である為、有効なスキルにはなっていないが今後レベルが上がることで近接魔術師としての必要なスキルを会得していくことになる
目指せ1日1話更新




